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農医連携教育研究センター 研究ブランディング事業

8号

情報:農と環境と医療 8号

2005/12/1
北里サテライトガーデンの見学会
北里サテライトガーデン(相模原市下溝?磯辺)の見学会が、平成17年11月2日(金)に開催された。北里サテライトガーデンとは、本学薬学部附属薬用植物園が地元農業者から借用し、ここに薬用植物やハーブ類を栽培している約16アールの農地である。この事業は、本学と相模原市が本年6月2日に締結した新都市農業推進協定に基づいて展開しているものである。

本学と相模原市の代表者および事業協力者と地権者が、本年7月の開園から4ヶ月を経過した現地を見学した。晴天の下で現場を視察したあと、隣接するハーブガーデン「モナの丘」においてハーブティーを飲みながら、現状報告および今後の取り組みについての説明を受け、事業に対する理解を深めた。出席者は次のとおり。

大学:柴 忠義学長、井上松久学事担当理事、伊藤俊洋教育担当副学長、水本清久薬学部長、吉川孝文薬学部教授(薬用植物園長)、陽 捷行教授、森 直大薬学部事務室事務長

相模原市:加山俊夫市長職務代理?助役、戸塚英明経済部長、山田 豊経済部次長、佐藤浩三新都市農業推進室長、ほか職員

なお、新都市農業推進事業については「情報:農と環境と医療 7号」の「2.博狗体育在线_狗博体育直播【官方授权网站】@における農医連携への取り組み(案)」6の1)の(1)を参照されたい。
第1回薬用植物セミナーが開催された
博狗体育在线_狗博体育直播【官方授权网站】@薬学部附属薬用植物園と相模原市の主催により、平成17年11月5日(土)午前10時から午後3時までにわたり、第1回薬用植物セミナー「薬用植物と新たな農への取り組み」が開催された。約70名の市民がこれに参加した。

このセミナーは新都市農業推進事業の一環として開かれ、市民に薬用植物を知ってもらうとともに、健康?環境?新都市農業を視点とした新しい農業について考える機会を提供することを目的としたものである。当日のプログラムは2部構成で、午前中は相模原市総合体育館会議室で3題の講演を聴き、昼食休憩と移動を挟んだ午後1時30分からは、同市下溝?磯辺の北里サテライトガーデンを見学した。

講演は、本学の陽 捷行教授による「土と農?環境?医療」、相模原市博物館の秋山幸也学芸員による「相模野が柴胡が原と呼ばれていた頃」、日本オーガニック推進協議会の山崎 泉理事長および本学薬学部附属薬用植物園の渡邊高志助手による「有機農法と北里サテライトガーデンについて」であった。また北里サテライトガーデンでは、ハーブの栽培方法や効能などの説明があり、参加者からは「市内でいろいろな薬用植物が採取できるようになれば楽しい」などの声が聞かれた。定員を大きく上回るほど盛況だったので、第2回の開催が待たれる。
鳥インフルエンザ
はじめに
  1. 鳥インフルエンザの拡大
  2. 鳥インフルエンザとは
  3. AIVの生態
  4. 人間の介在
  5. 発生の状況
  6. 病原体の特性
  7. 症状
  8. ヒトへの感染と予防
  9. 対策
  10. 経済への影響
おわりに

はじめに

Life Out of Bounds (1998)という冊子がある。この冊子は、著者のクリス?ブライトが環境問題の記者と雑誌編集を経て、1994年からワールドウォッチ研究所の準研究員かつ、同研究所の「ワールドウォッチ」主任編集者として活躍中に執筆されたものだ。日本では「生態系を破壊する小さなインベーダー」と題され、1999年に「家の光協会」から出版された。

著者のブライトは、冒頭の謝辞で次のことを書いている。「人間の活動がウイルスであれ雑草であれ、地球の生命体をどのように"撹乱"しているか、生物種の混合が人間社会と自然界になぜ害を及ぼすことになるのか、という問題だ。一般の人々に私たちと一緒にこの問題を考えてもらいたいと思った。本書はその延長線上にある。」

ワールドウォッチ研究所の所長レスター?ブラウンは、この本の日本語での出版に寄せて次のことを指摘している。「みなさんがこれから読もうとしている本は、この生命体の移動と、それがもたらす生態学的な被害について明確な確認をしていただくために書かれたものである。その被害は、外来種が異常繁殖する生物進入という形でもたらされる。外来種とは、原産地以外の生態系、つまり自身が進化を遂げてきた生態系とは別の生態系に入り込んだ生物のことである。外来種が新しい場所で定着すると、個体数の急増が起こりうる。その過程で、生存に欠かせない資源をめぐる争いで在来種を圧倒し、その繁殖を妨げる可能性がある。それが微生物であれば、伝染病のきっかけになりうるし、捕食動物であれば、在来種を捕食し、駆逐してしまうかもしれない。」

「世界の生態系を保全する必要性と貿易活動のバランスをどう保つか。これが、本書が提示する基本的な問いかけである。経済の健全さは、明らかに高度な国際貿易に依存している。しかし、生態系の健全さが、この惑星の生物の大半を、自然に発生した場所にとどめておけるかどうかにかかっていることも確かである。この二つの必要性のバランスを取ることは、新しい世紀の環境分野の大きな課題の一つになると思われる。」

2001年9月にわが国において牛海綿状脳症(BSE)が発生した。牛の脳組織に空胞ができ、中枢神経が障害を受ける病気だ。BSEに感染した牛のうち、とくに危険部位といわれる脳?神経組織および回腸遠位部など内臓類を食することにより、極めて稀だが人間に感染し、痴呆化し死亡するといわれる。これも、小さなインベーダーによるものだ。

いま、新たな心配事が生じている。ここ数年、アジアで流行していた鳥インフルエンザが、この秋に欧州でも確認された。感染が繰り返されることで病原体のウイルスが変異し、人間社会で爆発的な流行を引き起こす新型インフルエンザ出現の可能性が高まっている。また、インベーダーの攪乱だ。

世界保健機関(WHO)をはじめ多くの国が、大流行に備え臨戦態勢に入った。日本も例外ではない。厚生労働省は11月14日、近い将来に出現する危険性が高まっている「新型インフルエンザ」が国内で流行した場合、厚生労働省が非常事態を宣言することなどを定めた行動計画を公表した。

この行動計画は、WHOがこの春各国に示したチェックリストを基に作成されている。平常時から大流行までを1~6段階に、各段階を国外発生(A)と国内発生(B)に分けて対策を示している。段階別の主な対策については後述する。

過去におけるBSEの問題、今回の鳥インフルエンザの問題、そして将来も起こるであろうこれらの「小さなインベーダー」の問題について、真剣に取り組まなければ、人類の未来は暗い。これらの問題は、農業と環境と医療に密接に関わっている。いつの時代でも、3つの関連を切り離して問題の解決はない。

「鳥インフルエンザ」と題したこの項は、時間とページ数と筆者の力量不足のため、不完全なものである。しかし、この問題は極めて緊急性を要すると考え、あえて農医連携のための資料として掲載した。内容についての間違いなど、諸氏のご意見とご批判を仰ぎたい。

1.鳥インフルエンザの拡大

毒性の強い鳥インフルエンザウイルスH5N1型が、世界的に流行するおそれが強まってきた。これまでは、アジアに止まっていた鳥への感染地域が欧州に拡大しはじめた。国際的な感染対策の重要性が叫ばれるなか、アジア地域での対策は後手に回り、新たな感染が数多く見つかりつつある。

鳥インフルエンザの感染が広がり、欧州連合(EU)加盟国に衝撃が走っている。鶏肉などの消費が大幅に落ち込みを見せているほか、抗ウイルス剤の不足を懸念する声も出始めている。

毒性の強い鳥インフルエンザH5N1型は、アジア以外で11月20日現在、イラン、ギリシャ、トルコ、ルーマニア、クウェート、ロシア、モンゴル、カザフスタン、チベット、クロアチア、イタリア、マケドニア、カナダ、スウェーデン、英国、北米で見つかっている。アヒル、七面鳥、カモ、ハクチョウ、オウム、鶏、フラミンゴ、ハヤブサなど、様々な鳥類がインフルエンザウイルスに感染している。

アジアでは、中国でH5N1型の感染が拡大している。11月14日現在、31の省、直轄市および自治区のうち、既に5省3自治区に及び、ついに湖南省では11月16日にヒトへの感染が明らかになった。

鳥インフルエンザH5N1型がヒトへも感染した国は、ベトナム、タイ、インドネシア、カンボジアおよび中国だ。2003年12月からの発症者と(死亡者)は、2005年11月24日時点で、ベトナム:92(42)、タイ:21(13)、インドネシア:11(7)、カンボジア:4(4)、中国:3(2)人だ。累計すると、感染者が131人で死者が68人だ。ここに挙げた数字は報告?確認された数字で実際の感染者や死亡者はさらに多いことが予想される。

WHOは、「東南アジアで制圧しようと試みたが失敗した。H5N1が変異して人から人へ感染する新型になる可能性が高い」という見解を発表している。WHOと厚生労働省の推計に因れば、新型インフルエンザが出現すると、世界で7400万人、日本で最大で16万7000人が死亡、53万人が入院する。国連のデイビッド?ナバロ博士によれば、鳥インフルエンザウイルスが突然変異をおこせば、世界で500万から1億5000万人が死亡する恐れがあると警告した。

2.鳥インフルエンザとは

鳥インフルエンザ(Avian influenza: AI)とは、鳥類がインフルエンザウイルスに感染して起こる病気である。病原ウイルスはA型インフルエンザウイルスで、鳥インフルエンザウイルス(Avian influenza virus: AIV)と呼ばれている。

