2. 新規化合物探索のための微生物の応用研究

 新しく発見した微生物を利用し、その二次代謝産物(微生物では、発酵培養によって作り出される有機化合物で生育などに直接関与していない物質)から薬となるような新規化合物の探索を行っています。
 二次代謝産物をより多く生産させるための培養法の検討や、ゲノム情報を利用した新規化合物の探索を行っています。また、そのような化合物がどのような遺伝子や酵素で作られているのか(生合成)を明らかにし、創薬に応用しています。


2-1) ゲノム情報を利用した新規化合物の探索

 微生物が作りだす二次代謝産物はいくつもの酵素によって生合成されています。それらの酵素の遺伝子はゲノム中に遺伝子群(生合成遺伝子クラスター)として存在している事が多いです。
 微生物のゲノム情報から生合成遺伝子クラスターを探索し、既知の遺伝子との相同性を比較することで、新しい遺伝子クラスターを見つけ出します。発見した新しい遺伝子の発現を試み、その産物を単離することで新規化合物の取得を試みています。

2-2) 新規化合物生産のための発酵培養法の開発

 微生物(特に放線菌)のゲノム中にはおよそ10~30個の二次代謝産物の生合成遺伝子クラスターがある事が分かってきました。しかし、その遺伝子の多くは発現せずに眠っている状態にあります。
 微生物の発酵培養法を工夫したり、遺伝子改変をしたりする事で、眠っている生合成遺伝子クラスターを目覚めさせ、新規化合物の取得を試みています。

2-3) 遺伝子工学による有用化合物の生合成研究

 薬として有望な化合物について、微生物のゲノム情報よりその生合成遺伝子クラスターを同定し、どのように生合成されているかを解明しています。
 また、遺伝子工学的手法を用いて、生合成酵素の改変を行う事で有用化合物の構造改変を行ったり、生産性の向上を試みています。

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