主な研究テーマ
がんの早期診断に有用なバイオマーカーの獲得を目指した疾患プロテオミクス研究
がんは早期に発見すればするほど、完治の可能性が高くなります。そのためには、早期にがんを発見可能なマーカーが必要となります。我々は血液や尿、病理組織といった臨床材料を用いて、がんに特徴的なマーカー(目印)を探索するための研究を進めています。1つはがん細胞が持つ全てのタンパク質に対する抗体を作製する方法、2つ目はがん患者さんの血液中に存在するがん関連タンパク質に対して作られた抗体(自己抗体)を検出する方法、3つ目はがん細胞に特異的に発現しているタンパク質を質量分析装置で同定(タンパク質の名前を決める)する方法です。これらの検討の結果、得られたマーカー候補タンパク質については、組織や血清との反応性を確認することでマーカーとして役立つかどうかの検討を行います。有用な候補タンパク質については企業や研究所と共同研究を行うことで臨床への実用化を目指します。
がんは早期に発見すればするほど、完治の可能性が高くなります。そのためには、早期にがんを発見可能なマーカーが必要となります。我々は血液や尿、病理組織といった臨床材料を用いて、がんに特徴的なマーカー(目印)を探索するための研究を進めています。1つはがん細胞が持つ全てのタンパク質に対する抗体を作製する方法、2つ目はがん患者さんの血液中に存在するがん関連タンパク質に対して作られた抗体(自己抗体)を検出する方法、3つ目はがん細胞に特異的に発現しているタンパク質を質量分析装置で同定(タンパク質の名前を決める)する方法です。これらの検討の結果、得られたマーカー候補タンパク質については、組織や血清との反応性を確認することでマーカーとして役立つかどうかの検討を行います。有用な候補タンパク質については企業や研究所と共同研究を行うことで臨床への実用化を目指します。
がんの根治を目指したがん幹細胞に対する標的治療薬の獲得のための基礎的検討
がん治療は日々進歩しており、様々な薬剤や治療法が開発されていますが、がん全体の5年生存率は6~7割程度と根治にはほど遠いのが現状です。この原因として、がんの組織中に存在するがん幹細胞という特殊な細胞の影響があります。このがん幹細胞は化学療法や放射線治療に抵抗性を示し、自己複製能(自分を増殖)と細胞の分化(薬剤に強い細胞に変化など)により遠隔転移や再発の原因となることが知られています。このがん幹細胞を見つけるための良いマーカーやがん幹細胞を死滅させるような治療薬は見つかっていません。我々は肺がんの細胞にiPS細胞の作製に使われる山中4因子を導入することでがん幹細胞の特徴を示す、がん幹細胞に似た細胞を作りました。このがん幹細胞に特徴的な細胞膜タンパク質を質量分析装置を用いて調べることで、がん幹細胞を検出するためのマーカーの獲得とその膜タンパク質の機能を調べることで、治療薬としての可能性を検討しています。将来的には臨床への実用化に向けた研究を進めていく予定です。
がん治療は日々進歩しており、様々な薬剤や治療法が開発されていますが、がん全体の5年生存率は6~7割程度と根治にはほど遠いのが現状です。この原因として、がんの組織中に存在するがん幹細胞という特殊な細胞の影響があります。このがん幹細胞は化学療法や放射線治療に抵抗性を示し、自己複製能(自分を増殖)と細胞の分化(薬剤に強い細胞に変化など)により遠隔転移や再発の原因となることが知られています。このがん幹細胞を見つけるための良いマーカーやがん幹細胞を死滅させるような治療薬は見つかっていません。我々は肺がんの細胞にiPS細胞の作製に使われる山中4因子を導入することでがん幹細胞の特徴を示す、がん幹細胞に似た細胞を作りました。このがん幹細胞に特徴的な細胞膜タンパク質を質量分析装置を用いて調べることで、がん幹細胞を検出するためのマーカーの獲得とその膜タンパク質の機能を調べることで、治療薬としての可能性を検討しています。将来的には臨床への実用化に向けた研究を進めていく予定です。
担当科目
学年 | 科目名 | 授業の目的 |
1 | 臨床検査学概論 | 尿検査や糞便検査などの一般検査について学ぶ。 |
2 | 一般検査学 |
臨床検査の一般的概念、チーム医療の中の臨床検査技師などを理解するとともに、一般検査を学ぶ。 |
