三宅先生_P8I0544
教授
三宅 裕志
Hiroshi
Miyake

主な研究テーマ

クラゲ類の生活史

クラゲは様々なところに生息していて、それぞれの環境に適応した生活史を送っています。クラゲは時に大発生して、我々の沿岸経済活動に悪影響を与えてしまいます。逆に私達はクラゲを食べますが、そのクラゲ類が枯渇しないように保全もしてゆかなければなりません。クラゲの生活史を通して、クラゲの環境適応能力を明らかにしてゆき、大量発生対策や持続可能なクラゲ漁業へ役立つ知見を得てゆきます。
ミズクラゲのポリプとストロビラミズクラゲのポリプ(白いイソギンチャクのようなもの)とストロビラ(茶色のもの)。
クロカムリクラゲクロカムリクラゲ:深海性のクラゲで生活環にポリプ世代がない。

クラゲ類の分類

クラゲ類は分類するときの鍵となる形が曖昧なために、分類が難しい種があります。また、同じ種だと思っていても遺伝子を調べると全然違っていたりします。クラゲの形態や遺伝情報を使って、まだ見ぬ種を見つけたり、ある種は実を言うと別のグループにはいったりと分類を整理してゆきます。身近のクラゲ類でも分からないことは沢山あります。
ミズクラゲの大群ミズクラゲの大群
同じミズクラゲと思っていても、よく調べてみると種が異なることが分かってきました。日本にも複数種いる可能性があり、研究を進めています。

熱水性生物の幼生分散

日本は排他的経済水域を入れると世界第6位の広さを持つ国になります。いいかえれば、ほとんどが海です。海には熱水鉱床など、まだまだ海底資源ががあります。しかし、熱水鉱床を開発してしまうとそこにしか棲めない生物たちがいなくなってしまう恐れがあります。そのような生物たちを守りながらも、海底資源開発をしてゆくためには、どのように熱水域に棲む生物の幼生が別の熱水域にたどり着くのかを明らかにする必要があります。
熱水域に生息するカニの仲間のゾエア幼熱水域に生息するカニの仲間のゾエア幼生。このゾエア幼生が別の熱水域へと長い旅をします。

深海生物の生活史

深海生物はまだまだ未知の生物が多く、皆さんが興味をそそられる生物分野だと思います。また、未利用資源として深海生物に注目したり、深海生物の展示なども行われています。しかし、深海生物は低温かつ餌の少ない世界に棲むため、成長が遅く、保全をしてゆかなくてはいけません。有用な深海生物はもちろんですが、それを漁獲するために、不要な深海生物も混獲されてしまっています。これらの生物を持続的に利用してゆけるようにするため、深海生物の長期飼育方法を確立し、種苗生産が出来るようにするための研究を進めています。
深海性甲殻類の卵深海性甲殻類の卵
深海を曳いたプランクトンネットから得られた魚卵深海を曳いたプランクトンネットから得られた魚卵:何が生まれてくるのか?

担当科目

1年次生対象

2年次生対象無脊椎動物学(必修:分担)地球上に生息する全動物の96%は無脊椎動物です。単純な構造から複雑な構造まで、その身体のつくりや生き方を学べば、生物がなぜこんなに多様なのかかが分かってくると思います。
海洋生命科学実験I(必修:分担)主な担当は「無脊椎動物の分類と形態観察」です。無脊椎動物の固定標本を使って種同定の方法を学び、授業で習った動物門について、深く学んでいきます
海洋実習(選択必修:分担)真鶴での磯採集やプランクトン採集実習を担当します。実際に生物を採集し、生きている様子の観察や種同定の方法を学びます。
3年次生対象深海生物学潜水船を使った研究がなされるようになってから、様々な事がより詳細に分かるようになってきました。実際に深海に行ってきた経験を活かして、深海に生きる生物の様子を秘蔵映像を交えて紹介してゆきます。
環境修復論(選択:分担)数名の教員か?分担して講義を行います。私の担当は「深海の環境問題」 です。環境の悪化は目に見える陸上や海岸だけではありません。目に見えない深海底にも私たちの活動によるしわ寄せが来ています。どのような問題があるのか?どう対処してゆくべきかを考えてゆきます。
海洋実習(選択必修:分担)三重大学の練習船「勢水丸」での実習を担当します。、実際に練習船に乗り込み3泊4日の航海に出て、これまで学んできた事をフルに使って、実習を行います。夜の空いた時間には釣り採集もします。
4年次生対象卒業論文(必修)クラゲ類、深海生物などについての独自のテーマを決めて、1年間研究を自発的に進めて、卒業論文を作成します。子供の頃から大学3年まで学んできた事をフルに使うのが卒業研究です。教員、先輩、同期の仲間ともいろいろ議論して、切磋琢磨していけば、素晴らしく成長してゆける1年になります。

