第510回獣医学科セミナー< 新任教員紹介セミナー?Facultyセミナー>「犬の前十字靭帯断裂に対する治療」演者:島田 昌和 先生(小動物第1外科学研究室)

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2024-07-04
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17:00
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A棟3階 A31講義室

イベントの概要

以下の通り、第510回獣医学科セミナー< 新任教員紹介セミナー?Facultyセミナー> ? ?を開催します。

多数ご参集くださいますようお願いいたします。

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第510回獣医学科セミナー< 新任教員紹介セミナー?Facultyセミナー>

【開催日】 7月4日(木) ? ?

【会 場】 A棟3階 A31講義室 ? ?

【時 間】 17:00~ ? ?

【演 者】  島田 昌和 ? 先生(小動物第1外科学研究室) ?

【タイトル】犬の前十字靭帯断裂に対する治療

【要 旨】 ? ?

前十字靭帯(Cranial cruciate ligament: CrCL)断裂は、犬の後肢跛行の原因として遭遇機会の多い疾患である。現在は外科的治療として、立脚相時の脛骨の前方への亜脱臼を制限するために骨形態を矯正する機能的安定化術の一つである、脛骨高平部水平化骨切り術(Tibial plateau leveling osteotomy: TPLO)が広く用いられている。しかしこの術式は、特に完全断裂症例では、CrCL機能の完全な再現には至らない。その結果、術後早期の負重機能回復は達成されたとしても、長期的に観察すると、変形性関節症の進行やそれに伴う関節可動域の減少?慢性的な疼痛などが認められることがある。そのため、術後の変形性関節症を最小限にするためには、CrCLが完全断裂に至る前(部分断裂時)にTPLOを実施することが望まれる。しかし実際の臨床現場では、完全断裂に至ってから来院する症例も多い。そのため治療法の発展には、完全断裂症例におけるCrCL機能の再現が望まれる。これまでにも、人医療同様に犬のCrCL断裂に対して靭帯再建術を試みる報告が散見されるが、早期的な破綻が問題となっている。私はこの要因の一つを、犬が有する特徴的な脛骨形態が再建直後から移植した靭帯への負荷を持続的に与えるためだと考えている。そのため現在は、再建靭帯への負荷の軽減を目的とした機能的安定化術と、CrCL機能の再現を目的とした靭帯再建術を組み合わせたHybrid法の確立を目指している。