生薬学教室
生薬学教室
English薬用植物の品質や薬効を科学的に解明して、漢方や予防医学に役立てる。
東洋の漢方薬や中医薬、西洋の植物療法、アロマセラピーなどで利用される薬用植物を対象に、東洋医学総合研究所と協力して、化学成分の網羅的解析や薬効評価研究を行います。数千年前から植物を健康維持に使ってきた人類の知恵を、医薬品や機能性食品に上手に活用したいですね。
研究内容
研究内容について
生薬学とは
生薬学とは、Pharmakon(薬)とgnosi(s知識)を語源とするPharmakognosieの訳語
広義では、生薬を研究対象としたあらゆる学問を包括
1.組織形態学的研究
2.本草学的な考証研究
3.栽培、組織培養などの生産や流通の研究
4.品質評価研究★
5.含有成分の化学的研究および合成研究★
6.活性成分の吸収? 代謝に関する研究
7.生物活性?薬理活性の研究★
8.漢方薬に関する研究★
9.臨床的研究
10.民族 薬物学?薬用資源学的研究
★当研究室で特に力をいれているもの
研究テーマ
1) 癌,肥満症,糖尿病,アトピー性疾患,歯周病などの生活習慣病や加齢に伴って発症し易くなる疾患の予防?治療に有用な植物由来創薬シーズの探索
薬用植物を中心とする天然資源から,抗癌活性,女性ホルモ ン様活性,抗女性ホルモン様活性,抗酸化活性,知覚神経刺激活性,抗歯周病菌活性,脂肪滴蓄積阻害活性、二糖類分解酵素阻害活性などを指標としたin vitro評価系を活用し,機能性素材の探索を行う。さらに活性成分を単離?同定し,ユニークな骨格を有した活性物質をリード化合物としたより高活性の誘導体合成を目指す。
2) 芳香性植物素材,理気?補気生薬の抗ストレス?抗うつ作用の検討
古来より病気は気から,という諺があるが,近年,うつ病が 不眠症や心疾患,糖尿病,動脈硬化,メタボリックシンドロームなどの多くの疾患の発症リスクを増大させる危険因子であることが注目されている。我々は,マ ウスin vivo評価系を活用し,芳香薬や薫香料として日本で伝統的に利用されてきた植物の精油成分や理気?補気作用を有する生薬として漢方医学において伝統的に 利用されてきた生薬成分の自律神経系や循環器系へ及ぼす効果を評価?検討し,日本人的嗜好にあった抗ストレス?抗うつ作用を介する生活習慣病予防素材の開 発研究を行う。
3) 生薬のケミカルプロファイリング及び品質評価
漢方処方に加味されることの多い生薬のNMRによるケミカルプロファイリング(NMRメタボローム解析ともいう)を主に実施し、他の分析手法と組み合わせ、本方法の「生薬の真偽および品質の優劣の識別法」としての有用性を検証し、さらに「高精度で品質の良否を鑑別可能な基準」を策定する。
実験内容
上記の研究テーマを遂行するために実際に以下の様な実験を行っている
研究室全員で取り組む実験; 生薬含有化合物の単離?同定及び分析
より専門的な実験
in vivo 生理活性評価系
in vitro 生理活性評価系
活性化合物の全合成及び誘導体合成
生薬の品質評価
研究方針
全地球 規模の自然環境の悪化に伴い,貴重な医薬品の原料である薬用植物資源の枯渇が憂慮されている。そこで,世界各地の植物資源から新規生理活性成分の探索を行 い,活性成分を単離?精製し,活性本体の構造を明らかにすると共に新規高活性誘導体の化学合成を目指した創薬研究を行う。
また,近年,世界的に大きな問題となっている生活習慣病の予防に有用な機能性食品の開発を目的として,食用可能な薬用植物を対象とした機能性探索?評価研究を行い,有用な活性を有する植物に関しては,その活性成分を同定する。
同時に,活性を有することが明らかにされた有用な植物については,活性成分を安定的に高含有する品種の探索や識別,品質管理に関する研究を行う。