海洋生命科学演習(必修)

毎月1回、全員か?学習や研究成果を発表する全体セミナーを行います。皆、ハ?ワーホ?イントや発表要旨の準備に追われます。また研究室で飼育維持している貴重なクラゲ類、深海生物等の飼育をとおして、飼育技術や生物の観察力を磨きます。
その他博物館実習I(2?3年次生対象:学芸員養成課程履修者のみ)2年次には博物館の見学とレポート、3年次には学内で標本作成や展示企画を行います。良い企画は学内で特別展示を行い、学園祭などで来場者に楽しんで もらいます。
博物館実習II(4年次生対象:学芸員養成課程履修者のみ)
4年次には、実際の博物館や水族館で実習を行います。学芸員養成課程に関わる全ての単位を取得していないと、実習に行くことができません。
アクアリウムラボ(2年生後期?4年生前期)当学部にはミニ水族館アクアリウムラボがあります。この水族館の担当をしています。
授業ではないですが、授業並み(授業以上?)に社会に出た後に役立つ活動です。立案、企画、運営まで全て学生が行います。このプロセスを通じて、社会に出た後も自分にやりたいことの出来る人になれるようにサポートしてゆきます。

経歴?業績等

主な経歴

  • 鹿児島大学大学院理学研究科生物学専攻修士課程
  • 東京大学大学院農学生命科学研究科水圏生物科学専攻博士課程
  • 海洋科学技術センター(現海洋研究開発機構)
  • 新江ノ島水族館
  • 博狗体育在线_狗博体育直播【官方授权网站】@海洋生命科学部 

主な業績

著書
  • 加戸隆介?奥村誠一?広瀬雅人,?三宅裕志(2021)三陸の海の無脊椎動物. 恒星社厚生閣.278pp.
  • Aileen Tan Shau Hwai, Sim Yee Kwang, Hiroshi Miyake (2021). Field guide to the jellyfish of Western Pacific.Centre for Marine and Coastal Studies.
    Universiti Sains Malaysia, Penang, Malaysia. 145pp
  • 三宅 裕志 (監修), 月刊アクアライフ編集部 (編集)(2021). 謎だらけ 超クラゲ図鑑 (水族館へ行こう!).エムピー?ジェー. 168pp
  • G. Jarmas and A.C. Moran(ed.) (2019) Worls Atlas of Jellyfish. D?lling und Galitz Verlag.815pp. (執筆分担)
  • 三宅裕志 (2014) クラゲの秘密 : 海に漂う不思議な生き物の正体. 誠文堂新光社.91pp.
  • 三宅裕志(2014)クラゲの不思議 : 全身が脳になる?謎の浮遊生命体.誠文堂新光社.140pp.
  • 豊川雅哉?西川淳?三宅裕志〔編)(2017) クラゲ類の生態学的研究.生物研究社. 191pp.
  • 三宅裕志(2014)巨大深海生物の謎を解く.シーアンドアール研究所。215pp.
  • 三宅裕志?Dhugal J. Lindsay (2013) 最新クラゲ図鑑 : 110種のクラゲの不思議な生態. 誠文堂新光社.127pp.