インフルエンザウイルス(Influenza virus)は、その構造の特長でA, B, C の3種類に分かれる。A型はヒトにも動物にも感染し、動物によっては発病したりしなかったりで、症状も様々だ。このうち、特に鶏、七面鳥およびアヒルなどの家禽に強毒性で高い致死性を示すA型ウイルスがある。これを高病原性鳥インフルエンザウイルスという。その感染症は、高病原性鳥インフルエンザ(Highly pathogenic avian influenza: HPAI)とよばれる。

A型インフルエンザウイルスをさらに細分すると、H5N1とかH3N2などの型に分けられる。このHやNは、ウイルスの粒子表面の蛋白質の抗原性で、いわば表面の特徴の略称だ。Hは16種類、Nは9種類で、A型は理屈のうえでは全部で144種類に分けられる。

専門的には、HとNの型分けをA、B、Cの型と区別して亜型とよんでいる。A香港(H3N2)、Aソ連(H1N1)なども亜型で、この40年間ヒトのインフルエンザとして登場したものだ。

AIVは、カモなどの水禽類が高率に保有している。A型インフルエンザウイルスの自然界での宿主動物は、カモなどの水禽類と考えられている。一般的に、水禽類が保有するウイルスは弱毒で、鶏への感染性は低い。仮に感染したとしても鶏は無症状で終わる。

しかし、鶏などの家禽に強毒性のウイルスがAIVの中に存在する。それが先に述べたHPAIだ。国際獣疫事務局(OIE)では、HPAIを重要伝染病に位置づけている。行政的な防疫措置を講ずるためのHPAIの判定基準は国により異なるが、多くの国ではOIEの基準を参考にしている。

日本の家畜伝染病予防法では、OIEの基準に加え、H5またはH7亜型のウイルスは、例え弱毒株でも強毒に変異する可能性があることから、HPAIとしての行政措置をとることにしている。HPAIの具体的防疫は?高病原性鳥インフルエンザに関する特定家畜伝染病防疫指針?に沿って実施される。

3.AIVの生態

これまで90種類の野鳥からAIVが分離されているところから、ほとんどの鳥類がウイルス感染に感受性があると考えて差し支えないだろう。

1970年代に入って、世界各地の水生鳥類、特にカモ、ガチョウ、ハクチョウ、シギ、チドリ、カモメ、アジサシなどの健康な渡り鳥から、AIVが高い確率で検出された。なかでもカモからのAIV検出率が高いことから、現在では野生の水禽類が生態系におけるウイルスの自然宿主と考えられている。

AIVの検出確率が特に高い水禽は、渡りを前にした晩夏のマガモの若鳥や、初冬に池や川でいるカモ類だ。わが国には、シベリアや中国地方から毎年多くの水禽類が飛来してくる。その3%からAIVが検出されたという報告がある。また、シギ、チドリからもウイルスが検出されている。

4.人間の介在

自然界への人間の介入は、これまで生態系にいくつもの大きな変動をもたらした。生態系がこの変動を容易に復元できる範囲であるとき、その介入は許された。われわれはどうやらその範囲をとっくの昔に超えてしまったようだ。

これまで自然界において、AIVは水禽類やシギやチドリの間で保存されてきた。しかし、われわれが良しとして創出した国際商取引、新たな文化、養鶏の産業化などによって、ウイルスの生態系、分布域、宿主範囲および病原性などが大きく変化した。ペット野鳥の国際流通、水禽類農場、屋外飼育農場、生鳥の流通販売、愛玩鶏?闘鶏の流通、養鶏場の大規模化などが、その例だ。

インコなどに見られる輸入愛玩鳥は、捕獲された後、一箇所に集められ輸出される。その際の感染の恐れと拡大は、想像に難くない。ウイルス検出率は国や地域や季節やロットの形態で大きく異なるだろう。

屋外の農場で飼育されているアヒルやガチョウからは、鶏よりも高率にAIVが検出される。水禽類の飼育に必要な池は、屋外にあることが多いため、野鳥や渡りの水禽類が飛来して農場が汚染されることになる。

カナダやアメリカでは七面鳥が屋外で飼育されていた時期があった。当時、渡りの水禽類が農場に侵入することによって、弱毒ウイルスによる汚染が起こった。その結果、HPAIが発生したと考えられている。室内飼育に切り替わった現在では、汚染の機会は少なくなっている。

東アジアでは、弱毒ウイルス(H9N2)によって広い地域が汚染されていることが知られている。東南アジアやニューヨークなどでは、鶏、ウズラ、アヒルなどが生鳥マーケットで販売されている。ここが弱毒ウイルスに汚染されていることも知られている。鶏からウイルスが検出される頻度は、鳥類、地域、飼育形態、衛生管理状況などによって大きく異なる。

先進国にある集約化された養鶏システムでは、鳥インフルエンザウイルスが検出されることは稀だ。しかし、このシステムにウイルスが一旦侵入すれば、短期間に系列農場へ汚染が拡散され、被害は甚大になる。生鳥マーケットの汚染が養鶏場の汚染につながったケースに、米国東海岸の諸州(H7N2 1996-1998、2004)、香港(H5N1 1997、2002)、イタリア(H5N2 1997)の例がある。

5.発生の状況

発生の状況については、「参考文献1.高病原性鳥インフルエンザ(Highly Pathogenic Avian Influenza):社団法人全国家畜畜産物衛生指導協会」と「参考文献4.山口成夫:最近の家禽疾病と予防対策(高病原性鳥インフルエンザ)、(独)農業?生物系特定産業技術研究機構動物衛生研究所感染病研究部(2005)」を中心に年代順にまとめた。

1)発生の歴史

1878年:HPAIがイタリアで最初に報告された。

1901年:病原体が濾過性因子であることが解明された。

1900年代前半:スイス、ルーマニア、ロシア、オランダ、ハンガリー、イギリス、エジプト、中国、日本、ブラジル、アルゼンチンで発生した。

1900年代中頃:ヨーロッパ、ロシア、北アフリカ、中東、アジア、南北アメリカでも発生が確認された。これらは全てH7亜型ウイルスによる。

1955年:病原体がインフルエンザウイルスとして分類された。

1959年:H5亜型のウイルスも本病を起こすことが、スコットランドで確認。

1961年:南アフリカでも確認。

1955~2005年:世界で20以上の発生が確認され、強毒ウイルスが分離。全てH5、H7亜型のウイルスによる。稀ではあるが、強毒ウイルスがアジサシ(H5N3:1961)、フィンチ(H7N1:1972)、カモメ(H7N7:1979)、ハヤブサ(H7N3:1998)(H5N1:2004)から分離された。

1983年:米国ペンシルバニア州の農場を汚染していた弱毒ウイルス(H5N1)が半年後に強毒に変異し、1700万羽の家禽が処分。これ以外にメキシコ(H5N2:1983~1984)、イタリア(H7N1:1999~2000)の例。これらの事例から、家禽に感染性を持った弱毒ウイルスが、鶏や七面鳥で継代される間に強毒株に変異し、HPAIが発生する機構が確認された。

2)欧州?アフリカ

アフリカでは、1961年にアジサシから強毒ウイルスが分離されている。家禽での発生報告はない。欧州では、鶏や七面鳥で小規模な発生が散発的に起こっている。スコットランド1959)、英国(1963、1979、1991)、アイルランド(1983)、ドイツ(1979)、イタリア(1997)で発生している。

最近になって2度の大発生があった。1999年12月17日から2000年4月5日にかけて、イタリアでH7N1亜型のウイルスによるHPAIが発生し、413群、1,300万羽が処分。処分羽数の内訳は、採卵鶏(810万羽)、肉用鶏(240万羽)、七面鳥(270万羽)、ホロホロチョウ(25万羽)、愛玩鶏(1,737羽)、ダチョウ(387羽)である。

また、2003年にはオランダでH7N7亜型のウイルスによる発生があり、ベルギーやドイツへも伝播し、総処分羽数は3000万羽に達した。防疫従事者の7%に当たる89名が結膜炎になり、1名が死亡している。

3)北米

1966年:カナダで七面鳥に小規模な発生。

1983年:米国ペンシルバニア州でH5N2亜型の大発生。452群、1,700万羽処分。鶏と七面鳥がほとんど。ホロホロチョウもあった。

1994年~1995年:メキシコでH5N2亜型弱毒ウイルスが強毒化して大きな被害。少なくとも360鶏群が処分。

4)アジア?オセアニア

1976、1985、1992、1995、1997年:オーストラリアで、H7亜型のウイルスによる小規模の発生が散発的にあった。主に鶏での発生だ。少数ではあるがアヒルやエミューでも発生している。1985年のビクトリアでの発生は、ムクドリからウイルスが分離されており、野鳥がウイルスを持ち込んだ可能性が指摘されている。また、鶏舎間のウイルス伝播はヒトによる機械的なものと考えられている。

1995、2004年:パキスタンでH7N3亜型のウイルスによる発生があり、それぞれ320万羽、170万羽が処分。2004年の発生では周辺農場の鶏にワクチンが使用された。

1997年以降:香港ではH5N1ウイルスによる発生が頻発。処分された家禽の羽数は、1997年が140万羽、2001年が120万羽、2002年2~4月が95万羽、2002年12月~1月が3万羽である。いろいろな種類の家禽を生きた状態で流通販売しているためにウイルス汚染を断ち切れないと考えられている。

