海洋生命科学研究科
海洋生命科学研究科は、海洋を中心とする水圏生物資源の高度有効利用と、水圏の生態系の保全、その両者の調和を通して、21世紀の地球が抱えている環境?食糧問題の解決に貢献できる研究者、技術者の養成を目指します。専門分野は「増殖生物学」「環境生物学」「応用生物化学」の3つ。学術論文や学会での発表など研究活動の活発さは、水産?海洋系私大ではトップクラスです。
研究分野
増殖生物学専門分野
水族増殖学
- 魚類の養殖環境とストレス応答
- ウナギ属魚類の性分化と繁殖整理
- 回遊魚の環境適応機構
- 魚類の免疫-内分泌相互作用
- 淡水-汽水域の包括的資源管理
海洋分子生物学
- 魚類神経内分泌系の分子生物学的及び生理学的研究
② 温度環境への適応
③ 体色形成と体色調節
④ 体内時計
⑤ 生殖機能の調節
- 魚類における栄養同化?消化系の生化学的?生理学的研究
水族生理学
- フグ毒の生理機能
- 水産無脊椎動物の神経内分泌機構
- 魚類におけるストレス系と接触?生殖系との関連
- 魚類の休眠に関する行動生理学的研究
水族病理学
- 魚類体表の防御機構
- 魚類の免疫応答における還伝子解析
- 胎生魚における母仔間免疫
水族育種生物学
- シオミズツボワムシ個体数変動の調節機構
- 魚介類の遺伝的多様性と生活史特性
- 様々な水棲動物の発生過程における代謝の解明
- 魚類の卵形成過程における代謝の理解とその応用
環境生物学専門分野
魚類生態学
- 遺伝学的手法による水生生物の系統分類の再検討
- 沿岸性魚類等の資源?生物学的研究
- 淡水域から沿岸域における生物生産と物質循環
海洋無脊椎動物学
- 分子生物学的及び形態学的手法を用いた水生生物の分類
- 水生生物の生活史及び生態に関する研究
- 深海生物の生態及び飼育技術に関する研究
環境微生物学
- 微細藻類の生理生態に関する研究
- 海洋プランクトンの生態に関する研究
水圏植物学
- 海藻類の組織培養
- 凍結保存を用いた有用藻類のカルチャーコレクションの作成
- 海藻類の群落維持機構の解明
深海生物学
- 深海生物と微生物の共生関係の進化と分子機構
- 環境DNAを用いた海洋生物の多様性解析
- 深海性浮遊生物の分類及び種多様性
- 深海性浮遊生物の生態
- 深海生物(主に甲殻類)のプランクトン幼生分散
- 深海生物の生物地理及び系統地理
※連携大学院「海洋研究開発機構(JAMSTEC)」所属学生のみ受講可能
応用生物化学専門分野
食品化学
- 海洋生物におけるDーアミノ酸の生理機能と代謝機構に関する研究
- 海洋生物におけるオピン類の代謝と生理活性に関する研究
- 海藻硫酸化多糖の生合成機構と生物活性に関する研究
- ゲノム情報を利用した魚類筋肉タンパク質の研究
- 未利用海洋生物資源の高度利用に関する研究
- 魚類の培養肉開発に関する研究
海洋生物化学
- フグ毒テトロドトキシン、麻ひ性貝毒、記憶喪失性貝毒などの海洋生物毒の代謝機構
- 海洋生物毒の生合成機構と生物学的意味の解明
- 海洋生物由来の有用物質を生産する微生物に関する研究
- 代謝物情報を活用したウミウシの食性解析
海洋生物資源化学
- 海洋生物由来の生理活性物質の構造と機能に関する研究
- 海洋生物レクチンの構造と生理機能に関する研究
- 海洋生物の高分子物質機能の有効利用に関する研究
- 海洋生物の石灰化機構に関する研究
- 海洋生物の卵形成機構に関する研究
水族機能生物学
- 魚介類の生命現象を統御する生理活性物質のメカニズムに関する研究
- 水産未利用バイオマスを有効活用した魚介類資料の開発
- 水圏微生物由来の新規天然化合物の探索
- 水圏微生物由来の天然化合物の生合成に関する研究
国内外の学会発表例
海洋無脊椎動物学研究室(旧水圏生態学研究室)
「日本産立方クラゲ類の分類学的再検討」私たちを海水浴場で刺すクラゲはアンドンクラゲやハブクラゲで、立方クラゲの仲間です。立方クラゲの仲間は日本には5種しかいないと言われていましたが調べてみると9種以上いることがわかり、その中の1種は新種リュウセイクラゲとして発表しました。この発見により、立方クラゲの分類体系が大きく変わることになりました。
就職実績
海洋生命科学研究科の就職実績?進路実績は下記ページをご覧ください。研究科生VOICE
世界中で減少が進むサンゴ礁の保全?回復に貢献していきたい。
一般的にサンゴ礁は栄養塩の少ない海域に生息しており、陸からの栄養塩の供給はサンゴの成育に悪影響をおよぼすと考えられますが詳しいメカニズムは分かっていません。そこで飼育可能なコユビミドリイシの稚ポリプを用いて調べたところ、リンを添加して飼育すると、サンゴ幼生の骨格形成が阻害されることが分かりました。実際、沖縄県などでサンゴがいなくなってしまった場所を調べると、陸上由来のリンが海底に蓄積してしまっており、サンゴの成育を妨げている可能性が高いことが明らかになりました。今後はさらなる全容解明に取り組んでいきます。
飯島真理子さん
長野県県立伊那北高等学校出身
海洋生命科学専攻 博士後期課程3年(取材時)
資源化学研究室
海洋生命科学専攻 博士後期課程3年(取材時)
資源化学研究室
養殖場とのタイアップのもと、アワビの卵発生メカニズムを解き明かす。
研究テーマは、アワビ幼生の栄養の利用機構解明です。アワビは卵から産まれて大人の形になるまでに1週間以上かかるのですが、その問は母貝から託された卵黄という栄養の塊を利用してエネルギーを獲得します。成長や生存率に大きく関わると考えられている卵黄ですが、実はその成分や利用機構については未解明の点が多いんです。そのため、アワビの養殖会社さんと協力しながらそのメカニズムの解明を目指しています。研究室では、中間発表の打ち上げやBBQなど交流の場も多く、コミュニケーション能力を身につけるのにも役立っています。
小山夢玄さん
東京都都立立川高等学校出身
海洋生命科学専攻 修士課程2年(取材時)
水族育種生物学研究室
海洋生命科学専攻 修士課程2年(取材時)
水族育種生物学研究室