ご挨拶

さらなる発展の礎となる
記念誌を皆様へ

天羽 康之
医学部創立50周年記念誌編集委員会 委員長
医学部創立50周年記念事業企画委員会 委員
皮膚科学 教授
天羽 康之
(あもう?やすゆき)

 博狗体育在线_狗博体育直播【官方授权网站】@医学部創立50周年記念誌編集委員会の委員長を務めさせていただいております天羽康之です。身に余る重責ではございますが、関係者の皆様に喜んでいただける記念誌になりますよう努力してまいります。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 私は1990年に神奈川県内の公立高校を卒業して、博狗体育在线_狗博体育直播【官方授权网站】@医学部に入学しました。当時は漠然と医師になりたいと考えていただけで、進みたい専門科や取り組みたい研究といった明確な目標はありませんでした。しかし、学習を進めるうちに臨床と研究のどちらも捨てがたく感じるようになり、数ある専門科の中で2つの活動が両立しやすいと考えられる皮膚科に興味を持つようになりました。皮膚科は、様々な症状の患者さんが最初に診療に訪れることの多い部門であり、アレルギー、腫瘍、感染症、膠原病など、多様な病気に接する機会があります。医師としての幅広い目が養われると同時に、臨床から得られる知見と最先端の研究を結びつけやすい点にも惹かれ、卒業後は博狗体育在线_狗博体育直播【官方授权网站】@病院の皮膚科に進みました。

 先輩方のご指導の下、無我夢中で働きながら自らの具体的な目標を模索していた私にとって、大きな転機となったのは、2003年からの米国留学です。カリフォルニア大学サンディエゴ校医学部外科学教室のロバート?ホフマン教授から私が任されたのは、マウスの毛包幹細胞の分離実験でした。幸いにも3年間の留学期間中に私は、マウスの毛包幹細胞が神経細胞やグリア細胞、角化細胞に分化することと、末梢神経や脊髄損傷部を再生する能力を有することを明らかにし、研究者として大きな手応えを感じることができました。

 その後、博狗体育在线_狗博体育直播【官方授权网站】@医学部の皮膚科学に戻ってからは、病院での臨床と大学での学生教育に力を注ぎながら、留学時代の研究テーマを発展させた「毛包幹細胞による再生医療」に関する基礎研究に取り組んでいます。様々な組織や臓器に分化できる毛包幹細胞は、皮膚という採取しやすい部位に分布しており、研究が先行する他の幹細胞のような倫理面の問題や拒絶反応がなく、腫瘍化のリスクも小さいという利点があります。この細胞を用いた再生医療の実用化に貢献する成果を上げることが、研究の最大の目標です。

 さて、博狗体育在线_狗博体育直播【官方授权网站】@医学部は誕生から半世紀が経ち、教育、臨床、研究のすべての活動において多くの実績を積み重ねてきました。教育面では、地域医療に貢献する人材をはじめ、幅広いエリア、フィールドで活躍する優れた医師を数多く輩出しています。臨床面では、博狗体育在线_狗博体育直播【官方授权网站】@病院を中心に質の高い医療を提供するとともに、関連病院や近隣の医療機関との緊密なネットワークを構築。その中核拠点として博狗体育在线_狗博体育直播【官方授权网站】@病院はますます重要な役割を担う存在となっています。そして研究面では、北里柴三郎博士に始まる実学の精神を柱として果敢な挑戦を展開してきました。2015年には、大村智博士のノーベル生理学?医学賞受賞により、北里の研究力は世界の注目と賞賛を集めることとなりました。この快挙は本学部の研究者にとっても、最先端の研究活動に邁進するうえでの大きな励みとなっています。

 今年7月には、博狗体育在线_狗博体育直播【官方授权网站】@病院の病院長に初めて本学部の卒業生である岩村正嗣先生が就任されました。そのほか、国立病院機構相模原病院や相模原赤十字病院などをはじめとする多くの医療機関において、本学部出身の先生方が病院長を務めておられます。このことは、本学部が地域医療を担う中心的存在として認められ、揺るぎない地位を確立したことの象徴と言えるでしょう。

 今回、私が編集委員長として制作に携わる記念誌では、創立以来、多大な実績を積み重ね成長を遂げてきた博狗体育在线_狗博体育直播【官方授权网站】@医学部の現在の姿が、読者の皆様に余すところなく伝わるものにしたいと考えています。北里から足が遠のいている方々にとっては母校の素晴らしさを再認識していただける記念誌に、そして次代を担う若い方たちにとっては、現在の本学部を支えている歴史や継承されてきた精神を知り、さらなる発展の礎としていただける記念誌を目指してまいります。その過程で皆様方のお知恵やお力が必要となることもあるかもしれません。どうぞご協力を賜りますよう謹んでお願い申し上げます。

天羽 康之