5)2003~2005年の発生状況と鳥の種類

2003年から2005年の9月までの間のH5N1亜型ウイルスによる高病原性鳥インフルエンザの国別による発生状況は次の通りだ。

2003年12月:韓国;、鶏、アヒル、カササギ。

2004年01月:ベトナム;鶏、ウズラ、アヒル、バリケン。ヒト感染。日本;鶏、カラス。タイ;鶏、アヒル、ガチョウ、ウズラ、七面鳥、コウノトリ。ヒト感染。カンボジア;鶏、アヒル、ガチョウ、七面鳥、ホロホロチョウ、野鳥。ヒト感染。香港;ハヤブサ。ラオス;鶏、アヒル、ウズラ。パキスタン;鶏。

2004年02月:インドネシア;鶏、アヒル、ウズラ、豚。ヒト感染。中国;鶏、アヒル、ガチョウ、ウズラ、ハト、キジ、コクチョウ、インドガン、アオサギ。

2004年08月:マレーシア;鶏。

2005年07月:モンゴル、ロシア、カザフスタン;インドガン、アオサギ。

2005年10月:トルコ;七面鳥。ルーマニア;アヒル。イギリス;オウム(スリナムから輸入)。クロアチア;ハクチョウ。内モンゴル自治区;鶏。スウェーデン;カモ。

2005年11月:イタリア;野生カモ。クウェート;フラミンゴ、ハヤブサ。

6)2005年秋以降

発生件数は幾何級数的に増加している。情報を挙げたら枚挙にページ数と暇がない。この2005年秋以降は「参考資料6.大紀元ホームページ:http://www.epochtimes.jp/jp/spcl_qlg.html」と「参考資料7.NIKKEI NET:http://health.nikkei.co.jp/birdflu/」を参照されたい。ホームページを開くのが怖いくらい、毎日のように情報が新しく追加されている。

6.病原体の特性

典型的な成熟ウイルス粒子は直径80~120nmでほぼ球形を示す。多様な形態があり、なかには長さが数μmのひも状のものもある。ウイルス粒子内部にある核蛋白(NP)とマトリックス蛋白(M)の抗原性の違いにより、3つの血清型(A、B、C型)に分けられることは、既に述べた。その血清型と宿主の違いは、次の通りだ。A型の宿主は、鳥類、ブタ、ヒト、ウマ、クジラ、アザラシ、ミンクなど。B型はヒト。C型は主にヒトだが、中国でブタから分離された報告がある。

A型インフルエンザウイルスは、ウイルス粒子表面にあるHAとNAの抗原性の違いによって様々な亜型に分類される。現在、HAはH1からH16、NAはN1からN9の亜型に分けられている。これらのすべての亜型が検出されているのは、鳥類だけだ。一つのウイルス株は、それぞれ1種類ずつのHAおよびNAの亜型を持つ。

インフルエンザウイルスの命名は、型/動物種(ヒトの場合省略)/分離場所/分離番号/分離年(HまたはNの亜型をカッコ内に記す)の順に書き次のように表現する。(例)A/Chicken/Italy/330/97(H2N2)、A/Aichi/2/68(H3N2)

HPAIの発生は、現在までにH5またはH7亜型をもつウイルスの感染によって起こっているが、H5またはH7亜型ウイルスのすべてが強毒ウイルスとは限らない。しかし、最近、弱毒H5またはH7亜型ウイルスの中には、家禽のなかで感染を繰り返すうちに強毒ウイルスに変異する事例も認められている。

細胞への感染は、ウイルスのHAが細胞膜にあるウイルスレセプターに吸着することから始まる。吸着したウイルス粒子は、細胞内取り込みにより細胞に侵入する。転写とRNAゲノムへのNP複製は核内で行われる。ウイルス粒子形成に必要な蛋白や遺伝子を合成後、細胞表面から出芽、続いて放出される。このときにNAの酵素活性がレセプターを破壊してウイルス粒子の放出を助ける。

また、インフルエンザウイルスは、赤血球表面のレセプターに吸着することにより赤血球の凝集を引き起こす。この現象を利用して、インフルエンザウイルスの存在やウイルスに対する抗体(HI抗体)を調べることができる。

AIVは、それほど抵抗力の強いウイルスではない。熱(70℃、1分間の加熱で死滅)や乾燥、極端なpHに弱い。一般の消毒薬(アルデヒド系、次亜塩素酸系、逆性石けん液、フェノール系、アルカリ液など)が有効だ。

7.症状

鳥インフルエンザの臨床症状は、ウイルス株の弱毒から強毒の病原性により大きく異なる。野外における症状は、鳥の種類、日齢、飼育環境や同時に感染する微生物によって影響を受ける。突然死亡するものから、症状のみられないものまで変化に富む。

鶏や七面鳥がHPAIウイルスに感染した場合、ほとんどが急性で死亡率が高い。アヒルは比較的HPAIウイルスに対する抵抗性が高い。鶏におけるHPAIウイルス感染実験例では、接種後1~5日でほとんどのものが死亡あるいは瀕死の状態になる。

鶏のHPAIは多くが急性で、しかも伝染性の強い疾病だから、防疫上迅速な確定診断が重要である。死亡するものが多発した場合、強毒株感染と区別ができず、ウイルス分離?識別による鑑別が必要となる。

8.ヒトへの感染と予防

冬になると毎年、高熱と喉の痛み、咳、頭痛、下痢、全身の倦怠感、それに合併症の肺炎で人びとが苦しめられるインフルエンザの原因ウイルスは、すべて鳥インフルエンザウイルスに由来したものだった。鳥インフルエンザウイルスが、ブタやヒトの細胞内で、既存の人のインフルエンザウイルスと混ざって遺伝子の再集合を起こす。そうすると、それは新たな人インフルエンザウイルスに変異する。これが新型インフルエンザだ。この新型に対し、ヒトは抗体(免疫)を全く持たないからすぐに感染する。

1957年のアジア風邪(H2N2)と1968年の香港風邪(H3N2)は、ブタの体内で発生したことが確認されている。ヒトの体内でもブタと同じことが起こる。ところが、1918年に大流行して二千万人から五千万人が死亡したスペイン風邪は違っていた。CDC(米国疾病対策センター)と米軍病理学研究所が、アラスカの永久凍土に埋葬された感染者の肺からこのスペイン風邪ウイルスの遺伝子を回収した。このウイルスを再生して解読を進めた結果、スペイン風邪は、単に遺伝子の一部が置き換わったことにより鳥型からヒト型に変わったものであることが判明した。

ここが今回の鳥インフルエンザの重要な点だ。スペイン風邪のもとになった鳥インフルエンザH1N1は、鳥に対して弱毒であったが、今回の鳥インフルエンザH5N1は鳥に強毒で、鶏は鶏冠や足に皮下出血を起こして死ぬ。ヒト型に変異した場合、ヒトにも強毒である可能性が高い。

鳥インフルエンザはヒトのインフルエンザに変異しない限り、通常ではヒトには感染しない。だがH5N1ウイルスは、1997年に香港で18人が感染し、6人が死亡した。2003年にも香港で二人が感染して一人が死んだ。その後、タイ、ベトナム、カンボジア、インドネシアおよび中国で計128人に感染し、うち65人が死んだ。感染したニワトリと濃厚な接触があったからだと、感染症の専門家はみている。

新型インフルエンザが一度出現すると、世界中の人びとが感染するのは時間の問題だ。ワクチンは新型インフルエンザのウイルスをベースに作らないと効果がない。頼みの綱の抗ウイルス剤は備蓄が少ないうえ、製造にも時間を要し、供給が追いつかなくなる。

予防はどうすればいいか。まず、現在あるインフルエンザワクチンを打つことだ。新型には効果がない。しかし、既存のインフルエンザとの重複感染は防げる。次に大切なのは手洗い、うがいの励行、マスクの着用だ。ウイルスは手を介して鼻や喉に付着することが多いので、手洗いはとくに必要だ。十分な睡眠と休養、適度な運動、暴飲暴食を避けた栄養バランスのある食事も、人の体に備わっている免疫力を十分機能させるためには欠かせない。

9.対策

鳥インフルエンザに関する世界の対応は急を要している。10月後半からの国内外の主要な対応を時間をおって紹介する。

10月25日:世界的な大流行防止策を議論するためオタワで開催された国際閣僚会議は、密接な国際協調の基での対策と、各国に緊急事態を想定した詳細な行動計画を作ることで、共同声明を採択。30カ国とWHOが参加。

11月01日:ブッシュ米大統領は、対策にワクチンや抗ウイルス剤の開発?備蓄などのために71億ドル(約8200億円)の予算を米議会に要求。

11月01日:APECによる鳥インフルエンザ対策会議は、ヒトからヒトへの感染が広がった場合に備えた模擬訓練を来年前半実施することを合意。

11月03日:アナン国連事務総長は7項目の対策を提唱。国連も各国政府画の情報提供など積極的に支援に乗り出す考えを示す。

11月07日:国内の大学が対策のためにアジアに研究拠点をつくる。大阪大学はタイ?バンコクに、東京大学は中国?北京に開設。長崎大学はベトナムに。

11月07日:EUの欧州委員会は、感染拡大を防ぐため、アジアの途上国に約42億円の資金の拠出を約束。

11月10日:厚生労働省は、治療薬「タミフル」の備蓄計画量を「2500万人分増加計画」方針を決めた。

11月14日:厚生労働省は、新型インフルエンザへの対策を定めた国の「行動計画」を公表。平時から大流行時までを1~6段階に分け、さらに各段階を国外発生(A)、国内発生(B)に分けて次のような対策を提示。さらに、「スペイン風邪」並みに病原性が高い場合、200万人が入院、60万人が死亡すると推定。
1.動物からウイルス検出:国内外の情報収集
2.ヒトへの感染リスク高まる:AB、渡航に注意喚起。家禽類の感染防止。
3.動物からヒトに感染:A、治療薬の備蓄。B、患者の出国自粛要請、防疫の徹底。
4~5.ヒトからヒトに感染:A、流行地からの検疫強化。B、患者への入院勧告、集会の自粛勧告。
6.ヒトで大流行:A、航空、船舶の国際線の運行自粛要請。B、非常事態宣言

