第529回獣医学科セミナー<Facultyセミナー>「ゾウにおけるDNA損傷修復機構の解明 」演者:吉川 泰永先生(獣医生化学研究室)

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2025-03-25
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イベントの概要

以下の通り、第529回獣医学科セミナー<Facultyセミナー>を開催します。

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第529回獣医学科セミナー<Facultyセミナー>

【開催日】 3月25日(火)

【会 場】 A棟3階 A31講義室

【時 間】 17:00?

【演 者】 吉川 泰永 先生(獣医生化学研究室)

【タイトル】ゾウにおけるDNA損傷修復機構の解明

【要 旨】

私達の研究グループは腫瘍に興味があり、その変異が腫瘍発症の原因になり得るDNA損傷修復機構に注目して研究を行っている。数年前から私達は、アフリカゾウに注目した研究を行い始めた。アフリカゾウは体が大きく、寿命も50-80年と長いのにもかかわらず、癌を発症しにくい事が報告されている。ゾウは、癌抑制遺伝子TP53のコピー数が増加しており、これが発癌を防いでいる要因の一つであると考えられている。その一方で、ゲノム情報の比較からゾウにおいて染色体安定化に関わる遺伝子の進化速度が速いことも報告された。その中でも最も進化速度が速い領域は、DNA鎖間架橋修復を行うFANCL遺伝子座であると報告されている。FANCLは、染色体安定性に貢献するFanconi貧血経路の活性化に必須なE3ユビキチンリガーゼの本体である。Fanconi貧血経路に関与する遺伝子の変異は癌の発症と関係するので、ゾウにおいて進化速度が速いFANCLは、ゾウが癌を発症しにくいことと関係している可能性があると考えられるが、ウェットな実験系に挑戦するグループはいなかった。そこで、私達はゾウにおけるDNA鎖間架橋修復に注目して研究を行っている。本セミナーでは、これらに関するこれまでのデータを紹介する。現在リバイス中のプレリミナリーかつ断片的なデータも含まれているので、皆様から多くのご意見?ご指摘をいただけますと幸いです。

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