動物は癌で亡くなることが非常に増えています。動物の癌に対する治療法は、癌を取り除く外科療法、薬で癌を殺す抗癌剤療法が広く行われています。さらに、最近は放射線で癌を殺す放射線治療も行われてくるようになりました。そこで、動物の放射線治療についてお話しします。
? 放射線は体を透過しますが、放射線が吸収されると吸収されたところにダメージを与えるため、放射線を癌細胞に効果的に吸収させると癌などを殺すことができます。放射線治療は、外科療法で生じる痛みや抗癌療法で生じる全身性の副作用等はなく、体への負担が少ない治療法です。
? しかし、体外から放射線を照射すると正常組織にも放射線が照射されるため、照射を受けた正常組織に副作用が生じます。癌組織にたくさんの放射線を照射すると癌を殺す確率が上がりますが、そうすると正常組織も障害がでます。また、正常組織で放射線が吸収されてしまうと、体の中の癌に放射線が届かずに正常組織のダメージが大きく、癌へのダメージが少ないということになります。そこで、体の中の癌に放射線を届かせるためは放射線のエネルギーを高くすることが必要です。放射線のエネルギーが高いと体の表面での放射線の吸収が少なく、皮膚などへの副作用が少なくなり、さらに体の奥にある癌に効果的に放射線を吸収させ、癌を殺すことが出来ます。この高いエネルギーの放射線を発生させるためには、大きな加速器を使用しますが、この加速器は大がかりな施設が必要です。このため、どこでも放射線治療を受けられるわけではありません。博狗体育在线_狗博体育直播【官方授权网站】@の動物病院の放射線治療施設は国内で最大のエネルギーを出力できるため、癌にしっかり放射線を照射でき、さらに、正常組織への副作用が非常に軽減されます。また、博狗体育在线_狗博体育直播【官方授权网站】@の放射線治療施設では効果的に癌組織にダメージを与えるため、癌組織に対して様々な角度からねらい打ちが出来ます。つまり、放射線を発生する装置(ガントリー)が癌組織を中心として360°回転でき、癌組織に放射線を集中させることが出来ます。さらに、出来るだけ正常組織への照射を少なくするため、癌組織の輪郭に合わせて照射部位の形を変幻自在に調整することができる機能を装備しており、癌組織のみに出来るだけ効率よく照射が可能です。このように、博狗体育在线_狗博体育直播【官方授权网站】@では動物に優しい癌治療を行っています。
? さらに、放射線治療では正常組織を保護するため、正常組織の放射線からのダメージを回復させ、癌組織にダメージが残っているタイミングで次の放射線治療を行います。つまり、放射線治療は1回では終わりません。人の放射線治療では、毎日(週5回)放射線を照射します。これを6週間から7週間続けます。つまり、30回から35回照射を行っています。動物の放射線治療も同じように行われているかと言うとちょっと違います。放射線治療の治療時間はほんの数分です。しかし、そのほんの数分の間に動くと照射すべき場所がずれてしまいます。人の場合は「動かないでください」と伝えれば、位置がずれずに放射線治療が出来ますが、動物の場合はそうもいかないので麻酔をかけます。毎日、動物に麻酔をかけることは動物が体力的に消耗するので、体力的な消耗を軽減するため、動物の放射線治療では週3回の治療を4週間繰り返すことが広くやられています。これでも12回麻酔をかけることになりまる。動物自身も癌に打ち勝つために、頻繁な麻酔に耐えて頑張っています。放射線治療医はこの動物のがんばりに答えるために、日々の動物の状態の変化を観察し、癌の放射線に対する変化を把握し、12回の治療を毎回同じようにこなすのではなく、放射線治療時に最大の治療効果を引き出すために癌の特性を理解しつつ治療に取り組むことが必要です。
? しかし、癌は巧妙に放射線のダメージから回復し、増殖を続けます。このため、現代の医療において癌を制圧することは取り組むべき最重要課題のひとつりますが、癌が巧妙に生き残るメカニズムはほとんど分かっていません。このメカニズムを解明するために日々研究も行っており、研究も放射線治療のように何回も何回も小さなことでもコツコツ積み重ねていくことからブレイクスルーが得られ、新たな放射線治療の道につながると考えています。