46号
情報:農と環境と医療46号
2009/1/1
新しい年を迎えて:平成21(2009)年元旦
新年あけましておめでとうございます。博狗体育在线_狗博体育直播【官方授权网站】@学長室通信「情報:農と環境と医療」は、農医連携を新たな学域とするため、平成17(2005)年5月から毎月発刊してきました。思い起こせば、すでに3年と7ヶ月という歳月が流れたことになります。
目標とする50号の達成をまえに、1号に掲載された柴 忠義学長の「学長室通信の刊行にあたって?以心発信?」と、編者の「はじめに」が頭を過ぎり、朱熹(朱子)の「偶成」といわれてきた漢詩が想起されます。
目標とする50号の達成をまえに、1号に掲載された柴 忠義学長の「学長室通信の刊行にあたって?以心発信?」と、編者の「はじめに」が頭を過ぎり、朱熹(朱子)の「偶成」といわれてきた漢詩が想起されます。
- 少年易老学難成 … 少年老い易く学成り難し
- 一寸光陰不可軽 … 一寸の光陰軽んずべからず
- 未覚池塘春草夢 … 未だ覚めず池塘(ちとう)春草の夢
- 階前梧葉已秋声 … 階前の梧葉(ごよう)已に秋声
とはいえ、これまで行ってきた農医連携にかかわる教育、研究および普及などについて振り返り、新たな思いで、農医連携の学域を充足させていかなければなりません。まず、これまでの経過を振り返ってみます。
上述した「情報:農と環境と医療」を発行してきました。農医連携に関わる情報を関係者が広く共通認識するための情報です。この号はすでに46号になります。その内容には、「挨拶」「学内動向」「国内情報」「国際情報」「総説?資料?トピックス」「研究室訪問」「文献紹介」「本?資料の紹介」「講演会」「農医連携を心したひとびと」「言葉の散策」「Agromedicine」「Geomedicine」「その他」などがあります。
次に「博狗体育在线_狗博体育直播【官方授权网站】@農医連携シンポジウム」です。2006年3月に第1回が開催されました。2008年10月の開催で6回目を迎えました。第1回から6回までの課題を以下に紹介します。なおこれらの内容は、シンポジウムが終了する度に「養賢堂」から冊子として発刊しています。
内容は次の通りです。「第1回:農?環境?医療の連携を求めて(平成18年3月10日)、養賢堂(2006)」「第2回:代替医療と代替農業の連携を求めて‐現代社会における食?環境?健康‐(平成18年10月13日)、養賢堂(2007)」「第3回:鳥インフルエンザ‐農と環境と医療の視点から‐(平成19年3月9日)、養賢堂(2008)」「第4回:農と環境と健康に及ぼすカドミウムとヒ素の影響(平成19年10月12日)、養賢堂(2008)」「第5回:地球温暖化‐農と環境と健康に及ぼす影響評価とその対策?適応技術‐(平成20年3月25日)、養賢堂(印刷中)」「第6回:食の安全と予防医学(平成20年10月24日)、養賢堂(準備中)」
次に「薬用植物セミナー」の開催です。博狗体育在线_狗博体育直播【官方授权网站】@と相模原市は、新たな都市農業の創出を目指して「新都市農業推進協定」を締結し、薬用植物を通じた連携事業を展開しています。その取組みの一環として、薬用植物に関する普及啓蒙を図るとともに、新たな農に対する関心を高め、健康?環境?新都市農業を視点とした新しい農業の振興をめざし、農医連携の一環として「薬用植物セミナー」を開始しました。
内容は次の通りです。「第1回:薬用植物と新たな農への取組(平成17年11月5日)」「第2回:薬用植物による新たな都市農業の創出を目指して(平成18年12月9日)」「第3回:薬用植物による新たな都市農業の創出を目指して(平成19年12月8日)」
続いて農医連携にかかわる教育活動です。「農医連携」に関わる講義は、平成19年4月に迎えた学生から、医学部の1年生を対象に行われる「医学原論?医学原論演習」の一部、獣医学部の1年生を対象に行われる「獣医学入門 I」、「動物資源科学概論1」および「生物環境科学概論 I」の一部で行われています。
さらに、医学部では夏期休暇を利用し「医学原論演習」の一環として希望する学生に「八雲牧場訪問及び講義」を行っています。一昨年および昨年の参加学生数は、それぞれ6人および8人でした。内容は、牧場見学、講義、演習(牛追い?ベーコン作り?投薬?鼻紋取り)、懇親会などです。詳細は既に「情報:農と環境と医療 32号、45号」に掲載しています。
平成20年の4月から、一般教育部の教養演習Bで新たに「農医連携論」(1単位)が開講されました。医学部、獣医学部、薬学部、生命科学研究所などの教授がこの講義を分担しています。獣医学部、海洋生命科学部、理学部、看護学部の学生が受講しています。講義の内容は、「情報:農と環境と医療」に「農医連携論の概略」と題して連載しています。
