論文タイトル:Dietary oleic acid intake increases the proportion of type 1 and 2X muscle fibers in mice
和訳タイトル:オレイン酸摂取はマウスの1および2X型の筋線維を増加させる
オレイン酸はオリーブオイルや動物性油脂に豊富に含まれている不飽和脂肪酸(n-9, 18:1)であり、私たちの体内でも合成されている一般的な脂肪酸です。我々は今回このありふれた脂肪酸であるオレイン酸の新規機能性を発見しました。
我々は骨格筋の性質の変化についてこれまで研究を進めてきました。骨格筋は脂質利用に優れた遅筋型と糖利用に優れた速筋型の2種類に大きく分けることができます。これらの違いは運動トレーニングで変化することが知られています(マラソン選手は遅筋型、重量挙げ選手は速筋型のように)。特に遅筋型は脂肪を燃焼しやすく、持久力に優れるため、私たちは食品成分に着目して、その増加を目指してきました。本研究ではオレイン酸を10%配合した飼料(対照群はパルミチン酸)を4週間マウスに給餌しました。その結果、オレイン酸摂取は遅筋型の比率を増加させ、それに伴い走行持久力を向上させることを見出しました。
本研究の解明により、日常的に摂取する油脂の種類によって骨格筋の性質を脂質燃焼型へと変化させることができ、それにより運動パフォーマンスが向上することが明らかになりました。運動トレーニングによる効果を代替する「運動模倣食品」として、抗肥満や持久力向上などの効能を謳った保健機能食品の開発を目指していきたいです。
※ただし、あくまで油ですので摂りすぎには注意しましょう。
論文は下記リンクより閲覧できます。オープンアクセスですので、どなたでも利用できます。
著者:Yusuke Komiya*, Shugo Iseki, Masaru Ochiai, Yume Takahashi, Issei Yokoyama, Takahiro Suzuki, Ryuichi Tatsumi, Shoko Sawano, Wataru Mizunoya & Keizo Arihara
掲載ジャーナル:Scientific Reports (IF: 4.996)
掲載日:2024年1月8日