教職員と学生のお奨めの本を、それぞれからみなさまにご紹介します。

山渓ハンディ図鑑 野に咲く花

林 弥栄 ?初版監修、門田 裕一 ?改訂版監修、畔上 能力 ?編集、平野 隆久 ?写真/山と渓谷社
今回私が推薦する本は、山渓ハンディ図鑑野に咲く花です。この本はいつも私の手元に置き、植物観察に利用しています。この図鑑の特徴は、身近な草本植物が収載されているのですが、今までの図鑑に比べ種数が多く、全てカラー印刷で写真の質が高いことです。また、植物の特徴が理解できるように部位の拡大写真があり、私でも植物の特徴を再認識することが度々あります。
私は薬学部の1年生の講義で薬用植物学を担当していますが、今の学生は植物を知らないことを実感しています。しかし、学生を野外へ連れ出して植物観察を行うと、興味を示す学生が少なくなく、この植物には猛毒が含まれているとか、この植物は昔から薬に使われていたとか説明すると1時間や2時間すぐ経ってしまします。植物に興味を持つきっかけって色々あり、登山で高山植物を見て好きになったとか、食べられる植物を追い求めて好きになったとか、私の場合は当然薬になる植物がきっかけになっています。
是非、皆さんも桜が咲き始めると身の回りで沢山の花が咲き始めますから、野外に出て植物を観察してはいかがでしょうか。

通奏低音弾きの言葉では、

鈴木 秀美 ?著/アルテスパブリッシング
クラシック音楽、中でもバロックや古楽が好きな方は、通奏低音というパートをご存知だと思う。しかし、通奏低音の本当の役割、とりわけ通奏低音奏者がいつも何を考えて弾いているかを知っている人は少ないのではないだろうか。
楽曲を聴いていても、いるのだかいないのだか、なんとなく聞こえてはいるけど、どこか簡単そうで、もっと言えば退屈そうなこのパートであるが、人によってはいっそ無伴奏の方が好きだというケースもあるかと思われるこのパートであるが、実は人知れぬ苦労や、音楽を土台から支える重要な役割を担っている。
そんなことは聞かなくても知っていると言うなかれ。それくらい私も知っていた。しかし、その第一人者である著者が語ると、楽曲全体のことを考えて、他の楽器(声楽)と合わせて弾くとは本当はこういうことかと、驚くばかりである。
本書にはこんな通奏低音弾きの悩みや面白さをはじめ、著者がシャンソンの伴奏をすることになった出来事や、チェロ奏者としての歩み、また古楽の大家であるブリュッヘンやビルスマ(著者の師でもある)との交流について描かれている。
著者は日本における古楽演奏を、時代に先駆けて築いてきた中のひとりである。その語りが面白くないはずもないが、全編どこをとっても冗談を交えた軽快な語り口で、退屈することなく読める一冊である。クラシック音楽好きの方も、そうでない方も、是非手にとってみて頂きたい。

