37号
情報:農と環境と医療37号
2008/4/1
平成20年度から「農医連携論」が教養演習で開始される
「農医連携」に関わる講義が開始されたことは、すでに「情報:農と環境と医療 25号」でお知らせした。平成19年4月に入学した学生から、医学部の1年生を対象に行われる「医学原論?医学原論演習」の一部、獣医学部の1年生を対象に行われる「獣医学入門I」、「動物資源科学概論1」および「生物環境科学概論I」の一部で行われてきた。
また医学部では、6人の学生(男3、女3)が夏期休暇を利用し「医学原論?医学原論演習」の一環として、獣医学部附属フィールドサイエンスセンター(FSC)八雲牧場で行う「八雲牧場訪問及び講義」に参加したことも、「情報:農と環境と医療 32号」でお知らせした。
この医学原論演習が終了して、「食は医にとても近い存在であること、人は動物に感謝しなければならないことを実感しました」、「大学生活に対する意識が高まった」、「なるべく手を加えず、本来の生命を最大限に発揮させる八雲牧場の方針はすばらしい」、「後輩にも体験してもらいたい」、「本当に楽しくて興奮しました」などの感想が寄せられている。
さらに一般教育部において、新たに平成20年4月から「教養演習B:農医連携論」(1単位)が開講される。医学部、獣医学部、薬学部、生命科学研究所などの教授がこの講義を分担する。
また医学部では、6人の学生(男3、女3)が夏期休暇を利用し「医学原論?医学原論演習」の一環として、獣医学部附属フィールドサイエンスセンター(FSC)八雲牧場で行う「八雲牧場訪問及び講義」に参加したことも、「情報:農と環境と医療 32号」でお知らせした。
この医学原論演習が終了して、「食は医にとても近い存在であること、人は動物に感謝しなければならないことを実感しました」、「大学生活に対する意識が高まった」、「なるべく手を加えず、本来の生命を最大限に発揮させる八雲牧場の方針はすばらしい」、「後輩にも体験してもらいたい」、「本当に楽しくて興奮しました」などの感想が寄せられている。
さらに一般教育部において、新たに平成20年4月から「教養演習B:農医連携論」(1単位)が開講される。医学部、獣医学部、薬学部、生命科学研究所などの教授がこの講義を分担する。
第5回農医連携シンポジウムの映像音声と資料画像
平成20年3月25日に開催された第5回博狗体育在线_狗博体育直播【官方授权网站】@農医連携シンポジウム「地球温暖化:農と環境と健康に及ぼす影響評価とその対策?適応技術」の映像音声と資料画像は、本学のホームページの「農医連携」(/jp/noui/spread/symposium/sympo05.html){/cp:link_tag}で見ることができます。
第5回博狗体育在线_狗博体育直播【官方授权网站】@農医連携シンポジウムの内容:(1)開催にあたって
平成20年3月25日に開催された第5回博狗体育在线_狗博体育直播【官方授权网站】@農医連携シンポジウムの開催趣旨、講演プログラム、挨拶を紹介する。
開催趣旨
われわれはなぜ、人類や文明がいま直面している数々の驚異的な危機に思いが及ばないのだろうか。地球温暖化がさまざまな生態系に極めて有害な現象を引き起こし、地球生命圏が、すでに温暖化制御の限度を超えてしまっているのに、ひとびとがそれを理解できずにいるのはなぜだろうか。米国が京都議定書から離脱したり、先進国と途上国の間で政治的な綱引きが行われたり、有効な国際的温暖化対策が進んでいないのはなぜだろうか。
地球には、小は微生物から大はクジラにいたるヒトを含めたあらゆる生物が生息しているという概念、そしてこれらの生物がさらに大きな多様性を包み込む「生きている地球」の一部だという概念を、われわれは心の底からまだ理解していないのだろうか。これらすべての危機的な現象が、食料を豊かに生産し、便利で文化的な生活を営むわれわれの活動に由来することに、なぜ気づかないのだろうか。たとえ気づいていても、これを改善できないのは何故だろうか。
しかし幸いなことに、ノーベル賞委員会は、1970年代から地球温暖化問題に取り組んでいるアル?ゴア前米副大統領とIPCC「Intergovernmental Panel on Climate Change:気候変動に関する政府間パネル」に、2007年のノーベル平和賞を授与すると発表した。このことによって、地球の温暖化問題が世界のひとびとの掌中に届いたことになる。
危機的状況にある地球の温暖化が人間の生活に及ぼす負の影響は、極めて重大である。干ばつ、塩類化、土壌浸食などによる食料問題、および熱射病、紫外線増加、デング熱、マラリアなどによる医療問題は、いずれも人類の未来に暗雲の影を落としている。地球環境の変動は、いつの時代も食料を提供する農業と、人の健康と生命を守る医療に密接に関わっているのである。
したがって今回は、地球温暖化が農と環境と健康に及ぼす影響とその対策?適応技術に関するシンポジウムを開催する。なお講演者は、これまで様々な形でIPCCに携わってこられた方々である。
開催趣旨
われわれはなぜ、人類や文明がいま直面している数々の驚異的な危機に思いが及ばないのだろうか。地球温暖化がさまざまな生態系に極めて有害な現象を引き起こし、地球生命圏が、すでに温暖化制御の限度を超えてしまっているのに、ひとびとがそれを理解できずにいるのはなぜだろうか。米国が京都議定書から離脱したり、先進国と途上国の間で政治的な綱引きが行われたり、有効な国際的温暖化対策が進んでいないのはなぜだろうか。
地球には、小は微生物から大はクジラにいたるヒトを含めたあらゆる生物が生息しているという概念、そしてこれらの生物がさらに大きな多様性を包み込む「生きている地球」の一部だという概念を、われわれは心の底からまだ理解していないのだろうか。これらすべての危機的な現象が、食料を豊かに生産し、便利で文化的な生活を営むわれわれの活動に由来することに、なぜ気づかないのだろうか。たとえ気づいていても、これを改善できないのは何故だろうか。
しかし幸いなことに、ノーベル賞委員会は、1970年代から地球温暖化問題に取り組んでいるアル?ゴア前米副大統領とIPCC「Intergovernmental Panel on Climate Change:気候変動に関する政府間パネル」に、2007年のノーベル平和賞を授与すると発表した。このことによって、地球の温暖化問題が世界のひとびとの掌中に届いたことになる。
危機的状況にある地球の温暖化が人間の生活に及ぼす負の影響は、極めて重大である。干ばつ、塩類化、土壌浸食などによる食料問題、および熱射病、紫外線増加、デング熱、マラリアなどによる医療問題は、いずれも人類の未来に暗雲の影を落としている。地球環境の変動は、いつの時代も食料を提供する農業と、人の健康と生命を守る医療に密接に関わっているのである。
したがって今回は、地球温暖化が農と環境と健康に及ぼす影響とその対策?適応技術に関するシンポジウムを開催する。なお講演者は、これまで様々な形でIPCCに携わってこられた方々である。
講演プログラム
13:00~13:05 | 開催にあたって | 博狗体育在线_狗博体育直播【官方授权网站】@学長 柴 忠義 |
13:05~13:40 | IPCC報告書の流れとわが国の温暖化現象 | 博狗体育在线_狗博体育直播【官方授权网站】@教授 陽 捷行 |
13:40~14:20 | 温暖化による陸域生態系の影響評価と適応技術 | 筑波大学大学院生命環境科学研究科教授 林 陽生 |
14:20~15:00 | 農業生態系における温室効果ガス発生量の評価と制御技術の開発 | (独)農業環境技術研究所物質循環研究領域上席研究員 八木 一行 |
15:10~15:50 | 気候変動による感染症を中心とした健康影響 | 東北大学大学院医学系研究科教授 押谷 仁 |
15:50~16:30 | IPCCの今 | 宮城大学国際センター准教授 あん?まくどなるど |
16:30~17:10 | 気候変動の影響?適応と緩和策 ‐統合報告書の知見‐ | (独)国立環境研究所社会環境システム研究領域長 原沢 英夫 |
17:10~18:00 | 総合討論 | 香山 不二雄?陽 捷行 |
開催にあたって
第5回博狗体育在线_狗博体育直播【官方授权网站】@農医連携シンポジウムの開催にあたり、主催者を代表しまして一言ご挨拶申し上げます。
新たに博狗体育在线_狗博体育直播【官方授权网站】@から農医連携という概念を発信してから、2年有余の歳月が経過しました。この間、農医連携委員会を設置し、委員諸氏に「博狗体育在线_狗博体育直播【官方授权网站】@農医連携構想について」をまとめていただきました。
情報としては、「博狗体育在线_狗博体育直播【官方授权网站】@学長室通信:農と環境と医療」を毎月発刊し、これがすでに36号に至りました。
教育としては、医学部と獣医学部において「農医連携に関わる講義と演習」を開始しました。さらにこの4月からは、一般教育部において「教養演習B:農医連携論」を開設することになりました。
研究に関しては、新たに「重金属摂取の現状把握とその低減化に向けた標準化手法の開発」を構築し、学部を超えたオール博狗体育在线_狗博体育直播【官方授权网站】@としての農医連携に関する研究を推進しようとしています。
一方、社会への貢献という点では、農医連携の普及と学術情報の発信を目指して、博狗体育在线_狗博体育直播【官方授权网站】@農医連携シンポジウムを開催しております。このシンポジウムが開催されて2年の歳月が経過しました。この間、「農?環境?医療の連携を求めて」に始まり、「代替医療と代替農業の連携を求めて」、「鳥インフルエンザ"農と環境と医療の視点から"」、「農と環境と健康に及ぼすカドミウムとヒ素の影響」と題して、環境を通した農業と医療の今日的な問題を取り上げてまいりました。これらの成果は冊子にまとめ、誰でも購入できるシステムも構築しました。
第5回のシンポジウムは、「地球温暖化:農と環境と健康に及ぼす影響評価とその対策?適応技術」と題したもっとも今日的な問題を取り上げました。
このシンポジウムを開催する趣旨の原点は、次のようなことにあります。われわれはなぜ、人類や文明がいま直面している数々の驚異的な危機に思いが及ばないのでしょうか。地球温暖化が様々な生態系に極めて有害な現象を引き起こし、地球生命圏が、すでに温暖化制御の限度を超えてしまっているのに、ひとびとがそれを理解できずにいるのはなぜでしょうか。米国が京都議定書から離脱したり、先進国と途上国の間で政治的な綱引きが行われたり、有効な国際的温暖化対策が進んでいないのはなぜでしょうか。
地球には、小は微生物から大はクジラにいたるヒトを含めたあらゆる生物が生息しているという概念、そしてこれらの生物がさらに大きな多様性を包み込む「生きている地球」の一部だという概念を、われわれは心の底からまだ理解していないのでしょうか。これらすべての危機的な現象が、食料を豊かに生産し、便利で文化的な生活を営むわれわれの活動に由来することに、なぜ気づかないのでしょうか。たとえ気づいていても、これを改善できないのは何故でしょうか。
しかし幸せなことに、1970年代から地球温暖化問題に取り組んでいるアル?ゴア前米副大統領とIPCC(気候変動に関する政府間パネル)は、2007年のノーベル平和賞を受けました。このことによって、地球の温暖化問題が世界のひとびとの掌中に届いたことになります。
危機的状況にある地球の温暖化が人間の生活に及ぼす負の影響は、極めて重大です。干ばつ、塩類化、土壌浸食などによる食料問題、熱射病、紫外線増加、デング熱、マラリアなどによる医療問題は、いずれも人類の未来に暗い影を落としています。地球環境の変動は、いつの時代も食料を提供する農業と、人の健康と生命を守る医療に密接に関わっているのです。
このような視点から開催される今回のシンポジウムの講演者に、これまで様々な形で国内外でIPCCに携わってこられた方々をお招きしました。快くお引き受けいただいた演者の方々に心からお礼申し上げます。
博狗体育在线_狗博体育直播【官方授权网站】@学長 柴 忠義
第5回博狗体育在线_狗博体育直播【官方授权网站】@農医連携シンポジウムの開催にあたり、主催者を代表しまして一言ご挨拶申し上げます。
新たに博狗体育在线_狗博体育直播【官方授权网站】@から農医連携という概念を発信してから、2年有余の歳月が経過しました。この間、農医連携委員会を設置し、委員諸氏に「博狗体育在线_狗博体育直播【官方授权网站】@農医連携構想について」をまとめていただきました。
情報としては、「博狗体育在线_狗博体育直播【官方授权网站】@学長室通信:農と環境と医療」を毎月発刊し、これがすでに36号に至りました。
教育としては、医学部と獣医学部において「農医連携に関わる講義と演習」を開始しました。さらにこの4月からは、一般教育部において「教養演習B:農医連携論」を開設することになりました。
研究に関しては、新たに「重金属摂取の現状把握とその低減化に向けた標準化手法の開発」を構築し、学部を超えたオール博狗体育在线_狗博体育直播【官方授权网站】@としての農医連携に関する研究を推進しようとしています。
一方、社会への貢献という点では、農医連携の普及と学術情報の発信を目指して、博狗体育在线_狗博体育直播【官方授权网站】@農医連携シンポジウムを開催しております。このシンポジウムが開催されて2年の歳月が経過しました。この間、「農?環境?医療の連携を求めて」に始まり、「代替医療と代替農業の連携を求めて」、「鳥インフルエンザ"農と環境と医療の視点から"」、「農と環境と健康に及ぼすカドミウムとヒ素の影響」と題して、環境を通した農業と医療の今日的な問題を取り上げてまいりました。これらの成果は冊子にまとめ、誰でも購入できるシステムも構築しました。
第5回のシンポジウムは、「地球温暖化:農と環境と健康に及ぼす影響評価とその対策?適応技術」と題したもっとも今日的な問題を取り上げました。
このシンポジウムを開催する趣旨の原点は、次のようなことにあります。われわれはなぜ、人類や文明がいま直面している数々の驚異的な危機に思いが及ばないのでしょうか。地球温暖化が様々な生態系に極めて有害な現象を引き起こし、地球生命圏が、すでに温暖化制御の限度を超えてしまっているのに、ひとびとがそれを理解できずにいるのはなぜでしょうか。米国が京都議定書から離脱したり、先進国と途上国の間で政治的な綱引きが行われたり、有効な国際的温暖化対策が進んでいないのはなぜでしょうか。
地球には、小は微生物から大はクジラにいたるヒトを含めたあらゆる生物が生息しているという概念、そしてこれらの生物がさらに大きな多様性を包み込む「生きている地球」の一部だという概念を、われわれは心の底からまだ理解していないのでしょうか。これらすべての危機的な現象が、食料を豊かに生産し、便利で文化的な生活を営むわれわれの活動に由来することに、なぜ気づかないのでしょうか。たとえ気づいていても、これを改善できないのは何故でしょうか。
しかし幸せなことに、1970年代から地球温暖化問題に取り組んでいるアル?ゴア前米副大統領とIPCC(気候変動に関する政府間パネル)は、2007年のノーベル平和賞を受けました。このことによって、地球の温暖化問題が世界のひとびとの掌中に届いたことになります。
危機的状況にある地球の温暖化が人間の生活に及ぼす負の影響は、極めて重大です。干ばつ、塩類化、土壌浸食などによる食料問題、熱射病、紫外線増加、デング熱、マラリアなどによる医療問題は、いずれも人類の未来に暗い影を落としています。地球環境の変動は、いつの時代も食料を提供する農業と、人の健康と生命を守る医療に密接に関わっているのです。
このような視点から開催される今回のシンポジウムの講演者に、これまで様々な形で国内外でIPCCに携わってこられた方々をお招きしました。快くお引き受けいただいた演者の方々に心からお礼申し上げます。
第5回博狗体育在线_狗博体育直播【官方授权网站】@農医連携シンポジウムの内容:(2)IPCC報告書の流れとわが国の温暖化現象
平成20年3月25日に開催された第5回博狗体育在线_狗博体育直播【官方授权网站】@農医連携シンポジウムのうち、演題「IPCC報告書の流れとわが国の温暖化現象」を紹介する。残りの演題と総合討論については、次号以降に順次紹介する。
IPCC報告書の流れとわが国の温暖化現象
はじめに
すべてが変わったのは1969年である。この年、川面に写された自分の姿を見るように、われわれは宇宙船アポロが撮影した青い地球の写真の中に、初めてわれわれ自身を見た。そのときから、われわれは自分自身を地球全体から切り離すことができないという自覚をもった。どうやら全体としての地球は、生き物かもしれないという潜在意識をももったのではなかろうか。
