学内広報誌
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PICK UP
コロナ禍を経て再スタート
ケンタッキー大学薬学部との国際学術交流
薬学部国際学術交流委員会委員長
久保田理恵
(臨床薬学教育部門 教授)
本学は1973年に日本で初めて大学院薬学研究科に臨床薬学の教育課程を開設し、パイオニアとして日本の臨床薬学教育をリードしてきました。米国で臨床薬学教育のトップレベルにランキングされているケンタッキー大学薬学部との国際学術交流は、本学の臨床薬学教育の道標の一つになってきました。1989年に国際学術交流協定書を締結し、教員の交流や留学と共に、学生の短期海外研修が実施されてきました。最初は大学院生からスタートしましたが、現在は薬学科6年生を対象にしており、ケンタッキー大学学生の日本研修も行われています。コロナ禍での中断を経て、今年度5年ぶりに2週間の海外研修が実施され、11名の6年生が参加しました。研修に先立ち、2024年4月3日~12日にケンタッキー大学教員が来日し、事前教育として臨床薬学集中講義も行われました。
2024年度のケンタッキー大学臨床薬学研修
2024年5月20日から6月1日までの約2週間、6年生11名が米国ケンタッキー州レキシントンにあるケンタッキー大学薬学部、ケンタッキー大学病院、また地域の薬局において臨床薬学研修を行いました。この研修は、米国における医療制度、病院薬剤師/薬局薬剤師の機能、チーム医療の実際、薬学教育の現状を知り、本邦との相違を理解した上で薬剤師職能に対する将来像を見据えることができるようになるのが目的です。
薬学部での研修は、ワクチン接種の手技を練習するなど、米国の薬学教育の一端を経験することができました。ケンタッキー大学病院では、中央薬局や病棟、ケンタッキークリニックの外来薬局などを見学し、薬剤師の役割について説明を受けました。研修2週目にはClinical Shadowingでの研修が行われ、ケンタッキー大学病院のCritical Careを中心とした各医療チームの回診などに1名ずつが参加し、医療チームの中での薬剤師の活動の実際を体験しました。参加した学生達は、薬剤師が多職種と連携し、責任と自信を持って薬物治療に貢献をしている姿を見ることができ、またレジデントや薬学生が薬物治療の豊富な知識を持ち、医療チームの中で責任を持って対応しているのを実感したようです。更に独立型やチェーンの薬局を見学し、日本との相違を理解することもできました。
米国の医療事情や文化を理解することは、薬剤師としての資質や豊かな人間性を高め、将来の薬剤師像を自ら描いていく際の、大きな指標の一つになると思われます。国際学術交流活動は、薬学生の国際的な視野を醸成する機会となり、大きな効果が期待できると考えます。
次年度も、多くの学生が研修に参加することを期待しています。
ケンタッキー大学薬学部の学部長や教員と
ケンタッキークリニックの前で
大学マスコットのワイルドキャットと一緒に
ワクチン調製体験
ワクチン接種体験
研修に参加した学生より
薬学科6年 医薬品化学教室
舘内ゆめみ
今回のケンタッキー大学海外研修では、病院や調剤薬局、外来薬局、スペシャリティファーマシーなど、多様な医療施設で貴重な学びの機会を頂きました。日本とは異なる医療制度や体制について、その長所や短所を含め、多くのことを理解することができました。
また、乗馬体験やバーボン工場見学など、ケンタッキー州ならではのアクティビティにも参加しました。レキシントンの文化に触れ、その魅力を存分に味わうことができました。医療に関する知見だけでなく、地域文化についても幅広く学ぶことができた研修でした。
薬学科6年 衛生化学教室
村松瑞季
病院や薬局を見学し薬剤師の仕事を間近に見ることで、アメリカの薬剤師の専門性の高さを感じました。日本との違いを特に感じたところは、テクニシャンの存在と保険制度の事情です。これにより、日本の薬剤師とは仕事のカバーする領域が異なる印象を受けました。患者さんの治療において薬学的部分に責任を持ち、他職種からも頼りにされる薬剤師の姿はとても活き活きしていてカッコよく、大変刺激を受けました。
日本でのアイオワ大学学生の臨床研修
地域医療薬学 教授
根岸健一
薬学部では学部6年生に対して、2011年より米国アイオワ大学薬学部の2週間臨床研修を提供し、これまでに66名が研鑽を行いました。そして、双方向交流が国際交流では重要とされている事もあり、相互理解の増進及びグローバルな人材育成を目指し、2015年からアイオワ大学の薬学部6年生に対しても、日本での4週間研修を実施してきました。2019年までの5年間で10名が来日しましたが、残念ながら博狗体育在线_狗博体育直播【官方授权网站】@感染症により中断せざるを得ませんでした。しかし、その状況も落ち着いたことから、5年ぶりに受入れを再開し、2024年6月24日より2名が来日しました。オリエンテーションと学内教員の講義、博狗体育在线_狗博体育直播【官方授权网站】@病院、北里研究所病院、薬学部附属東洋医学総合研究所、近隣薬局、医薬品卸業者などの見学を行い、米国とは異なる日本の医療事情や保険制度に興味を持ったようでした。特に、ファーマシー?テクニシャン制度のない日本では、薬剤師が調剤業務の多くを担っていることに驚いたようです。また、お薬手帳は、米国にないアイテムのため、その活用方法を聞き、すごくよい取り組みだと関心を示していました。尚、異文化交流として、本学の学生とのミーティングの機会を設ける事で、お互いの国の薬剤師教育や薬剤師業務を比較?理解するなどの親交を深めたことで、相互に友人をつくる貴重な機会になったと感じました。
アイオワ大学の学生(中央2名)と
サポートする本学部の教員?学生