一般検査学実習 | 一般検査の実施に必要である基礎的な生化学?形態学を中心とした実践的検査技術を理解する。 | |
遺伝子?染色体検査学 | 遺伝子検査や染色体検査に関する技術の原理や検査可能な代表的な疾患について学ぶ。 | |
遺伝子?染色体検査学実習 | DNAやRNAの抽出、PCR法、染色体標本の作製、ISH法など遺伝子検査の基本的な技術を習得する。 | |
3 | 医療安全管理学 | 臨床検査技師の責任と役割を理解するとともに、医療安全と医療事故や過誤の発生原因、その対応策まで学ぶ。 |
テュートリアル教育 | 医療コミュニケーションと感染症を含めた様々な疾患について少人数テュートリアル形式で学ぶ。 | |
臨床検査技師国家試験基礎講座 | 臨床検査技師国家試験問題の解き方や考え方を学ぶ。 | |
4 | 卒業研究 | 研究テーマに基づき、実験を行い、卒業論文としてまとめる。 |
臨床検査総論Ⅱ | 今までの振り返りを行い、国家試験合格を目指す。 |
経歴?業績等
主な学歴?経歴
学歴2002/03/31 | 博狗体育在线_狗博体育直播【官方授权网站】@医療衛生学部衛生技術学科臨床検査学専攻 卒業 |
2004/03/31 | 博狗体育在线_狗博体育直播【官方授权网站】@大学院医療系研究科医科学専攻修士 修了 |
2008/09/30 | 群馬大学大学院医学系研究科医科学専攻博士 修了 |
2004/04/01~2009/03/31 | 博狗体育在线_狗博体育直播【官方授权网站】@理学部 臨時職員(非常勤) |
2009/04/01~2011/03/31 | 国立がん研究センター研究所 分子病理分野 リサーチレジデント |
2011/04/01~2011/05/31 | 国立がん研究センター研究所 分子病理分野 がん対策特別研究員 |
2011/06/01~2014/05/31 | 博狗体育在线_狗博体育直播【官方授权网站】@ 医療衛生学部 医療検査学科 助教 |
2014/06/01~2019/06/30 | 博狗体育在线_狗博体育直播【官方授权网站】@ 医療衛生学部 医療検査学科 講師 |
2019/07/01~2020/03/31 | 博狗体育在线_狗博体育直播【官方授权网站】@ 医療衛生学部 医療検査学科 准教授 |
2020/04/01~現在 | 博狗体育在线_狗博体育直播【官方授权网站】@ 医療衛生学部 医療検査学科 教授 |
主な業績
著書
論文
研究発表
受賞
- 染色法のすべて.長塩 亮 (担当:共著, 範囲:光顕的ISH)、医歯薬出版 2021年3月 (ISBN: 9784263226902)
- MEDICAL TECHNOLOGY Q&Aで学ぶ病理?細胞診領域における遺伝子検査の基本.佐藤雄一, 長塩 亮 (担当:共著)、医歯薬出版 2015年10月
- 電気泳動 特集 電気泳動のフロンティア2015.佐藤雄一, 長塩 亮, 小林 信, 土屋紅緒, 柳田憲吾, 鉢村和男 (担当:共著)、日本電気泳動学会 2015年9月
- 生物物理化学 電気泳動 特集 最新の電気泳動技術.佐藤雄一, 長塩 亮, 小林 信, 柳田憲吾, 鉢村和男 (担当:共著)、日本電気泳動学会 2014年10月
- 病理と臨床第32巻臨時増刊号 免疫組織化学 診断と治療選択の指針.長塩 亮, 佐藤 雄一 (担当:共著)、文光堂 2014年4月14日
- 組織細胞化学2012 組織細胞化学技術プロトコール 組織細胞化学の挑戦-臨床応用研究への飛躍-.佐藤雄一, 長塩 亮, 松本俊英, 鉢村和男 (担当:共著)、日本組織細胞化学会 2012年7月
- 病理診断に役立つ分子生物学.長塩 亮, 佐藤雄一 (担当:共著)、文光堂 2011年4月23日
論文
- Prognostic significance of galectin-3 expression in patients with resected NSCLC treated with platinum-based adjuvant chemotherapy. Kusuhara S, Igawa S, Ichinoe M, Nagashio R, Kuchitsu Y, Hiyoshi Y, Shiomi K, Murakumo Y, Saegusa M, Satoh Y, Sato Y, Naoki K. Thorac Cancer 12(10) 1570-1578 2021年4月1日