テロメアの帽子

森川 幸人 ?著/新紀元社
皆さんは「テロメア」というものをご存知でしょうか。おそらく博狗体育在线_狗博体育直播【官方授权网站】@に関わる大半の人は聞き覚えのある言葉かと思います。端的に言うと寿命に関わるといわれている因子ですね。
今回私が勧めたい本は、こういった遺伝子に関わる話を絵本のような形式で書いています。表紙をパッと見た感じでどういう印象を持たれるでしょうか。私はなんだか少し怖い感じがしました。
本の構成としては絵本の様式で短いお話がいくつか収録されており、それが何の話だったのかを解説するページが続きます。全てが絵本かと思いきや、まるで生物の教科書のような所が現れて驚きました。教科書っぽいなら読みたくないなあと思うかも知れませんが、絵本よりも少ないページなので全く気負わずに読む事ができます。またこの項にもイラストが多いので想像以上に分かりやすい解説となっています。
全てを読み終えた時、何故この本の絵が少し怖く感じたのか、わかった気がしました。私たちの体はわからないことだらけで、何がどう働いているのかなんて目に見えません。未知のものへ対する恐怖というものがそこにはあるのかも知れない、と思いました。
普段の勉強に疲れてしまったそこの理系の方、ちょっと息抜きしませんか。気軽に読める絵本です。と言いたい所なのですが、気を抜くと生命の不思議に引きずり込まれてしまうかもしれません。少しほの暗い謎の世界へと。
Sophia kai Ergon誌に190号(2009年12月発行)から連載されてきた教職員と学生からのブックレビュー、「私のお奨めの本」を一挙大公開いたします!
2016年
No.223/新入生号(pdf 541KB)
「冥王星を殺したのは私です」マイク?ブラウン 著、梶山あゆみ 訳(飛鳥新社)
「シュナの旅」宮崎駿 著(徳間書店)
2015年
No.220/大学祭号(pdf 758KB)
「野の医者は笑うー心の治療とは何か」東畑開人(誠心書房)
「100万分の1回のねこ」谷川俊太郎、山田詠美、江國香織、岩瀬成子、くどうなおこ、井上荒野、角田光代、町田康、今江祥智、唯野未歩子、綿矢りさ、川上弘美、広瀬弦 著(講談社)
No.219/球技大会号(pdf 553KB)
「赤毛のアン(Anne of Green Gables)」L.M.モンゴメリ 著、村岡花子 訳(新潮文庫)
「オール1の落ちこぼれ、教師になる」宮本延春(角川文庫)
No.218/新入生号(pdf 1.2MB)
「金持ち父さん貧乏父さん(改訂版)」ロバート?キヨサキ著、白根美保子 訳(筑摩書房)
2014年
No.215/大学祭号(pdf 582KB)
「グインサーガ」栗本薫(ハヤカワ文庫)
「西の魔女が死んだ」梨木香歩(新潮文庫)
「紙の月」角田光代(ハルキ文庫)
No.214/球技大会号(pdf 1.8MB)
「蜩ノ記(ひぐらしのき)」葉室麟(祥伝社)
「星の王子様」サン=テグジュペリ著、池澤夏樹 新訳(集英社文庫)
No.213/新入生号(pdf 1.8MB)
「絶対微小 日常生活を量子論で理解する」マイケル?D?フェイヤー著、丑田公規?吉信淳訳(化学同人)
「新世界より」貴志裕介(講談社)
2013年
No.210/大学祭号(pdf 778KB)
「ケインとアベル(上?下)1979年」ジェフリー?ハワード?アーチャー 著、永井淳 訳(新潮文庫)
「想像ラジオ」いとうせいこう(河出書房新社)
No.209/球技大会号(pdf 1.7MB)
「使える!経済学の考え方ーみんなをより幸せにするための論理」小島寛之著(ちくま新書)
「世界から猫が消えたなら」川村元気(株式会社マガジンハウス)
No.208/新入生号(pdf 1.4MB)
「大学教育について」J.S.ミル(岩波文庫)
「妖怪アパートの幽雅な日常」香月日輪(講談社)
2012年
No.205/大学祭号(pdf 168KB)
「山中伸弥先生に、人生とiPS細胞について聞いてみた」山中伸弥?緑慎也(講談社)
「終わらす技術」野呂エイシロウ(フォレスト出版)
No.204/球技大会号(pdf 283KB)
「超訳 種の起原 生物はどのように進化してきたのか」チャールズ?ダーウィン著、夏目大 訳(技術評論社)
「ジブリの哲学」鈴木敏夫(岩波書店)
No.203/新入生号(pdf 352KB)
「自分の中に毒を持て あなたは常識人間を捨てられるか」岡本太郎(青春文庫)
「生協の白石さん」白石昌則、東京農工大学の皆さん(講談社)
2011年
No.200/大学祭号(pdf 164KB)
「破壊する創造者」フランク?ライアン著、夏目大 訳(早川書房)
「「のび太」という生き方」横山泰行(アスコム)
No.199/球技大会号(pdf 168KB)
「『非まじめ』のすすめ」森政弘(講談社文庫)
「心を整える」長谷部誠(幻冬舎)
No.198/新入生号(pdf 283KB)
「たとえ世界が不条理だったとしても 新?音楽展望2000-2004」吉田秀和(朝日新聞社)
「泳ぐのに、安全でも適切でもありません」江國香織(集英社)
2010年
No.195/大学祭号(pdf 258KB)
「テクストの快楽」ロラン?バルト著、沢崎浩平 訳(みすず書房)
「箱男」阿部公房(新潮文庫)
「海と毒薬」遠藤周作(講談社文庫)
No.194/球技大会号(pdf 111KB)
「プラハの春」春江一也(集英社)
「泥流地帯」三浦綾子
No.193/新入生号(pdf 217KB)
「澤田美喜ー黒い肌と白い心」
「ボッコちゃん」星新一(新潮社文庫)
2009年
No.190/大学祭号(pdf_254KB)
「失われた森」レイチェル?カーソン著、古草秀子 訳(集英社)
「ガイアの科学 地球生命圏」ジェームス?ラヴロック著、スワミ?プレム?プラブッダ訳
「山椒魚」井伏鱒二(新潮文庫)
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