11月19日:APECの閣僚?首脳会議で合意。来年11月までに対策の対応計画を策定し、監視や早期発見のための体制を強化。ワクチンや抗ウイルス薬の開発?製造体制構築のための支援に力を入れる。

11月19日:日本政府は、APECの会議でWHOなどの国際機関に約3億円の資金拠出などの支援策を表明。

10.経済への影響

10月21日のロイター通信は、オランダ国際銀行(IGN Bank)の経済学者ロブ?カネールの以下の談を取り上げた。「世界規模で人間の伝染病が大流行する場合、全体損失を試算するのは困難だ、GDPは数割も下落するかも。ヨーロッパや日本のような経済発展速度が緩んだ地域では、過去10年の経済成果がすべて失われてしまう可能性すらある。」

11月19日の産経新聞は、トップ面を鳥インフルエンザで飾っている。これは、鳥インフルエンザの流行が長期化した場合の日本など先進国を除いたアジア経済の影響を予測した記事だ。アジア開発銀行が調査した報告書に基づいている。

「鳥インフルエンザH5N1型のアジアでの拡大が続いているが、今後、ヒトからヒトへの感染が起きて大流行した場合、アジアの国内総生産(GDP)成長率はほぼゼロになり、経済に深刻な影響が出る可能性が指摘されている。一方、日本の旅行業界では年末年始のアジア向け旅行客の動向に神経をとがらせているほか、感染の疑いで死者が発生した中国では、市民の間に流言飛語が飛び交うなどの混乱も生まれている。」

報告書では、ヒトからヒトへ感染する新型ウイルスが発生した場合の感染率を20%とし、死亡率を0.1%、死者を約300万人と仮定している。また、半年間経済に最悪の影響が出た場合、一年間経済に最悪の影響を与え、その後も小さな打撃が一年間続き域外へ拡大した場合との二つのケースで分析したものだ。

それによると、成長率はほぼゼロに近い0.1%になる。さらに世界経済全体では、マイナス0.6%になるとしている。いずれにしても、鳥インフルエンザは世界の様々な事象に大きな影響を与えることになるのだ。

おわりに

新型のインフルエンザが出現しないことを、心から願うものである。そのためには、われわれはもう一度フランシス?ベーコンやレイチェル?カーソンの言葉に立ち戻り、技術や自然の在り方を再認識し、内省しなければならない。

「人間の知識と力とは一つに合する。原因が知られなくては、結果は生じないからである。というのは、自然は服従することによってでなくては征服されないのであって、考察において原因にあたるものは、制作においては規則である。

作にあたって、人間は自然物を結びつけたり切り離したりするだけであって、それ以外のことは自然がその内部でなしとげる。」(ベーコン:ノブム?オルガヌム)

これが後に格言化されて、「知は力なり。自然は服従することによってでなければ、征服できない」となった。

「アメリカの奥深く分け入ったところに、ある町があった。生命あるものはみな、自然と一つだった。町のまわりには、豊かな田畑が碁盤の目のようにひろがり、穀物畑の続くその先は丘がもりあがり、斜面には果樹がしげっていた。春がくると、緑の野原のかなたに、白い花のかすみがたなびき、秋になれば、カシやカエデやカバが燃えるような紅葉のあやを織りなし、秋の緑に燃えて目に痛い。丘の森からキツネの吠え声がきこえ、シカが野原のもやのなかをみえつかくれつ音もなく駆けぬけた。??????

ところが、あるときどういう呪いをうけたのか、暗い影があたりにしのびよった。いままで見たこともきいたこともないことが起こりだした。若鳥はわけのわからぬ病気にかかり、牛も羊も病気になって死んだ。どこへ行っても死の影。???????????

自然は沈黙した。うす気味悪い。鳥たちはどこへ行ってしまったのか。みんな不思議に思い、不吉な予感におびえた。」(カーソン:沈黙の春)

生態系は、大きな生命の交響楽団なのだ。無数の生き物が様々な環境のなかで作りあげている生態系のもつ秩序(むしろ調和というのが正しい)は、目をこらしてみても見えない無数の環境資源と生物の相互が依存しているネットワークと言える。生態系に生きる生物とこのネットワークそのものは、調和が崩れても、自動的に調和がとりもどされるように仕組まれている。だから、自然世界の調和は、永遠に終わることのないハーモニーを奏で続けることができるのだ。その永遠とは、期限付きの永遠なのか? 鳥インフルエンザの問題は、われわれに悲壮な現実を突きつけている。

なお参考資料(1-5)の提供とご校閲をいただいた(独)農業?生物系特定産業技術研究機構動物衛生研究所感染病研究部の山口成夫部長にお礼申し上げる。また、本稿は同研究所の谷口稔明所長にもご校閲いただいた。記して謝意を表する。

参考資料
  1. 高病原性鳥インフルエンザ(Highly Pathogenic Avian Influenza):社団法人全国家 畜畜産物衛生指導協会, 23pp
  2. 山口成夫:高病原性鳥インフルエンザ、感染?炎症?免疫、34、295-297(2004)
  3. 山口成夫:鳥インフルエンザ、畜産の研究、58, 1, 15-20 (2004)
  4. 山口成夫:最近の家禽疾病と予防対策(高病原性鳥インフルエンザ)、(独)農業?生物系特定産業技術研究機構動物衛生研究所感染病研究部(2005)
  5. 山口成夫:高病原性鳥インフルエンザウイルス、獣医畜産新法、58, N0.2, 139-143 (2005)
  6. 大紀元ホームページ:http://www.epochtimes.jp/jp/spcl_qlg.html
  7. NIKKEI NET:http://health.nikkei.co.jp/birdflu/
  8. 生態系を破壊する小さなインベーダー:クリス?ブライト著、福岡克也監訳、環境文化創造研究所訳、家の光協会 (1999)
  9. 産経新聞:10月22日など
  10. 読売新聞:11月11日朝刊など
  11. 日本経済新聞:10月30日
代替農業と環境保全型農業
はじめに

生命を対象にする農業と医療には、いずれも接頭語に代替(alternative)がつく代替農業と代替医療がある。農業に関わる人には、代替医療という言葉になじみが薄いと同じように、医療関係者には代替農業なる言葉は目新しいであろう。英語では、alernative agriculture とalternative medicine である。

わが国においては代替農業といえるさまざまな農法がある。はっきりと代替農業と題した本に、久馬一剛?嘉田良平?西村和雄監訳の「代替農業-永続可能な農業をもとめて-」がある。アメリカでは、「American Society of Alternative Agriculture」や「American Journal of Alternative Agriculture」がある。また久馬一剛らが訳した原本、全米研究協議会リポート「Alternative Agriculture」などがある。

一方、わが国における代替医療については、1998年に設立された「日本補完代替医療学会」がある。また、上野圭一著の「補完代替医療入門」、渥美和彦?廣瀬輝男の「代替医療のすすめ」やキャシレス著?浅田仁子?長谷川淳史訳の「代替医療ガイドブック」などの著書がある。アメリカでは、「The National Center for Complementary and Alternative Medicine (NCCAM)」や「Complementary Alternative Medical Association (CAMA)」がある。また、浅田仁子らが訳したCassileth, Barrie R.著の「The Alternative medicine handbook: The Complete Reference Guide to Alternative and Complementary Therapies」などがある。

もともとComplementary and Alternative Medicine(CAM)は、西洋医学を中心とした近代医療に対して、それを補完する医療をさした。しかし、日本や中国などの近隣諸国にとってのCAMは、漢方?和漢薬?鍼灸などに見られるように脈々として既に存在するもので、「代替」ではなく「伝統」であろう。

しかしCAMの領域は、近代西洋医学に比べると未だ科学的検証が伴わない混沌とした状況にある。そこで最近では、この混沌とした領域にevidence-basedな秩序を導入することを目指したeCAM:Evidence-based Complementary and Alternative Medicineの考え方が登場している。これに関して、Oxford Journalsから国際雑誌が出版されている。そこには、次の注が記載されている。Evidence-based Complementary and Alternative Medicine (eCAM) is an international, peer-reviewed journal that seeks to understand the sources and to encourage rigorous research in this new, yet ancient world of complementary and alternative medicine.