一方、獣医学部と医学部の協力の下に、文部科学省の「質の高い大学教育推進プログラム」で「複合的な知識?技術の習得による高度職業人へのキャリアパス形成をめざして」と題するプロジェクトの申請も試みました。
続いて農医連携の研究活動です。博狗体育在线_狗博体育直播【官方授权网站】@において農医連携が可能な研究の素材や人材を求めて、さまざまな研究の職場を訪問?探索してきました。この訪問は、2005年4月の医学部衛生学?公衆衛生学から始まり、最後は2007年7月の獣医学部獣医伝染病学で終わりました。訪問した26の講座や研究室などと研究の内容については、「情報:農と環境と医療」の1号から28号にそれぞれ掲載してきました。
訪問した講座?研究室など(訪問の順番)は次の通りです(学部名称は訪問当時)。A.医学部;衛生学?公衆衛生学/B.医療衛生学部;衛生管理学/C.薬学部附属薬用植物園/D.一般教育部生物学/E.一般教育部化学/F.財団法人 北里環境科学センター/G.獣医畜産学部 獣医学科 獣医衛生学/H.獣医畜産学部 生物生産環境学科 植物生態環境学/I.獣医畜産学部 動物資源科学科 食品機能?安全学/J.獣医畜産学部 獣医学科 獣医公衆衛生学/K.医学部 微生物?寄生虫学/L.獣医畜産学部 附属フィールドサイエンスセンター(FSC)/M.獣医畜産学部 生物生産環境学科 水利環境学/N.水産学部 水圏生態学/O.水産学部 海洋分子生物学/P.水産学部 水産生物化学/Q.水産学部 水産微生物学/R.獣医畜産学部 獣医放射線学/S.獣医畜産学部 人獣共通感染症学/T.薬学部 公衆衛生学/U.北里生命科学研究所 和漢薬物学研究室/V.北里生命科学研究所 生物機能研究室/W.医療衛生学部環境衛生学/X.獣医学部 獣医寄生虫学/Y.獣医学部 獣医微生物学/Z.獣医学部 獣医伝染病学。
訪問したそれぞれの講座?研究室などから、「農と環境と医療」を連携するために必要と思われるキーワードを抽出しました。それには、「窒素」「有害物質」「重金属」「安全食品」「未然予防」「リスク」「教育?啓蒙」「インベントリー」「農業?健康実践フィールド」「病原微生物」「環境微生物」「環境保全」「環境評価」「食と健康」「感染」「ホルモン」「光の波長」「環境応答」「放射線(アイソトープ)」「免疫」「神経」「内分泌」「生体機能」などが含まれます。これらのキーワードは、今後の研究、教育、普及の推進に参考になると考えます。
加えて、昨年から学部を越えた農医連携に関わる学内研究を立ち上げるべく鋭意努力しております。関係される各位には、今後ともご協力の程宜しくお願いします。
さて、新しい年を迎えて今年の具体的な計画を申し上げます。「第6回博狗体育在线_狗博体育直播【官方授权网站】@農医連携シンポジウム」の成果を「博狗体育在线_狗博体育直播【官方授权网站】@農医連携学術叢書第6号:食の安全と予防医学」と題して養賢堂から出版します。また、第1回から第6回までのシンポジウムのアブストラクトを「Agriculture-Environment-Medicine(仮題)」と題し、「博狗体育在线_狗博体育直播【官方授权网站】@農医連携叢書7号」として英文で発刊します。
農医連携の教育活動では、獣医学部動物資源科学科の新入生に新たに「動物科学2(農医連携論)」(後期科目?1単位)を開講する予定です。また、昨年から引き続いて農医連携にかかわる学内外の研究プロジェクトを立ち上げるべく努力します。皆様、ご協力の程宜しくお願いします。
21世紀もすでに8年の歳月が経過しましたが、最後に、21世紀に求められるわれわれの「健康」についての思いを述べてみます。
私たち人類の真の究極の願いは、恐らく誰もがいつまでも「こころ豊かな健康」を維持し続けることでしょう。このことに疑問を呈したり、否定する人は誰もいないでしょう。この世界に存在する科学や哲学や宗教は、なべて「こころ豊かな健康」であるための真理を求め続けています。
弾むような笑顔にみられる幼児の健康は、その子どもたちの体が健全な食物と良好な環境に依存していることに疑う余地はありません。では、現実の日々の生活のなかでの健康とは何でしょうか。
世界保健機関(WHO)は、「健康」の定義を「健康とは、完全に、身体、精神、および社会的によい(安寧な)状態であることを意味し、単に病気でないとか、虚弱でないということではない」としています。ここでの精神の原語はメンタル(mental:精神の、心的な、知的な)に相当します。
