第489回獣医学科セミナー<特別講演>「分節型2本鎖RNAウイルスの人工合成」演者:小林 剛 先生 (大阪大学 微生物病研究所 ウイルス免疫分野)

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2023-07-04
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17:00
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A棟3階 A31講義室

イベントの概要

以下の通り、第489回獣医学科セミナー<特別講演>を開催します。

多数ご参集くださいますようお願い申し上げます。

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第489回獣医学科セミナー<特別講演>

【開催日】 7月4日(火)

【会 場】 A棟3階 A31講義室

【時 間】 17:00~

【演 者】 小林 剛 先生 (大阪大学 微生物病研究所 ウイルス免疫分野)

【タイトル】 分節型2本鎖RNAウイルスの人工合成

【要 旨】

レオウイルス科に属するウイルスは9~12本の分節型2本鎖RNAゲノムを有しており、ヒトや動物に病原性を示す多くのウイルスがこの科に含まれています。ロタウイルスは様々な種で急性の胃腸炎を引き起こし、医療の発展が遅れている開発途上国を中心に、ヒトロタウイルス感染によって、年間約15万人の乳幼児が亡くなっています。幸いにもヒトロタウイルス感染に対しては経口生ワクチンが導入されており、重症化予防に優れた効果をあげています。しかし、現在使用されているワクチンについては改良の余地もあり、新しいロタウイルスワクチンの開発研究が継続して行われています。

ウイルスの人工合成系(リバースジェネティクス系)とは、ウイルスゲノム由来の核酸を培養細胞に導入することで、ウイルスゲノムに任意の変異を導入した組換えウイルスを人工的に合成する技術です。この技術は多くのウイルス種で開発され、ウイルス学研究の発展に大きく寄与しています。ロタウイルスのように多分節ゲノムを持つレオウイルス科ウイルスでは、リバースジェネティクス系の確立が遅れていました。これまで私達の研究グループはレオウイルス科のリバースジェネティクス系の開発研究を精力的に進めてきました。その結果、世界で初めて、哺乳類レオウイルスやロタウイルスの完全なリバースジェネティクス系の開発に成功することができました。また、最近では、最多12分節ゲノムを有するコルチウイルスの人工合成にも成功しています。現在、この技術を用いて、ロタウイルスの増殖機構の解明や新規ワクチンの開発研究を行っています。本セミナーでは、ロタウイルスのリバースジェネティクス系の開発とその応用研究を中心に紹介します。

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