視能矯正学研究室

研究室について

研究テーマ

基礎研究では、家兎やマウスを用いて、赤?青色光による対光反射や網膜電位を測定することで、網膜が光を受容するメカニズムを検討しています。また、緑内障治療薬が、どのようにして眼圧を下降させるのか、その作用機序を明らかにしています。 臨床研究では、視覚系や神経系が障害される疾患に対して、障害部位や原因疾患を特定するための新しい診断方法?治療法の開発と、新しい検査機器を使用し、斜視や弱視、眼振などの両眼視機能異常の発症メカニズムを解明するための研究を行っています。

対光反射の起源とメラノプシンによる光受容

視能矯正学研究室①①視細胞が障害されても対光反射が残存するメカニズムは、100年以上の謎
視能矯正学研究室②②赤?青色光による対光反射の違いから、そのメカニズムを解明

自覚応答が困難な小児の検査と支援

検査室のイスに一人で座ることを嫌がる幼い子供や、障害を持っていて検査のための眼鏡や機器を付けることが難しい子供に対し、眼鏡や機器を付けずに視線を計測する装置を使用して、動くものを追うときの眼球の動きを定量的に評価しています。眼球運動は、眼を動かす筋肉の異常だけでなく、その眼球運動をコントロールするさまざまな機能により影響を受けています。そのため、発達の異常によっても眼球運動に異常が生じる可能性が考えられ、近年では、作業療法の領域においても、眼球運動の評価の必要性が指摘されています。そこで、定量的な眼球運動の評価の方法を用いて、作業療法士の行っている眼球運動訓練を、視能訓練士の立場から評価することを試みています。                    
視能矯正学研究室③視標イメージ:円を描いて動く蝶
視能矯正学研究室④測定結果例:視標を見ている右眼?左眼の動き

メンバー

プロジェクト?研究業績

プロジェクト

瞳孔反応と色特性による光受容のメカニズム

瞳孔に光が照射されると、ひとみは小さくなります。この反応は、網膜の視細胞が役割を担っています。しかし、視細胞が障害され、その電位が消失しても、瞳孔反応が残存することがあります。このように、網膜が光を受け取る(光受容)のメカニズムは、まだよく分かっていませんが、視細胞以外に光を受け取る細胞が存在するのではないかと考えられています。その細胞は、青色光に選択的に応答するため、色の違いによる瞳孔反応や網膜電位を測定し、光受容のメカニズムを検討しています。
視能矯正学研究室⑤視細胞の電位と赤色光の瞳孔反応は消失するも、青色光の瞳孔反応は残存
視能矯正学研究室⑥青色光のみに応答する網膜神経節細胞が存在

両眼視機能異常とその発症メカニズム

正常な両眼視では、両眼の視線は同じところへ向き、同じ距離にピントを合わせ、両眼の像を脳の中で重ね合わせて、立体感を得ています。近くの物を見た時には、その視線は両眼が内側へと向き、屈折は近視化し、瞳孔は小さくなります。これらの反応(近見反応)は連動して働いています。図は、スマートフォンを見るために、視線を遠くから近くに変化させた時の近見反応の結果です。正常であれば、両眼がほぼ等量に輻湊、近視化、縮瞳しますが、異常では輻湊、近視化に左右差があり、縮瞳が小さくなっています。スマートフォンの普及に伴い、「スマホ内斜視」という言葉を耳にするようになりました。また、コロナ禍の影響による、講義や会議のリモート化は、パソコンやスマートフォンなどのデジタルデバイスを利用する機会を増大させ、近見作業は増加しています。そのなかで、正常な両眼視が維持できる条件とはなにか、両眼視異常が発生してしまうメカニズムや、発生を予防する方法について検討しています。
視能矯正学研究室⑦正常例:両眼がほぼ等量に輻湊、近視化、縮瞳
視能矯正学研究室⑧異常例:輻湊、近視化に左右差があり縮瞳が小さい

研究業績

著書?論文

学会発表

特許