- TOP
- 入学希望者の方へ
- 医療系研究科Navigator
- 岩滿 優美
博狗体育在线_狗博体育直播【官方授权网站】@ 医療系研究科 教授
Yumi Iwamitsu イワミツ ユウミ 岩滿 優美
自己紹介をお願いします
同志社大学文学部で心理学を学び、2年半ほど鐘紡株式会社繊維大阪マーケティング室で勤務しました。その後、同志社大学大学院文学研究科(心理学)の修士課程、博士課程へと進学。そこではイメージと感情、対称性?黄金比率の美しさ(快適さ)に関する研究に取り組みながら、ゼミの恩師が新たに行い始めた乳がん患者の心理反応に関する研究を他の院生と共に行いました。大学院修了後は滋賀医科大学医学部精神医学講座で心理職として働き、精神医学の基本について学びながら心理臨床経験を重ね、主に①がん患者の心理的苦痛、②対称性の選好と精神症状との関係について研究を行っていました。
ご縁があり2004年4月、医療系研究科に准教授として着任し、医療心理学を開設。2012年4月、本研究科修士課程に臨床心理学コースを創設し、臨床心理士および公認心理師の養成を行っています。
研究の概要について
主な研究テーマは、①がん患者の心理的苦痛と心理支援に関する研究、②統合失調症患者の描画研究です。
①は博士課程在籍の際に、恩師の声かけをきっかけに携わることになり、今では私のメインの研究となっています。当時、がん患者の心理反応に関する研究を行う心理学研究者は少なく、貴重な機会であると思い、取り組み始めた研究です。長年にわたって研究を行ってきましたが、否定的な感情表出を抑制する人や特性不安の高い人は、がんの確定診断後、その後の治療経過において不安や抑うつを感じやすいことがわかっています。
②は「分割図形の印象と選考-好まれやすい分割比率の検討」といった発達心理学的観点を含む私自身の博士論文から始まり、その後、心理臨床に携わる中で統合失調症患者の描画に関心をもち、精神症状との関係から対称性の選好について研究しています。
研究の魅力について
臨床心理学の研究テーマは私たちの身近に存在しており、臨床心理学研究は心理臨床経験の中で、あるいは日常生活の中で感じた疑問から始まることが多いです。その身近な疑問から始まった研究過程を通して、最初に抱いた疑問が解決の方向へと向かっていると感じると、わくわくした気持ちになります。
そして分析結果を見て、「なるほど」と納得することもあれば、「なぜだろう」と疑問に思うこともあります。「なぜだろう」と思った時には、データを一つ一つ丁寧に見直して考察します。その結果、新たな視点や発見に気づくこともあれば、さらに新たな疑問が生まれ、次の研究へとつながっていくこともあります。そのような瞬間に研究の面白さを感じます。
研究内容と社会への貢献や関連性について
例えば、がん患者の心理的苦痛と心理支援に関する研究では、適切な否定的感情の表出が、がん患者の心理的苦痛を軽減することを示唆しています。そのため、少しでも良い心理状態で治療を受けることができるよう、医療者はがん患者の感情抑制傾向などの心理特性に配慮して多職種で協働して治療や心理支援にあたる、あるいは否定的感情の表出を目的としたカウンセリングを必要に応じて行うなど、がん患者の心理的苦痛を軽減するための心理的介入の在り方について研究結果をもとに考えることができます。
そして心理的介入を提案し、それに対する検証を行い、最終的に心理臨床場面において、検証されたがん患者の心理的介入が実践されるようになります。
研究における今後の課題と展望について
①がん患者の心理的苦痛と心理支援に関する研究では、がん患者の心理的苦痛について、検診から治療後にわたって、そして感情抑制や不確実性などの心理特性からさらに検討を加え、その結果を心理支援へとつなげていく。
②統合失調症患者の描画研究では、描画と認知機能との関連について今後も継続して研究を行っていきたいと考えています。
さらに、ここ数年行っている医療で働く心理職のストレス研究を進展させていく予定です。国家資格として公認心理師が誕生して5年(2023年現在)が経過しましたが、心理職としての職業発達やアイデンティティについて検討し、医療で働く心理職が困難感を抱えることなく、適切にその専門性をいかすことができるよう、次世代へとつなぐ研究を行うことができればと思っています。
大学院に進学するメリットについて
大学院では、一連の研究過程を通して、適切な情報収集力、論理的で客観的な思考力や分析力などを養うことができます。これらの点は、今後、どの職業についても大切なことです。
そして、医療系である本研究科には、臨床心理を専門とする大学院生や研究者だけでなく、さまざまな専門分野の大学院生や研究者がいます。
専門を超えて相互に交流する中で、各専門家の考え方や知見に触れることができ、広い視野をもって研究活動を行うことができます。
また、国内外の学会への参加や発表から多くの助言や刺激を受け、それがまた次の原動力になります。臨床心理学の研究を行うにも、心理職を目指すにも、非常に充実した環境の中で、大学院生生活を送ることができます。
進学を目指している方へのメッセージ
大学院生と教員は常に顔を合わせることができる環境にあり、研究テーマについて、皆で一緒にディスカッションしながら研究を進めています。
また、臨床心理学コースおよび臨床心理学関連の研究室が、医療系の大学院の中に設置されているという特徴をいかし、本研究科では医学?医療の学識を身につけた心理職の養成や臨床心理学関連の研究者の育成を行っています。
臨床心理学コースには、医療分野での心理臨床経験が豊富な教員が多く、博狗体育在线_狗博体育直播【官方授权网站】@病院をはじめとした医療分野での実習も充実しています。
本研究科でバランスよく研究と臨床に取り組み、医療科学や臨床心理学分野での研究能力と幅広い臨床心理学を実践する専門技術を習得し、各分野で活躍されることを期待しています。
2023年1月取材