一方、同じ年の1969年は、ラブロックが地球は太陽系の中で最大の生き物(地球生命圏ガイア)であると思考した創造的な年でもあった。つまり、生命圏は自己調節機能をもった存在であり、化学的物理的環境を調節することによって、われわれの住む惑星の健康を維持する力をそなえている、という仮説を発表した年でもあった。
前者の科学技術は、意識的かつ理性的に発展した。その結果、われわれは俯瞰的な視点で地球全体を観ることに専念した。気候変動に関する政府間パネル(Intergovernmental panel on Climate Change:IPCC)の立ち上げと、多くの科学者の気候変動に関わる研究への参加がその結果である。また、この科学技術はノーベル賞の受賞までに発展した。
後者の仮説は意識的で理性的ではあるが、一部には無意識的かつ直感的な背景が認められる。この仮説は、現在の地球問題を考えるうえで、あらゆる分野の多くの技術者や科学者に多大な影響を与えた。その結果、物理学者、科学者、医学者、農学者、気象学者などあまたの学者が共同して知の統合をめざした。さらには、この仮説は「グローバルブレイン(ピーター?ラッセル)」や「アースマインド(ポール?デヴェローィ)」など脳や精神の分野にまで発展した。これらの思考は、いまでは科学と宗教の統合知の創出にまで駆けめぐっている。
このように、地球温暖化の問題にかかわる歴史的な背景には、意識的かつ理性的な場面と無意識的かつ直感的な場面が共存している。そこで、ここでは「地球生命圏GAIAの流れ」と「IPCC報告書の流れ」を追い、「温暖化:花綵(かさい)列島のいま」の実例を時間の許す限り紹介する。さらに、われわれが「すぐに、できること」をまとめ、今後わが国の「温暖化と文化」がどうなるかを考えてみる。
地球生命圏GAIAの流れ
地球生命圏GAIAという概念は、英国の科学者、ジェームズ?ラブロックによって広く世間に流布された。彼は化学者として大学を卒業し、生物物理学?衛生学?熱帯医学の各博士号を取得し、医学部の教授を経て、NASAの宇宙計画のコンサルタントとして、火星の生命探査計画にも参加した。また、ガスクロマトグラフィーの専門家で、彼の発明した電子捕獲検出器(FPD)は、環境分析に多大な貢献をしている。
「沈黙の春」の著者レイチェル?カーソンの問題提起のしかたは、科学者としてではなく唱道者としてのそれであったと説き、彼は生きている地球というガイアの概念を、天文学から動物学にいたる広範な科学の諸領域にわたって実証しようとする。
ラブロックは、これまでガイアに関する数多くの本を世に問うている。「地球生命圏"ガイアの科学」、「ガイアの時代」、「GAIAガイア:生命惑星?地球」、「ガイア:地球は生きている」、「ガイアの思想:地球?人間?社会の未来を拓く」などが、そうである。昨年、87歳になって出版した本は、「The REVENGE of GAIA」である。文字通り「ガイアの復讐」と訳して出版された。
Oxford University Press から1979年に「Gaia: A new look at life on earth」と題した本が出版された。この本が「地球生命圏"ガイアの科学」としてわが国で出版されたのは、1984年である。翻訳?出版されるのに5年の歳月が経っている。続いて、W.W. Nortonから1988年に「The ages of Gaia」が出版された。この本は「ガイアの時代」と題してわが国で1989年に翻訳?出版された。われわれは、原著出版の翌年にはこの本を翻訳文として読むことができた。
最近の原著「The REVENGE of GAIA」と訳書「ガイアの復讐」は、いずれも2006年である。われわれが翻訳文を手にしたのは、原著と同年ということになる。この3冊の本の原著と翻訳の時間的な流れをみるだけでも、ひとびとの地球生命圏ガイアへの関心の強さがうかがえる。さらに、地球が温暖化しつつある現実も、ひとびとの地球生命圏への関心を高めている。
「地球生命圏"ガイアの科学」が世に出て、「ガイアの復讐」をわれわれが手にするまで、27年の歳月が経過している。優に四分の一世紀の長きにわたる。「地球生命圏"ガイアの科学」の内容を一言で言えば、地球の生物と大気と海洋と土壌は、単一の有機体とみなせる複雑な系を構成しており、われわれの地球を生命にふさわしい場として保つ能力を備えているという仮説の実証である。「ガイアの時代」は、「地球生命圏"ガイアの科学」が執筆された後、その後の科学的知見を基に全面書き直しされたものである。その間、9年の歳月が経過している。
彼は「はじめに」で、自分はガイアの声を代弁したいだけであることを強調する。なぜなら、人間の声を代弁する人の数にくらべ、ガイアを代弁する者があまりにも少ないからである。また「ヒポクラテスの誓い」と題して、本書の目的の一つに、惑星医学という専門分野が必要で、その基礎としての地球生理学を確立する必要があると説く。
この本で特筆されるのは、IPCCの結論を既に早くから予言している次の一節である。「地球の健康は、自然生態系の大規模な改変によってもっとも大きく脅かされる。この種のダメージの源として一番重大なのは農業、林業そして程度はこの二つほどではないが漁業であり、二酸化炭素、メタン、その他いくつかの温室効果ガスの容赦ない増加を招く」。「われわれはけっして農業なしには生きていけないが、よい農業と悪い農業のあいだには大きなひらきがある。粗悪な農業は、おそらくガイアの健康にとって最大の脅威である」。
「ガイアの復讐」では、ガイアは人間を排除しようとしていることを解説する。ガイアが人間を受け入れるためには、人間の数が多すぎるとも語る。その多すぎる人間を支える基本となっている電気は、核融合や水素エネルギー技術が確立するまで、環境にもっとも負荷の少ない核分裂エネルギーに頼るしかないと記す。
また、彼は地球温暖化の臨界点を二酸化炭素濃度で500ppmとしている。北極の氷の溶ける量が増加すれば、氷の中の二酸化炭素が放出されて温暖化に拍車がかかるという。ここでは、ひとびとがあまり語らない閾値(いきち)の問題が見え隠れしている。大気中の二酸化炭素濃度や気温によって決まる閾値が存在することに、気付かなければならない。ひとたびこの値を超えると、どんな対策をとろうとも、結末を変えることができない。地球はかつてないほどの高温状態になり、後戻りは不可能だ。
南太平洋のエリス諸島を領土とするツバル国は、いまや水没の危機にさらされている。気温の上昇による海水の膨張により、日本の海岸に面した平野は水没を逃れるために、防波堤を構築しなければならないだろうか? 地球が新たな酷暑の状態に向けて急速に動き出したら、気候変動は間違いなく政界や経済界を混乱させるであろう。
IPCC報告書の流れ
IPCCは、WHOとUNEPが大洪水や干ばつや暖冬といった世界的な異常気象を契機に、気候と気候変動に係わる研究を開始したことに始まる。その後、気候変動に関する国際的課題が増大するにつれ、各国政府が効果的な政策を講じられるよう、気候変動に関する科学的情報を包括的に提供する必要性が高まった。これらを背景にして、1987年のWMO総会ならびにUNEP理事会でIPCCの設立構想が提案され、1988年に承認?設立された。
IPCCはもともと国際連合気候変動枠組条約(UNFCCC)とは関係なく設立されたが、第一次評価報告書が気候変動に関する知見を集大成?評価したものとして高く評価されたことから、基本的な参考文献として広く利用されるようになった。
第一次評価報告書1990では、気候変化の科学的評価WG I (温室効果ガスの増加と寄与率が重要)、気候変化の影響評価WG II、IPCC対応戦略WG III、気候変化:IPCC1990&1992評価第一次評価大要とSPM、が出版されている。
IPCC特別報告書1994では、気候変動の放射強制とIPCCIS92排出シナリオの評価、気候変動の影響と適応策の評価のための技術ガイドライン、温室効果ガス目録のためのIPCCガイドライン、特別報告書1994SPMとその他の要約、が印刷されている。
第二次評価報告書:気候変化1995では、気候変化の科学WG I 、気候変化の影響?適応?緩和:科学的及び技術的分析WG II (温室効果ガスの削減技術が重要)、気候変化の経済的?社会的側面WG III、UNFCC第2条の解釈における科学的?技術的情報に関する統合報告書(3作業部会のSPN)、が製本されている。
第三次評価報告書:気候変化2001では、科学的根拠WG I 、影響?適応?脆弱性WG II、緩和WG III、統合報告書、が出版されている。
第四次評価報告書:気候変化2007では、気候変動緩和の技術?政策及び対策、IPCC第二次評価報告書で使われた単純気候モデルの紹介、大気中温室効果ガス:物理的?生物的?社会経済的影響、二酸化炭素排出制限案の影響、気候変動と生物多様性、が印刷されている。
他にもIPCC特別報告書、気候変動の地域影響:脆弱性の評価1997、航空機と地球大気1999、技術移転の手法上及び技術上の課題2000、排出シナリオ:2000、土地利用?土地利用の変化及び林業2000、第三次評価報告における横断的事項に関するガイダンス?ペーパー、水に関するルールを変える気候:水と気候に関する対話統合報告書、などがある。
温暖化:花綵列島への影響
花綵列島へ及ぼす温暖化の影響を以下に紹介する。
永久凍土の融解(富士山?北海道)、マイワシ不漁(三陸沖)、稲作被害(九州)、海面上昇(西日本)、サンゴ被害(沖縄)、シカの冬越え(栃木?群馬?北海道)、高山植物の減少(ブナ林?ヒダカソウ)、リンゴ減収(青森)、メタンの増大(水田)、クマゼミの北上(東京)、熱帯夜の増加(東京)、エチゼンクラゲの大発生(日本海沿岸?三陸)、ミズバショウの巨大化(尾瀬)、湿原消失(釧路)、湖水透明度低下(摩周湖)、ヤンバルクイナ絶滅危機(沖縄)、砂丘喪失?海岸侵食(静岡?千葉)、アオコ大発生(茨城)、都市植物暖冬異変(東京)、黄砂、南アルプスのライチョウ減少、など。
すぐに、できること
われわれはなぜ、人類や文明がいま直面している数々の驚異的な危機におもいが及ばないのだろうか。地球温暖化による加熱が、さまざまな生態系に極めて有害な現象を引き起こし、地球生命圏が、すでに温暖化を制御する限度を超えてしまっているのに、ひとびとがそれを理解できずにいるのはなぜだろうか。
今すぐにできることは?炭素や窒素を土壌に返す。全身全霊を傾けてエコ商品を買う。物理的欲望を下げる。資源エネルギーの消費量を減少させる。生産?流通?消費の全体にわたるクリーン化。CO2の他に、CH4とN2Oにも関心を寄せること。政治家、マスコミ、国家の構造やシステムを批判することはともかく、自分が地球を温暖化させているという自覚。右肩下がりの経済に移行?領導。環境の輪の中に経済があるという思考を持ち、経済の輪の中に環境があるという思考は即座に捨てる。
温暖化と文化
温暖化は美しい日本の文化にも影響を与えないだろうか。美しい景観の喪失、居住地域の共同体の喪失、風習の変質、生物多様性の喪失、音楽?詩歌の変貌、科学の示す数字でない精神世界の危機、などはないだろうか。恐らく、氷河湖の流水により、一瞬のうちに村落が消失するであろうブータンの悲劇と似た事象を、われわれもまた味わうのであろうか?
IPCC報告書の流れとわが国の温暖化現象
博狗体育在线_狗博体育直播【官方授权网站】@ 陽 捷行
はじめに
すべてが変わったのは1969年である。この年、川面に写された自分の姿を見るように、われわれは宇宙船アポロが撮影した青い地球の写真の中に、初めてわれわれ自身を見た。そのときから、われわれは自分自身を地球全体から切り離すことができないという自覚をもった。どうやら全体としての地球は、生き物かもしれないという潜在意識をももったのではなかろうか。
一方、同じ年の1969年は、ラブロックが地球は太陽系の中で最大の生き物(地球生命圏ガイア)であると思考した創造的な年でもあった。つまり、生命圏は自己調節機能をもった存在であり、化学的物理的環境を調節することによって、われわれの住む惑星の健康を維持する力をそなえている、という仮説を発表した年でもあった。
前者の科学技術は、意識的かつ理性的に発展した。その結果、われわれは俯瞰的な視点で地球全体を観ることに専念した。気候変動に関する政府間パネル(Intergovernmental panel on Climate Change:IPCC)の立ち上げと、多くの科学者の気候変動に関わる研究への参加がその結果である。また、この科学技術はノーベル賞の受賞までに発展した。
後者の仮説は意識的で理性的ではあるが、一部には無意識的かつ直感的な背景が認められる。この仮説は、現在の地球問題を考えるうえで、あらゆる分野の多くの技術者や科学者に多大な影響を与えた。その結果、物理学者、科学者、医学者、農学者、気象学者などあまたの学者が共同して知の統合をめざした。さらには、この仮説は「グローバルブレイン(ピーター?ラッセル)」や「アースマインド(ポール?デヴェローィ)」など脳や精神の分野にまで発展した。これらの思考は、いまでは科学と宗教の統合知の創出にまで駆けめぐっている。
このように、地球温暖化の問題にかかわる歴史的な背景には、意識的かつ理性的な場面と無意識的かつ直感的な場面が共存している。そこで、ここでは「地球生命圏GAIAの流れ」と「IPCC報告書の流れ」を追い、「温暖化:花綵(かさい)列島のいま」の実例を時間の許す限り紹介する。さらに、われわれが「すぐに、できること」をまとめ、今後わが国の「温暖化と文化」がどうなるかを考えてみる。
地球生命圏GAIAの流れ
地球生命圏GAIAという概念は、英国の科学者、ジェームズ?ラブロックによって広く世間に流布された。彼は化学者として大学を卒業し、生物物理学?衛生学?熱帯医学の各博士号を取得し、医学部の教授を経て、NASAの宇宙計画のコンサルタントとして、火星の生命探査計画にも参加した。また、ガスクロマトグラフィーの専門家で、彼の発明した電子捕獲検出器(FPD)は、環境分析に多大な貢献をしている。
「沈黙の春」の著者レイチェル?カーソンの問題提起のしかたは、科学者としてではなく唱道者としてのそれであったと説き、彼は生きている地球というガイアの概念を、天文学から動物学にいたる広範な科学の諸領域にわたって実証しようとする。
ラブロックは、これまでガイアに関する数多くの本を世に問うている。「地球生命圏"ガイアの科学」、「ガイアの時代」、「GAIAガイア:生命惑星?地球」、「ガイア:地球は生きている」、「ガイアの思想:地球?人間?社会の未来を拓く」などが、そうである。昨年、87歳になって出版した本は、「The REVENGE of GAIA」である。文字通り「ガイアの復讐」と訳して出版された。
Oxford University Press から1979年に「Gaia: A new look at life on earth」と題した本が出版された。この本が「地球生命圏"ガイアの科学」としてわが国で出版されたのは、1984年である。翻訳?出版されるのに5年の歳月が経っている。続いて、W.W. Nortonから1988年に「The ages of Gaia」が出版された。この本は「ガイアの時代」と題してわが国で1989年に翻訳?出版された。われわれは、原著出版の翌年にはこの本を翻訳文として読むことができた。
最近の原著「The REVENGE of GAIA」と訳書「ガイアの復讐」は、いずれも2006年である。われわれが翻訳文を手にしたのは、原著と同年ということになる。この3冊の本の原著と翻訳の時間的な流れをみるだけでも、ひとびとの地球生命圏ガイアへの関心の強さがうかがえる。さらに、地球が温暖化しつつある現実も、ひとびとの地球生命圏への関心を高めている。
「地球生命圏"ガイアの科学」が世に出て、「ガイアの復讐」をわれわれが手にするまで、27年の歳月が経過している。優に四分の一世紀の長きにわたる。「地球生命圏"ガイアの科学」の内容を一言で言えば、地球の生物と大気と海洋と土壌は、単一の有機体とみなせる複雑な系を構成しており、われわれの地球を生命にふさわしい場として保つ能力を備えているという仮説の実証である。「ガイアの時代」は、「地球生命圏"ガイアの科学」が執筆された後、その後の科学的知見を基に全面書き直しされたものである。その間、9年の歳月が経過している。
彼は「はじめに」で、自分はガイアの声を代弁したいだけであることを強調する。なぜなら、人間の声を代弁する人の数にくらべ、ガイアを代弁する者があまりにも少ないからである。また「ヒポクラテスの誓い」と題して、本書の目的の一つに、惑星医学という専門分野が必要で、その基礎としての地球生理学を確立する必要があると説く。
この本で特筆されるのは、IPCCの結論を既に早くから予言している次の一節である。「地球の健康は、自然生態系の大規模な改変によってもっとも大きく脅かされる。この種のダメージの源として一番重大なのは農業、林業そして程度はこの二つほどではないが漁業であり、二酸化炭素、メタン、その他いくつかの温室効果ガスの容赦ない増加を招く」。「われわれはけっして農業なしには生きていけないが、よい農業と悪い農業のあいだには大きなひらきがある。粗悪な農業は、おそらくガイアの健康にとって最大の脅威である」。