なお「代替医療」という語は、「代替医療のすすめ」の著者の一人である廣瀬輝夫が論文執筆の際に「Alternative Medicine」を訳したものである。また、「代替農業」という語は、全米研究協議会リポート「Alternative Agriculture」を訳した久馬一剛らが初めて使った言葉である。

ここでは、「代替農業」についてまとめた。代替農業とは、代替農業体系の方法や原理、代替農業体系の多様性などについて、久馬一剛らの訳した「代替農業」を中心に整理した。詳細はこの本を参照されたい。最後に、代替農業のひとつで、わが国に広く行き渡っている環境保全型農業について解説する。

1.代替農業とは

今、世界は個人や団体が一つの農業へ到達するシステムを研究したり、これを発展?普及するための努力をしている。そのシステムの目的は、土壌の生産性を高め、自然環境を保全し、土地や資源を効率よく利用し、そのうえ生産費を低減させることに焦点を向けることにある。

この目的の背景には、農業が環境に及ぼす負の影響が厳然としてあった。この影響は、政策立案者、農民および消費者にきわめて重要な事項である。農薬、化学肥料および畜産廃棄物からもたらされる土壌と地下水と大気の汚染問題、作物や食品中への農薬残留や蓄積に対する安全の問題がある。加えて、一部の地域では土壌侵食、塩類集積および灌漑用地下水源の枯渇の問題などが現実に起こっているのである。

これらの諸問題に対応して、全米研究協議会が1989年に発刊したのが、「代替農業:Alternative Agriculture」である。代替農業とは、次のような目標を体系的に追究するための食料および繊維作物生産にかかわるあらゆる体系をさしている。
  • 空中窒素の固定などの養分循環、害虫と捕食者との関係のような自然のプロセスを農業生産過程に徹底して取り入れること。
  • 環境や、農民および消費者の健康に害を及ぼす可能性の高い、農地に投入する資材の使用量を削減すること。
  • 植物および動物の種が持っている生物的および遺伝的潜在能力をより積極的に農業生産に利用すること。
  • 現在の生産水準を長期的に持続可能にするために、農地の潜在的な生産力や自然的特性に作付様式を適合させること。
  • 農地管理方法の改善と土壌、水、エネルギーおよび生物などの資源の保全に重点をおいた収益性の高い効率的な生産。

2.代替農業体系の方法や原理

代替農業は、ひとつの農作業体系を指すのではない。合成した化学物質を一切使用しない有機的な体系から、特定の病害虫防除にあたって農薬や抗生物質を慎重に使用する体系まで、さまざまなな体系が含まれている。生物学的とか、抵投入的とか、有機的とか、再生的あるいは持続的といった名を冠している。限定されたものではない。

例えば、
  • 害虫の総合防除(integrated pest management: IPM)
  • 集約度の低い家畜生産方式、輪作体系(病害虫による被害の軽減、作物自体の健康の増進、土壌侵食の軽減、マメ科植物による窒素固定などをねらいとしたもの)
  • 土壌侵食を軽減したり雑草防除を兼ねた耕耘方法や採食方法(注)、といった一連の農業技術もそのなかに含まれる。(注:原文のまま、家畜の飼養方法か?)

したがって、代替農業は、これらの技術を農作業体系のなかに組み込んでゆくことを目指す農業といえる。そして、代替農業に成功する農業者は、優れた管理者が共通に持つ特徴である、コストの軽減、効率の改善および生産レベルの維持などのために、あらゆる管理技術と情報を取り入れているのである。

代替農業体系が重点化している方法と原理には、次のような要素がある。
  • 雑草、病害、虫害などの被害を軽減し、土壌の可給態窒素を増加させることによって化学肥料の購入量を節減し、保全耕耘と組み合わせて土壌侵食を軽減するような輪作。
  • 輪作、予察、気象観測、抵抗性品種の利用、栽植時期の調節および生物的な病害虫の防除によって農薬の必要性を軽減する総合防除法。
  • 雑草を防ぎ、作物を健康にすることによって病害虫抵抗力を増進する管理体系。
  • 土壌と水の保全を目的とした耕耘方法。
  • 家畜の健康を維持することによって、病気を予防することに重点をおく生産体系。それによって抗生物質の必要性を軽減。
  • 病害虫に対する抵抗性を高め、養分をより効率的に吸収利用させるための作物の遺伝的改良。

3.代替農業体系の多様性

代替農業は多様性を維持している。多様性を維持する体系は、安定で柔軟性に富み、経営リスクを軽減し、干ばつ、病害虫などの生産を制限する自然因子に対して抵抗性を有する。また多様化によって、農薬、化学肥料などの投入資材の価格上昇による経済的な圧迫を軽減できる。農産物価格の下落を防ぎ、ある種の農産物の市場への出まわりを制限している規制措置を緩和する。

代替農業体系は、大小いずれの農場にも導入可能である。また、さまざまな様式の農業機械にも適合するが、気象や土壌の違いを配慮しないと生産コストや生産性に影響が及ぶ。つまり、その農地や地域の生物的、自然的条件に注意深く適応させねばならない。

4.わが国の環境保全型農業

代替農業がひとつの農作業体系を指すのではなく、合成した化学物質を一切使用しない有機的な体系から、特定の病害虫防除にあたって農薬や抗生物質を慎重に使用する体系まで、さまざまなな体系が含まれていることはすでに述べた。したがって先に述べたように、代替農業は生物学的とか、抵投入的とか、有機的とか、再生的あるいは持続的といった名を冠した農業ということになる。

さて、ここから表題にある「環境保全型農業」の解説に入る。

わが国の農林水産省ではこの種の農業体系が早くから導入されており、省内にすでに環境保全型農業対策室がある。そのホームページ(http://www.maff.go.jp/j/seisan/kankyo/hozen_type/)には、環境保全型農業について次の定義がある。

「農業の持つ物質循環機能を生かし、生産性との調和などに留意しつつ、土づくり等を通じて化学肥料、農薬の使用等による環境負荷の軽減に配慮した持続的な農業」

この対策室は、平成1年に「有機農業対策室」として設置されたが、平成4年に今の環境保全型農業対策室と改名された。わが国全般にわたって、農業生産活動を通じて国土を保全し、環境を守るという観点から、環境保全型農業の確立を目指している。

一般的には、可能な限り環境に負荷を与えない農業および農法のことである。農業の持つ物質循環機能を生かし、土づくりなどを通じて化学肥料や農薬の投入を低減し、環境負荷を軽減するよう配慮した持続的な農業生産方式の総称といえる。

農水省では、平成11(1999)年に持続農業法を制定し、認定農業者に対する農業改良資金の貸付や農業機械の課税に対する特例措置などを設けて支援を行なっている。同法では「持続性の高い農業生産方式」について「土壌の性質に由来する農地の生産力の維持増進その他良好な営農環境の確保に資すると認められる合理的な農業の生産方式」と定義し、

具体的には、
  • たい肥などの有機質資材の施用に関する技術で土壌改良効果の高いもの、
  • 肥料の施用に関する技術で化学合成肥料の施用を減少させる効果の高いもの、
  • 雑草?害虫等の防除に関する技術で化学合成農薬の使用を減少させる効果の高いもの、をあげている。
なお持続農業法については、次のものがある。関心のある方は、上記のホームページをご覧いただきたい。
  • 持続性の高い農業生産方式の導入の促進に関する法律(平成11年7月28日法律第 110号)
  • 仮英訳(PROVISIONAL TRANSLATION)
  • 持続性の高い農業生産方式の導入の促進に関する法律施行令(平成11年10月22日政令第334号)
  • 持続性の高い農業生産方式の導入の促進に関する法律施行規則(平成11年10月22日農林水産省令第69号)
  • 持続性の高い農業生産方式の導入の促進に関する法律の施行について(農林水産省農産園芸局長、平成11年10月25日、11農産第6789号)

また、環境保全型農業を広く全国規模で推進するため、全国環境保全型農業推進会議がある。これは、農林水産省が全国農業協同組合中央会に助成して設置した機関で、生産者はもとより、消費者、食品産業、学識経験者、行政機関など24名の委員から構成されている。委員長は東京大学名誉教授で(財)肥料科学研究所理事長の熊澤喜久雄氏である。この会議は、これまで環境保全型農業推進憲章の制定や環境保全型農業推進コンクールの実施などを通じて、環境保全型農業を国民に向けて幅広く宣伝し、理解を呼びかけてきた。「持続農業法」に基づく認定農家の愛称名である「エコファーマー」も、この会議で決まったものである。

環境保全型農業の理念、環境保全型農業における「環境」と「保全」、農業における環境汚染と環境浄化、地域環境保全型農業の確立については、熊澤喜久雄氏の「岐阜を考える:特集21世紀の岐阜を考える-団塊世代の課題-」の「環境保全型農業と地域環境保全」に詳しいので、関心のある方は参照されたい。

補遺

「環境保全型農業の課題と展望-我が国農業の新たな展開に向けて-、大日本農会叢書4、大日本農会(2003)」と題する冊子がある。

大日本農会は、わが国がこれから環境と調和した持続的な農業を確立するために、どのような対応をするべきか、平成11年から15年にわたって環境保全型農業研究会を開催して考えてきた。その研究会は、21回の会合と6回の現地調査を足かけ5年にわたり行い、平成15年4月に終了した。本書はこれをとりまとめた大著である。

研究会が発足した社会的背景、研究会の検討経過、総合討論および総論作成などが、本書の「はじめに」で紹介される。

この研究会の目的は、
  1. 環境保全型農業に期待される役割と国の施策
  2. 環境保全型農業の普及?推進、環境保全型農業によって生産された農産物の流通など に関する関係者の取組み
  3. 環境保全型農業のさらなる普及?定着のための方策等について検討する、ことにある。

研究会開催の背景と問題意識は大別して次の二つにあった。第一は、農政の展開過程から見た環境保全問題である。平成4年6月に発表された農林水産省「新しい食料?農業?農村政策の方向」において環境保全に資する農業政策として、農政当局として初めて環境保全型農業が打ち出され、それを受けて平成6年に全国環境保全型農業推進会議が結成されたこと。平成10年9月の「食料?農業?農村基本問題調査会」答申を受けた「食料?農業?農村基本法」(平成11年7月16日)において、食料、農業および農村の施策に関する基本的な理念として多面的機能の発揮、農業の持続的な発展がうたわれていること。さらに、それらに対応した環境保全型農業の今後の方向を探ること。

