オゾンは,酸化能力,殺菌能力,有機物の分解能力に優れ,様々な産業に利活用されています。しかし,専用の施設を必要とするなど,取り扱いが難しいことが難点です.そのような状況において,近年,オゾンを超微細気泡(ナノバブル)化する実用的な技術が開発されました。オゾンをナノバブル化することにより,オゾンの取り扱いが容易になり,高濃度のオゾンを安全に水中に導入することが可能になりました。
そこで,私たちの研究室では,オゾンナノバブルを用いて,水環境の浄化に取り組んでいます。オゾンナノバブルを用いた水質改善は,目標6のターゲット,「安全な水の確保」に大きく貢献します。以下に,私たちの研究のこれまでの成果をご紹介します。
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1,4-ジオキサンは,化学工業や製造業において広く使用されてきましたが,ヒトに対して,急性?慢性毒性を示し,発がん性の可能性が指摘されています。この物質は,水と混和しやすい,微生物分解性が低い,化学的に安定であるという特性があり,しばしば地下水汚染を引き起こします。従来の水処理技術では,1,4-ジオキサンの処理に,多大なコストと労力が必要であるため,簡便で実用的な処理技術の確立が求められています。そこで,私たちは,オゾンナノバブルを用いた簡易な分解方法を検討し,1,4-ジオキサンを比較的短時間で分解することに,ラボスケール1),および,パイロットスケールで成功しました。
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硫化水素は,酸素のない(嫌気的な)環境で微生物によって産生される急性毒性のある有毒ガスです。このガスは,トンネル工事中に噴出したり,富栄養化した水域の下層に集積したりして問題となっています。私たちは,硫化水素が噴出した工事現場のピット(立坑)内に残存する高濃度の溶存硫化水素を,酸素?オゾンナノバブルを用いて処理し,短時間で浄化することに成功しました。2)?
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