医療系研究科在学生が第64回日本臨床化学会年次学術集会で日本臨床化学会 学会賞を受賞しました。
本学博士課程2年の佐藤直和さん(指導教員:石井直仁 教授)が、第64回日本臨床化学会年次学術集会(2024年8月30日~2024年9月1日:ライトキューブ宇都宮)にて研究発表を行い、日本臨床化学会 学会賞を受賞しました。
佐藤さんは、『腎症発症前糖尿病ラットにおける酸化ストレスが関わるミトコンドリアとリソソームの品質管理メカニズム』について発表を行いました。
当研究室では、腎症発症前糖尿病ラットの腎皮質において、酸化ストレスマーカーの3-ニトロチロシンの生成亢進とミトコンドリアのニトロ化タンパク質同定により、ミトコンドリアは酸化ストレス障害を受けていることを証明しています。
損傷ミトコンドリア蓄積は腎症の発症と進展に寄与するため、ミトコンドリアの品質管理が重要です。この品質管理メカニズムとして、損傷ミトコンドリアの分解?除去を担うマイトファジー(ミトコンドリア選択的オートファジー)と、マイトファジーの過程に必須であるリソソームの働きについては十分に解明されていません。
本研究の目的は、腎症発症前糖尿病ラットの腎皮質おいて、マイトファジーの誘導と、リソソーム分解?除去を担うリソファジー(リソソーム選択的オートファジー)とリソソーム修復の誘導を検証することです。
結果として、糖尿病性腎症発症前の腎皮質において、マイトファジーと、リソソーム修復およびリソファジーが誘導されたことを確認しました。
これらの現象は、酸化ストレス障害によって引き起こされる腎皮質のミトコンドリアとリソソームの品質管理メカニズムである可能性が示唆されました。
【今後の展望】
このような栄誉ある日本臨床化学会学会賞を受賞できましたのは、ひとえに臨床化学研究室の先生方のご指導の賜物と感じております。誠にありがとうございます。
糖尿病性腎症(糖尿病関連腎臓病)におけるミトコンドリア品質メカニズムの解明は、腎症の早期診断マーカーの開発に直結するもので、非常に研究意義のある分野と考えています。
今回の受賞を励みに、世界の医療に貢献できますよう、より一層研究に邁進して参ります。