論文
  • Watabe, M., R. Minemizu and H. Miyake (2022). "First Record of Pandeid Jellyfish, Eutiara decorata Berberian, Michenet and Goy, 2021 (Hydrozoa, Anthoathecata, Pandeidae), from Japan." Hydrobiology 1(2): 139-145.
  • Oda, A., H. K. Watanabe, S. Ohtsuka, S. Wada, Y. Kondo and H. Miyake (2022). "Does the Kuroshio Current transport planktonic larvae of the hydrothermal-vent crab Xenograpsus Takeda & Kurata, 1977 (Decapoda: Brachyura: Grapsoidea)?" Journal of Crustacean Biology 42(1): 1-8.
  • 川勝美優,?三宅裕志 ?宮崎多恵子 (2021). "三重県大王崎東沖で見られたオナガオタマボヤの集積." Kuroshio Biosphere 18(1): 17-18.
  • 近藤裕介?岡田昇馬?戸篠祥?三宅裕志?大塚攻 (2021). "ヒクラゲMorbakka virulenta (Kishinouye, 1910) (刺胞動物門:箱虫綱) のポリプの成長、出芽と着底に与える水温の影響." Kuroshio Biosphere 18(2): 38-50.
  • Takauchi, S., H. Miyake, N. Hirata, M. Nagai, N. Suzuki, S. Ogiso and S. Ikeguchi (2021). "Morphological characteristics of ephyrae of Aurelia coerulea derived from planula strobilation." Fisheries Science 87: 671-679.
  • Shibata, H., H. Miyake and A. Karasawa (2021). Deep-sea jellyfish collected from deep-sea litter. The Cnidaria: Only a problem or also a resource? G. L. Mariottini, N. Killi and L. Xiao, Nova Science Publishers, Inc. Nova Science Publishers, Inc.: 321-334.
  • Miyake, H., S. Honda, J. Nishikawa and F. M. Yusoff (2021). "Life Cycle of Edible Jellyfish Acromitus hardenbergi Stiasny, 1934 (Scyphozoa: Rhizostomeae) Inhabiting a Brackish-Water Environment." Animals 11(7): 2138.
  • Kuriyama, M., H. Miyake, S. Toshino and S. Kubota (2021). "First record of an immortal jellyfish, Turritopsis dohrnii (Weismann, 1883) from Tanabe Bay, Wakayama, Japan." Biogeography 23: 62-66.
  • 石川舜?栗山眞由?三宅裕志?久保田信 (2020). "日本産ベニクラゲの分類学的再検討." 日本生物地理学会 75: 62-70.
  • 花田美穂?中川倫代?濱端明美?三宅裕志?天野博雄 (2020). "三陸の漁師に生じたエラコ皮膚炎を伴う納豆による遅発性アナフィラキシーの1 例." 日本皮膚免疫アレルギー学会雑誌 3.
  • Miyake H, Kiyosugi K (2020) Discovery of vestimentiferan tube worms from the Kikai Caldera off Satsuma Peninsula, Kagoshima, Japan. Biogeography 22: 1-5.
  • Miyake H, Wada S, Adachi A, Ohtsuka S, Ikeda S, Yonetani M, Pagliawan HB, Metillo EB, Okoshi K (2019) Benthic platyctenid ctenophore, Vallicula multiformis Rankin, 1956, found in an aquarium on Palawan Island, the Philippines. Plankton and Benthos Research 14: 14-21.
  • Miyake H, Oda A, Wada S, Kodaka T, Kurosawa S (2019) First record of a shallow hydrothermal vent crab, Xenograpsus testudinatus, from Shikine-jima Island in the Izu archipelago Biogeography 21: 31-36.
  • Miyake H, Adachi A, Ikeda S, Nishikawa J, Ohtsuka S, Srinui K, Muthuwan V, Taleb S, Yusoff FM, Metillo E, Pagliawan H (2019) New exhibitions of beautiful Southeast Asian jellyfish at aquaria: collection and life cycle. Proceedings of the10th International Aquarium Congress Fukushima 2018: 106-109.
  • Toshino S, Miyake H, Shibata H (2018) Development of Carybdea brevipedalia Kishinouye, 1891 (Cnidaria: Cubozoa: Carybdeida: Carybdeidae) collected from northern Japan. Plankton & Benthos Research 13: 116-128.
  • Toshino S, Miyake H, Shibata H (2015) Meteorona kishinouyei, a new family, genus and species (Cnidaria, Cubozoa, Chirodropida) from Japanese Waters. Zookeys: 1-21.
  • Shibata H, Miyake H, Goto T, Adachi A, Toshino S (2015) Wild polyps of the blooming jellyfish Aurelia limbata (Brandt, 1838) (Cnidaria: Scyphozoa) found on deep-sea debris off Sanriku, Japan. Plankton & Benthos Research 10: 133-140.