2015年9月18日
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病院長 土本寛二

研究倫理指針違反について(第1報)

 このたび、当院の医師が、国の定める「臨床研究に関する倫理指針※」に違反し、臨床研究を実施していた可能性が高いことが判明しましたので以下のとおりご報告致します。

 違反の内容は、2014年1月、当院のみで実施されていたがんの臨床研究において、研究対象医薬品を投与する前に文書同意を取得し登録しなければならないところ、同意を取得せずに投与を開始し、投与開始から1か月以上経ってから研究のための同意署名を取得したという事案です。本事案は患者様の訴えにより2015年8月17日に発覚しました。研究に使用された医薬品(ホルモン療法薬)は既に承認済みのものであり通常の診療において一般的に使用されるもので、投与を受けた患者様の健康被害は確認されていませんが、臨床研究の同意を取得せずに研究を開始してしまったことでご本人及びご家族に精神的な苦痛を与えてしまう結果となりました。このように患者様の同意なしに臨床研究を行うことは被験者保護の概念を根底から揺るがす重大な問題であり、非常に重く受け止めております。

 事案発覚直後の8月18日に研究倫理委員会委員長を中心に事実確認のための予備調査を行わせたところ、倫理指針違反が事実である可能性が非常に高く、患者様の訴えを否定する証拠は確認できませんでした。また、当院研究倫理委員会(9月1日開催)で予備調査の情報に基づき審議しました結果、「既承認事項の取り消し(研究中止)」と判断されました。これを受けて当該研究の中止を決定し、研究責任医師にはその旨通告いたしました。

 今後、被験者の皆様への説明とお詫びを行うとともに、さらなる事実確認と他の臨床研究における違反の有無、及び防止策を検討するために、第三者を含む研究調査委員会を設置し調査を開始する予定です。

 取り急ぎ第1報としてここにご報告申し上げ、今後、調査委員会の設置時、及び調査結果の報告時等に改めてホームページ上で公表を行ってまいります。


※現在「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針(平成26年12月22日 文部科学省?厚生労働省)」が最新の指針となっていますが、本研究承認時、並びに本事案が発生した当時は「臨床研究に関する倫理指針(平成20年7月31日全部改正 厚生労働省)」を適用することとなっているため、本指針での対応を行います。