臨床薬剤疫学

臨床薬剤疫学

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医療現場で積み上げられた医療情報を源泉に、患者の視点から必要となる薬物療法の有用性、安全性、経済性に関するエビデンスを届ける。
 

薬剤疫学(pharmacoepidemiology)は、社会の要望に応えながら発展を続けてきた学問?研究領域で、臨床薬理学(clinical pharmacology)と疫学(epidemiology)を繋ぐ「橋渡しのサイエンス」とも呼ばれています。この研究室では、医療現場における薬物療法の課題や疑問に向き合い、医療情報を利活用した薬剤疫学研究を中心に、より良い薬物療法のあり方を研究します。

研究内容

適正な臨床研究のあり方に関する研究

研究者による臨床研究? 臨床試験のスキームは、大きくは1.「GCP」に従った「治験」、2.「臨床研究法」に従った「臨床研究」、3.「人を対象とする生命科学?医学系研究に関する倫理指針」に従った「臨床研究」に分けられます。いずれの規範も科学の進歩や研究環境の変化にあわせ見直しがされアップデートされ続けています。見直しの主たる方法性は現実への適合であり「正しい研究の促進」を目指すものですが、その内容を正しく解釈し、適切な形で臨床研究を実施することは簡単ではありません。
臨床薬剤疫学教室では、医療現場で立案?実施される臨床研究が臨床研究にかかる規範の遵守のもと適切に行うためには何か必要か、研究者等がもつ課題を分析し、質の高い適正な臨床研究の推進に資する研究に取り組んでいます。

 

日本の小児用医薬品開発に用いられた情報に関する調査研究

現在承認されている医薬品の中で、添付文書において明確に小児の用法及び用量が定められ、承認に臨床使用されている品目は限られます。医薬品の用法?用量は、臨床試験の成績に基づき合理的に決定されることが望まれますが、小児は成人に比し発達段階に応じた薬物動態の変化や曝露反応関係の変化などを考慮する必要があり臨床試験の立案が難しいことが大きな原因の一つとなっています。臨床試験が行われる場合でも、多くの制限のもと限られた例数で実施せざるを得ない場合が多く、用法?用量を決定づける十分な情報を得ることが大変難しいです。そのようなことから、近年では、臨床試験にかわり、数理学的?統計学的モデルを用い小児における薬物動態、曝露反応関係の予測を行い、用法及び用量を決定するケースがみられ始めています。しかし、現時点ではそれらを薬剤や疾患等の特徴に応じて系統的に示したものはありません。
臨床薬剤疫学研究室では、小児の適正な薬物治療に貢献すべく、日本の小児用医薬品開発に用いられた情報に関する調査研究に取り組んでいます。

 

医療情報データベースを活用した薬剤疫学研究

日常の臨床から得られる患者データ;リアルワールドデータ(医療情報データベース)は以下の3つに大別されます。
?患者レジストリーデータベース
?保険データベース
?電子診療情報を含む医療情報データベース 
臨床薬剤疫学教室では、中でも電子診療情報データベースシステムに注目し、本システムを活用した様々な薬剤疫学研究に取り組んでいます。