- Prognostic significance of NAP1L1 expression in patients with early lung adenocarcinoma. Nagashio R, Kuchitsu Y, Igawa S, Kusuhara S, Naoki K, Satoh Y, Ichinoe M, Murakumo Y, Saegusa M, Sato Y. Biomedical Research 41(3) 149-159 2020年6月1日
- Expression of CA2 and CA9 carbonic anhydrases in ulcerative colitis and ulcerative colitis-associated colorectal cancer. Nakada N, Mikami T, Horie K, Nagashio R, Sakurai Y, Sanoyama I, Yoshida T, Sada M, Kobayashi K, Sato Y, Okayasu I, Murakumo Y. Pathology International 70(8) 523-532 2020年5月14日
- TRAP1 is a predictive biomarker of platinum-based adjuvant chemotherapy benefits in patients with resected lung adenocarcinoma. Kuchitsu Y, Nagashio R, Igawa S, Kusuhara S, Tsuchiya B, Ichinoe M, Satoh Y, Naoki K, Murakumo Y, Saegusa M, Sato Y. Biomedical Research 41(1) 53-65 2020年2月1日
- Prognostic significance of IMMT expression in surgically-resected lung adenocarcinoma. Hiyoshi Y, Sato Y, Ichinoe M, Nagashio R, Hagiuda D, Kobayashi M, Kusuhara S, Igawa S, Shiomi K, Goshima N, Murakumo Y, Saegusa M, Satoh Y, Masuda N, Naoki K. Thorac Cancer 10(11) 2142-2151 2019年10月3日
- Clinicopathological and prognostic significance of nuclear UGDH localization in lung adenocarcinoma. Hagiuda D, Nagashio R, Ichinoe M, Tsuchiya B, Igawa S, Naoki K, Satoh Y, Murakumo Y, Saegusa M, Sato Y. Biomed Res. 40(1) 17-27 2019年2月1日
- Prognostic significance of G6PD expression and localization in lung adenocarcinoma. Ryo Nagashio, Shota Oikawa, Kengo Yanagita, Daisuke Hagiuda, Yuki Kuchitsu, Satoshi Igawa, Katsuhiko Naoki, Yukitoshi Satoh, Masaaki Ichinoe, Yoshiki Murakumo, Makoto Saegusa, Yuichi Sato. Biochimica et biophysica acta. Proteins and proteomics 1867(1) 38-46 2019年1月
研究発表