「ガイアの復讐」では、ガイアは人間を排除しようとしていることを解説する。ガイアが人間を受け入れるためには、人間の数が多すぎるとも語る。その多すぎる人間を支える基本となっている電気は、核融合や水素エネルギー技術が確立するまで、環境にもっとも負荷の少ない核分裂エネルギーに頼るしかないと記す。
また、彼は地球温暖化の臨界点を二酸化炭素濃度で500ppmとしている。北極の氷の溶ける量が増加すれば、氷の中の二酸化炭素が放出されて温暖化に拍車がかかるという。ここでは、ひとびとがあまり語らない閾値(いきち)の問題が見え隠れしている。大気中の二酸化炭素濃度や気温によって決まる閾値が存在することに、気付かなければならない。ひとたびこの値を超えると、どんな対策をとろうとも、結末を変えることができない。地球はかつてないほどの高温状態になり、後戻りは不可能だ。
南太平洋のエリス諸島を領土とするツバル国は、いまや水没の危機にさらされている。気温の上昇による海水の膨張により、日本の海岸に面した平野は水没を逃れるために、防波堤を構築しなければならないだろうか? 地球が新たな酷暑の状態に向けて急速に動き出したら、気候変動は間違いなく政界や経済界を混乱させるであろう。
IPCC報告書の流れ
IPCCは、WHOとUNEPが大洪水や干ばつや暖冬といった世界的な異常気象を契機に、気候と気候変動に係わる研究を開始したことに始まる。その後、気候変動に関する国際的課題が増大するにつれ、各国政府が効果的な政策を講じられるよう、気候変動に関する科学的情報を包括的に提供する必要性が高まった。これらを背景にして、1987年のWMO総会ならびにUNEP理事会でIPCCの設立構想が提案され、1988年に承認?設立された。
IPCCはもともと国際連合気候変動枠組条約(UNFCCC)とは関係なく設立されたが、第一次評価報告書が気候変動に関する知見を集大成?評価したものとして高く評価されたことから、基本的な参考文献として広く利用されるようになった。
第一次評価報告書1990では、気候変化の科学的評価WG I (温室効果ガスの増加と寄与率が重要)、気候変化の影響評価WG II、IPCC対応戦略WG III、気候変化:IPCC1990&1992評価第一次評価大要とSPM、が出版されている。
IPCC特別報告書1994では、気候変動の放射強制とIPCCIS92排出シナリオの評価、気候変動の影響と適応策の評価のための技術ガイドライン、温室効果ガス目録のためのIPCCガイドライン、特別報告書1994SPMとその他の要約、が印刷されている。
第二次評価報告書:気候変化1995では、気候変化の科学WG I 、気候変化の影響?適応?緩和:科学的及び技術的分析WG II (温室効果ガスの削減技術が重要)、気候変化の経済的?社会的側面WG III、UNFCC第2条の解釈における科学的?技術的情報に関する統合報告書(3作業部会のSPN)、が製本されている。
第三次評価報告書:気候変化2001では、科学的根拠WG I 、影響?適応?脆弱性WG II、緩和WG III、統合報告書、が出版されている。
第四次評価報告書:気候変化2007では、気候変動緩和の技術?政策及び対策、IPCC第二次評価報告書で使われた単純気候モデルの紹介、大気中温室効果ガス:物理的?生物的?社会経済的影響、二酸化炭素排出制限案の影響、気候変動と生物多様性、が印刷されている。
他にもIPCC特別報告書、気候変動の地域影響:脆弱性の評価1997、航空機と地球大気1999、技術移転の手法上及び技術上の課題2000、排出シナリオ:2000、土地利用?土地利用の変化及び林業2000、第三次評価報告における横断的事項に関するガイダンス?ペーパー、水に関するルールを変える気候:水と気候に関する対話統合報告書、などがある。
温暖化:花綵列島への影響
花綵列島へ及ぼす温暖化の影響を以下に紹介する。
永久凍土の融解(富士山?北海道)、マイワシ不漁(三陸沖)、稲作被害(九州)、海面上昇(西日本)、サンゴ被害(沖縄)、シカの冬越え(栃木?群馬?北海道)、高山植物の減少(ブナ林?ヒダカソウ)、リンゴ減収(青森)、メタンの増大(水田)、クマゼミの北上(東京)、熱帯夜の増加(東京)、エチゼンクラゲの大発生(日本海沿岸?三陸)、ミズバショウの巨大化(尾瀬)、湿原消失(釧路)、湖水透明度低下(摩周湖)、ヤンバルクイナ絶滅危機(沖縄)、砂丘喪失?海岸侵食(静岡?千葉)、アオコ大発生(茨城)、都市植物暖冬異変(東京)、黄砂、南アルプスのライチョウ減少、など。
すぐに、できること
われわれはなぜ、人類や文明がいま直面している数々の驚異的な危機におもいが及ばないのだろうか。地球温暖化による加熱が、さまざまな生態系に極めて有害な現象を引き起こし、地球生命圏が、すでに温暖化を制御する限度を超えてしまっているのに、ひとびとがそれを理解できずにいるのはなぜだろうか。
今すぐにできることは?炭素や窒素を土壌に返す。全身全霊を傾けてエコ商品を買う。物理的欲望を下げる。資源エネルギーの消費量を減少させる。生産?流通?消費の全体にわたるクリーン化。CO2の他に、CH4とN2Oにも関心を寄せること。政治家、マスコミ、国家の構造やシステムを批判することはともかく、自分が地球を温暖化させているという自覚。右肩下がりの経済に移行?領導。環境の輪の中に経済があるという思考を持ち、経済の輪の中に環境があるという思考は即座に捨てる。
温暖化と文化
温暖化は美しい日本の文化にも影響を与えないだろうか。美しい景観の喪失、居住地域の共同体の喪失、風習の変質、生物多様性の喪失、音楽?詩歌の変貌、科学の示す数字でない精神世界の危機、などはないだろうか。恐らく、氷河湖の流水により、一瞬のうちに村落が消失するであろうブータンの悲劇と似た事象を、われわれもまた味わうのであろうか?
健康と地球環境の保全:3.環境から考える医
第一回の「環境を背景にした農と医の類似性」では、農と医が同じような歴史をたどってきたこと、近代農学と近代医学を補完するための農業と医療が発生してきたこと、第二回の「土壌から考える環境と農」では、人間圏の誕生によって土壌と環境が衰退し始めたこと、持続型農業への転換が必要であること、などを書いてきた。
ある環境に生きている限り、ヒトの健康はその環境の産物である。このことは、古来誰にも疑う余地のない事実であろう。今回は環境から観た健康や医療について、その歴史を振り返り、現在と将来の問題について考えてみる。
健康の基は?
著名なフランスのノーベル生理学?医学賞受賞者、アレキシス?カレルは、今から百年近くも前の1912年に、次のことを語っている。「土壌が人間生活全般の基礎なのであるから、私たちが近代的農業経済学のやり方によって崩壊させてきた土壌に再び調和をもたらす以外に、健康な世界がやってくる見込みはない。生き物はすべて土壌の肥沃度(地力)に応じて健康か不健康になる」。なぜなら、すべての食物は、直接あるいは間接的に土壌から生まれてくるからである。
人智学の創始者で有名なルドルフ?シュタイナーは、さらに百年以上も前にもっと強烈なことを次のように指摘している。「不健康な土壌からとれた食物を食べているかぎり、魂は自らを肉体の牢獄から解放するためのスタミナを欠いたままだろう」。
他にも多くの賢者が、人の命と健康の基は土と水にあることを語っている。健全な土と水、すなわち健全な環境資源があってはじめて、人は健康を維持することができる。北里柴三郎が若き日に書いた医道論の中にも、健康の基は環境であることがはっきり示されている。すなわち、医道の基本は未然に防ぐことである。健全な環境のもとで生産され、安全な製造過程を経た食品を食し、健康を保ち病に陥らないことが必要であると。
時代と環境によって病気は異なる
人類の長い歴史の中で、ハンセン病ほど不当な差別と社会的制裁を加えられた感染症はない。この病は、聖書にも書かれている。中世のハンセン病患者への対応は、想像に絶する。ハンセン病患者は常に自分の存在を知らせるために、笛を吹くか木片を叩かなければならなかった。風下にいるときしか人と話せない。いかなる集まりにも出席できない。死んでも教会の墓地には埋葬されなかった。
これは、ライ菌がひきおこす慢性の感染病であった。ライ菌は土壌に存在し、霊長類のチンパンジーなどにも自然感染がある人獣共通感染症である。この病気は、まさに環境に由来する病気なのである。
中世の代表的な感染症であるペストの歴史と悲劇にも、身が震える。グリム兄弟の「ドイツ伝説集」にある「ハーメルンの笛吹き男」は、ペスト(黒死病)の元凶であるネズミを小川に飛び込ませ、殺す物語である。ハーメルンのひとびとが、笛吹き男に約束の報酬を払わなかったため、男は再び舞い戻って笛を吹く。たちまち、家々から多くの子供たちが出てきてネズミと同じように行進を始める。男の後について行った子供たちは、二度と村に帰ることがなかった。子供の大量死の記載から、この伝説はペストに結び付けて考えられている。
このペスト菌はどこから、どのような経路でヨーロッパにやってきたのであろうか。中央アジアのタジキスタンで流行り始めたこの疫病は、モンゴル系遊牧民の移動に伴って、パミール高原を南下し、シルクロードを経て中国に到達した。一方、西進した疫病は、サマルカンドからアムダリア川に沿ってカスピ海をかすめ、タブリーズ(イラン)を経てトラブゾン(トルコ)に到着した。この港からペスト菌も船出し、最後はヨーロッパ世界を席巻した。まさに疫病は、環境を経由して感染していった。このペスト菌の発見者こそが、コッホの弟子であるわれらが北里柴三郎と、パスツールの弟子であるイエルサンであったことは、あまりにも有名な話である。
他にも、急性かつ激烈な感染症に梅毒がある。この病気は細菌によって起こされる。性交渉を介して伝染する性感染症である。この病気に罹ると、鼻や咽頭、口の組織に欠損が現れる。骨に腫瘤ができ、神経も冒されて恐ろしい痛みを伴う。顔の形相が変わり、やがて死が訪れる。地獄の責め苦にあうような感染症であった。これは、コロンブスが持ち帰った風土病である。細菌にすれば、人間という環境を通して増殖してきたのである。
清教徒(ピューリタン)が性行動を慎み、夫婦制度を強化し、ひとびとの中に純潔教育を施した背景にこの梅毒という感染症があったといわれる。シューベルトが「未完成交響曲」の作曲に着手した25歳の頃、すでに梅毒の症状が出始め、この曲は未完に終わった。モーパッサンが「女の一生」を世に出す数年前、頭痛と幻覚と被害妄想にさいなまれたのも、梅毒の兆候があったためである。ドイツの偉大な詩人、ハイネもゲッチンゲン大学の学生時代に梅毒に冒されていたことなど、数多くの事例は、梅毒という感染症がいかに人類を蝕んだかという説を如実に示してくれる。
それぞれの文明や社会には、このようにその時代と環境に直結するような疫病があった。こうした疫病からの苦難を経て、われわれは公衆衛生の思想を確立していき、環境を抜きにして人間の健康はあり得ないことを知ったのである。公衆衛生学が、いかに重要な学問であるかが思われる。
18世紀の半ばから産業革命が起こった。これにともなって結核が蔓延していく。結核菌はマイコバクテリウム属で、ハンセン病を起こすライ菌の類縁にあたる。厳密には、結核菌(人型結核菌)、牛型(牛型結核菌)、アフリカヌス菌などの数種のいずれかによって起こる。この病気も環境と密接にかかわる。結核菌を発見し、これを感染症と正確に証明したのもコッホであった。
重金属汚染による健康障害
19世紀に入って産業革命が始まり、それ以後、重金属は近代社会にとってますます不可欠なものになってきた。その結果、地殻から採掘される重金属の種類と量は増加し、必然的に土壌、植生、海洋、大気への揮散の度合いは、指数関数的な増加を示した。このことによって、重金属の生物地球化学的な循環が乱されることになる。
重金属の生物地球化学的な循環が乱されるとは、何を意味するのであろうか。これまで順調に循環していた重金属が、大気に土壌に海洋に過剰な負荷を掛けることになる。土壌に入った過剰な重金属は、作物に吸収される。海洋に拡散した重金属は、そこに生息する魚介類に摂取される。
その結果、それらを食する人間や動物は、通常より過剰な量の重金属を体内に蓄積することになる。さらに、その重金属は次の世代の人間や動物に引き継がれることにもなる。食物連鎖による蓄積、世代を超えた人間への重金属の集積である。重金属汚染は、時間と空間を越えた環境問題なのである。
このような農と環境と健康が関係した悲惨な例を、われわれは水銀汚染による水俣病、カドミウム汚染によるイタイイタイ病、ヒ素による慢性ヒ素中毒から学んだ。環境省が認めたわが国の公害病である。わが国の主な公害の歴史(渡良瀬川足尾銅山鉱毒被害、別子銅山亜硫酸ガス被害、神岡鉱山亜硫酸ガス?鉱毒被害、神通川流域イタイイタイ病被害、熊本?新潟県有機水銀中毒など)は農業生産と環境保全と医療?健康とが深く関わっていることを教えてくれる。
農業?農学の目的は、安全かつ十分な食料や衣類などに利用する生物資源をひとびとに供給することにある。そのためには、環境が保全されなければならない。医療?医学の目的は、ひとびとを病気から救い、ひとびとの健康を守ることにある。そのためにも、農業?農学と同じように環境が保全されなければならない。環境を無視した生産も健康もありえない。これらのことは、第4回博狗体育在线_狗博体育直播【官方授权网站】@農医連携シンポジウムでも強調したところである。
参照:/jp/noui/spread/symposium/sympo04.html
感染症"終わりなき戦い"
人間はこれまでペスト、コレラ、梅毒、結核などの感染症と戦い続けてきた。しかし、まだまだ戦い続けなければならない。エイズ、牛海綿状脳症(BSE)、病原性大腸菌O157、鳥インフルエンザなど数多くの感染症が現在も存在する。
ここでは、今もっとも心配されている鳥インフルエンザの例を紹介しよう。鳥インフルエンザこそは、農と環境と医療に最も関係の深い感染症なのである。渡り鳥(環境)から飼育している鶏(農)に感染し、そのインフルエンザが人間(医療)に感染し、さらに人間の間で感染が繰り返されるからである。
いま、新たな心配事が生じている。ここ数年、アジアで流行していた鳥インフルエンザが、一昨年の秋に欧州およびアフリカでも確認された。繰り返される感染で病原体のウイルスが変異し、人間社会で爆発的な流行を引き起こす新型インフルエンザ出現の可能性が高まっている。世界保健機関(WHO)をはじめ多くの国が、流行に備え体制を整えつつある。日本も例外ではいられない。厚生労働省は2005年の11月14日、近い将来に出現する危険性が高まっている「新型インフルエンザ」が国内で流行した場合、非常事態を宣言することなどを定めた行動計画を公表した。
生態系は、大きな生命の交響楽団である。無数の生き物が様々な環境のなかで作りあげている生態系のもつ秩序は、目をこらしてみても見えない無数の環境資源と生物の相互が依存しているネットワークと言える。生態系に生きる生物とこのネットワークそのものは、調和が崩れても、自動的に調和がとりもどされるように仕組まれている。だから、自然世界の調和は、永遠に終わることのないハーモニーを奏で続けることができるのである。
はたしてその永遠とは、今では期限付きの永遠なのか?鳥インフルエンザの問題は、われわれに悲壮な現実を突きつけている。自然界への人間の介入は、これまで生態系にいくつもの大きな変動をもたらした。生態系がこの変動を容易に復元できる範囲であるとき、その介入は許された。われわれは既にその範囲を超えてしまったようだ。
鳥インフルエンザは、これまで自然界において水禽類やシギやチドリの間で保存されてきた。しかし、われわれが良しとして創出した国際商取引、新たな文化、養鶏の産業化などによって、ウイルスの生態系、分布域、宿主範囲および病原性などが大きく変化した。ペット野鳥の国際流通、水禽類農場、屋外飼育農場、生鳥の流通販売、愛玩鶏?闘鶏の流通、養鶏場の大規模化などがその例である。
過去におけるBSEの問題、今回の鳥インフルエンザの問題、そして将来も起こるであろうこれらの「小さなインベーダー(侵入者、侵略者)」の問題について、真剣に取り組まなければ、人類の未来は暗い。これらの問題は、常に農と環境と医療に密接に関わっている。これらの関連を切り離しての問題解決はないであろう。
WHOに報告されたヒトの高病原性鳥インフルエンザ(H5N1)感染確定症例数(A)と死亡例数(B)
ある環境に生きている限り、ヒトの健康はその環境の産物である。このことは、古来誰にも疑う余地のない事実であろう。今回は環境から観た健康や医療について、その歴史を振り返り、現在と将来の問題について考えてみる。
健康の基は?
