研究
Research

増殖生物学講座
魚類分子内分泌学研究室

研究生活あれこれ

研究室への配属

12月に研究室に配属されたら教員スタッフとの顔合わせをします。自分の研究テーマや進路について教員と相談しますが、研究室活動は基本的に4月になってから始まります。2月の卒業論文発表会に参加して、来年度の自分の研究テーマを考えてもらいます。

研究室での暮らし

4年生のコアタイムは10時から16時までとなっています。11時からのブリーフィングでその日の予定を報告します。何人かで共同作業する実験や、機械の使用スケジュールなどもここで確認します。

卒業論文

卒業論文は毎月コツコツ作ります。5月頃に研究テーマが決まると、その研究の背景となる領域について、過去の卒業論文や学術論文を読み、自分の卒業論文の「序論」となる文章を作り始めます。研究の進展に合わせて「材料と方法」「結果」「考察」「図表」がこれに加わってきます。毎月最終金曜日に月間レポートとして、その文章を提出します。どのような文章も一朝一夕ではできません。何度も構成を考え直し、遂行して出来上がります。12月に予備発表会を行う頃には実験結果がだいたい出揃い、序論と考察のストーリーも固まってきます。2月の卒業論文発表会前に卒業論文を提出し、発表会で受けたコメントを反映させて完成版を作ります。こうしてできた卒業論文は学年ごとに卒業論文集として印刷され、後輩たちに受け継がれていきます。

研究発表

毎週のようにセミナーを行います。最初は教員や院生が紹介する研究テーマを勉強します。4年生は5月頃から自分の研究テーマについて発表を始めます。実験が進展してくると、その進捗状況の報告が始まります。だいたい月に1、2回くらい発表の順番が回ってきます。9月頃からパワーポイントを用いたスライドの発表が始まります。教員や同輩から厳しい質問や指摘が飛び交います。発表スキルが身についてきたところで、12月の予備発表会で全員が発表します。このときはプログラムを組んで要旨集も印刷して、本番さながらの雰囲気に包まれます。そこからラストスパートをかけて、2月に卒論発表会を行います。スーツを着ての晴れ舞台です。

かわいい飼育動物たち

養殖対象魚や観賞魚の他に、実験モデル魚を飼育してゲノム編集も行っています。現在はヒラメ、コイ(ニシキゴイ)、ミナミメダカを飼育しています。
IMG_6184ヒラメ Paralichthys olivaceus
 歯応えがあって刺身で人気の魚です。緑色光を照射することによって成長スピードが上昇します。当研究室では、緑色光がヒラメの行動や脳の活動に及ぼす影響を研究しています。
ニシキゴイニシキゴイ Cyprinus carpio var.
 日本で誕生した観賞魚(鑑賞魚)として世界的に人気があります。なぜこのように鮮やかな色とパターンを作り出すことができるのかはまだよくわかっていません。当研究室ではニシキゴイをマゴイの変異体と見立てて、その体色調節システムを研究しています。
メタ?カ2ミナミメダカ Oryzias latipes
ゼブラフィッシュとならんで世界的に用いられているモデル魚です。当研究室では体色や体内時計の研究に用いています。

学外組織との共同研究

カレイの仲間やニシキゴイを大きな水槽で本格的に飼育する実験は、共同研究している国や県の試験場にお願いしています。カレイの仲間については、これまで国立研究開発法人水産研究?教育機構の宮古庁舎(岩手県)、神奈川県水産技術センター、岩手県水産技術センターなどと共同研究を進めてきました。ニシキゴイについては新潟県内水面水産試験場と共同研究を行っています。また高校やNPO法人での水産教育活動にも協力しています。

実験テクニック

魚類におけるホルモン遺伝子の働きを調べるために、分子生物学や生理学のテクニックを用います。定量的PCRを用いた遺伝子発現量を測定したり、ホルモンを産生する細胞や、そのホルモンを受け取る(受容体を発現する)細胞を組織学的に調べたります。合成したホルモンや薬剤を生体や組織に投与する薬理学的実験も行います。体色を詳しく解析するために、皮膚や鱗を顕微鏡撮影して画像解析を行うこともあります。脳内の神経細胞(ニューロン)の活動を調べるために電気生理学的実験も現在、立ち上げ中です。実験によっては共通機器室にある高額な機械を使用します。