一方、1999年の総会で世界保健機関は新たに「健康」の定義を論議しています。それには新たに、スピリチュアル(spiritual:精神的な、霊的な、知的な)と動的な(dynamic)が加わっています。すなわち「健康とは、完全に、身体、精神、霊および社会的によい(安寧な)動的な状態であることを意味し、単に病気でないとか、虚弱でないということではない」という定義です。この定義が決着するには、恐らくあらゆる分野の人びとによる深い論議と、それにともなう長い年月が必要とされるでしょう。
ノーベル生理医学賞を受賞したアレキシス?カレルは、地球がほとんど回復できないほど病んでいることを、今から97年も前の1912年に認識していました。このことは、この情報に機会あるたびに書いてきました。概ね次のような警告です。
土壌は人間生活全般の基礎だから、近代的な農業経済学のやり方によってわれわれが崩壊させてきた土壌に再び調和をもたらす以外に、健康な世界がやってくる見込みはない。土壌の肥沃度(地力)に応じて生き物はすべて健康か不健康になる。すべての食物は直接的であれ間接的であれ、土壌から生産されるからである。このように農と医が、環境を通して深く結びついていることの原点が強調されています。
多くの土壌が、これまで多くの人びとによって酷使?消耗されつづけてきました。さらに多くの土壌には、さまざまな化学合成物質が添加されてきました。そのため、全般にわたって土壌が必ずしも健全な状態にあるとは言えません。したがって、その土壌で生産される食物の質は損なわれ、それが原因となって、われわれの健康にも影響が及ぶのです。カレルの言うように、栄養失調も栄養のアンバランスも土壌から始まっているといっても過言ではありません。
土壌の成分が植物、動物、人間の細胞の代謝をコントロールしているとも、カレルは言っています。病気のほとんどは、土壌や空気や水や食物のなかに存在するウイルスや微生物、さらには化学物質間の調和の破壊によって生じるからです。
カレルは、「文明が進歩すればするほど、文明は自然食から遠ざかる」とも言っています。科学が進歩したいまでは、われわれが飲む毎日の水、常に呼吸する大気、種子や苗を育む土壌、日夜欠かすことのできない食品のいずれにも、何らかの化学合成物質が共存しています。共存なくして、われわれは現代の生活を維持することができません。そのうえ、食品は加工、着色、漂白、加熱、防腐、保存のために化学合成物質が添加されています。
もちろん、これらの化学合成物質の多くが人間の健康に影響を及ぼさないという証拠は充分あります。しかし、さまざまな環境からさまざまな農林水産物を経て、食品に入り込むいくつもの化学合成物質による複合影響についての証左は、いまだ未解明な状況にあります。
さらに、われわれが健康を獲得するためには、生きている豊かな生活の場、すなわち豊かな時間と空間が必要でしょう。それが世界保健機関の健康の定義にある「社会的:social」という言葉によく表れています。
しかし、自然科学でいわれる「環境」を、この「社会的」に含めて考える人は寡聞にして少ないと思います。あたりまえなことですが、生活の場である環境が健全でないかぎり、われわれは健康を獲得できません。不健全な環境のなかで、健康であり続けることはできないのです。
それでは、現実の日々の生活の中で環境とは何でしょうか。それは個々の人以外の環境と人との関係にかかわるもので、環境が人を離れてそれ自体で善し悪しが問われているわけではありません。両者の関係は、人が環境をどのように見るのか、環境に対してどのような態度をとるのか、そして環境を総体としてどのように価値づけるのかによって決まります。
だから、環境とは人と自然の間に成立するもので、人の見方や価値観が色濃く刻み込まれているものでしょう。そのため、人の文化を離れた環境というものは存在しません。となると、環境とは自然であると同時に文化であり、健康の基であり、環境を改善するとは、とりもなおさずわれわれ自身を変えることにつながるのではないでしょうか。ここで、新たに追加されたスピリチュアルという健康にかかわる定義の概念が頭をもたげてきます。
それでは、健康についてわれわれ自身を変えるとは何でしょうか。地球環境を含めてわれわれの環境が悪化している現実のなかで健康はどうあるべきかを考え、健康のためにその環境を変えていくのが、健康と環境の係わり方でしょう。「病は気から」という言葉があるように、健康にとってスピリチュアルという概念はきわめて重要なのです。
北里柴三郎がすでに言っているように、健康の基本は病気を未然に防ぐことでもあります。そのためには、健全な環境のもとに精神的にも安定した生活をし、健全に生産された食物や安全な製造過程を経た食品を食し、健康を保ち病に陥らないことが必要でしょう。健全な食物はどこから生まれるのでしょうか。それは健全な土壌以外にはありません。今までも、今も、そしてこれから未来永劫にかけても。