著名なフランスのノーベル生理学?医学賞受賞者、アレキシス?カレルは、今から百年近くも前の1912年に、次のことを語っている。「土壌が人間生活全般の基礎なのであるから、私たちが近代的農業経済学のやり方によって崩壊させてきた土壌に再び調和をもたらす以外に、健康な世界がやってくる見込みはない。生き物はすべて土壌の肥沃度(地力)に応じて健康か不健康になる」。なぜなら、すべての食物は、直接あるいは間接的に土壌から生まれてくるからである。
人智学の創始者で有名なルドルフ?シュタイナーは、さらに百年以上も前にもっと強烈なことを次のように指摘している。「不健康な土壌からとれた食物を食べているかぎり、魂は自らを肉体の牢獄から解放するためのスタミナを欠いたままだろう」。
他にも多くの賢者が、人の命と健康の基は土と水にあることを語っている。健全な土と水、すなわち健全な環境資源があってはじめて、人は健康を維持することができる。北里柴三郎が若き日に書いた医道論の中にも、健康の基は環境であることがはっきり示されている。すなわち、医道の基本は未然に防ぐことである。健全な環境のもとで生産され、安全な製造過程を経た食品を食し、健康を保ち病に陥らないことが必要であると。
時代と環境によって病気は異なる
人類の長い歴史の中で、ハンセン病ほど不当な差別と社会的制裁を加えられた感染症はない。この病は、聖書にも書かれている。中世のハンセン病患者への対応は、想像に絶する。ハンセン病患者は常に自分の存在を知らせるために、笛を吹くか木片を叩かなければならなかった。風下にいるときしか人と話せない。いかなる集まりにも出席できない。死んでも教会の墓地には埋葬されなかった。
これは、ライ菌がひきおこす慢性の感染病であった。ライ菌は土壌に存在し、霊長類のチンパンジーなどにも自然感染がある人獣共通感染症である。この病気は、まさに環境に由来する病気なのである。
中世の代表的な感染症であるペストの歴史と悲劇にも、身が震える。グリム兄弟の「ドイツ伝説集」にある「ハーメルンの笛吹き男」は、ペスト(黒死病)の元凶であるネズミを小川に飛び込ませ、殺す物語である。ハーメルンのひとびとが、笛吹き男に約束の報酬を払わなかったため、男は再び舞い戻って笛を吹く。たちまち、家々から多くの子供たちが出てきてネズミと同じように行進を始める。男の後について行った子供たちは、二度と村に帰ることがなかった。子供の大量死の記載から、この伝説はペストに結び付けて考えられている。
このペスト菌はどこから、どのような経路でヨーロッパにやってきたのであろうか。中央アジアのタジキスタンで流行り始めたこの疫病は、モンゴル系遊牧民の移動に伴って、パミール高原を南下し、シルクロードを経て中国に到達した。一方、西進した疫病は、サマルカンドからアムダリア川に沿ってカスピ海をかすめ、タブリーズ(イラン)を経てトラブゾン(トルコ)に到着した。この港からペスト菌も船出し、最後はヨーロッパ世界を席巻した。まさに疫病は、環境を経由して感染していった。このペスト菌の発見者こそが、コッホの弟子であるわれらが北里柴三郎と、パスツールの弟子であるイエルサンであったことは、あまりにも有名な話である。
他にも、急性かつ激烈な感染症に梅毒がある。この病気は細菌によって起こされる。性交渉を介して伝染する性感染症である。この病気に罹ると、鼻や咽頭、口の組織に欠損が現れる。骨に腫瘤ができ、神経も冒されて恐ろしい痛みを伴う。顔の形相が変わり、やがて死が訪れる。地獄の責め苦にあうような感染症であった。これは、コロンブスが持ち帰った風土病である。細菌にすれば、人間という環境を通して増殖してきたのである。
清教徒(ピューリタン)が性行動を慎み、夫婦制度を強化し、ひとびとの中に純潔教育を施した背景にこの梅毒という感染症があったといわれる。シューベルトが「未完成交響曲」の作曲に着手した25歳の頃、すでに梅毒の症状が出始め、この曲は未完に終わった。モーパッサンが「女の一生」を世に出す数年前、頭痛と幻覚と被害妄想にさいなまれたのも、梅毒の兆候があったためである。ドイツの偉大な詩人、ハイネもゲッチンゲン大学の学生時代に梅毒に冒されていたことなど、数多くの事例は、梅毒という感染症がいかに人類を蝕んだかという説を如実に示してくれる。
それぞれの文明や社会には、このようにその時代と環境に直結するような疫病があった。こうした疫病からの苦難を経て、われわれは公衆衛生の思想を確立していき、環境を抜きにして人間の健康はあり得ないことを知ったのである。公衆衛生学が、いかに重要な学問であるかが思われる。
18世紀の半ばから産業革命が起こった。これにともなって結核が蔓延していく。結核菌はマイコバクテリウム属で、ハンセン病を起こすライ菌の類縁にあたる。厳密には、結核菌(人型結核菌)、牛型(牛型結核菌)、アフリカヌス菌などの数種のいずれかによって起こる。この病気も環境と密接にかかわる。結核菌を発見し、これを感染症と正確に証明したのもコッホであった。
重金属汚染による健康障害
19世紀に入って産業革命が始まり、それ以後、重金属は近代社会にとってますます不可欠なものになってきた。その結果、地殻から採掘される重金属の種類と量は増加し、必然的に土壌、植生、海洋、大気への揮散の度合いは、指数関数的な増加を示した。このことによって、重金属の生物地球化学的な循環が乱されることになる。
重金属の生物地球化学的な循環が乱されるとは、何を意味するのであろうか。これまで順調に循環していた重金属が、大気に土壌に海洋に過剰な負荷を掛けることになる。土壌に入った過剰な重金属は、作物に吸収される。海洋に拡散した重金属は、そこに生息する魚介類に摂取される。
その結果、それらを食する人間や動物は、通常より過剰な量の重金属を体内に蓄積することになる。さらに、その重金属は次の世代の人間や動物に引き継がれることにもなる。食物連鎖による蓄積、世代を超えた人間への重金属の集積である。重金属汚染は、時間と空間を越えた環境問題なのである。
このような農と環境と健康が関係した悲惨な例を、われわれは水銀汚染による水俣病、カドミウム汚染によるイタイイタイ病、ヒ素による慢性ヒ素中毒から学んだ。環境省が認めたわが国の公害病である。わが国の主な公害の歴史(渡良瀬川足尾銅山鉱毒被害、別子銅山亜硫酸ガス被害、神岡鉱山亜硫酸ガス?鉱毒被害、神通川流域イタイイタイ病被害、熊本?新潟県有機水銀中毒など)は農業生産と環境保全と医療?健康とが深く関わっていることを教えてくれる。
農業?農学の目的は、安全かつ十分な食料や衣類などに利用する生物資源をひとびとに供給することにある。そのためには、環境が保全されなければならない。医療?医学の目的は、ひとびとを病気から救い、ひとびとの健康を守ることにある。そのためにも、農業?農学と同じように環境が保全されなければならない。環境を無視した生産も健康もありえない。これらのことは、第4回博狗体育在线_狗博体育直播【官方授权网站】@農医連携シンポジウムでも強調したところである。
参照:/jp/noui/spread/symposium/sympo04.html
感染症"終わりなき戦い"
人間はこれまでペスト、コレラ、梅毒、結核などの感染症と戦い続けてきた。しかし、まだまだ戦い続けなければならない。エイズ、牛海綿状脳症(BSE)、病原性大腸菌O157、鳥インフルエンザなど数多くの感染症が現在も存在する。
ここでは、今もっとも心配されている鳥インフルエンザの例を紹介しよう。鳥インフルエンザこそは、農と環境と医療に最も関係の深い感染症なのである。渡り鳥(環境)から飼育している鶏(農)に感染し、そのインフルエンザが人間(医療)に感染し、さらに人間の間で感染が繰り返されるからである。
いま、新たな心配事が生じている。ここ数年、アジアで流行していた鳥インフルエンザが、一昨年の秋に欧州およびアフリカでも確認された。繰り返される感染で病原体のウイルスが変異し、人間社会で爆発的な流行を引き起こす新型インフルエンザ出現の可能性が高まっている。世界保健機関(WHO)をはじめ多くの国が、流行に備え体制を整えつつある。日本も例外ではいられない。厚生労働省は2005年の11月14日、近い将来に出現する危険性が高まっている「新型インフルエンザ」が国内で流行した場合、非常事態を宣言することなどを定めた行動計画を公表した。
生態系は、大きな生命の交響楽団である。無数の生き物が様々な環境のなかで作りあげている生態系のもつ秩序は、目をこらしてみても見えない無数の環境資源と生物の相互が依存しているネットワークと言える。生態系に生きる生物とこのネットワークそのものは、調和が崩れても、自動的に調和がとりもどされるように仕組まれている。だから、自然世界の調和は、永遠に終わることのないハーモニーを奏で続けることができるのである。
はたしてその永遠とは、今では期限付きの永遠なのか?鳥インフルエンザの問題は、われわれに悲壮な現実を突きつけている。自然界への人間の介入は、これまで生態系にいくつもの大きな変動をもたらした。生態系がこの変動を容易に復元できる範囲であるとき、その介入は許された。われわれは既にその範囲を超えてしまったようだ。
鳥インフルエンザは、これまで自然界において水禽類やシギやチドリの間で保存されてきた。しかし、われわれが良しとして創出した国際商取引、新たな文化、養鶏の産業化などによって、ウイルスの生態系、分布域、宿主範囲および病原性などが大きく変化した。ペット野鳥の国際流通、水禽類農場、屋外飼育農場、生鳥の流通販売、愛玩鶏?闘鶏の流通、養鶏場の大規模化などがその例である。
過去におけるBSEの問題、今回の鳥インフルエンザの問題、そして将来も起こるであろうこれらの「小さなインベーダー(侵入者、侵略者)」の問題について、真剣に取り組まなければ、人類の未来は暗い。これらの問題は、常に農と環境と医療に密接に関わっている。これらの関連を切り離しての問題解決はないであろう。
WHOに報告されたヒトの高病原性鳥インフルエンザ(H5N1)感染確定症例数(A)と死亡例数(B)
2008年3月5日現在
世界保健機構(WHO)が2003年以来確定した鳥インフルエンザの確定症数と死亡例数は、2008年3月5日現在それぞれ、371名および235名である。最も確定症例数と死亡例数の多いのはインドネシアで、それぞれ129、105名に上る。新型インフルエンザがヒトからヒトに感染しないことを、心から願っている。なお、2008年3月5日現在の世界各国の確定症例数と死亡例数の数値を上の表に示した。
参照
地球温暖化と健康?医療
ノーベル賞委員会は、1970年代から地球温暖化問題に取り組んでいるアル?ゴア前米副大統領とIPCC「Intergovernmental Panel on Climate Change:気候変動に関する政府間パネル」に、2007年のノーベル平和賞を授与した。このことによって、地球の温暖化問題が世界のひとびとの掌中に届いたことになる。
危機的状況にある地球の温暖化が農業生産、環境およびヒトの健康や生活に及ぼす負の影響は、極めて重大である。干ばつ、塩類化、土壌浸食などによる環境と食料の問題はもとより、熱射病、紫外線増加、デング熱、マラリアなどによる健康と医療の問題は、いずれも人類の未来に暗雲の影を落としている。
地球環境の変動は、いつの時代も食料を提供する農業と、人の健康と生命を守る医療に密接に関わっている。IPCCの報告書は、温暖化による健康影響の主要なものに次の現象を挙げている。(1) 熱ストレスによる死亡や熱中症など、(2) 洪水と旱魃を介する影響、(3) エルニーニョ現象との関連で発生する影響、(4)悪化する大気汚染による影響、(5)アレルギー疾患、(6)感染性疾患、(7)デング熱やその他アルボウイルスによる疾患、(8)リーシュマニア症(注:サシチョウバエが媒介する皮膚病)、(9)ダニ媒介性疾患、(10)げっ歯類によって媒介される伝染病、(11)飲料水に関連する疾患、(12)低栄養。
なかでも、感染性ウイルスを媒介とする蚊などの生息域(北限)が拡大され、マラリア感染の影響が大きくなる。マラリアの感染は年間3億人、死者は毎年100万人0300万人に達すると予想されている。マラリアを媒介するハマダラ蚊は、15.5℃以上で繁殖するのでハマダラ蚊の生息域が拡大され、その被害も拡大すると見られている。また、夏季において気温が高くなる頻度と期間が増加すると、とくに高齢者の死亡率が増加することがわかっている(IPCC第4次報告)。
「医食同源」と「命のたべかた」と肥満
「医食同源」という言葉がある。病気を治すのも普段の食事を摂るのも、ともに人間の生命を養い健康を維持するためのもので、その源や本質は同じであるとする考え方である。この考え方は、人びとが積み重ねてきた生活から培われた一種の知恵と思われる。
幼稚園の子ども達が、食事の前に一斉に「いただきます」と元気な声を張り上げている姿は、わが国の未来が想われて微笑ましい。「いただく:戴?頂」は、食う?飲むの謙譲語で、つつしんで飲食することをいう。「食う?飲む」の丁寧語でもある。
では、「つつしむ:慎?謹」とは何であろうか。言うまでもなく、神や尊いものに対して、うやまいの心をもって尊ぶ、うやうやしくかしこまった態度をとるということである。
子ども達を含めてわれわれは、誰に、何に「いただきます」といっているのであろうか。神か仏か悪魔か、父母か料理人か百姓か、食料そのものか、はたまた Something Great か地球生命圏か雄大な大地か天空か海原か?