第二は、農業技術の展開過程から見た環境保全問題である。この研究会が事前に設置した「農業技術に関する研究会」の論議の中で、戦後の農業技術の反省点として、1)資源多消費型農業への偏り、2)環境問題への配慮の欠如が指摘されており、その報告を受け止めた大日本農会としての検討が必要と考えられたことであった。

このような当初の状況に加え、その後、循環型社会形成推進基本法の制定、地球温暖化防止京都議定書の締結など環境保全型農業に関係する新たな展開があり、それらをも視野に入れた総体的な検討が必要とされた。

研究会は、座長を熊澤喜久雄(東京大学名誉教授)におき、委員に中川昭一郎(東京農業大学客員教授、元農林水産省農業土木試験場長)?西尾敏彦(日本特産農産物協会理事長、元農林水産省農林水産技術会議事務局長)?石原 邦(東京農業大学教授)?生源寺眞一(東京大学大学院教授)?鎌田啓二(中央畜産会常務理事)?木田滋樹(生物系特定産業技術研究推進機構理事、元農林水産省技術総括審議官)をおいた。

この取り組みの途中では、次の冊子が上梓された。「持続可能な農業への道、大日本農会叢書3、大日本農会(2001)」

脇道にそれるが、この冊子の背景を語る。持続性(Sustainability)という言葉の定義と、その言葉に含まれている問題点を総括的に指摘したのは、環境と開発に関する世界委員会報告「地球の未来を守るために」である。そこでは、持続的開発の概念を提示し、人間活動のあらゆる面において、世界のひとびとが協力の輪を広げてそれを真剣に追求することを求めている。

わが国でも、農業の持続的発展を図っていくことが今後の農政の重要課題の一つに位置付けられている。そのための法整備や新たな農業生産方式などの開発と普及、さらには、これらが定着するための諸施策が講じられている。この問題は、緊急に取り組まれるべき課題である。しかし、新技術を現場で普及させ、これを定着させるためには、まだまだ解決すべき課題がたくさん残されている。この問題は、官民あげて長期的視点から着実に取り組む必要がある。

大日本農会では、環境と調和した持続的な農業の確立を目指して環境保全型農業研究会を設置して、この問題を検討している。その検討結果の一部がこの書で紹介される。目次は、以下の通りである。

はじめに
1.環境保全型農業研究会について???????????山極榮司
2.環境保全型農業とは何か?????????????熊澤喜久雄
3.環境保全型農業推進の経緯と現状??????????伊藤 洋
4.環境保全型農業の技術研究の現状と課題???????西尾道徳
5.各分野における現状と問題点
(1)環境保全型農業と施肥?????????????熊澤喜久雄
(2)環境保全型農業と病害虫防除???????????管原敏夫
(3)環境保全型農業と畜産??????????????鎌田啓二
(4)環境保全型農業と施設園芸????????????兵藤宗郎
(5)環境保全型農業と作付様式????????????石原 邦
(6)環境保全型農業と機械開発????????????木田滋樹
(7)環境保全型農業と農村環境整備?????????中川昭一郎
6.農業と環境:経済学からみた問題の構図??????生源寺真一

話を流れにもどす。研究会はその後、これら生産現場および関係者の取組み状況の把握と、それらから浮かび上がってくる課題の抽出をさらに進めるとともに、研究会発足以降における循環型社会形成推進基本法の制定、地球温暖化防止京都会議議定書の締結などの動きを踏まえ、環境保全型農業の今日的な課題を探り、それらの課題に対応するための環境保全型農業のあり方、必要と考えられる対策などについて検討を重ねた。地球環境的視点からの検討、欧米の事例に関する検討などはその一部である。

総論の取りまとめに際し、議論された幾つかの論点は以下の通りである。

ア 環境保全型農業の今日的役割とは何か

1)欧米において環境保全型農業に対応する農業は何か。
2)循環型社会の形成や地球温暖化等は、環境保全型農業にどのような関わりを持つか。
3)環境保全型農業に期待される新たな役割から見て、現状の普及水準をどのように評価するか。

イ 環境保全型農業の更なる展開を図るには、どのような手段が必要か。

1)環境保全型農業生産物の市場評価はどのようになっていると考えるか。
2)市場に委ねることで十分な展開が可能であるか。

ウ 環境保全型農業の技術指針はいかなるものであるべきか。

1)新たな役割に対応した環境保全型農業の目標と奨励される技術?手法を、地域において技術指針として示す必要があるのではないか。
2)技術指針に含めるべき事項は何か。

エ 全国的な展開をバックアップする手法は何か。

1)技術指針を踏まえて環境保全型農業を実施する場合に生ずる掛かりまし経費や損失を適切に補填する新たな手法がなければ、全国的な展開をさらに進めることは困難ではないか。
2)EUにおいて実施されている環境支払い(デカップリング)をどう考えるか。
3)日本版環境支払いを導入するとした場合、対象農家が遵守すべき事項は何か。

オ 環境保全型農業政策は、農政のなかにどのように位置づけられることが望ましいと考えるか。

カ 海外で生産される有機農産物の輸入をどのように考えるか。

これらの論点をまとめて冊子にした「環境保全型農業の課題と展望-我が国農業の新たな展開に向けて-、大日本農会叢書4、大日本農会(2003)」の構成と目次は、次の通りである。

1)上記「総論」(I)およびそれを補完する各委員等による「各論」(II)
2)農林水産省環境保全型農業対策室長による「環境保全型農業施策の経緯と現状」(III)
3)欧米の農業環境政策、地球環境的視点からみた環境保全型農業の役割、環境保全型農業技術の開発状況等(IV)
4)前回叢書「持続可能な農業への道」に収録された後の研究会の概要(V)(IVに含まれるものを除く)
5)エコファーマーの推移、環境保全型農業推進コンクール受賞者一覧、環境保全型農業関係統計等の関係資料

はじめに
I 環境保全型農業研究会の狙いと開催経過????????山極榮司
II 我が国における環境保全型農業の現状と課題
総論:
環境保全型農業の現状と課題 ???研究会座長 熊澤喜久雄
各論:
1.環境保全型農業と作付様式???????????石原 邦
2.環境保全型農業と肥料????????????熊澤喜久雄
3.環境保全型農業と総合的有害生物管理(IBM)?中筋房夫
4.環境保全型農業と畜産?????????????鎌田啓二
5.環境保全型農業と機械開発???????????木田滋樹
6.環境保全型農業と農村環境整備????????中川昭一郎
7.環境保全型農業―研究開発の現状と課題―????西尾敏彦
8.環境保全型農業の政策フレーム????????生源寺眞一
III 環境保全型農業に関する施策の経緯と現状????藤本 潔
IV 内外における政策?研究開発等の現状
1.EU及びイギリス(イングランド)における農業環境政策の
展開と現状 西尾道徳
2.スイスを中心とするヨーロッパ諸国のIP農産物の生産?流
通と表示の現状 大山利男
3.アメリカの農業分野における環境保全への取組み
市之宮和彦
4.生態系と地球環境を守る環境保全型農業の役割
陽 捷行
.環境保全型農業技術の開発状況 梅川 學
V 環境保全型農業?農産物についての取組み事例
1.生産者集団の取組み
―宮城県田尻町産直組合― 佐々木陽悦他
―宮城県南方町水稲部会― 大久保芳彦他
2.農業共同組合の取組み―石川県JA松任トマト部会
― 西村昌一他
3.市町村の取組み―兵庫県市島町
― 井本幹博他
4.生活協同組合の取組み
―コープとうきょう― 深澤米男
5.卸売市場の取組み―(株)東京青果
― 佐藤 顕
6.農協全国連の取組み
―全農― 原 耕造
7.外食産業界の取組み―(社)日本フードサービス協会
― 中井 尚
附属資料:1.環境保全型農業推進コンクール受賞者一覧
2.環境保全型農業関係統計?資料

なお、この項については、熊澤喜久雄 東京大学名誉教授および山田陽城 北里生命科学研究所長にご高閲?ご意見をいただいた。記して感謝の意を表する。

参考資料
  1. Environmental Information & Communication Network: http://www.eic.or.jp/ecoterm/-act=view&serial=545
  2. 環境保全型農業対策室のホームページ: http://www.maff.go.jp/j/seisan/kankyo/hozen_type/
  3. 代替農業:久馬一剛?嘉田良平?西村和雄監訳、全米研究協議会リポート、自然農法国際研究開発センター?農山漁村文化協会(1992)
  4. 持続可能な農業への道、大日本農会叢書3、大日本農会(2001)
  5. 環境保全型農業の課題と展望-我が国農業の新たな展開に向けて-:大日本農会叢書 4、大日本農会(2003)
  6. 熊澤喜久雄:環境保全型農業と地域環境保全:http://www.gpc-gifu.or.jp/chousa/infomag/gifu/100/4-kumazawa.html
  7. 農業環境技術研究所ホームページ、情報:農業と環境:http://www.niaes.affrc.go.jp/mzindx/magazine.html
農?環?医にかかわる国内情報 6:健康長寿社会を創出するための医工農連携プロジェクト?新たな人体解析システムの確立と地域に根ざした機能性食品の開発?
農医連携を目指している博狗体育在线_狗博体育直播【官方授权网站】@とは異なり、島根大学は医工農連携を目指している。島根大学では、医工農が連携して健康長寿社会の構築をめざしたプロジェクトを行っている。この資料はその成果報告書である。

