解剖?組織学研究室

研究室について

研究テーマ

わたしたちの身体は細胞や組織、ひいては器官で構成されています。様々な働きを有するこれら細胞や器官は、サイズは違えどバラエティーに富んだ「かたち」を有しています。例えば、神経細胞は目的の場所へピンポイントかつ瞬時に情報を伝えることが得意ですが、その働きを可能にする理に適った「かたち」をしています。働きと「かたち」には密接な関係があり、それは手足や内臓などの多くの器官でも明らかです。わたしたちは「かたち」、すなわち形態に着目し、細胞や器官特有の形態がどのように生み出されているのか、そのしくみを研究しています。

上皮組織のかたちを調節するしくみ

肺、膵臓、腎臓、唾液腺など多くの外分泌系器官では、分枝形態形成という「かたちづくり」が共通してみられます。このとき上皮細胞は集団としてふるまい複雑な枝分かれが進行していきますが、個々の上皮細胞の動きや性質がどのように調節されているのかは十分にわかっていません。分枝形態形成のメカニズムの謎に迫るため、ライブイメージングで上皮細胞を追跡したり、タンパク質や遺伝子の働きを調べています。

脊椎動物の手足や尾が作られる(胚発生)しくみと作り直し(再生)のしくみ

多くの脊椎動物では、限られた部位でしか再生は起こりません。それに対し、アカハライモリは非常に強い再生能力をもち、幼生期(ヒトの胎児期に相当)はもちろんのこと、おとなになっても体の多くの領域を何度でも再生することが出来ます。たとえば、手足や尾を切断すると、骨の数や長さ、筋の走行、末梢神経(手足の場合)のみならず中枢神経(尾の場合)まで、元とほとんど同じ構造が丸ごと再生されます。しかも、再生された構造は元と同じように機能します。この現象のしくみは古くから研究されてきましたが、実はほとんど解明されていません。私達は、アカハライモリの手足や尾の再生のしくみを解明するとともに、それらが胚発生の過程で作られるしくみも解明し、両者の相違点をも明らかにしようとしています。さらに、これらをヒントに、人間に対して応用可能な新たな再生医療法を考案することも目指しています。

物質を運ぶ細胞内小器官の働きとかたちを調節するしくみ

細胞内には様々な細胞内小器官が存在していて、細胞内の物質輸送に関与しています。これらそれぞれの細胞内小器官がどのような物質の輸送に関与しているのか、また細胞内小器官の構造の維持に関与するものは何かを、免疫組織学的手法を用いて解明します。

メンバー

プロジェクト?研究業績

プロジェクト

研究業績

著書?論文

研究業績
1) Dynamics, Structure, and Assembly of the Basement Membrane in Developing Salivary Glands Revealed by an Exogenous EGFP-Tagged Nidogen Probe. Kadoya Y, Futaki S, Shimono C, Kimura T, Sekiguchi K. Microscopy (Oxf).2022 August. dfac040, https://doi.org/10.1093/jmicro/dfac040
2) Downregulation of ten-eleven translocation-2 triggers epithelial differentiation during organogenesis. Hayashi T, Eto K, Kadoya Y. Differentiation. 2022 May-Jun;125:45-53. PDFはこちら. cover imageにも選ばれました.Cover Image Differentiation3) Specific substrates composed of collagen and fibronectin support the formation of epithelial cell sheets by MDCK cells lacking α-catenin or classical cadherins. Suzuki ST, Obata S, Fujiwara M, Fujisawa JI, Hirano S. Cell Tissue Res. 2021 Jul;385(1):127-148.
4) Exosomal microRNA communication between tissues during organogenesis. Hayashi T, Hoffman MP. RNA Biol. 2017 Dec 2;14(12):1683-1689.PDFはこちら.
5) Cellular dynamics of epithelial clefting during branching morphogenesis of the mouse submandibular gland. Kadoya Y, Yamashina S. Dev Dyn. 2010 Jun;239(6):1739-47. "

学会発表

特許

研究室の「かたちづくり」

教育に関しては、医療衛生学部のすべての学科専攻に対して解剖学をはじめとした講義?実習を担当しています。卒業研究では、配属された学生さんとイベントを通じて一体感を高め、研究に勤しんでいます。