「いただきます」という言葉の語源は、神仏に供えた食べ物を賜ったことにあるというのが定説であろう。一方ではこんな考え方もある。食べ物はすべて健康な命を持っている、または持っていた。その健康な命を私の命としていただきますという解釈である。要は命を頂いて自分の命の糧とすることへの真摯な気持ちである。この言葉の根底には、日本人の持つ「生命への畏敬の念」や「健康でいることのありがたさ」があり、未来永劫に残したい日本の心である。
過日、「いのちの食べかた:OUR DAILY BREAD (Unser Taglich Brot)」という映画を観た。内容はこうである。われわれが常日頃口にしている食品が、食卓に並ぶまでの道のりを何の感情も入れず辿る。大量の野菜?果樹、牛?豚?鶏といった家畜が、どのように加工され食料になるかを追う。経済を主軸にし、効率化と自動化を追及した大農場や屠殺場を取材する完璧なドキュメンタリーである。
牛にショックガンを撃ち、耳を塞ぎながら素手で血抜きをする労働者。大きな掃除機のようなホースで集められるブロイラー。機会に吊され血液や内臓を除かれ並んでいる膨大な数の豚や牛。人工授精で改良?増殖された家畜が、オートメーション化された工場で、瞬く間に食肉にされる。絵画のように美しい広大なヒマワリ畑では、薬剤や肥料が飛行機で散布される。
ピッチングマシンのような機械で運ばれるヒヨコの群れ。わずか数秒で解体される魚。木の実を揺さぶり落とす巨大なマジックハンド。自動車工場のように、規則正しく無駄なく解体される牛。まさに唖然とするような光景の連続である。
機械製造のような精密な生産性の高さを示す映像と、絵画の如く美しい撮影に驚愕しつつも、改めてわれわれの食料とは、われわれの真の意味での健康とは、さらにはわれわれが生きていることの意味とは何かということが想われる。
人間の食欲は、いったいどこまで膨らみつづけるのであろうか。われわれ人間は、果てしなく食べ続ける怪獣になるのではないだろうか。空恐ろしくなる。そのうえ、われわれは朝日も夕日も見たことのない鶏を食べている。食べ物とは、健康とは、農業とは一体何であろうか。
食べ物を生産する過程の映像は、われわれに残酷や悲愴さなどという感性を抱く余地もないほどに無機質である。そこには、健康や命というものを感じさせない仕組みができあがっている。牛を解体した労働者は、すぐあとに黙々と無機質な顔でハンバーガーを食べている。この映像は強力で、人間までもが食べる機械のような気持ちを抱かせる。
そこには、命を頂いているという思いは微塵も感じられない。そのような映像に愕然とする。命の貴重さを感じなければ、いくら食べても満足できないのは当然のことなのかも知れない。現代病といわれる肥満やメタボリックシンドローム(代謝症候群)などは、その原因がここにもあるのではないだろうか。健康な命をいただいていないのである。朝日も夕日も浴びていない不健康な鳥を食べているのである。これも環境の問題と関わる。
「いただきます」という言葉には、食べ物が持っていた命を私の命としていただきますという意味があると先に書いた。豊かな食料の坩堝の中にいる現代人は、その豊かさ故に生き物を食べることへの後ろめたさを感じる感性がなくなったのだろうか。となると、現代人が肥満やメタボリックシンドロームなどの現代病にかかるのは当たり前のことであろう。その結果、無機質な食料を頂いている人間も、有機質でなく無機質な体質になるのだろうか。体質が無機質になれば、心もやがて無機質な物に変わっていくのだろうか。
農医連携の科学を確立することは、「いのちの食べかた」を知るための21世紀の重要な科学であるとも言えるのではないか。
参照
- 鳥インフルエンザ"農と環境と医療の視点から"、博狗体育在线_狗博体育直播【官方授权网站】@農医連携学術叢書第3号、養賢堂(2007)
- 国立感染研究所感染症情報センターHP:http://anzenmon.jp/page/629499
地球温暖化と健康?医療
ノーベル賞委員会は、1970年代から地球温暖化問題に取り組んでいるアル?ゴア前米副大統領とIPCC「Intergovernmental Panel on Climate Change:気候変動に関する政府間パネル」に、2007年のノーベル平和賞を授与した。このことによって、地球の温暖化問題が世界のひとびとの掌中に届いたことになる。
危機的状況にある地球の温暖化が農業生産、環境およびヒトの健康や生活に及ぼす負の影響は、極めて重大である。干ばつ、塩類化、土壌浸食などによる環境と食料の問題はもとより、熱射病、紫外線増加、デング熱、マラリアなどによる健康と医療の問題は、いずれも人類の未来に暗雲の影を落としている。
地球環境の変動は、いつの時代も食料を提供する農業と、人の健康と生命を守る医療に密接に関わっている。IPCCの報告書は、温暖化による健康影響の主要なものに次の現象を挙げている。(1) 熱ストレスによる死亡や熱中症など、(2) 洪水と旱魃を介する影響、(3) エルニーニョ現象との関連で発生する影響、(4)悪化する大気汚染による影響、(5)アレルギー疾患、(6)感染性疾患、(7)デング熱やその他アルボウイルスによる疾患、(8)リーシュマニア症(注:サシチョウバエが媒介する皮膚病)、(9)ダニ媒介性疾患、(10)げっ歯類によって媒介される伝染病、(11)飲料水に関連する疾患、(12)低栄養。
なかでも、感染性ウイルスを媒介とする蚊などの生息域(北限)が拡大され、マラリア感染の影響が大きくなる。マラリアの感染は年間3億人、死者は毎年100万人0300万人に達すると予想されている。マラリアを媒介するハマダラ蚊は、15.5℃以上で繁殖するのでハマダラ蚊の生息域が拡大され、その被害も拡大すると見られている。また、夏季において気温が高くなる頻度と期間が増加すると、とくに高齢者の死亡率が増加することがわかっている(IPCC第4次報告)。
「医食同源」と「命のたべかた」と肥満
「医食同源」という言葉がある。病気を治すのも普段の食事を摂るのも、ともに人間の生命を養い健康を維持するためのもので、その源や本質は同じであるとする考え方である。この考え方は、人びとが積み重ねてきた生活から培われた一種の知恵と思われる。
幼稚園の子ども達が、食事の前に一斉に「いただきます」と元気な声を張り上げている姿は、わが国の未来が想われて微笑ましい。「いただく:戴?頂」は、食う?飲むの謙譲語で、つつしんで飲食することをいう。「食う?飲む」の丁寧語でもある。
では、「つつしむ:慎?謹」とは何であろうか。言うまでもなく、神や尊いものに対して、うやまいの心をもって尊ぶ、うやうやしくかしこまった態度をとるということである。
子ども達を含めてわれわれは、誰に、何に「いただきます」といっているのであろうか。神か仏か悪魔か、父母か料理人か百姓か、食料そのものか、はたまた Something Great か地球生命圏か雄大な大地か天空か海原か?
「いただきます」という言葉の語源は、神仏に供えた食べ物を賜ったことにあるというのが定説であろう。一方ではこんな考え方もある。食べ物はすべて健康な命を持っている、または持っていた。その健康な命を私の命としていただきますという解釈である。要は命を頂いて自分の命の糧とすることへの真摯な気持ちである。この言葉の根底には、日本人の持つ「生命への畏敬の念」や「健康でいることのありがたさ」があり、未来永劫に残したい日本の心である。
過日、「いのちの食べかた:OUR DAILY BREAD (Unser Taglich Brot)」という映画を観た。内容はこうである。われわれが常日頃口にしている食品が、食卓に並ぶまでの道のりを何の感情も入れず辿る。大量の野菜?果樹、牛?豚?鶏といった家畜が、どのように加工され食料になるかを追う。経済を主軸にし、効率化と自動化を追及した大農場や屠殺場を取材する完璧なドキュメンタリーである。
牛にショックガンを撃ち、耳を塞ぎながら素手で血抜きをする労働者。大きな掃除機のようなホースで集められるブロイラー。機会に吊され血液や内臓を除かれ並んでいる膨大な数の豚や牛。人工授精で改良?増殖された家畜が、オートメーション化された工場で、瞬く間に食肉にされる。絵画のように美しい広大なヒマワリ畑では、薬剤や肥料が飛行機で散布される。
ピッチングマシンのような機械で運ばれるヒヨコの群れ。わずか数秒で解体される魚。木の実を揺さぶり落とす巨大なマジックハンド。自動車工場のように、規則正しく無駄なく解体される牛。まさに唖然とするような光景の連続である。
機械製造のような精密な生産性の高さを示す映像と、絵画の如く美しい撮影に驚愕しつつも、改めてわれわれの食料とは、われわれの真の意味での健康とは、さらにはわれわれが生きていることの意味とは何かということが想われる。
人間の食欲は、いったいどこまで膨らみつづけるのであろうか。われわれ人間は、果てしなく食べ続ける怪獣になるのではないだろうか。空恐ろしくなる。そのうえ、われわれは朝日も夕日も見たことのない鶏を食べている。食べ物とは、健康とは、農業とは一体何であろうか。
食べ物を生産する過程の映像は、われわれに残酷や悲愴さなどという感性を抱く余地もないほどに無機質である。そこには、健康や命というものを感じさせない仕組みができあがっている。牛を解体した労働者は、すぐあとに黙々と無機質な顔でハンバーガーを食べている。この映像は強力で、人間までもが食べる機械のような気持ちを抱かせる。
そこには、命を頂いているという思いは微塵も感じられない。そのような映像に愕然とする。命の貴重さを感じなければ、いくら食べても満足できないのは当然のことなのかも知れない。現代病といわれる肥満やメタボリックシンドローム(代謝症候群)などは、その原因がここにもあるのではないだろうか。健康な命をいただいていないのである。朝日も夕日も浴びていない不健康な鳥を食べているのである。これも環境の問題と関わる。
「いただきます」という言葉には、食べ物が持っていた命を私の命としていただきますという意味があると先に書いた。豊かな食料の坩堝の中にいる現代人は、その豊かさ故に生き物を食べることへの後ろめたさを感じる感性がなくなったのだろうか。となると、現代人が肥満やメタボリックシンドロームなどの現代病にかかるのは当たり前のことであろう。その結果、無機質な食料を頂いている人間も、有機質でなく無機質な体質になるのだろうか。体質が無機質になれば、心もやがて無機質な物に変わっていくのだろうか。
農医連携の科学を確立することは、「いのちの食べかた」を知るための21世紀の重要な科学であるとも言えるのではないか。
本の紹介 35:内臓感覚、福土 審著、NHKブックス093、日本放送出版協会(2007)
「温故知新」という四字熟語は使い古されて手垢がついているけれども、どうしても使いたくなる語である。孔子が師となる条件として、先人の思想や学問を研究するよう述べた言葉として「論語」に出題されている。「子曰く、故きを温ねて、新しきを知れば、以て師と為るべし」と訓読される。大学院の修士課程で、研究を進めるに当たって研究課題の総説を書かせ、それから研究を開始させる手法も、この四字熟語の応用とも考えられる。
われわれ日本人は情動を表現するのに、古くから身体用語を、なかでも消化器の用語を使うことが多いと著者は言う。そこで、著者が示した腹についての諺と、執筆者が選んだ腹についての諺の「故きを温ねて」みよう。「腹が立つ」「腹に据えかねる」「腹を割る」「腹を決める」「腹に一物」「腹を探る」「腹を固める」「腹を読む」「いわざるは腹膨るるわざ」[思うこと言わねば腹脹る]「背に腹は替えられぬ」「腹が据わる」「腹が立ったら十まで数えよ」「腹で笑って心で泣いて」「痛くもない腹を探られる」「腹わたが煮えくりかえる」「聞けば聞き腹」「腹を切る」「腹は立て損」「腹が黒い」「腹いせ」「腹を括る」などがある。
なぜ、このようなことを書いてきたのか。理由は、次の著者の見解を解説した後で説明する。著者は「プロローグ"脳腸相関"」の「内臓感覚とは何か」のなかで次のようなことを書いている。例えば、進路に迷ったときに「こっちが良さそうだ」と決めるのは、言語的には表現しにくい身体からの情報による。これをソマティック?マーカー(身体からの情報)仮説という。その代表的な身体情報こそ、この本の表題である「内臓感覚」なのである。英語では「ガット?フィーリング(gut feeling)」という。
快も不快も起源は文字通り内臓感覚ではないのか、また、内臓の状態は脳が生み出す感情にストレートに影響するのではないか、というのが著者の主張なのである。執筆者がこの主張を「温故知新」という言葉に例えて、著者の仮説を「新しきを知る」としたまでである。
脳や心で考えたり思ったりすることが、とくに情動的なことが古くから「腹」で表現されていることに大きな興味を覚える。腹以外にも内臓に関わる身体用語を使った例は数多くある。例えば、「吐き気を催す」「虫ずが走る」「むかつく」「喰えない奴」「飲めない話」「断腸の思い」「胃の腑に入る」「胃の腑に収める」「肝胆を吐く」「肝胆を傾ける」など。
前段が長くなった。具体的な本書の紹介に入る。本書は、過敏性腸症候群(IBS: irritable bowel syndrome)という病態の解明を通し、脳と腸の間柄を深く考えることで、新しい生命観や人間像を描くものである。それも、具体的な事例を挙げて読者に理解してもらおうとする。
「第1章:現代病事情"過敏性腸疾病症とは何か"」では、脳腸相関が問題になる現代病の具体例(IBS)が挙げられる。具体的な病気だけの世界になれば、新しい生命観や人間像という普遍性に遠くなるため、次の第2章が設けられる。
「第2章:世界は腸からはじまった」では、腸と生物の進化を軸に、腸という臓器の凄さに迫る。そこで脳と腸の関係が、ほかの末梢器官の関係とは異なり、特別である理由が解説される。
「第3章:脳と腸の不思議な関係」では、どうしてIBSのような病気が起こるのかが、科学的に解説される。さらに、脳腸相関という新たな概念ではじめて分かることが示される。脳と腸の間の伝達路には、上りと下りがあること、さらには他の通信網もあることが詳しく解明される。
「第4章:感じやすい腸とつきあうために」では、IBSを克服する治療法が解説される。脳にも腸にも適用できる治療の話である。
脳科学の中では情動が興味深い研究領域になっているが、「第5章:内臓感覚が情動を生み出す」では、脳腸相関が情動という脳の大切な機能の基本になっていることが解説される。
「第6章:内臓感覚の正体」では、数多くの内外の研究報告の紹介を通し、「本当の第六感」とも言うべき内臓感覚の正体に迫る。
「エピローグ"脳はおのれを見ることができぬ」では、東京"京都間はどちらが上りか下りかを、現代と江戸時代という時間軸で語り、相対論の考え方を臓器間に応用している。脳機能そのものが、進化的には末梢臓器なしにはありえなかったのである。最後に、脳腸相関から他のさまざまな分野や方向に研究が進んで行くであろう夢が語られる。
最後に「参考文献」が登場する。この種の本にはめずらしく、実に多くの内外の研究論文が紹介される。プロローグ、第1章、第2章、第3章、第4章、第5章、第6章、エピローグの参考文献は、それぞれ7, 31, 18, 17, 7, 16, 34および3点に及ぶ。各章をもう少し詳しく紹介する。
「第1章:現代病事情"過敏性腸疾病症とは何か"」は、「腹痛と便通の異常」で始まる。腹痛と便通の異常に悩む首都圏の一流企業に勤務するキャリアウーマンAさんの話からである。毎朝、Aさんは満員電車で便意を催す。その後、腹痛を感じるようになる。週の前半がひどく、週末に楽になる。腹痛がはじまった頃から毎日4回の排便がある。そのうち、動悸、呼吸困難、冷汗、眩暈、などがおこる。
これは、著者が典型的な患者の病状をいくつか合成してわかりやすく示したものを、さらに執筆者が短縮して表現したものである。Aさんの罹ったこの病気が、IBSなのである。
このような書き出しの後は、「QOLを低下させる症候群」(注:QOL= Quality of Life:生活の質)の項で、IBSはアメリカやイギリスなどストレスの多い先進国に多く、一種の文明病で、腸の機能の病気であることが解説される。最近の研究では、IBSの患者は脳と腸の情報のやりとりが過敏であることが分かってきた。
その後、「IBSは心因性なのか」「IBSのインパクト」「IBSの歴史とウォルター?キャノン」「キャノンと東北大学の縁」「セリエの功績」「IBS命名まで」「石田三成もIBSか」「ローマ皇帝を悩ませたIBS」「すべての道はローマに通ず"過敏性腸症候群のローマIII診断基準"」「ローマIII診断基準の効用」「便の形でIBSを分類」「大腸癌と炎症性腸疾患"IBSに似た別の病気」「必要なのは適切な検査」「類似疾患のさらなる分類」「その後のAさん」と続く。
「第2章:世界は腸からはじまった」では、「はじめに腸ありき"脳と生物の進化」から始まる。そこでは地球の誕生と、植物?動物の進化が語られる。まず、消化は動物という生命現象の根幹であること、進化から見ても、腸こそ動物の最初の器官であることが解説される。発生学では、腸の一部がふくらんだものが胃で、胃に至るまでの部分が食道である。胃に続く腸から管の芽が出て、膵管と胆管になり、それが枝分かれを繰り返し膵臓と肝臓になる。胆管が袋状になったものが胆嚢である。食道に到達する前の胃からも管の芽が出て肺になる。つまり、胸部と腹部の内臓の大部分は内肺葉であり、腸の仲間なのである。
そこで、「そして脳ができた"進化と脳化」という項で著者は次のことを強調する。「われわれの体では、まず腸が発生し、後に脳が発生したことをよく理解しておく必要がある。腸の神経が脳に似ているのではない。腸の神経に脳が似ているのだ」。
その後、「われわれの腸"腸の基本構造」「働き者の腸"腸のマルチ機能」「なぜ神経細胞間に隙間があるのか」「興奮する神経細胞」「神経伝達物質と受容体」「鍵穴の多様性」「作動原理と場の原理」「小腸運動の三つの局面」「分節運動から蠕動まで"大腸運動」「カハールの介在細胞」「蠕動反射の仕組み」「腸の安全装置」「脳への感覚信号の発信」の項目が続く。
「第3章:脳と腸の不思議な関係」は、「仮説を立て、仮説を捨てる」の項から始まる。ここでは、腸と脳の感覚信号の働きがうまくいかない代表格が、ISBであり、ISBの病態の特徴が三つ紹介される。一つは、ストレスによる発症?憎悪。二つ目は不安や抑うつなどによる心理的な異常。三つ目は消化管の知覚過敏。
