自然界に棲息する微生物の90%以上は、いまだ培養に成功していない難培養微生物であると言われています。これらの微生物を獲得するために、植物や深海等の特殊環境に着目し微生物(対象は放線菌および関連細菌)の分離を行っています。取得した微生物の分類学的位置を検討し、新しい微生物の発見につなげています。
放線菌は、複雑な形態分化と二次代謝産物の多様性が大きな特徴となっています。このホームページ上に掲載している放線菌は全て土壌や植物などの環境中から分離されました。自然界にはこんなに多様な姿を見せる放線菌がまだ分離されることなく残されています。
1-1) 土壌および特殊環境(植物や深海等)からの微生物の分離
放線菌は主に土壌から分離されます。当研究室では土壌以外にも植物の根や、深海堆積物などのユニークな分離源を用いた研究も並行して行っています。
土壌から分離を行うと、画像の右側に示したようにStreptomyces属の放線菌が多く分離されます。しかし、植物の根からは多様な分類群の放線菌が分離できます。新しい放線菌を分離する事で、分類研究や新規化合物探索に応用しています。
1-2) 難培養微生物の新しい分離法の開発
既存の方法では分離できなかった未解明の微生物を取得するために、従来とは異なるアプローチで分離法の開発を行っています。
具体的には、生育の悪い菌の生育促進を目的に、異種の微生物や植物細胞等との共培養を行っています。また、酵素や抗生物質等を用いる事で、耐性を示す菌を選択したり、増殖スピードが早い菌の生育を抑えたりする事で新たな微生物の分離を試みています。
1-3) 新規微生物の分類研究
発見された新しい微生物は、分類学的研究を行うことで新属や新種の報告を行います。
当研究室では長い歴史の中で1新科、12新属、41新種の細菌を発見してきました。