健康にかかわる定義に新たに追加されたスピリチュアルという概念と、これまでの健康の定義の「社会的」という概念、さらにはカレルの指摘した「文明が進歩すればするほど、文明は自然食から遠ざかる」という言葉は、われわれに新たな知の獲得や研究を要求します。それは、われわれが20世紀に獲得した分離された技術知だけでは、健康はやってこないということを意味します。これまでの生業や技術知を通してわれわれが獲得した生態知、さらには技術知と生態知を統合する統合知が必要であることを意味しているのです。
環境を通した農学と医学の連携は、21世紀が必要とするまさに新たな統合知に他なりません。農学、環境科学、医学という分離の科学を克服して、統合知を獲得するための研究?教育?普及が今ほど必要とされている時代はないでしょう。このことを成功させなければ、「こころ豊かな健康」の未来はないと思います。
新しい年が始まりました。農医連携の学域の展開に対して関係各位のご支援とご鞭撻をよろしくお願い申し上げます。本年も皆様方にとって良い年であることを祈念いたします。
上述した「情報:農と環境と医療」を発行してきました。農医連携に関わる情報を関係者が広く共通認識するための情報です。この号はすでに46号になります。その内容には、「挨拶」「学内動向」「国内情報」「国際情報」「総説?資料?トピックス」「研究室訪問」「文献紹介」「本?資料の紹介」「講演会」「農医連携を心したひとびと」「言葉の散策」「Agromedicine」「Geomedicine」「その他」などがあります。
次に「博狗体育在线_狗博体育直播【官方授权网站】@農医連携シンポジウム」です。2006年3月に第1回が開催されました。2008年10月の開催で6回目を迎えました。第1回から6回までの課題を以下に紹介します。なおこれらの内容は、シンポジウムが終了する度に「養賢堂」から冊子として発刊しています。
内容は次の通りです。「第1回:農?環境?医療の連携を求めて(平成18年3月10日)、養賢堂(2006)」「第2回:代替医療と代替農業の連携を求めて‐現代社会における食?環境?健康‐(平成18年10月13日)、養賢堂(2007)」「第3回:鳥インフルエンザ‐農と環境と医療の視点から‐(平成19年3月9日)、養賢堂(2008)」「第4回:農と環境と健康に及ぼすカドミウムとヒ素の影響(平成19年10月12日)、養賢堂(2008)」「第5回:地球温暖化‐農と環境と健康に及ぼす影響評価とその対策?適応技術‐(平成20年3月25日)、養賢堂(印刷中)」「第6回:食の安全と予防医学(平成20年10月24日)、養賢堂(準備中)」
次に「薬用植物セミナー」の開催です。博狗体育在线_狗博体育直播【官方授权网站】@と相模原市は、新たな都市農業の創出を目指して「新都市農業推進協定」を締結し、薬用植物を通じた連携事業を展開しています。その取組みの一環として、薬用植物に関する普及啓蒙を図るとともに、新たな農に対する関心を高め、健康?環境?新都市農業を視点とした新しい農業の振興をめざし、農医連携の一環として「薬用植物セミナー」を開始しました。
内容は次の通りです。「第1回:薬用植物と新たな農への取組(平成17年11月5日)」「第2回:薬用植物による新たな都市農業の創出を目指して(平成18年12月9日)」「第3回:薬用植物による新たな都市農業の創出を目指して(平成19年12月8日)」
続いて農医連携にかかわる教育活動です。「農医連携」に関わる講義は、平成19年4月に迎えた学生から、医学部の1年生を対象に行われる「医学原論?医学原論演習」の一部、獣医学部の1年生を対象に行われる「獣医学入門 I」、「動物資源科学概論1」および「生物環境科学概論 I」の一部で行われています。
さらに、医学部では夏期休暇を利用し「医学原論演習」の一環として希望する学生に「八雲牧場訪問及び講義」を行っています。一昨年および昨年の参加学生数は、それぞれ6人および8人でした。内容は、牧場見学、講義、演習(牛追い?ベーコン作り?投薬?鼻紋取り)、懇親会などです。詳細は既に「情報:農と環境と医療 32号、45号」に掲載しています。
平成20年の4月から、一般教育部の教養演習Bで新たに「農医連携論」(1単位)が開講されました。医学部、獣医学部、薬学部、生命科学研究所などの教授がこの講義を分担しています。獣医学部、海洋生命科学部、理学部、看護学部の学生が受講しています。講義の内容は、「情報:農と環境と医療」に「農医連携論の概略」と題して連載しています。
一方、獣医学部と医学部の協力の下に、文部科学省の「質の高い大学教育推進プログラム」で「複合的な知識?技術の習得による高度職業人へのキャリアパス形成をめざして」と題するプロジェクトの申請も試みました。