この後、「腸の運動を実測する方法」「ストレス負荷の検査例」「IBSと消化管運動」「IBSと心理的異常」「三種類の心理機制」「心理検査法MMPIの長所と短所」「オスタット法の登場」「"気のせい"ではなく、内臓知覚過敏」「IBSと消化器病学」「脳波分析の重要性」「IBS患者の脳波を調べる」「脳腸相関の仕組み」「下垂体分泌のホルモン」「CRHの発見競争」「脳腸相関の鍵物質」と続く。
「第4章:感じやすい腸とつきあうために」は、「先生に治せますか?」の項から始まる。多くの病院を受診したが、症状が続くために、転院を繰り返し、著者を受診した患者の言葉である。この言葉が出てきた背景と、その言葉をどのように感じるか、様々な立場での解釈がなされる。そして、その患者への対応の仕方が書かれる。医師と患者の関係の原点が問われる。
以後、この項に沿って「IBS診断ガイドライン」「ストレスを言語化する」「食生活の改善」「子どもたちの排便ストレス」「腸内環境を調整する薬物」「腸の機能を調整する薬物」「患者団体が薬物を復活させる」「下剤使用に異議あり」「腸の次は脳"抗うつ剤と抗不安薬」「脳に対する治療"心理療法」「絶食療法の効果」「なぜ絶食法でIBSが改善するのか」「医師もまた疲弊」「医療環境の不合理」「Aさんへの心理療法」など腸とのつきあい方が語られる。
「第5章:内臓感覚が情動を生み出す」は、「末梢は脳に支配されているのか」の項で始まる。ここでは、「悲しいから泣くのではない。泣くから悲しいのだ」といったハーバード大学のウィリアム?ジェームズの説、生理学的反応は情動体験より先に起こるという説が登場する。また、その逆の説が紹介される。すなわち、「悲しいから泣く」という情動は脳に由来する説である。前者をジェームズ?ランゲ説、後者をキャノン?ワルド説というそうである。
これらの両方の科学を以下の各項で紹介し、脳腸相関が情動という脳の大切な機能の基本になっていることが解説される。各項は以下の通りである。「行動医学の範疇」「精神分析VS行動療法」「行動療法から情動を含む認知行動療法へ」「内臓感覚とともに活性化する辺緑系」「辺緑系とはどこにあるのか」「内臓感覚から情動へ」「脳と腸の信号循環」「そもそも情動とは何か」「進化から考える情動の役割」「情動の階層行動」「情動?動機?条件づけ」「内臓感覚と言語感覚」「かくて振り出し(腸)に戻る"ソマティック?マーカー仮説」。
「第6章:内臓感覚の正体」は、「脳と腸のサブリミナルな関係」で始まる。感覚の脳内処理には、刺激を加えても意識されないように処理されるサブリミナル処理、刺激が意識されはじめるリミナル処理、刺激を完全に意識するスプラリミナル処理の三つの過程があるという。
これらの解説から始まって、各項の解説がある。最後の「第六感"内臓感覚」の項で、感覚こそ脳機能の土台ではないかと著者は強調する。その中でも内臓感覚は依然として大きな謎に包まれているが、脳腸相関の研究を契機として、その謎が次第に解き明かされていると説明する。
各項は次のようである。「CRH(注:副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモンの機能)拮抗薬の効果」「動物実験からも明らかになったCRHの機能」「感染症腸炎とIBS」「最初の一撃は脳か腸か」「IBSとトラウマ」「時代を先取りするIBS研究」「ストレスによる遺伝子発現の変化」「氏か育ちか」「男性は下痢型、女性は便秘型」「レキシサイミアとIBS」「催眠効果?偽薬と脳機能」
「エピローグ"脳はおのれを見ることができぬ」は、「脳"腸間はどちらが上りか」「他臓器と脳の相関」「脳腸相関の先に」からなる。
われわれ日本人は情動を表現するのに、古くから身体用語を、なかでも消化器の用語を使うことが多いと著者は言う。そこで、著者が示した腹についての諺と、執筆者が選んだ腹についての諺の「故きを温ねて」みよう。「腹が立つ」「腹に据えかねる」「腹を割る」「腹を決める」「腹に一物」「腹を探る」「腹を固める」「腹を読む」「いわざるは腹膨るるわざ」[思うこと言わねば腹脹る]「背に腹は替えられぬ」「腹が据わる」「腹が立ったら十まで数えよ」「腹で笑って心で泣いて」「痛くもない腹を探られる」「腹わたが煮えくりかえる」「聞けば聞き腹」「腹を切る」「腹は立て損」「腹が黒い」「腹いせ」「腹を括る」などがある。
なぜ、このようなことを書いてきたのか。理由は、次の著者の見解を解説した後で説明する。著者は「プロローグ"脳腸相関"」の「内臓感覚とは何か」のなかで次のようなことを書いている。例えば、進路に迷ったときに「こっちが良さそうだ」と決めるのは、言語的には表現しにくい身体からの情報による。これをソマティック?マーカー(身体からの情報)仮説という。その代表的な身体情報こそ、この本の表題である「内臓感覚」なのである。英語では「ガット?フィーリング(gut feeling)」という。
快も不快も起源は文字通り内臓感覚ではないのか、また、内臓の状態は脳が生み出す感情にストレートに影響するのではないか、というのが著者の主張なのである。執筆者がこの主張を「温故知新」という言葉に例えて、著者の仮説を「新しきを知る」としたまでである。
脳や心で考えたり思ったりすることが、とくに情動的なことが古くから「腹」で表現されていることに大きな興味を覚える。腹以外にも内臓に関わる身体用語を使った例は数多くある。例えば、「吐き気を催す」「虫ずが走る」「むかつく」「喰えない奴」「飲めない話」「断腸の思い」「胃の腑に入る」「胃の腑に収める」「肝胆を吐く」「肝胆を傾ける」など。
前段が長くなった。具体的な本書の紹介に入る。本書は、過敏性腸症候群(IBS: irritable bowel syndrome)という病態の解明を通し、脳と腸の間柄を深く考えることで、新しい生命観や人間像を描くものである。それも、具体的な事例を挙げて読者に理解してもらおうとする。
「第1章:現代病事情"過敏性腸疾病症とは何か"」では、脳腸相関が問題になる現代病の具体例(IBS)が挙げられる。具体的な病気だけの世界になれば、新しい生命観や人間像という普遍性に遠くなるため、次の第2章が設けられる。
「第2章:世界は腸からはじまった」では、腸と生物の進化を軸に、腸という臓器の凄さに迫る。そこで脳と腸の関係が、ほかの末梢器官の関係とは異なり、特別である理由が解説される。
「第3章:脳と腸の不思議な関係」では、どうしてIBSのような病気が起こるのかが、科学的に解説される。さらに、脳腸相関という新たな概念ではじめて分かることが示される。脳と腸の間の伝達路には、上りと下りがあること、さらには他の通信網もあることが詳しく解明される。
「第4章:感じやすい腸とつきあうために」では、IBSを克服する治療法が解説される。脳にも腸にも適用できる治療の話である。
脳科学の中では情動が興味深い研究領域になっているが、「第5章:内臓感覚が情動を生み出す」では、脳腸相関が情動という脳の大切な機能の基本になっていることが解説される。
「第6章:内臓感覚の正体」では、数多くの内外の研究報告の紹介を通し、「本当の第六感」とも言うべき内臓感覚の正体に迫る。
「エピローグ"脳はおのれを見ることができぬ」では、東京"京都間はどちらが上りか下りかを、現代と江戸時代という時間軸で語り、相対論の考え方を臓器間に応用している。脳機能そのものが、進化的には末梢臓器なしにはありえなかったのである。最後に、脳腸相関から他のさまざまな分野や方向に研究が進んで行くであろう夢が語られる。
最後に「参考文献」が登場する。この種の本にはめずらしく、実に多くの内外の研究論文が紹介される。プロローグ、第1章、第2章、第3章、第4章、第5章、第6章、エピローグの参考文献は、それぞれ7, 31, 18, 17, 7, 16, 34および3点に及ぶ。各章をもう少し詳しく紹介する。
「第1章:現代病事情"過敏性腸疾病症とは何か"」は、「腹痛と便通の異常」で始まる。腹痛と便通の異常に悩む首都圏の一流企業に勤務するキャリアウーマンAさんの話からである。毎朝、Aさんは満員電車で便意を催す。その後、腹痛を感じるようになる。週の前半がひどく、週末に楽になる。腹痛がはじまった頃から毎日4回の排便がある。そのうち、動悸、呼吸困難、冷汗、眩暈、などがおこる。
これは、著者が典型的な患者の病状をいくつか合成してわかりやすく示したものを、さらに執筆者が短縮して表現したものである。Aさんの罹ったこの病気が、IBSなのである。
このような書き出しの後は、「QOLを低下させる症候群」(注:QOL= Quality of Life:生活の質)の項で、IBSはアメリカやイギリスなどストレスの多い先進国に多く、一種の文明病で、腸の機能の病気であることが解説される。最近の研究では、IBSの患者は脳と腸の情報のやりとりが過敏であることが分かってきた。
その後、「IBSは心因性なのか」「IBSのインパクト」「IBSの歴史とウォルター?キャノン」「キャノンと東北大学の縁」「セリエの功績」「IBS命名まで」「石田三成もIBSか」「ローマ皇帝を悩ませたIBS」「すべての道はローマに通ず"過敏性腸症候群のローマIII診断基準"」「ローマIII診断基準の効用」「便の形でIBSを分類」「大腸癌と炎症性腸疾患"IBSに似た別の病気」「必要なのは適切な検査」「類似疾患のさらなる分類」「その後のAさん」と続く。
「第2章:世界は腸からはじまった」では、「はじめに腸ありき"脳と生物の進化」から始まる。そこでは地球の誕生と、植物?動物の進化が語られる。まず、消化は動物という生命現象の根幹であること、進化から見ても、腸こそ動物の最初の器官であることが解説される。発生学では、腸の一部がふくらんだものが胃で、胃に至るまでの部分が食道である。胃に続く腸から管の芽が出て、膵管と胆管になり、それが枝分かれを繰り返し膵臓と肝臓になる。胆管が袋状になったものが胆嚢である。食道に到達する前の胃からも管の芽が出て肺になる。つまり、胸部と腹部の内臓の大部分は内肺葉であり、腸の仲間なのである。
そこで、「そして脳ができた"進化と脳化」という項で著者は次のことを強調する。「われわれの体では、まず腸が発生し、後に脳が発生したことをよく理解しておく必要がある。腸の神経が脳に似ているのではない。腸の神経に脳が似ているのだ」。
その後、「われわれの腸"腸の基本構造」「働き者の腸"腸のマルチ機能」「なぜ神経細胞間に隙間があるのか」「興奮する神経細胞」「神経伝達物質と受容体」「鍵穴の多様性」「作動原理と場の原理」「小腸運動の三つの局面」「分節運動から蠕動まで"大腸運動」「カハールの介在細胞」「蠕動反射の仕組み」「腸の安全装置」「脳への感覚信号の発信」の項目が続く。
「第3章:脳と腸の不思議な関係」は、「仮説を立て、仮説を捨てる」の項から始まる。ここでは、腸と脳の感覚信号の働きがうまくいかない代表格が、ISBであり、ISBの病態の特徴が三つ紹介される。一つは、ストレスによる発症?憎悪。二つ目は不安や抑うつなどによる心理的な異常。三つ目は消化管の知覚過敏。
この後、「腸の運動を実測する方法」「ストレス負荷の検査例」「IBSと消化管運動」「IBSと心理的異常」「三種類の心理機制」「心理検査法MMPIの長所と短所」「オスタット法の登場」「"気のせい"ではなく、内臓知覚過敏」「IBSと消化器病学」「脳波分析の重要性」「IBS患者の脳波を調べる」「脳腸相関の仕組み」「下垂体分泌のホルモン」「CRHの発見競争」「脳腸相関の鍵物質」と続く。
「第4章:感じやすい腸とつきあうために」は、「先生に治せますか?」の項から始まる。多くの病院を受診したが、症状が続くために、転院を繰り返し、著者を受診した患者の言葉である。この言葉が出てきた背景と、その言葉をどのように感じるか、様々な立場での解釈がなされる。そして、その患者への対応の仕方が書かれる。医師と患者の関係の原点が問われる。
以後、この項に沿って「IBS診断ガイドライン」「ストレスを言語化する」「食生活の改善」「子どもたちの排便ストレス」「腸内環境を調整する薬物」「腸の機能を調整する薬物」「患者団体が薬物を復活させる」「下剤使用に異議あり」「腸の次は脳"抗うつ剤と抗不安薬」「脳に対する治療"心理療法」「絶食療法の効果」「なぜ絶食法でIBSが改善するのか」「医師もまた疲弊」「医療環境の不合理」「Aさんへの心理療法」など腸とのつきあい方が語られる。
「第5章:内臓感覚が情動を生み出す」は、「末梢は脳に支配されているのか」の項で始まる。ここでは、「悲しいから泣くのではない。泣くから悲しいのだ」といったハーバード大学のウィリアム?ジェームズの説、生理学的反応は情動体験より先に起こるという説が登場する。また、その逆の説が紹介される。すなわち、「悲しいから泣く」という情動は脳に由来する説である。前者をジェームズ?ランゲ説、後者をキャノン?ワルド説というそうである。
これらの両方の科学を以下の各項で紹介し、脳腸相関が情動という脳の大切な機能の基本になっていることが解説される。各項は以下の通りである。「行動医学の範疇」「精神分析VS行動療法」「行動療法から情動を含む認知行動療法へ」「内臓感覚とともに活性化する辺緑系」「辺緑系とはどこにあるのか」「内臓感覚から情動へ」「脳と腸の信号循環」「そもそも情動とは何か」「進化から考える情動の役割」「情動の階層行動」「情動?動機?条件づけ」「内臓感覚と言語感覚」「かくて振り出し(腸)に戻る"ソマティック?マーカー仮説」。
「第6章:内臓感覚の正体」は、「脳と腸のサブリミナルな関係」で始まる。感覚の脳内処理には、刺激を加えても意識されないように処理されるサブリミナル処理、刺激が意識されはじめるリミナル処理、刺激を完全に意識するスプラリミナル処理の三つの過程があるという。
これらの解説から始まって、各項の解説がある。最後の「第六感"内臓感覚」の項で、感覚こそ脳機能の土台ではないかと著者は強調する。その中でも内臓感覚は依然として大きな謎に包まれているが、脳腸相関の研究を契機として、その謎が次第に解き明かされていると説明する。
各項は次のようである。「CRH(注:副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモンの機能)拮抗薬の効果」「動物実験からも明らかになったCRHの機能」「感染症腸炎とIBS」「最初の一撃は脳か腸か」「IBSとトラウマ」「時代を先取りするIBS研究」「ストレスによる遺伝子発現の変化」「氏か育ちか」「男性は下痢型、女性は便秘型」「レキシサイミアとIBS」「催眠効果?偽薬と脳機能」
「エピローグ"脳はおのれを見ることができぬ」は、「脳"腸間はどちらが上りか」「他臓器と脳の相関」「脳腸相関の先に」からなる。
言葉の散策 21:医(醫)は匚と矢と殳と酒(酉)から成立
語源を訪ねる 語意の真実を知る 語義の変化を認める
そして 言葉の豊かさを感じ これを守る
そして 言葉の豊かさを感じ これを守る
医という文字については、すでに「情報:農と環境と医療 17号」の「言葉の散策 1:医と医療の由来」で紹介したが、新たな知見を得たので再びここに登場させた。
甲骨文字が生まれた「殷(商):BC160001027」と、その「殷」を倒した「周:西周BC10270771、東周BC7710221」という古代中国の二つの王朝の間には、酒(酉)に関わる問題があって、その酒という文字が、医という文字と大変関係が深いという話を書く。
殷の君子たちが酒ばかり飲んでいて、天がけがらわしく聞こえているのを憂えなかったから、殷は滅び、その天命を失ったのだと、周は考えていた。これは周の王たちの政治思想を記した「書経」の中に記されている。「酒をやめよ」「酒があやまちのもと」「酒を常習とするな」など酒を禁じる言葉がたくさん書かれているという。
「酒池肉林」という四字熟語がある。これは殷の紂王が、池を酒で満たし、木に肉をかけて林のようにした。さらに男女を裸にして鬼ごっこのようなことをさせる宴会を、毎晩のように行ったという故事からできた言葉である。
しかし書経は、殷王朝を倒した周が自己を正当化するために書かれた書であるから、そのままが真実であるとは言い難い、と小山鉄郎は解説している。周の支配者が、殷を殊更悪く変形して伝えた可能性もある。また殷では、神との交信や悪霊を祓う治療に酒を用いていたから、酒は極めて大切なものでもあった。
「医」という字は「匚(ケイ)」の中に「矢」をいれた形である。古代中国では、「矢」は極めて神聖で悪霊を祓う力があると考えられていた。正月に飾られる破魔矢にもそのことが認められる。「匚」は「囲われた場所、隠された場所」を示す。「医」の現在の字形は、悪霊を祓う矢を隠された場所に置く形である。
このように書いたところで、「医」がなぜ「酒」と関係するのかの説明にはならない。両者の関係を知るには、「医」の旧字に登場してもらう必要がある。「医」の旧字は「醫」。「醫」という字は、上が「」、下が「酉」。この「酉(酒)」が「医」と関係するというのが、この「言葉の散策」の趣旨である。
「」は医に「殳」を加えた字形である。この「殳」は「槍」に似た武器の矛を持つ形。その矛は杖ぐらいの長さと形のもの。いわゆる「杖矛」というもの。「殳」の「几」の部分は「鳥の羽」で、その杖矛には呪飾(呪力を増すための飾り)としての「鳥の羽」がついている。「又」は手のこと。「殳」は、この呪飾の施された杖矛で、何かを殴つ字形。
すなわち呪飾のついた「杖矛」で、隠された場所に置かれた悪霊を祓う「矢」を殴ち、病気を治そうとした。悪霊を祓う酒も病気の治療に加わったというわけである。
「酒は百薬の長」「酒は百毒の長」「酒三杯は身の薬」「酒に十の徳あり」「酒の徳孤ならず必ず隣あり」「酒は憂いの玉箒」「酒は少しく飲めば益多く、多く飲めば損多し」。酒と心身の健康についての諺は多い。上戸の戯言を下戸はいつも苦々しく聞いているのだろうか。
参考資料
- 小山鉄郎:白川静さんに学ぶ漢字は楽しい、共同通信社(2006)
- 小山鉄郎:白川静さんに学ぶ漢字は怖い、共同通信社(2007)
- 故事俗信ことわざ大事典:小学館(1982)
コラム:姿勢
本学の学位記授与式(卒業式)がすべて終わって、桜の下に新入生を迎える。劉希夷の作品、「年年歳歳花は相似たり、歳歳年年人は同じからず」を思えば、新入生を迎えるわれわれ教職員は、彼らと同じ気持ちに再び立ちかえって彼らを迎え入れなければならないであろう。そのような姿勢は、必ず学生に伝わると信じる。
入学式につきものの桜の花は、この国に生きとし生ける者の胸を騒がす。古来多くの文人が胸の騒ぎを落ち着かせるために、桜の和歌を詠んでいる。桜については、誰でも固有の記憶や想いを秘めているだろうが、次の三つの和歌はあまりにも有名で、古くから多くの日本人の心を揺さぶる。
