研究コラム 非線形物理学とは

担当:十河 清 (非線形物理学講座 物性理論ユニット 元教授)

1.物理現象は基礎方程式により記述される。

物理学には、力学?電磁気学?量子力学など対象や尺度に応じたいろいろな分野があり、それぞれに基本法則がある。それらは一般に、ニュートン方程式?マクスウェル方程式?シュレディンガー方程式などの数学的方程式として記述され、理論の課題は、適当な条件のもとでそれらを解いて実験?観測と比較検証することである。

2.多くの基礎方程式は数学的には非線形な方程式で正確に解くのがたいへん難しい。

そのため、コンピュータや数学的技巧を駆使して解く。そこに理論の醍醐味があるのだが、その他にも、そこから新しい現象が発見されることや新しい数学分野が開拓されることがある。

3.非線形方程式のなかには正確に解け、かつ興味深い物理現象を説明できるものがある。

いわゆるカオスとかソリトンなどはそのような例で、これらの概念が新分野を開拓したことは記憶に新しい。
非線形物理学研究室では、素粒子?宇宙から物性にわたるいろいろな分野に現れる非線形方程式を、あらゆる手段を駆使して研究している。

ローレンツ?アトラクタ

受験生へのメッセージ

  • 人間は、たとえ奇妙な現象であっても何度も見慣れてしまうと不思議なことと感じなくなってしまう、ということがある。「不思議と思う気持ち」を失わないようにして欲しい。
  • これ自体不思議なことであるが、物理現象は数学的方程式により記述することができる。未解決の問題や未知の現象もまだ多く残っている。それらは君達に発見されるのを待っている。