続いて農医連携の研究活動です。博狗体育在线_狗博体育直播【官方授权网站】@において農医連携が可能な研究の素材や人材を求めて、さまざまな研究の職場を訪問?探索してきました。この訪問は、2005年4月の医学部衛生学?公衆衛生学から始まり、最後は2007年7月の獣医学部獣医伝染病学で終わりました。訪問した26の講座や研究室などと研究の内容については、「情報:農と環境と医療」の1号から28号にそれぞれ掲載してきました。
訪問した講座?研究室など(訪問の順番)は次の通りです(学部名称は訪問当時)。A.医学部;衛生学?公衆衛生学/B.医療衛生学部;衛生管理学/C.薬学部附属薬用植物園/D.一般教育部生物学/E.一般教育部化学/F.財団法人 北里環境科学センター/G.獣医畜産学部 獣医学科 獣医衛生学/H.獣医畜産学部 生物生産環境学科 植物生態環境学/I.獣医畜産学部 動物資源科学科 食品機能?安全学/J.獣医畜産学部 獣医学科 獣医公衆衛生学/K.医学部 微生物?寄生虫学/L.獣医畜産学部 附属フィールドサイエンスセンター(FSC)/M.獣医畜産学部 生物生産環境学科 水利環境学/N.水産学部 水圏生態学/O.水産学部 海洋分子生物学/P.水産学部 水産生物化学/Q.水産学部 水産微生物学/R.獣医畜産学部 獣医放射線学/S.獣医畜産学部 人獣共通感染症学/T.薬学部 公衆衛生学/U.北里生命科学研究所 和漢薬物学研究室/V.北里生命科学研究所 生物機能研究室/W.医療衛生学部環境衛生学/X.獣医学部 獣医寄生虫学/Y.獣医学部 獣医微生物学/Z.獣医学部 獣医伝染病学。
訪問したそれぞれの講座?研究室などから、「農と環境と医療」を連携するために必要と思われるキーワードを抽出しました。それには、「窒素」「有害物質」「重金属」「安全食品」「未然予防」「リスク」「教育?啓蒙」「インベントリー」「農業?健康実践フィールド」「病原微生物」「環境微生物」「環境保全」「環境評価」「食と健康」「感染」「ホルモン」「光の波長」「環境応答」「放射線(アイソトープ)」「免疫」「神経」「内分泌」「生体機能」などが含まれます。これらのキーワードは、今後の研究、教育、普及の推進に参考になると考えます。
加えて、昨年から学部を越えた農医連携に関わる学内研究を立ち上げるべく鋭意努力しております。関係される各位には、今後ともご協力の程宜しくお願いします。
さて、新しい年を迎えて今年の具体的な計画を申し上げます。「第6回博狗体育在线_狗博体育直播【官方授权网站】@農医連携シンポジウム」の成果を「博狗体育在线_狗博体育直播【官方授权网站】@農医連携学術叢書第6号:食の安全と予防医学」と題して養賢堂から出版します。また、第1回から第6回までのシンポジウムのアブストラクトを「Agriculture-Environment-Medicine(仮題)」と題し、「博狗体育在线_狗博体育直播【官方授权网站】@農医連携叢書7号」として英文で発刊します。
農医連携の教育活動では、獣医学部動物資源科学科の新入生に新たに「動物科学2(農医連携論)」(後期科目?1単位)を開講する予定です。また、昨年から引き続いて農医連携にかかわる学内外の研究プロジェクトを立ち上げるべく努力します。皆様、ご協力の程宜しくお願いします。
21世紀もすでに8年の歳月が経過しましたが、最後に、21世紀に求められるわれわれの「健康」についての思いを述べてみます。
私たち人類の真の究極の願いは、恐らく誰もがいつまでも「こころ豊かな健康」を維持し続けることでしょう。このことに疑問を呈したり、否定する人は誰もいないでしょう。この世界に存在する科学や哲学や宗教は、なべて「こころ豊かな健康」であるための真理を求め続けています。
弾むような笑顔にみられる幼児の健康は、その子どもたちの体が健全な食物と良好な環境に依存していることに疑う余地はありません。では、現実の日々の生活のなかでの健康とは何でしょうか。
世界保健機関(WHO)は、「健康」の定義を「健康とは、完全に、身体、精神、および社会的によい(安寧な)状態であることを意味し、単に病気でないとか、虚弱でないということではない」としています。ここでの精神の原語はメンタル(mental:精神の、心的な、知的な)に相当します。
一方、1999年の総会で世界保健機関は新たに「健康」の定義を論議しています。それには新たに、スピリチュアル(spiritual:精神的な、霊的な、知的な)と動的な(dynamic)が加わっています。すなわち「健康とは、完全に、身体、精神、霊および社会的によい(安寧な)動的な状態であることを意味し、単に病気でないとか、虚弱でないということではない」という定義です。この定義が決着するには、恐らくあらゆる分野の人びとによる深い論議と、それにともなう長い年月が必要とされるでしょう。