入学式の時の桜の思いが、将来に亘って学生たちの心に残るような、そんな入学式でありたい。また4月から始まる桜の下での講義でもそうありたいと思う。そのためには、学生たちが博狗体育在线_狗博体育直播【官方授权网站】@にきた何らかの必然性を感じさせることが必要であろう。
それは如何に小さくて、見えないほどのものであってもかまわない。小さくても満足すべきもので、そのようなことが一人一人にあって、社会は成り立っているということを感じさせるものであろう。少しでも必然性を感じたら、自分も社会に役に立っているのだと思うようになるであろう。
学生生活を始めるにあたって、Y = aX + bの数式のbという切片は問題にせず、aという傾きが重要で、学生たちの前途は、この傾きを増加させることできわめて明るいことを情熱をもって諭すことも必要であろう。
学生時代は、彼らを無菌状態にさせないことも必要であろう。無菌状態というのは、別の見方をすれば生命のもつ多様性が失われることを意味するからである。生物の多様性が叫ばれる所以でもある。
創造性は脳の記憶のシステムと深く関係しているらしい。何かを生み出すという創造のプロセスは、思い出すという脳の働きに支えられているという。新しい発想は、未来に向かって進むことであり、過去を振り返ることとは反対のベクトルであるように思われる。しかし、一見後ろ向きの思い出す機能を充実させることが、創造性につながるのである。
自然科学分野のノーベル賞受賞者は、アメリカ、イギリス、ドイツの順であるが、人口当たりにするとイギリスがトップである。あの保守を重んじるイギリスがそうであるということは、きわめて含蓄のある事実である。
学生たちに創造性をもたすということは、学問でも文化でもそれらの来し方を学ばせることなのであろう。北里柴三郎と博狗体育在线_狗博体育直播【官方授权网站】@の歴史、自校教育はもとより、わが国の文化や学問を知らしめることが、学生たちの創造性をつくる肥やしの一つであることは間違いない。反対のベクトルの習得である。
平成20年度の新入生から教養演習Bで「農医連携論」が開始される。開講にあたっての自らの姿勢について思うところを述べた。
入学式につきものの桜の花は、この国に生きとし生ける者の胸を騒がす。古来多くの文人が胸の騒ぎを落ち着かせるために、桜の和歌を詠んでいる。桜については、誰でも固有の記憶や想いを秘めているだろうが、次の三つの和歌はあまりにも有名で、古くから多くの日本人の心を揺さぶる。
- ひさかたの 光のどけき 春の日に 静心なく 花の散るらん(紀 友則:平安前期)
- ねがはくは 花の下にて 春死なむ その如月の 望月のころ(西行法師:1118-1190)
- 敷島の 大和心を 人問はば 朝日に匂ふ 山桜花(本居宣長:1730-1801)
入学式の時の桜の思いが、将来に亘って学生たちの心に残るような、そんな入学式でありたい。また4月から始まる桜の下での講義でもそうありたいと思う。そのためには、学生たちが博狗体育在线_狗博体育直播【官方授权网站】@にきた何らかの必然性を感じさせることが必要であろう。
それは如何に小さくて、見えないほどのものであってもかまわない。小さくても満足すべきもので、そのようなことが一人一人にあって、社会は成り立っているということを感じさせるものであろう。少しでも必然性を感じたら、自分も社会に役に立っているのだと思うようになるであろう。
学生生活を始めるにあたって、Y = aX + bの数式のbという切片は問題にせず、aという傾きが重要で、学生たちの前途は、この傾きを増加させることできわめて明るいことを情熱をもって諭すことも必要であろう。
学生時代は、彼らを無菌状態にさせないことも必要であろう。無菌状態というのは、別の見方をすれば生命のもつ多様性が失われることを意味するからである。生物の多様性が叫ばれる所以でもある。
創造性は脳の記憶のシステムと深く関係しているらしい。何かを生み出すという創造のプロセスは、思い出すという脳の働きに支えられているという。新しい発想は、未来に向かって進むことであり、過去を振り返ることとは反対のベクトルであるように思われる。しかし、一見後ろ向きの思い出す機能を充実させることが、創造性につながるのである。
自然科学分野のノーベル賞受賞者は、アメリカ、イギリス、ドイツの順であるが、人口当たりにするとイギリスがトップである。あの保守を重んじるイギリスがそうであるということは、きわめて含蓄のある事実である。
学生たちに創造性をもたすということは、学問でも文化でもそれらの来し方を学ばせることなのであろう。北里柴三郎と博狗体育在线_狗博体育直播【官方授权网站】@の歴史、自校教育はもとより、わが国の文化や学問を知らしめることが、学生たちの創造性をつくる肥やしの一つであることは間違いない。反対のベクトルの習得である。
平成20年度の新入生から教養演習Bで「農医連携論」が開始される。開講にあたっての自らの姿勢について思うところを述べた。
総目次(情報:農と環境と医療 25号~36号)
平成17(2005)年5月1日から毎月1日に発刊してきた「情報:農と環境と医療」が37号を迎えた。1号から12号については、12号に総目次を掲載した。平成18(2006)年5月1日の13号から平成19(2007)年3月1日の24号については、25号に総目次を掲載した。今回は、平成19(2007)年4月1日の25号から平成20(2008)年3月1日の36号についての総目次を掲載する。
25号(2007/4/1)
26号(2007/5/1)
27号(2007/6/1)
28号(2007/7/1)
29号(2007/8/1)
JOHO:Nou-Kankyo-Iryo No30(2007/9/1)
Newsletter: Agriculture, Environment, and Medicine No30
The Proceedings of The Third Agromedicine Symposium in Kitasato University March 9, 2007
A Look at Avian Influenza from the Perspective of Agriculture, Environment, and Medicine
31号(2007/10/1)
32号(2007/11/1)
33号(2007/12/1)
34号(2008/1/1)
35号(2008/2/1)
JOHO:Nou-Kankyo-Iryo No36(2008/3/1)
Newsletter: Agriculture, Environment, and Medicine No36
The Proceedings of The Fourth Agromedicine Symposium in Kitasato University October 12, 2007
Effect of cadmium and arsenic on agriculture, the environment, and health
25号(2007/4/1)
- 平成19年度から農医連携に関わる教育が開始される ????? 25- 1
- 第3回農医連携シンポジウムの映像音声と資料画像 ????? 25- 2
- 第3回博狗体育在线_狗博体育直播【官方授权网站】@農医連携シンポジウムの内容:(1)開催にあたって ????? 25- 2
- 第3回博狗体育在线_狗博体育直播【官方授权网站】@農医連携シンポジウムの内容:(2)
- 農と環境と医療の視点から鳥インフルエンザを追う ????? 26- 5
- Agromedicine を訪ねる(10):Journal of Agromedicine ????? 25- 8
- Medical Geology, Geomedicine を訪ねる(1):定義 ????? 25- 9
- 資料の紹介 7:平成18年度「チーム医療教育」報告書、博狗体育在线_狗博体育直播【官方授权网站】@ ????? 25-11
- 本の紹介 25:硝酸塩は本当に危険か"崩れた有害仮説と真実" J.リロンデル/J-L.リロンデル著、越野正義訳、農文協(2006) ????? 25-11
- 本の紹介 26:ダーウィンのミミズ、フロイトの悪夢 アダム?フィリップス著、渡辺政隆訳、みすず書房(2006) ????? 25-14
- 言葉の散策 14:分?解?判?弁?別?わかる ????? 25-17
- コラム:告朔の羊(こくさくのきよう) ????? 25-18
- 総目次(情報:農と環境と医療 13号~24号) ????? 25-19
- 総索引(情報:農と環境と医療 13号~24号) ????? 25-21
26号(2007/5/1)
- 第3回博狗体育在线_狗博体育直播【官方授权网站】@農医連携シンポジウムの内容:鳥インフルエンザ(3) 動物由来ウイルス感染症の現状と問題点 ????? 26- 1
- 第3回博狗体育在线_狗博体育直播【官方授权网站】@農医連携シンポジウムの内容:鳥インフルエンザ(4) 高病原性鳥インフルエンザの感染と対策 ????? 26- 5
- 農?環?医にかかわる国内情報:9.環食同源 ????? 26- 7
- シンポジウムの開催:人と動物の健康について考える ????? 26- 8
- 本の紹介 27:環境の歴史"ヨーロッパ、原初から現代まで"、ロベール?ドロール+フランソワ?ワルテール著、桃木暁子?門脇 仁訳、みすず書房(2007) ????? 26- 8
- 資料の紹介 8:特集 開発進むキチン?キトサンの利用 研究ジャーナル、Vol.30, No.4,5-40 (2007) ????? 26-12
- 言葉の散策 15:情報 ????? 26-13
- コラム:決河之勢(けっかのいきおい) ????? 26-15
27号(2007/6/1)
- 第3回博狗体育在线_狗博体育直播【官方授权网站】@農医連携シンポジウムの内容:鳥インフルエンザ(5) 野鳥の渡りや生態と感染の発生 ????? 27- 1
- 第3回博狗体育在线_狗博体育直播【官方授权网站】@農医連携シンポジウムの内容:鳥インフルエンザ(6) 野鳥の感染とその現状 ????? 27- 5
- 研究室訪問 X:獣医学部獣医寄生虫学 ????? 27- 7
- シンポジウムの開催:医薬品等プリオン安全性フォーラム ????? 27- 8
- 本の紹介 28:北里柴三郎、長木大三著、慶應義塾大学出版会 1986年初版、2001年5版) ????? 27- 9
- 本の紹介 29:毒か薬か環境ホルモン 環境生殖学入門、堤 治著 朝日新聞社(2005) ????? 27-12
- 言葉の散策 16:回と度 ????? 27-14
- コラム:仁和寺にある法師 ????? 27-15
28号(2007/7/1)
- 食料?農業?農村白書"21世紀にふさわしい戦略産業を目指して" 平成19年版が刊行された ????? 28- 1
- 全国大学附属農場協議会?日本学術会議農学基礎委員会農学分科会合同シンポジウム: 「食育の現状と大学附属農場等の果たすべき役割」が開催された ????? 28- 2
- 平成19年度博狗体育在线_狗博体育直播【官方授权网站】@研究集会の開催:第20回「遺伝子とその周辺」 ????? 28- 3
- 平成19年度博狗体育在线_狗博体育直播【官方授权网站】@研究集会の開催:第5回「北里化学シンポジウム」 ????? 28- 4
- 第3回博狗体育在线_狗博体育直播【官方授权网站】@農医連携シンポジウムの内容:鳥インフルエンザ(7) 新型インフルエンザの脅威"鳥のインフルエンザとヒトへの影響" ????? 28- 4
- 第3回博狗体育在线_狗博体育直播【官方授权网站】@農医連携シンポジウムの内容:鳥インフルエンザ(8) 高病原性鳥インフルエンザとワクチン対策 ????? 28- 7
- 第3回博狗体育在线_狗博体育直播【官方授权网站】@農医連携シンポジウムの内容:鳥インフルエンザ(9) 総合討論とアンケート結果 ????? 28- 8
- 研究室訪問 Y:獣医学部獣医微生物学 ????? 28-13
- 研究室訪問 Z:獣医学部獣医伝染病学 ????? 28-14
- コラム:真実と事実 ????? 28-15
29号(2007/8/1)
- 第4回博狗体育在线_狗博体育直播【官方授权网站】@農医連携シンポジウムの開催:農と環境と健康に及ぼす カドミウムとヒ素の影響"現代社会における農?環境?健康" ????? 29- 1
- わが国を取りまく環境変動の今:(3)カエルツボカビ ????? 29- 2
- 博狗体育在线_狗博体育直播【官方授权网站】@の講座?研究室などの訪問が終了:まとめ ????? 29- 5
- Medical Geology, Geomedicine を訪ねる(2):国際地理医学連合 IMGA ????? 29- 8
- 「気炎:農医連携への期待」:山形新聞2007年5月30日版 ????? 29- 9
- 本の紹介 30:メディア?バイアス"あやしい健康情報とニセ科学" 松永和紀著、光文社(2007) ????? 29- 9
- 言葉の散策 17:夏?秋?冬?春 ????? 29-14
- コラム:「おはこ」と「トイレ」 ????? 29-15
JOHO:Nou-Kankyo-Iryo No30(2007/9/1)
Newsletter: Agriculture, Environment, and Medicine No30
The Proceedings of The Third Agromedicine Symposium in Kitasato University March 9, 2007
A Look at Avian Influenza from the Perspective of Agriculture, Environment, and Medicine
- A Message from the Symposium Organizer: Tadayoshi Shiba ????? 30- 2
- Looking at Bird Flu from the Perspective of Agriculture, Environment, and Medicine: Katsu Minami and Shinji Takai ????? 30- 4
- Current Status and Issues of Zoonotic Viral Diseases: Yasuhiro Yoshikawa ????? 30- 9
- Highly Pathogenic AIV Infection and Countermeasures: Shigeo Yamaguchi ????? 30-14
- Wild Bird Migration and Behavior in Relation to AIV Infection: Yutaka Kanai ????? 30-17
- Infection of Wild Birds and Current Status: Kumiko Yoneda ????? 30-22
- The Threat Posed by New Types of Influenza: AIV and its Impact on Humans: Nobuhiko Okabe ????? 30-24
- Highly Pathogenic AIV and Vaccination Measures: Tetsuo Nakayama ????? 30-27
31号(2007/10/1)
- 第20回「遺伝子とその周辺」研究会:盛会に終わる ????? 31- 1
- 猛暑日と夏バテと熱中症 ????? 31- 1
- 中国産食品の実態:養殖ウナギなど ????? 31- 6
- Agromedicine を訪ねる(11):Journal of Agromedicine v31- 9
- 本の紹介 31:健康?老化?寿命"人といのちの文化誌" 黒木登志夫著、中公新書 1898(2007) ????? 31-10
- 言葉の散策 18:人と病人と故人 ????? 31-15
32号(2007/11/1)
- 医学部学生の「八雲牧場体験演習」が終わる ????? 32- 1
- 第4回博狗体育在线_狗博体育直播【官方授权网站】@農医連携シンポジウムの音声映像と資料画像 ????? 32- 2
- 第4回博狗体育在线_狗博体育直播【官方授权网站】@農医連携シンポジウムの内容:(1)開催にあたって ????? 32- 2
- 第4回博狗体育在线_狗博体育直播【官方授权网站】@農医連携シンポジウムの内容:(2)重金属の生物地球化学的循環"カドミウムとヒ素を中心に" ????? 32- 5
- 本の紹介 32:ガイアの復讐、ジェームズ?ラブロック著 秋元勇巳監修?竹村健一訳、中央公論新社(2006) ????? 32- 8
- 言葉の散策 19:気が合う?息が合う ????? 32-14
33号(2007/12/1)
- 第4回博狗体育在线_狗博体育直播【官方授权网站】@農医連携シンポジウムの内容:(3) 農耕地土壌の重金属汚染リスクとその対策 ????? 33- 1
- 第4回博狗体育在线_狗博体育直播【官方授权网站】@農医連携シンポジウムの内容:(4) 植物による重金属集積と人への摂取 ????? 33- 4
- わが国におけるカドミウムとヒ素の公害小史 ????? 33- 6
- 健康と地球環境の保全:1.環境を背景にした農と医の類似性 ????? 33- 8
- 本の紹介 33:アニマルセラピー入門、太田光昭監修、NPO法人 ひとと動物のかかわり研究会編、IBS出版(2007) ????? 33-12
- 言葉の散策 20:骨 ????? 33-13
34号(2008/1/1)
- 新しい年を迎えて:平成20年元旦 ????? 34- 1
- 第5回博狗体育在线_狗博体育直播【官方授权网站】@農医連携シンポジウムの開催 地球温暖化:農と環境と健康に及ぼす影響評価とその対策?適応技術 ????? 34- 3
- 第4回博狗体育在线_狗博体育直播【官方授权网站】@農医連携シンポジウムの内容:(5) コーデックスの状況と我が国の取り組み ????? 34- 4
- 第4回博狗体育在线_狗博体育直播【官方授权网站】@農医連携シンポジウムの内容:(6) カドミウム摂取の生態影響評価"耐用摂取量推定の試み" ????? 34- 7
