獣医学科

ウガンダ初の日本人獣医師となって

夢であった「アフリカでの獣医師免許の取得」を実現できた記念に、これまでの道のりを記させて頂きます。私の体験が、博狗体育在线_狗博体育直播【官方授权网站】@を目指す、あるいは獣医師を目指す後輩たちへ少しでも役に立てば幸いです。

私は、小さい頃から悲しいことがあると、猫や犬に相談するような…ちょっと変わった子供でした。最初に読んだ書籍は「アフリカ動物図鑑」。初めて自分のお小遣いで買った漫画は「僕の動物園日記」。幼稚園の時に「大きくなったら何になる?」と聞かれ、「アフリカでライオンと象さんのお医者さんになる!」と言い放ったそうです。当時すでに「マサイ族」「ンゴロンゴロ国立公園」など言えたのは、全て自分が獣医になりたかった母の影響(策略)だったのかもしれません。高校では思ったほど成績が揮わずに悩んでいました。しかし、獣医師という職業に異様に固執する母が、興奮気味に博狗体育在线_狗博体育直播【官方授权网站】@の資料をブンブン振り回し、「この獣医大学にしましょうよ!」と言い放ち、背中を押してくれました。あの日を忘れることはないでしょう (母、Good Job)。お陰様で無事獣医師となることができました。

博狗体育在线_狗博体育直播【官方授权网站】@のとにかく自分で何でも実践させるという校風が大好きでした。また、海も山もスキー場も湖も全てほぼ一時間で行ける十和田市という場所も、20代前半の力のあり余る大学生にとっては、絶好のロケーションでした。アフリカで生きるための地力を育むことができた良い環境だったと思います。相模原キャンパスの1年間も含め、一生の思い出と一生の友達を手に入れ、本当にのびのびと楽しく過ごせた6年間でした。

卒業後、4年の小動物臨床を経て、青年海外協力隊に参加する機会に恵まれました。これまた母が協力隊事務局に私の名前で勝手に資料請求をしていたのがきっかけで、1999年にマラウイ共和国に渡り、地方獣医事務所長を2年半務めました。マラウイでは小動物及び家畜の診療がメインであったため、憧れていた象とライオンの診療は出来ませんでしたが、アフリカの魅力に取りつかれるのには十分な2年半でした。狂犬病の犬に咬まれたり、牛の後産の悪露が目に入って目が飛び出すほど腫れたり、マラウイ人スタッフの応急処置中に使った針を自分に刺してしまいエイズ感染疑惑が持ち上がったり、2年半の間に勤務先の同僚を6名も亡くしたりと、命がいくつあっても足りないような経験だらけでした。でも、今思い出してもワクワクドキドキの連続で、充実した日々でした。むしろこの時は動物よりもアフリカの人達の価値観や人類愛のようなものに心が奪われていたのかもしれません。

その後、また日本に戻り小動物臨床に従事しましたが、心は、いつアフリカに帰るか?ばかりを考えていました。3年間の動物病院勤務の後、2005年、マラウイの経験がご縁でケニアに渡るチャンスがやって来ます。そして今度こそ本当に野生動物診療=ライオンや象のお医者さんとして勤務できる野生動物保護施設付け獣医師という、願ってもない役職でした。期間はたった一年でしたが、ライオン、チーター、キリン、カバ、ワニなどの治療に加え、保護された子ライオンや赤ちゃんヒョウのお世話をする…といった、5歳の時に決めていた夢以上の日々が実現した至福の時間でした。時には密猟の罠で怪我をした象を救出する為、国立公園に何日も泊まり込んで象を探し、麻酔銃で象を倒して罠を外したり、一定数増えたサイをヘリコプターから麻酔銃で撃って倒し、他の国立公園へ移送したり…などと言った、TV番組さながらの保護活動に参加したこともありました。そんな経験をした私が、ますますアフリカにのめり込んでいったのも至極自然なことでしょう。

ケニアでの経験が決定打となり、アフリカでの獣医師免許取得を目指すため、まずは2011年にナイロビ大学の修士課程へと進みました。しかし、思ったようにうまく事が進まず、修士課程を終わらせる前に貯金が底をつき、出稼ぎのためJICAの専門家としてウガンダへ行きました。これがひとつのターニングポイントになったのです。ウガンダで関わった家畜疾病コントロールの仕事に魅せられ、のめり込むことになります。また、乳房炎の検査などで地方を回る度に現地の人の牛乳好きを目の当たりにし続けた為か、ウガンダで牧場経営をしたいな…という新たな夢も持ち上がります。自分が実際に目にしたようなアフリカならではの熱帯病を日本の獣医師たちにも見せてあげたい…と思い始めたのもこの頃でした。これらの経験はケニアとウガンダ、どちらが自分の力を試すのに相応しいか、どちらの方が自分のやりたいことやるのに向いている国なのかを見極める良い機会となりました。色々考えた末、牧場をやるにしても動物病院を開業するにしても、ウガンダの方が向いているのでは?という結論に達します。そこから、大好きなアフリカで獣医師として生計を立てるため、試行錯誤と交渉の日々が続きました。その甲斐あって、2019年2月にウガンダ初の日本人獣医師となることができました。今は器具や薬を徐々に買い揃え、少しずつ診療依頼などの問い合わせが出始めているところです。ウガンダ人の友人と一緒に牛も飼う予定で、牛小屋も建設中です。

今は、日本の獣医師にも日本では教科書でしか見ることのできない、様々な海外悪性伝染病を目の当たりにする経験をして頂けるような企画を考えています。グローバル化が飛躍的に進む現代では、これら伝染病がいつ日本で発生してもおかしくは無いのです。その際、皆さんが活躍できる下地を作るお手伝いができればと考えています。皆さんにもお会いする機会があるかもしれません。その時を楽しみにしています。

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