研究コラム 2015年は国際光年(IYL2015)

担当:黒田 圭司(フォトニクス講座 フォトニクスユニット 准教授)

国際光年 (International Year of Light)とは

1860年代にマクスウェルによって電磁波の理論が完成し、光もまた電磁波の一つであることが結論付けられました。その約50年後、アインシュタインが光は粒子としての性質を持つという光量子説を提唱しました。この波動性と粒子性を同時に持つという光の特性が明らかになって100年、基礎研究から応用分野までの広い領域において光技術はめざましい発展を遂げました。これらをはじめとしたいくつかの画期的な業績を記念し、2015年を光と光技術の国際年(IYL2015)とすることが国連総会において宣言されました。それに伴い関連する研究機関や学会によって様々なイベントが企画されています。

基礎研究から日常生活まで、現代社会を支える光

日常生活において光という言葉を耳にする機会がよくあると思います。みなさんにもなじみの深いインターネットを支える光通信は我々の生活になくてはならないものとなりました。太陽光発電は化石燃料に依存しない社会の実現において中心的な存在になることが期待されます。昨年、日本人研究者がノーベル物理学賞を受賞した発光ダイオード(LED)は記憶に新しいでしょう。一方で基礎分野に目を向けると、量子テレポーテーションや周波数標準技術といった最先端の研究においてもレーザーを中心とした光技術は大きな役割を果たしています。

www.light2015.org/Home.html
iyl2015-japan.org/

光技術のさらなる応用に向けて

我々は光を用いて人体の断面像を撮影するOCT(Optical Coherence Tomography)装置に、通信用半導体レーザーを用いることで、診断の高速化、高機能化を目指しています。さらにファイバー増幅器や光変調器といった通信分野で発展した素子を用いて、情報処理の高速化を目指した新しい光技術の開発と、それに向けた基礎研究も行っています。

受験生へのメッセージ

マクスウェル方程式をもとに光を波動として扱うと、きれいな形式で記述することが出来ます。その一方で粒子性に注目すると、量子力学的な扱いが必要となります。時には波動として古典的に、時には粒子として量子力学的に扱われる光は、純粋な基礎物理学を目指す受験生の方にも、社会に貢献する製品開発をこころざす受験生の方にも興味深い学問の対象であると言えるでしょう。