ノーベル生理医学賞を受賞したアレキシス?カレルは、地球がほとんど回復できないほど病んでいることを、今から97年も前の1912年に認識していました。このことは、この情報に機会あるたびに書いてきました。概ね次のような警告です。
土壌は人間生活全般の基礎だから、近代的な農業経済学のやり方によってわれわれが崩壊させてきた土壌に再び調和をもたらす以外に、健康な世界がやってくる見込みはない。土壌の肥沃度(地力)に応じて生き物はすべて健康か不健康になる。すべての食物は直接的であれ間接的であれ、土壌から生産されるからである。このように農と医が、環境を通して深く結びついていることの原点が強調されています。
多くの土壌が、これまで多くの人びとによって酷使?消耗されつづけてきました。さらに多くの土壌には、さまざまな化学合成物質が添加されてきました。そのため、全般にわたって土壌が必ずしも健全な状態にあるとは言えません。したがって、その土壌で生産される食物の質は損なわれ、それが原因となって、われわれの健康にも影響が及ぶのです。カレルの言うように、栄養失調も栄養のアンバランスも土壌から始まっているといっても過言ではありません。
土壌の成分が植物、動物、人間の細胞の代謝をコントロールしているとも、カレルは言っています。病気のほとんどは、土壌や空気や水や食物のなかに存在するウイルスや微生物、さらには化学物質間の調和の破壊によって生じるからです。
カレルは、「文明が進歩すればするほど、文明は自然食から遠ざかる」とも言っています。科学が進歩したいまでは、われわれが飲む毎日の水、常に呼吸する大気、種子や苗を育む土壌、日夜欠かすことのできない食品のいずれにも、何らかの化学合成物質が共存しています。共存なくして、われわれは現代の生活を維持することができません。そのうえ、食品は加工、着色、漂白、加熱、防腐、保存のために化学合成物質が添加されています。
もちろん、これらの化学合成物質の多くが人間の健康に影響を及ぼさないという証拠は充分あります。しかし、さまざまな環境からさまざまな農林水産物を経て、食品に入り込むいくつもの化学合成物質による複合影響についての証左は、いまだ未解明な状況にあります。
さらに、われわれが健康を獲得するためには、生きている豊かな生活の場、すなわち豊かな時間と空間が必要でしょう。それが世界保健機関の健康の定義にある「社会的:social」という言葉によく表れています。
しかし、自然科学でいわれる「環境」を、この「社会的」に含めて考える人は寡聞にして少ないと思います。あたりまえなことですが、生活の場である環境が健全でないかぎり、われわれは健康を獲得できません。不健全な環境のなかで、健康であり続けることはできないのです。
それでは、現実の日々の生活の中で環境とは何でしょうか。それは個々の人以外の環境と人との関係にかかわるもので、環境が人を離れてそれ自体で善し悪しが問われているわけではありません。両者の関係は、人が環境をどのように見るのか、環境に対してどのような態度をとるのか、そして環境を総体としてどのように価値づけるのかによって決まります。
だから、環境とは人と自然の間に成立するもので、人の見方や価値観が色濃く刻み込まれているものでしょう。そのため、人の文化を離れた環境というものは存在しません。となると、環境とは自然であると同時に文化であり、健康の基であり、環境を改善するとは、とりもなおさずわれわれ自身を変えることにつながるのではないでしょうか。ここで、新たに追加されたスピリチュアルという健康にかかわる定義の概念が頭をもたげてきます。
それでは、健康についてわれわれ自身を変えるとは何でしょうか。地球環境を含めてわれわれの環境が悪化している現実のなかで健康はどうあるべきかを考え、健康のためにその環境を変えていくのが、健康と環境の係わり方でしょう。「病は気から」という言葉があるように、健康にとってスピリチュアルという概念はきわめて重要なのです。
北里柴三郎がすでに言っているように、健康の基本は病気を未然に防ぐことでもあります。そのためには、健全な環境のもとに精神的にも安定した生活をし、健全に生産された食物や安全な製造過程を経た食品を食し、健康を保ち病に陥らないことが必要でしょう。健全な食物はどこから生まれるのでしょうか。それは健全な土壌以外にはありません。今までも、今も、そしてこれから未来永劫にかけても。