報告書は、五つに分類されている。

Iは、健康成分としての非タンパク質性のアミノ酸の一種であるγ?アミノ酪酸について。
IIは、西条柿、朝鮮人参、ヒノキの機能性成分の分析ならびに健康への貢献。
IIIは、ヒトおよびマウス胎児?新生児期における組織形成機構の数理解析。
IVは、生体機能の発現?動作?発達機構の解明および生体適合材料の開発と加工に関する研究。
Vは、健康食品の機能性評価システムの構築。

IからVチームの報告は以下の通りである。

I 赤間チーム報告

◆ 生活習慣病の予防を目的とした健康機能性米の開発:GABA強化米の開発と成分分析
赤間一仁(生物資源科学部?生物科学科)
◆ 生活習慣病の予防を目的とした健康機能性米の開発 秋吉英雄 生物資源科学部 生物科学科
◆ 実験動物の管理、生化学的検討 権田辰夫 総合科学研究支援センター

II 板村チーム報告

◆ 西条柿タンニンの分析と機能評価-とくに悪酔い?酔い覚まし効果について- 板村裕之生物資源科学部
◆ ヒノキモノテルペン合成酵素遺伝子解析 加藤定信(島根大学総合理工学部材料プロセス工学科)
◆ 遺伝子導入による有用物質生産 中川 強(総合科学研究支援センター)
◆ トランスジェニック技術による高機能性ジンセノサイドの生産 中村宗一郎(教育学部人間生活環境教育講座)
◆ 機能性成分を高めるための肥培管理技術の確立 松本真悟(島根大学生物資源科学部附属生物資源教育研究センター)
◆ 哺乳動物細胞を用いた生活習慣病を予防する食品脂質の作用機構の解析 横田一成(島根大学生物資源科学部生命工学科)
◆ 痴呆予防?改善作用を持つ機能性食品の開発-その1)神経幹細胞をターゲットとした評価法の確立 橋本道男(医学部環境生理学)

III 大谷チーム報告

◆ ヒトおよびマウス胎児?新生児期における組織形成機構の数理解析 大谷 浩(島根大学医学部発生生物学)
◆ ヒトおよびマウス胎児?新生児期における組織形成機構の数理解析 相川弘明(総合理工学部 数理?情報システム学科)

IV 平川チーム報告

◆ 生体機能の発現?動作?発達機構の解明 平川正人(総合理工学部)
◆ 生体適合材料の開発と加工に関する研究 内尾祐司(医学部)、大谷 忠(総合理工学 部)

V 山口チーム報告

◆ ヒト試験システムの構築 山口清次(島根大学医学部小児科)
◆ 医農連携による健康食品の機能性評価システムの構築 中村守彦(産学連携センター地域医学共同研究部門)
◆ 酵母グルカンの高純度新規精製法の確立とその機能解析 松田英幸(同総合科学研究支援センター遺伝子機能解析分野&生物資源科学部生命工学科)中村守彦、堀江修二(島根大学産学連携共同研究センター)水津拓三、木村嘉宏(アルプロン(株))
◆ 炭酸ラジカルが生体内で生成する可能性の検証と炭酸ラジカルに対する高酸化機能評価系の確立 柴田 均(生物資源科学部生命工学科)

なお、この資料を入手するに当たり、島根大学副学長の山本廣基教授にお世話になった。記して謝意を表する。
研究室訪問 U:北里生命科学研究所 和漢薬物学研究室
「農と環境と医療」を連携できる研究の素材や人を求めて、学内の20箇所にわたる職場を探索してきた。その中間報告は「情報:農と環境と医療 7号」に、「博狗体育在线_狗博体育直播【官方授权网站】@における農医連携への取り組み(案)」として紹介した。これは、あくまで全学的な討議のための「たたき台」と位置づけ、これに対する意見を照会した。

幸いなことに、多くの意見を頂戴した。なかでも、博狗体育在线_狗博体育直播【官方授权网站】@北里生命科学研究所の山田陽城所長からは貴重な指示と意見をいただくと同時に、生命科学研究所も農医連携にご協力いただく旨の心強い言葉を頂いた。そこで21回目の今回は、まず北里生命科学研究所の和漢薬物学研究室を訪問することにした。

研究の最前線にたつ研究所らしく、山田陽城所長の部屋は大量の資料に埋もれていた。かつては科学する研究所に席をおいていた筆者のこころは、懐旧の念に覆われた。以前から思っていたことだが、この研究所の研究課題と人材は、農医連携に必要不可欠であると痛切に感じた。

和漢薬物学研究室は、山田陽城教授、清原寛章助教授、永井隆之?松本 司?矢部武士講師の5人で構成されている。

和漢薬は種々の難治性疾患や生活習慣病、高齢者の生体機能の低下に基づく感染症や付随する疾患など、西洋医学での治療が困難な疾患に対しその臨床効果が期待されている。和漢薬物学研究室では、このような背景と臨床知見をもとに、和漢薬の感染症および重要疾病の予防?治療への高度利用をめざし、その薬効機序の解析や新しい概念の創薬への利用に関する研究を行っている。

和漢薬物学研究室の主な研究テーマは、次のように整理されている。

U-1.感染症と免疫異常に対する漢方薬の薬効機序の解析と薬効成分の解明(21世紀COE拠点テーマ研究、文部科学省科学研究費?基盤研究(B)(2)、一部北里研究所との共同研究及び受託研究)
免疫力の低下やアレルギー性疾患に対する漢方薬の有効性の証明と作用機序について種々の動物モデルを用い、特に粘膜免疫系における調節機構について解析する。またインフルエンザウイルス感染やヘリコバクターピロリ感染の評価系を構築し、和漢薬の感染免疫について解析する。さらに、漢方薬中の薬効成分についても解析し、作用機序を検討する。

U-2.神経系の異常に対する漢方薬の薬効機序の解析と薬効成分の解明(部門内研究、一部米国NIHとの共同研究)
うつ症状に有効な漢方薬やその作用機序、神経細胞やグリア細胞に対する機能調節作用を有する和漢薬の作用機序、薬効成分などについて解析する。

U-3.和漢薬中の多糖成分の構造と薬効発現における役割および活性制御機構の生化学的解析(21世紀COE拠点テーマ研究、部門内研究、一部受託研究)
和漢薬中の多糖の感染防御のための免疫調節活性などについて、活性部位の糖鎖構造やその作用機構を解析し、和漢薬中での糖鎖の役割を解明する。

U-4.漢方薬の薬効評価系を用いた和漢薬由来医薬品素材の探索(21世紀COE拠点テーマ研究、一部WHO、DNDi、北里研究所、タイ?マヒドン大学、チュラロンコン大学、カイロ大学との共同研究)


抗インフルエンザウイルス作用、抗マラリア作用、抗トリパノソーマ作用、アジュバント作用、抗アレルギー作用、腸管免疫調節作用、神経系調節作用などの評価系を用い、和漢薬を含む天然薬物中から新たな活性物質を探索し、構造解析や作用機序を解明するとともに創薬のシーズとする。

これまでに特許取得や技術移転(事業化)に実績のある研究テーマ:漢方薬の薬効評価系を用い、和漢薬由来医薬品素材の探索を行い、以下の特許を出願している。

U-5.サポニンを含むワクチン製剤(国内特許出願及び国際出願)
経鼻ワクチンのアジュバントとしてサポニンを含む製剤を開発した。

U-6.脂肪酸を構成成分とするワクチン製剤(国内特許出願及び国際出願)
ワクチンの経口アジュバントとしてヒドロキシ脂肪酸を開発した。

U-6.フラボノイド配糖体からなる抗インフルエンザウイルス化合物(国際特許出願)
抗インフルエンザウイルス剤として配糖体を開発した。

「農と環境と医療」を連携するための研究課題キーワードには、「窒素」、「有害物質」、「重金属」、「安全食品」、「未然予防」、「リスク」、「教育?啓蒙」、「インベントリー」、「農業?健康実践フィールド」、「病原微生物」、「環境微生物」、「環境保全」、「環境評価」、「食と健康」、「感染」、「ホルモン」、「光の波長」、「環境応答」、「放射線(アイソトープ)」などがあった。今回の研究室訪問により、この研究室のキーワードとしてこれまでの「未然予防」および「感染」以外に、新たに「免疫」、「神経」、「内分泌」、「生体機能」を追加する必要がある。

これらの研究課題キーワードについても、各方面からご意見を頂いた。このことについては、あと数か所の研究室を訪問した後で整理したいと考えている。これについては、しばらく時間を頂きたい。
資料の紹介 1:フードガイド(仮称)検討会報告書、食事バランス(2005)
「食事バランスガイド」という冊子が、厚生労働省健康局総務課生活習慣病対策室と農林水産省消費?安全局消費者情報官の協力で、平成17年7月に発刊された。これはフードガイド(仮称)検討会が作成したものだ。

この検討会は、平成12年3月に当時の文部省、厚生省、農林水産省により「食生活指針」が作成され、食に関わる関係者の取り組み方針を定めた「食生活指針の推進について」の閣議決定に端を発する。

さまざまな食生活が巷には満ちあふれている。そのような状況の中で、巷では肥満の増大、外食における野菜不足、食塩?脂肪の過剰摂取、外食の増加などが生じている。そのため、食生活の改善を行う上で、「何を」「どれだけ」食べればいいのか、といった食事の場面での分かりやすい情報提供が必要になっている。

