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BCPにかかわる災害看護研修の報告
BCP(事業継続計画)とは
大地震などの自然災害、感染症のまん延、テロ等の事件、大事故、サプライチェーン(供給網)の途絶、突発的な経済環境の変化など、不測の事態が発生しても重要な事業を中断させない、または中断しても可能な限り短い期間で復旧させるための方針、体制、手順を示した計画です。
看護部は、BCM(事業計画マネジメント)すなわちBCPの策定や維持?更新、事業継続を実現する一環として看護管理者と主任が一堂に会した研修をはじめて実施しました。その様子について紹介します。
研修概要
目的:災害急性期の看護機能低下を明らかにする。機能低下からの早期回復に向けた対策を探る。
研修プログラム
- 講義
BCPとは BCP策定ワーキング
講師:BCP策定ワーキング構成員 梶山和美、日本DMAT隊員 - 演習
DIG(Disaster Imagination Game)災害図上訓練 - 演習
エマルゴトレーニング
講義:BCPとは
BCPとは何か、博狗体育在线_狗博体育直播【官方授权网站】@病院の役割について講義を行いました。災害拠点病院であることを再認識し、その使命を果たす役割について共通認識しました。
演習:DIG(Disaster Imagination Game)災害図上訓練
都心南部地震を想定し、神奈川県、相模原市および病院の被害状況やライフラインの状況を確認した後に、6つのポイントについてワークを行いました。具体的には「揺れによる危険な場所や物を明らかにする」、「スタッフの参集状況の把握」などについてです。
各病棟単位で、自部署に潜む危険について話し合いました。普段持たない視点で部署を評価することができ、問題点も抽出されました。その問題点に対してどのように取り組むかが今後の課題となります。
演習:エマルゴトレーニング
都心南部地震発災15分後からの各部署の情報伝達およびベットコントロールについて机上訓練を行いました。
災害対策本部の様子です。
ここには、病院の動き、施設状況、患者数、患者状況、看護職員の状況など全ての情報が入ります。迅速に情報を把握し判断を行うことが求められます。さらに、必要となる各部署の情報を収集したり、情報を提供したりと全体を調整していきます。看護部の中心機能として位置するため、患者を守る病院の中心と言っても過言ではありません。また、大事なポイントは看護職員の調整です。多数いる職員の調整については平時から考えておく課題の一つとなります。
今回のトレーニングでは「臨時託児所の設置」、「長期対応に向けた看護師の勤務調整」を求めるシナリオも設定しました。
救護所指揮本部の様子です。
こちらは、外来エリアの患者把握を行いながら外来の情報を集約することが重要です。患者数、患者の重症度、看護師の必要数を把握しその情報を基に、患者に発生する検査や治療の緊急度に応じて手術室や透析室、血管造影室などと調整を行いました。緊急入院患者のベッドコントロールや各部門との連携が求められます。
今回のトレーニングでは、絶え間なく発生するあらゆる重症度の患者情報への対応とベットコントロールが求められました。
各部署の看護管理者?主任です。
写真は特に患者の受け入れが生じるEICUの様子です。各現場は、現在の患者状況と看護職員の状況を把握します。自分たちの病棟に余力がどれくらいあるのかを迅速に評価することは難しかったようです。
病棟によって、新たな来院?搬送患者の受け入れが極めて増える病棟と、他病棟から比較的状態の安定している患者を受け入れる病棟と役割に違いが生じます。平時からその役割を踏まえた取り組みが求められることを実感する機会となりました。
参加者の感想
- 自部署の中に思いもよらない危険が沢山あることがわかった。減災のための5S活動が重要だと思う。
- 演習では指揮命令?連携と情報伝達に課題が残った。日頃から行っていることと何ら変わりないことなのに、思うようにできなかった。
- 初めて災害訓練に参加した。管理者である自分は訓練に積極的に参加しなければいけないと思った。
病院防災は「被災した状況で如何に業務を継続していくか、そして元の病院の状況に戻すか」というBCPの考え方が求められます。今後も勉強会や机上訓練などの開催を通してBCP作成に向けた様々な提言が各部署から寄せられるよう構築していきたいと思います。
2017.1.31
土屋 志保、梶山 和美