健康にかかわる定義に新たに追加されたスピリチュアルという概念と、これまでの健康の定義の「社会的」という概念、さらにはカレルの指摘した「文明が進歩すればするほど、文明は自然食から遠ざかる」という言葉は、われわれに新たな知の獲得や研究を要求します。それは、われわれが20世紀に獲得した分離された技術知だけでは、健康はやってこないということを意味します。これまでの生業や技術知を通してわれわれが獲得した生態知、さらには技術知と生態知を統合する統合知が必要であることを意味しているのです。
環境を通した農学と医学の連携は、21世紀が必要とするまさに新たな統合知に他なりません。農学、環境科学、医学という分離の科学を克服して、統合知を獲得するための研究?教育?普及が今ほど必要とされている時代はないでしょう。このことを成功させなければ、「こころ豊かな健康」の未来はないと思います。
新しい年が始まりました。農医連携の学域の展開に対して関係各位のご支援とご鞭撻をよろしくお願い申し上げます。本年も皆様方にとって良い年であることを祈念いたします。
第6回博狗体育在线_狗博体育直播【官方授权网站】@農医連携シンポジウムの内容:-食の安全と予防医学-(5)過酸化脂質と疾病
平成20年10月24日に開催された第6回博狗体育在线_狗博体育直播【官方授权网站】@農医連携シンポジウムのうち、演題「過酸化脂質と疾病」を紹介する。残りの演題と総合討論については、次号以降に順次紹介する。なお、「開催にあたって」と「食品安全委員会の5年間の取組と今後の課題」、「食生活の現状と課題‐健康維持?おいしさ?安全性の連携‐」、「水産物の機能と安全性」については、情報44号および45号に掲載した。
過酸化脂質と疾病
はじめに
近年、日本での食生活の欧米化に伴い脂質の過剰な摂取による健康障害が問題となっている。1960~1970年の10年間で動物性脂質の摂取量は4倍に増加しており、世界でも例を見ない短期間での急激な増加である。脂質の過剰摂取は心筋梗塞、肥満などを引き起こすことから、動物、植物性脂質の過剰な摂取に注意をすることが厚生労働省による「日本人の摂取基準」に記載されている。
一方、脂質の過剰の摂取を控えるだけでなく、脂肪酸種をバランスの良く摂取することが提言されている。脂肪酸は飽和、一価不飽和脂肪酸、n-3系とn-6系の高度不飽和脂肪酸に分類される。動物性脂質に多く含まれる飽和脂肪酸は血中コレステロールを上昇させる。また、n-6系高度不飽和脂肪酸、飽和脂肪酸を多く含む肉などを主食とするデンマーク人に比較して、n-3系高度不飽和脂肪酸を多く含む魚油を主に摂取するエスキモー人には心筋梗塞の発生が極めて低いことから、魚油に含まれるエイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキエン酸(DHA)などのn-3系脂肪酸に心筋梗塞の発症を予防する効果が明らかとなった。このことから、日本においても魚の積極的な摂取が求められるようになった。
一方、魚油に含まれるn-3系脂肪酸にがん細胞の増殖を抑制することが知られている。n-3系脂肪酸によるがん増殖の抑制機構は不明であったが、最近、n-3系脂肪酸ががん細胞のアポトーシスを促進し、がん細胞の増殖を抑制することが魚油で飼育したヌードマウスを用いた実験から明らかとなった。
アポトーシスの機構についてはさまざまな研究分野で精力的に進められており、多くの誘導、抑制因子が見出されてはいるが、アポトーシスの誘導機構、特にミトコンドリアからのアポトーシス実行因子の放出機構についてはいまだ不明である。ミトコンドリアは活性酸素の細胞内最大の産生小器官であり、活性酸素とアポトーシス誘導への関与を示唆する報告もある。これらのことはEPA、活性酸素、アポトーシス誘導、ミトコンドリア、がん細胞増殖抑制の関連を明らかにすることは興味ある研究対象であることを示している。
EPAによるアポトーシス誘導機構
ラット好塩基球がん細胞(RBL2H3細胞)をEPAで処理をすると、濃度、時間依存的にアポトーシスが誘導された。n-3系脂肪酸であるDHAでもアポトーシスは誘導されたが、n-6系脂肪酸であるリノール酸、飽和脂肪酸、一価不飽和脂肪酸では誘導されない。アポトーシスを実行を決定する因子であるシトクロームcやアポトーシス誘導因子(AIF)などはミトコンドリアから放出された。
それぞれの実行因子の阻害剤を用いた検討から、EPAによるアポト‐シス誘導ではAIFが関与していることが明らかとなった。EPAは細胞内のカルシウム濃度を著しく上昇させた。ミトコンドリアへのカルシウムの流入の阻害剤であるルテニウムレッドはアポトーシスの誘導を阻止することから、カルシウムのミトコンドリアへの流入はアポトーシス誘導に不可欠であることが示された。カルシウムがミトコンドリアに流入することにより、活性酸素であるハイドロパーオキサイドの生成が顕著に増大した。
