研究
Research

応用生物化学講座
生物化学研究室

研究室について

研究内容

海洋生物が持つ毒の謎に迫る
海洋生物の一部は強力な自然毒を保有しており、これらを食べた人に致死的な食中毒を引き起こすことが知られています。 フグ毒として知られるテトロドトキシン(TTX)は、フグだけでなく、ヒョウモンダコ、モミジガイ、ヒラムシ、スベスベマンジュウガニなどの海洋生物に加え、アカハライモリなどの陸生生物も高濃度にTTXを蓄積していることが報告されています。TTX は食物連鎖によって生物濃縮されると考えられていますが、 誰がTTXを生産するのか、遺伝子レベルでは明らかになっていません。我々はTTX 発見から100年以上経っても未解決なこの難問に挑んでいます。また、最近TTX 関連物質であるトリデオキシTTX(TDT)がフグ類を誘引することを明らかにしました。その結果、フグはTDTを含む餌生物に誘引され摂食し、共存するTTXを取り込むことで効率的に毒化する、という新たなフグ毒化機構を提唱しています。
海洋生物に含まれる生物活性物質に関する研究
海洋生物に含まれる生物活性物質を上手に利用すれば、化合物を医薬品や研究試薬に利用することが可能です。実際に、海洋生物からは8つの医薬品が開発され、19の化合物が臨床試験中です。このように海洋生物は食料としてだけでなく、重要な生物資源として利用されています。我々も新たな生物活性物質の探索に加え、化合物の生産機構、生産生物の解明を目指し、化学、遺伝学、微生物学の観点から挑戦しています。
環境DNAに関する研究
科学技術が発展している現代でも、いつどこにどんな生き物がどれくらい存在しているのかは、まだほとんど解明されていません。我々は海、川、池などの水に含まれるごく微量のDNAから魚などの生物の生態や資源量を明らかにすることを目指しています。生態系の謎を解き明かし、持続可能な資源管理や環境保全に貢献したいと考えています。