- 非小細胞肺がんにおける術後補助化学療法効果予測マーカーとしてのTRAP1の有用性について. 朽津 有紀, 井川 聡, 楠原 政一郎, 猶木 克彦, 土屋 紅緒, 佐藤 之俊, 一戸 昌明, 村雲 芳樹, 三枝 信, 佐藤 雄一, 長塩 亮. 第72回電気泳動学会総会 2021年7月16日
- 早期肺腺癌患者におけるNAP1L1発現の予後予測マーカーとしての有用性について. 長塩 亮, 朽津 有紀, 井川 聡, 楠原 政一郎, 猶木 克彦, 佐藤 之俊, 一戸 昌明, 村雲 芳樹, 三枝 信, 佐藤 雄一. 第72回電気泳動学会総会 2021年7月15日
- 二次元電気泳動法を利用した腫瘍マーカーの獲得について.長塩 亮、JPrOS/JES2019合同大会 2019年7月26日
- 肺腺癌におけるTRAP1の術後補助化学療法の治療効果予測マーカーとしての有用性評価.朽津 有紀, 長塩 亮, 井川 聡, 土屋 紅緒, 佐藤 雄一、JPrOS/JES2019合同大会 2019年7月26日
- 安定同位体標識法とGeLC-MS/MS法を組み合わせたタンパク質存在様式の比較分析法の確立と応用.伊藤 大晃, 紺野 亮, 福井 朋也, 松井 崇, 長塩 亮, 佐藤 雄一, 小寺 義男、JPrOS/JES2019合同大会 2019年7月25日
- 膀胱全摘術標本におけるTROY発現の検討.野村 恵, 松本 和将, 清水 ゆり子, 小林 健太郎, 池田 勝臣, 天野 統之, 西 真由子, 梁 明秀, 長塩 亮, 佐藤 雄一, 岩村 正嗣、第104回日本泌尿器科学会総会 2019年4月18日
- タンパク同定の基礎:ゲル内消化~MALDI-TOF-MS.長塩亮、プロテオミクス タンパク分析 基礎講座 2018年8月10日 文部科学省?臨床質量分析プラットフォーム、 日本電気泳動学会、日本プロテオーム学会
- 肺腺癌におけるCD239の血清診断マーカーとしての有用性.栁田憲吾, 朽津有紀, 三枝信, 長塩亮, 土屋紅緒, 鉢村和男, 佐藤雄一、第69回日本電気泳動学会総会 2018年8月9日
- 肺腺癌におけるNAP1L1の機能解析.長塩亮, 柳田憲吾, 萩生田大介, 朽津有紀, 鉢村和男, 土屋紅緒, 一戸昌明, 村雲芳樹, 佐藤雄一、第69回日本電気泳動学会総会 2018年8月9日
- 二次元電気泳動法を利用した腫瘍マーカー候補タンパク質の獲得.長塩亮、第69回日本電気泳動学会総会 2018年8月8日
- 自己抗体を用いた肺腺癌における術後補助化学療法の治療効果予測マーカーの探索.朽津有紀, 栁田憲吾, 長塩亮, 井川聡, 萩生田大介, 鉢村和男, 佐藤雄一、第69回日本電気泳動学会総会 2018年8月8日
- 肺腺癌におけるNAP1L1の予後予測マーカーとしての有用性について.長塩亮, 萩生田大介, 朽津有紀, 柳田憲吾, 鉢村和男, 土屋紅緒, 一戸昌明, 村雲芳樹, 蒋世旭, 佐藤雄一、第107回日本病理学会総会 2018年6月23日
- ショットガン解析により同定された膜タンパク質の有用性.栁田憲吾, 朽津有紀, 一戸昌明, 三枝信, 土屋紅緒, 長塩亮, 鉢村和男, 佐藤雄一、第107回日本病理学会総会 2018年6月22日
- UGDHの術後補助療法の効果予測マーカーとしての評価.萩生田大介, 長塩亮, 井川聡, 柳田憲吾, 鉢村和男, 朽津有紀, 井上航, 佐藤雄一、第107回日本病理学会総会 2018年6月22日
- 非小細胞肺癌患者における術後補助化学療法の治療効果予測マーカーの探索.朽津有紀, 柳田憲吾, 萩生田大介, 井上航, 井川聡, 鉢村和男, 長塩亮, 佐藤雄一、第107回日本病理学会総会 2018年6月22日
受賞
- 2022年 第61回日本電気泳動学会 学会賞(児玉賞) 抗体作製を基盤とした肺がんの各種診断マーカーの獲得
- 2021年 第15回日本電気泳動学会 国際交流奨励賞(橋本賞) 肺腺癌におけるNAP1L1発現の診断的有用性について
- 2018年 第19回日本電気泳動学会 奨励賞(服部賞) 二次元電気泳動法を利用した腫瘍マーカー候補タンパク質の獲得
- 2016年 平成28年度日本プロテオーム学会 奨励賞 抗体作製を基盤とした肺癌の診断並びに予後予測マーカーの獲得
- 2011年 公益財団法人神奈川難病研究財団 平成23年度神奈川難病研究財団研究奨励賞