作業療法学研究室
研究室について
研究テーマ
「人々の健康と幸福を促進するために、作業に焦点を当てた研究を行い、社会的課題の解決に貢献する」ことを大目標(理念)として、当研究室では、以下の4テーマを柱として、大学院生とともに研究を進めています。 ①作業中心の実践(OFP, OBP)の効果検証(臨床研究) ②作業参加と健康?幸福(Well-being,QOL,生きがい)に関する疫学的研究 ③作業遂行中の脳血流量変化に関する脳科学的研究 ④作業の形態?機能?意味に関する作業科学的研究
①作業中心の実践(OFP, OBP)の効果検証(臨床研究)
作業療法の実践は、従来の機能回復訓練に加えて、近年では、より個別的な生活を実現する「作業中心の実践」が求められています。しかし、その効果検証はまだ十分とはいえません。そこで、当研究室では病院等の作業療法士と協力して、臨床研究(介入研究)により、様々な疾患患者における作業中心の実践の効果検証を行っています。
②作業参加と健康?幸福(Well-being,QOL,生きがい)に関する疫学的研究
作業療法の根本原理は、「(適切に)作業を行うことは、その人の健康や幸福に良い影響を与える」という考え(基本仮説)です。この基本仮説は、臨床的には多くの研究で支持されていますが、予防医学や社会一般で十分に認識されているとはいえません。そのため、様々な場面で作業を行う権利や自由が過剰に制限されたり、軽視され、必要なサービスや施策に結びついていないことが多く見られます。そこで、当研究室では一般住民などの集団を対象に、コホート研究等(観察研究)により、人々の作業参加と健康?幸福との関係性を実証する疫学的研究を行っています。
③作業遂行中の脳血流量変化に関する脳科学的研究
作業療法では、機能回復の手段として、部分的な動作の反復練習に加えて、複合的な動作(≒生活行為、作業)の遂行を治療手段としています。従来の医学では単純化できる動作訓練の効果しか検証することができませんでしたが、近年の脳科学の発展により、複合的な動作の、より高い治療効果が明らかになりつつあります。しかし、作業療法場面での研究はまだ十分とはいえません。そこで、当研究室では健常者や疾患を持った方を対象に、実験研究により、作業遂行中の脳血流量を指標として、その効果を実証する脳科学的研究を行っています。
④作業の形態?機能?意味に関する作業科学的研究
人間の作業に関する学問として、作業療法の基礎学問である「作業科学」があります。作業科学では作業の形態?機能?意味を研究し、作業療法ではその知識を治療に応用します(他学問に例えると、心理学と心理療法のような関係性です)。研究により、作業の知識が増大することは、作業療法のより豊かな実践と適用範囲の拡大に寄与します。また、建築や医療工学などの他学問分野への知識の提供も期待されます。当研究室では、自由な発想により、作業療法研究の枠を超えて、様々な対象の量的?質的方法による作業科学研究を行っています。