第451回獣医学科セミナー<Faculty seminar>「ヒト食いバクテリアの病原機構の解明-新規治療法の開発に向けて-」演者:柏本 孝茂先生、山﨑 浩平先生 (獣医公衆衛生学研究室)

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2021-05-18
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17:00
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A棟3階 A31講義室

イベントの概要

第451回獣医学科セミナーを以下のように開催いたします。教職員および学生のご参加をお待ち申し上げます。

タイトル
ヒト食いバクテリアの病原機構の解明
-新規治療法の開発に向けて-

演者
柏本 孝茂先生、 山﨑 浩平先生 (獣医公衆衛生学研究室)

セミナー内容(要約)
ヒト食いバクテリアと呼ばれる一群の細菌は、経口あるいは傷口から人に感染し、極めて短時間内に皮膚や筋肉を壊死させて、敗血症により死に至らしめる。これら細菌は巧みに免疫機構を回避し、投与された抗生物質の効果を上回って増殖するため、未だ根治療法は無く、その致死率は50%を超えている。
?当研究室では、ヒト食いバクテリアにより引き起こされる壊死病態や免疫回避機構などの菌-宿主間相互作用を分子レベルで解析し、それらの完全解明を試みている。最終目標は、抗生物質に依存しない、あるいは併用可能な新規治療法の開発である。これを実現するため、Vibrio vulnificusAeromonas hydrophilaを研究対象とし、マウス感染モデルを用いた病態発症モデルを開発し、研究成果を多くの症例報告と照らし合わせながら理解することで、それぞれの感染症の病態やその発症機構の違いを明らかにしてきた。また、新規治療法の開発に繋がる病原因子の同定を目的とし、Signature-tagged transposon mutagenesis (STM) 法やTransposon direct insertion site sequence (TraDIS) 法を感染モデルに適用して、両菌の病原因子を網羅的に同定し、新規病原因子の探索も行っている。一部ではあるが、本セミナーでは、これまでの研究成果の紹介をさせて頂く。