このため設置されたのが、「フードガイド検討会」だ。ここで検討された項目は、フードガイドを構成する内容、食品産業での具体的普及?啓発方法、その他に関連する事項だ。その検討会の検討結果をまとめたのが、ここに紹介する資料だ。

この「食事バランスガイド」は、バランスのとれた食生活の実現を通した食料自給率の向上という農林水産省が期待する目的と、国民の健康づくりと生活習慣病の予防という厚生労働省が期待するが目的を合致させた冊子なのだ。

興味深いのは、「食事バランスガイド」のイラストがコマ(独楽)を例えに作ってあることだ。独楽の上部から軸先に行くに従って、主食、副菜、主菜が並び、牛乳?乳製品と果物が軸先で並列に並んでいる。この食事のバランスが悪くなると独楽は倒れるということだ。食事に余り詳しい知識がなくても、この独楽の画を見ながら食事のバランスを考えることができる冊子だ。是非ご覧頂きたい。一見は百聞にしかず。もっと小型の版であれば、持ち歩きもでき便利だろう。
言葉の散策 3:生?病?老?死
語源を訪ねる 語意の真実を知る 語義の変化を認める
そして 言葉の豊かさを感じ これを守る。

仏教用語のうち、人間として逃れられない必然的な苦しみである「四苦八苦」。そのうち、「四苦」の「生老病死(しょうろうびょうし)」を取り上げる。

生老病死の四苦に、「愛別離苦(あいべつりく)」、「怨憎会苦(おんぞうえく)」、「求不得苦(ぐふとくく)」、「五陰盛苦(ごおんじょうく)」の四苦が加わって八苦。

生:

「土」の上の横棒は土の表面。下の横棒は底土。表面から上に出ているのが植物の芽。上の横棒と下の横棒の間の縦棒は、植物の根。「生」は、この「土」から草の生える形。進むの意味。説文に「進むなり、艸(そう)木の生じて土上に出づるに象(かたど)る」という。なお、「生」は成長して「世」。「世」は、草木の枝葉が分かれて新芽が出ている形。また、「生」は成長して「姓」。「姓」は、血縁的集団。

病:

「説文」に「疾、加はるなり」、「玉篇」に「疾、加はるなり」とあり、「礼記」に「曾子、疾に寝(い)ねて、病(へい)なり」のように用いる。疾が名詞、病はその状態をいう。疾病に限らず、すべて心身の憂慮や疲弊の甚だしいことをいう。また、音符のやまい(やまい)と、音符の丙(へい)「益(ま)し加わる意」とから成る。病状が益し加わって重くなる、危篤の状態になる意。

字義は数多くある。1)病気が重くなる、2)やむ、ア.つうかれる、イ.つかれる、ウ.うれえる、おもいわずらう、エ.くるしむ、オ.難しとする、3)やまい、4)うれい、なやみ、5)きず、6)くるしみ、7)うえ、8)うらむ、9)はずかしめる、10)かれる、11)やぶれる、はいぼく、12)そこなう、損害

語源説(やまい)に次がある。1)身の病があればすべてのことが止むところから、ヤム(止)の義、2)ヤマフはヤムハムの転、3)イヤミワズライの義、4)ナヤミ(悩)の義、5)火をやむ意でヤムはナヤム、なやむはなゆるの意。

老:

「老」は長髪の人の側身形。その長髪の垂れている形。七は化の初文。化は人が死して相臥す形。哀残の意を以て加える。「説文」に「老なり。七十を老と曰ふ。人生の七(わく)するに従ふ。須(鬚)髮(しゅはつ)の白に變ずるを言うなり」とするが、七は人の倒形である。「左伝」に「桓公立ちて、乃ち老す」のように、隠居することをもいう。経験が久しいので、老熟の意となる。また、長毛で背の曲がった老人がつえを突いているさまにかたどる。「ラウ」の音は、背中が曲がっている意と関係がある。

字義は数多くある。1)としより、七十歳の老人、2)おいる、ア.ふける、年をとる、イ.おとろえる、つかれる、ウ.古くなる、3)おい、年をとること、衰えて弱ること、4)ものなれる、経験を積む、5)年寄りとして扱う、年寄りとして敬う、6)年老いて官職をやめる、7)年をとり、徳の高い人、8)臣下の長、9)長者の尊称、10)他人の父母の称、11)人名に添えて敬意を表す、12)老子という人物、また著書?学説をいう、13)姓、14)律令制で、年齢による区分の一つ:戸令では、61歳から65歳までいった。

死:

がつ(がつ)+人。がつは人の残骨の象。人はその残骨を拝し弔う人。死の字形からいえば、一度風化しのち、その残骨を収めて葬るのであろう。葬は草間に死を加えた字で、その残骨を収めて弔喪することを葬という。いわゆる複葬である。

字義は次の通り。1)しぬ、ア.人や動物が死ぬ、命が絶える、イ.草木が枯れる、2)し、しぬこと、3)しかばね、死体、4)必死の、命がけの、5)ころす、しなせる、6)つきる、なくなる、7)感覚を失う、麻痺する、8)生気がない、動かない、9)通じていない、通り抜けられない、10)はなはだしい、きわめて

語源説に次がある。1)スギ(過)の約、2)サリ(去)の約。

参考資料

字通:白川 静、平凡社(1997)
字統:白川 静、平凡社(1994)
大字源:角川書店(1993)
日本国語大辞典:小学館(1979)
中国土壌分類和土地利用:林蒲田(1996)
言葉の散策 4:生?病?老?死のことわざ
語源を訪ねる 語意の真実を知る 語義の変化を認める
そして 言葉の豊かさを感じ これを守る。

生:

生有る者は死あり:生命のあるものは必ず死ぬ時がくる。「衆生界あれば仏界あり、生あれば死あり、かかるがゆえに涅槃もあり」(仮?偽愚痴物語)

生は難く死は易し:苦難に耐えて生きぬくことは困難であり、それに負けて死を選ぶことは容易で勇気も必要としない。

生は奇なり死は帰なり:人がこの夜に生きているということは、仮にこの世に身を寄せているに過ぎず、死とは天地の本源に帰ることである。(准南子?精神訓)

生も亦我が欲する所、義も亦我が欲する所なり、二者兼ね得べからざれば、生を捨て義を取らん:命も惜しいが義も立てたい。しかしこの両方を共に得ることができないならば、私は命を捨てても義を取るだろう。正義を守ることは自分一人の命より思いの意。(孟子?告子?上)

生をぬすむ:死ぬべき時に命を惜しんで生きながらえる。為すこともなくいたずら に生を貪る。(李陵?答蘇武書)

生を視ること死の如し:人が誰でも願う生に対する態度も、人のうとんじる死に対する態度も変わらない。万物に差別なく対峙して、心を苦しめ労するところがない。生死一如の境地をいう。死を見ること帰するが如し。(列子?仲尼)

病:

病膏肓(こうこう)に入る:「膏」は胸の下の方。「肓」は胸部と腹部との間の薄い膜。ともに治療しにくいところとされる。春秋左伝にある。不治の病気にかかる。また、病気が重くなって治る見込みがなくなる。ある物事に極端に熱中して、手のつけられないほどになる。 注:「肓」を「盲」と誤って「こうもう」と読み誤ることがある。

病治りて医師忘る:病気がなおると世話になった医者のことを忘れてしまうところから、苦しいことが過ぎると、頼りにした人のありがたさを忘れてしまうことをたとえていうことば。のどもと過ぎれば熱さを忘る。

病の入れ物は体:人間の体は種々の病気にかかりやすいと言うこと。人は病の器。

病は癒ゆるに怠る:病気はしかけると油断しして、失敗することがある。浮世草子にある。

病は気から:病気は気の持ちようで、重くもなるし軽くもなるということ。浄瑠璃にある。

病は口より入り禍は口より出ず:病気は口から入る飲食物によって生じ、禍は口から出ることばを慎しまないところから起こる。文明本節用筆にある。

病を守りて医を忌む:病気をそっとしておいて医者に診せるのを嫌う。自分に過失があっても、人の諌めを聞かないことにたとえていう。通書にある。

老:

上能く老を老とするときは民必ず孝を興すなり:上に立つ者が老人を敬うと、下の者もそれにならって老人に孝行をもって仕える。金言童子教にある。

死:

死に至る病:必ず死ぬと決まった病気。治療の方法のない病気。死病。絶望的な事項。キルケゴールの著書もある。

死の縁:死について前世から定まっている因縁。謡曲?隅田川や浮世草子にある。

死は或いは泰山(たいざん)より重く或いは鴻毛(こうもう)より軽し:死は立派に死んだときは重く、つまらないことで死んだ時は軽い。司馬遷-報任少卿書にある。

死は易うして生は難し:苦を逃れて死ぬことはたやすく、苦に耐えて生き抜くことはむずかしい。浄瑠璃、浮世草子にある。

死を鴻毛の軽きに比す:国家?君主などのために一身をそそぎ、いさぎよく死ぬことをいう。浄瑠璃、陸海軍勅諭にある。

善道に守り命を義路に軽んず:人間としての正しい道を守るために死に、義の道に命をささげる。人として守るべき義務の前には、生命を捨てることを意に介しない。太平記にある。

死を見ること帰するが如し:死を恐れない様子は、まるで家に帰る時のような気安さである。死に臨んでゆったり落ち着いているさまをいう。呂氏春秋にある。

参考資料

日本国語大辞典:小学館(1979)
故事俗信 ことわざ大辞典(1983)
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情報:農と環境と医療 8号
編集?発行 博狗体育在线_狗博体育直播【官方授权网站】@学長室
発行日 2005年12月1日