- 第3回薬用植物セミナー「薬用植物による新たな都市農業の創出を目指して」が開催された ????? 34-10
- 中国製品の鉛汚染の実態:子供用装飾品と玩具 ????? 34-11
- コラム:卒業論文発表会と盈科而進(えいかじしん) ????? 34-14
35号(2008/2/1)
- 新しい年を迎えて:平成20年元旦 34- 1
- 第4回博狗体育在线_狗博体育直播【官方授权网站】@農医連携シンポジウムの内容:(7) コーデックス基準策定と食の安心?安全にまつわる戦い"カドミウム、クロロプロパノール、ホルムアミドを例として" ????? 35- 1
- 第4回博狗体育在线_狗博体育直播【官方授权网站】@農医連携シンポジウムの内容:(8) 臨床環境医学から見た重金属問題 ????? 35- 3
- 第4回博狗体育在线_狗博体育直播【官方授权网站】@農医連携シンポジウムの内容:(9)総合討論とアンケート結果 ????? 35- 5
- 健康と地球環境の保全:2.土壌から考える環境と農 ????? 35- 9
- 本の紹介 34:体の取扱説明書、太田和夫著、産経新聞の本(2007) ????? 35-12
- コラム:いのちの食べかた ????? 35-14
JOHO:Nou-Kankyo-Iryo No36(2008/3/1)
Newsletter: Agriculture, Environment, and Medicine No36
The Proceedings of The Fourth Agromedicine Symposium in Kitasato University October 12, 2007
Effect of cadmium and arsenic on agriculture, the environment, and health
- A Message from the Symposium Organizer: Tadayoshi Shiba ????? 36- 2
- Biogeochemical cycle of heavy metals -Cadmium and arsenic-: Katsu Minami ????? 36- 4
- Risk of heavy metal contamination of farmland soil and countermeasures Shinichi Ono 3 ????? 6- 8
- Accumulation of heavy metals in plants and intake by humans: Tadakastu Yoneyama ????? 36-12
- Status of the Codex Alimentarius Commission and Japan's Approach Masahiro Segawa ????? 36-15
- Assessment of the biological effects of cadmium intake-Attempt at estimation of tolerable intake-: Hisayoshi Ohta ????? 36-20
- The Battle of the Codex: Standards and Food Safety-The case of cadmium, chloropropanol and formaldehyde-: Fujio Kayama ????? 36-23
- Heavy metal problems from the perspective of clinical ecology: Kou Sakabe ????? 36-26
総索引(情報:農と環境と医療 25号~36号)
平成17(2005)年5月1日から毎月1日に発刊してきた「情報:農と環境と医療」が37号を迎えた。1号から12号については、12号に総索引を掲載した。平成18(2006)年5月1日の13号から平成19(2007)年3月1日の24号については、25号に総索引を掲載した。今回は、平成19(2007)年4月1日の25号から平成20(2008)年3月1日の36号についての総索引を掲載する。索引の項目は、「挨拶」「学内動向」「国内動向」「国際動向」「総説?トピックスなど」「Agromedicine」「Geomedicine」「本の紹介」「資料の紹介」「講演会など」「言葉の散策」とした。
挨 拶
学内動向
国内動向
国際動向
総説?トピックスなど
Agromedicine
Geomedicine
本の紹介
資料の紹介
講演会など
言葉の散策
コラム
その他
挨 拶
- 新しい年を迎えて:平成20年元旦 ????? 34- 1
学内動向
- 平成19年度から農医連携に関わる教育が開始される ????? 25- 1
- 研究室訪問 X:獣医学部獣医寄生虫学 ????? 27- 7
- 研究室訪問 Y:獣医学部獣医微生物学 ????? 28-13
- 研究室訪問 Z:獣医学部獣医伝染病学 ????? 28-14
- 平成19年度博狗体育在线_狗博体育直播【官方授权网站】@研究集会の開催:第20回「遺伝子とその周辺」 ????? 28- 3
- 平成19年度博狗体育在线_狗博体育直播【官方授权网站】@研究集会の開催:第5回「北里化学シンポジウム」 ????? 28- 4
- 博狗体育在线_狗博体育直播【官方授权网站】@の講座?研究室などの訪問が終了:まとめ ????? 29- 5
- 第20回「遺伝子とその周辺」研究会:盛会に終わる ????? 31- 1
- 医学部学生の「八雲牧場体験演習」が終わる ????? 32- 1
国内動向
- 農?環?医にかかわる国内情報:9.環食同源 ????? 26- 7
- 食料?農業?農村白書"21世紀にふさわしい戦略産業を目指して" 平成19年版が刊行された ????? 28- 1
- 全国大学附属農場協議会?日本学術会議農学基礎委員会農学分科会合同シンポジウム:「食育の現状と大学附属農場等の果たすべき役割」が開催された ????? 28- 2
- 「気炎:農医連携への期待」:山形新聞2007年5月30日版 ????? 29- 9
国際動向
- 中国産食品の実態:養殖ウナギなど ????? 31- 6
- 中国製品の鉛汚染の実態:子供用装飾品と玩具 ????? 34-11
総説?トピックスなど
- わが国を取りまく環境変動の今:(3)カエルツボカビ ????? 29- 2
- 猛暑日と夏バテと熱中症 ????? 31- 1
- わが国におけるカドミウムとヒ素の公害小史 ????? 33- 6
- 健康と地球環境の保全:1.環境を背景にした農と医の類似性 ????? 33- 8
- 健康と地球環境の保全:2.土壌から考える環境と農 ????? 35- 9
Agromedicine
- Agromedicine を訪ねる(10):Journal of Agromedicine ????? 25- 8
- Agromedicine を訪ねる(11):Journal of Agromedicine ????? 31- 9
Geomedicine
- Medical Geology, Geomedicine を訪ねる(1):定義 ????? 25- 9
- Medical Geology, Geomedicine を訪ねる(2):国際地理医学連合 IMGA ????? 29- 8
本の紹介
- 本の紹介 25:硝酸塩は本当に危険か"崩れた有害仮説と真実" Jリロンデル/J-Lリロンデル著、越野正義訳、農文協(2006) ????? 25-11
- 本の紹介 26:ダーウィンのミミズ、フロイトの悪夢 アダム?フィリップス著、渡辺政隆訳、みすず書房(2006) ????? 25-14
- 本の紹介 27:環境の歴史"ヨーロッパ、原初から現代まで"、ロベール?ドロール+フランソワ?ワルテール著、桃木暁子?門脇 仁訳、みすず書房(2007) ????? 26- 8
- 本の紹介 28:北里柴三郎、長木大三著、慶應義塾大学出版会 (1986年初版、2001年5版) ????? 27- 9
- 本の紹介 29:毒か薬か環境ホルモン 環境生殖学入門、堤 治著 朝日新聞社(2005) ????? 27-12
- 本の紹介 30:メディア?バイアス"あやしい健康情報とニセ科学" 松永和紀著、光文社(2007) ????? 29- 9
- 本の紹介 31:健康?老化?寿命"人といのちの文化誌" 黒木登志夫著、中公新書 1898(2007) ????? 31-10
- 本の紹介 32:ガイアの復讐、ジェームズ?ラブロック著 秋元勇巳監修?竹村健一訳、中央公論新社(2006) ????? 32- 8
- 本の紹介 33:アニマルセラピー入門、太田光昭監修、NPO法人 ひとと動物のかかわり研究会編、IBS出版(2007) ????? 33-12
- 本の紹介 34:体の取扱説明書、太田和夫著、産経新聞の本(2007) ????? 35-12
資料の紹介
- 資料の紹介 7:平成18年度「チーム医療教育」報告書、博狗体育在线_狗博体育直播【官方授权网站】@ ????? 25-11
- 資料の紹介 8:特集 開発進むキチン?キトサンの利用 研究ジャーナル、Vol30, No4,5-40 (2007) ????? 26-12
講演会など
- 第3回農医連携シンポジウムの映像音声と資料画像 ????? 25- 2
- 第3回博狗体育在线_狗博体育直播【官方授权网站】@農医連携シンポジウムの内容:(1)開催にあたって ????? 25- 2
- 第3回博狗体育在线_狗博体育直播【官方授权网站】@農医連携シンポジウムの内容:(2)農と環境と医療の視点から鳥インフルエンザを追う ????? 26- 5
- 第3回博狗体育在线_狗博体育直播【官方授权网站】@農医連携シンポジウムの内容:鳥インフルエンザ(3)動物由来ウイルス感染症の現状と問題点 ????? 26- 1
- 第3回博狗体育在线_狗博体育直播【官方授权网站】@農医連携シンポジウムの内容:鳥インフルエンザ(4)高病原性鳥インフルエンザの感染と対策 ????? 26- 5
- シンポジウムの開催:人と動物の健康について考える ????? 26- 8
- シンポジウムの開催:医薬品等プリオン安全性フォーラム ????? 27- 8
- 第3回博狗体育在线_狗博体育直播【官方授权网站】@農医連携シンポジウムの内容:鳥インフルエンザ(5)野鳥の渡りや生態と感染の発生 ????? 27- 1
- 第3回博狗体育在线_狗博体育直播【官方授权网站】@農医連携シンポジウムの内容:鳥インフルエンザ(6)野鳥の感染とその現状 ????? 27- 5
- 第3回博狗体育在线_狗博体育直播【官方授权网站】@農医連携シンポジウムの内容:鳥インフルエンザ(7)新型インフルエンザの脅威"鳥のインフルエンザとヒトへの影響" ????? 28- 4
- 第3回博狗体育在线_狗博体育直播【官方授权网站】@農医連携シンポジウムの内容:鳥インフルエンザ(8)高病原性鳥インフルエンザとワクチン対策 ????? 28- 7
- 第3回博狗体育在线_狗博体育直播【官方授权网站】@農医連携シンポジウムの内容:鳥インフルエンザ(9)総合討論とアンケート結果 ????? 28- 8
- 第4回博狗体育在线_狗博体育直播【官方授权网站】@農医連携シンポジウムの開催:農と環境と健康に及ぼす カドミウムとヒ素の影響"現代社会における農?環境?健康" ????? 29- 1
- A Message from the Symposium Organizer: Tadayoshi Shiba ????? 30- 2
- Looking at Bird Flu from the Perspective of Agriculture, Environment, and Medicine: Katsu Minami and Shinji Takai ????? 30- 4
- Current Status and Issues of Zoonotic Viral Diseases: Yasuhiro Yoshikawa ????? 30- 9
- Highly Pathogenic AIV Infection and Countermeasures: Shigeo Yamaguchi ????? 30-14
- Wild Bird Migration and Behavior in Relation to AIV Infection: Yutaka Kanai ????? 30-17
- Infection of Wild Birds and Current Status: Kumiko Yoneda ????? 30-22
- The Threat Posed by New Types of Influenza: AIV and its Impact on Humans: Nobuhiko Okabe ????? 30-24
- Highly Pathogenic AIV and Vaccination Measures: Tetsuo Nakayama ????? 30-27
- 第4回博狗体育在线_狗博体育直播【官方授权网站】@農医連携シンポジウムの音声映像と資料画像 ????? 32- 2
- 第4回博狗体育在线_狗博体育直播【官方授权网站】@農医連携シンポジウムの内容:(1)開催にあたって ????? 32- 2
- 第4回博狗体育在线_狗博体育直播【官方授权网站】@農医連携シンポジウムの内容:(2)重金属の生物地球化学的循環"カドミウムとヒ素を中心に" ????? 32- 5
- 第4回博狗体育在线_狗博体育直播【官方授权网站】@農医連携シンポジウムの内容:(3)農耕地土壌の重金属汚染リスクとその対策 ????? 33- 1
- 第4回博狗体育在线_狗博体育直播【官方授权网站】@農医連携シンポジウムの内容:(4)植物による重金属集積と人への摂取 ????? 33- 4
- 第5回博狗体育在线_狗博体育直播【官方授权网站】@農医連携シンポジウムの開催 地球温暖化:農と環境と健康に及ぼす影響評価とその対策?適応技術 ????? 34- 3
- 第4回博狗体育在线_狗博体育直播【官方授权网站】@農医連携シンポジウムの内容:(5)コーデックスの状況と我が国の取り組み ????? 34- 4
- 第4回博狗体育在线_狗博体育直播【官方授权网站】@農医連携シンポジウムの内容:(6)カドミウム摂取の生態影響評価"耐用摂取量推定の試み" ????? 34- 7
- 第3回薬用植物セミナー「薬用植物による新たな都市農業の創出を目指して」が開催された ????? 34-10
- 第4回博狗体育在线_狗博体育直播【官方授权网站】@農医連携シンポジウムの内容:(7)コーデックス基準策定と食の安心?安全にまつわる戦い"カドミウム、クロロプロパノール、ホルムアミドを例として" ????? 35- 1
- 第4回博狗体育在线_狗博体育直播【官方授权网站】@農医連携シンポジウムの内容:(8)臨床環境医学から見た重金属問題 ????? 35- 3
- 第4回博狗体育在线_狗博体育直播【官方授权网站】@農医連携シンポジウムの内容:(9)総合討論とアンケート結果 ????? 35- 5
- A Message from the Symposium Organizer: Tadayoshi Shiba ????? 36- 2
- Biogeochemical cycle of heavy metals -Cadmium and arsenic-: Katsu Minami ????? 36- 4
- Risk of heavy metal contamination of farmland soil and countermeasures Shinichi Ono ????? 36- 8
- Accumulation of heavy metals in plants and intake by humans: Tadakastu Yoneyama ????? 36-12
- Status of the Codex Alimentarius Commission and Japan's Approach Masahiro Segawa ????? 36-15
- Assessment of the biological effects of cadmium intake -Attempt at estimation oftolerable intake-: Hisayoshi Ohta ????? 36-20
- The Battle of the Codex: Standards and Food Safety -The case of cadmium, chloropropanol and formaldehyde-: Fujio Kayama ????? 36-23
- Heavy metal problems from the perspective of clinical ecology: Kou Sakabe ????? 36-26
言葉の散策
- 言葉の散策 14:分?解?判?弁?別?わかる ????? 25-17
- 言葉の散策 15:情報 ????? 26-15
- 言葉の散策 16:回と度 ????? 27-14
- 言葉の散策 17:夏?秋?冬?春 ????? 29-14
- 言葉の散策 18:人と病人と故人 ????? 31-15
- 言葉の散策 19:気が合う?息が合う ????? 32-14
- 言葉の散策 20:骨 ????? 33-13
コラム
- コラム:告朔の羊(こくさくのきよう) ????? 25-18
- コラム:決河之勢(けっかのいきおい) ????? 26-15
- コラム:仁和寺にある法師 ????? 27-15
- コラム:真実と事実 ????? 28-15
- コラム:「おはこ」と「トイレ」 ????? 29-15
- コラム:卒業論文発表会と盈科而進(えいかじしん) ????? 34-14
- コラム:いのちの食べかた ????? 35-14
その他
- 総目次(情報:農と環境と医療 13号024号) ????? 25-19
- 総索引(情報:農と環境と医療 13号024号) ????? 25-21
*本情報誌の無断転用はお断りします。
- 博狗体育在线_狗博体育直播【官方授权网站】@学長通信
情報:農と環境と医療37号 -
編集?発行 博狗体育在线_狗博体育直播【官方授权网站】@学長室
発行日 2008年4月1日