ミトコンドリアの活性酸素であるスーパーオキサイドを消去するMn-TBAPを添加すると、アポトーシスは阻止された。さらに、細胞内のリン脂質ヒドロペルオキシドを消去する唯一の抗酸化酵素であるリン脂質ハイドロパーオキサイドグルタチオンパーオキシダーゼ(phospholipid hydroperoxiside glutathione peroxidase PHGPx)をミトコンドリアに高発現させたRBL2H3細胞では、ミトコンドリアへのカルシウムレベルの上昇は見られたが、アポトーシスは誘導されない。
このことはミトコンドリアからのAIFの放出にはミトコンドリアのカルシウムレベルの上昇よるハイドロパーオキサイドの生成、さらにPHGPxの基質である過酸化リン脂質(リン脂質ハイドロパーオキサイド)が関与していることを示している。ミトコンドリア型PHGPx高発現細胞はEPAのみならず、紫外線照射、スタウロスポリン、デオキシグルコースなどによるアポトーシス誘導をも強く抑制した。
AIFやシトクロームcなどのアポトーシス実行因子のミトコンドリアからの放出に関わる過酸化リン脂質の同定を試みた。アポトーシス実行因子のミトコンドリアからの放出を考える上で、ミトコンドリアに特異的に存在するカルジオリピンは注目すべきリン脂質と考えられた。アポトーシス実行因子がミトコンドリアから放出されるためにはミトコンドリア膜のメガチャネルであるpermeability transition pore (PTpore)が開放されなければならない。
このチャネルの開閉を調節しているタンパク質はATPとADPの交換タンパク質であるアデニンヌクレオチドトランスロケーター(ANT)である。ANTの活性にはカルジオリピンが不可欠である。カルジオリピンは他のリン脂質に比較して、高度不飽和脂肪酸が多く存在しており、容易に酸化されやすい。EPAで処理した細胞のミトコンドリアにカルジオリピンハイドロパーオキサイドが検出された。
そこで、カルジオリンピンハイドロパーオキサイドのANT活性への影響について、ANT再構成リポソームを用いて検討した。カルジオリピンを含むリポソームではANT活性は見られたが、カルジオリンピンハイドロパーオキサイドを再構成リポソームに添加すると、ANT活性は強く抑制された。
ミトコンドリアでのカルジオリンピンハイドロパーオキサイドの生成はANTを不活性化し、PT poreを開放することが示された。また、シトクロームcはミトコンドリア内膜のカルジオリピンに親和性を持っており、内膜にゆるく結合しているので、シトクロームcの放出には内膜から膜間腔への遊離を必要とする。シトクロームcとカルジオリンピンとの親和性を調べたところ、他のリン脂質に比較してカルジオリンピンはシトクロームcと強い親和性を示したが、その酸化体であるカルジオリンピンハイドロパーオキサイドとの親和性は極めて弱いものであった。
また、カルジオリンピンハイドロパーオキサイドはミトコンドリア膜の安定性に大きく影響を与えた。細胞よりミトコンドリアを単離し、カルジオリンピンハイドロパーオキサイドを融合させたミトコンドリア膜は極めて不安定であり、容易に膨潤し、アポトーシス誘導因子を放出した。
これらのことから、EPAによるミトコンドリアの活性酸素レベルの上昇は不飽和脂肪酸に富むカルジオリンピンを酸化し、ANTを不活性化、ミトコンドリア膜の不安定化し、ミトコンドリアからアポトーシス実行因子を放出し、アポトーシスを誘導することを示している。
脂質過酸化と男性不妊症
リン脂質ハイドロパーオキサイドを消去する細胞内酵素であるPHGPxは精子に強く発現している。その局在性を調べたところ、ほとんどのミトコンドリアが存在している精子のミッドピースに局在していた。リンパ球形成と同様に精子形成過程ではその質を保つため、活発なアポトーシスが行われている。
前述したように、アポト‐シス抑制因子であるミトコンドリアのPHGPxが精子形成に関与していることを検証するために、精子形成不全の男性不妊患者の精子のPHGPxの発現を調べた。不妊患者73名のなかで7名に精子のPHGPxの発現が著しく低下していた。これらの患者の精子のミトコンドリアは膨潤しており、明らかな形態異常が観察された。WHOによる男性不妊患者の分類に従って、PHGPx発現低下の男性不妊患者の分類を行ったところ、7名の患者はいずれも精子数の少ない乏精子症、かつ運動能が低下した精子数が多い精子無力症の重篤な男性不妊患者群に分類された。この男性不妊患者群では約30%がPHGPx発現の低下した患者であり、PHGPxの発現低下は精子機能の重篤な障害を引き起こすことが明らかとなった。
精子形成、機能へのPHGPxの関与を直接に明らかにするために、PHGPxのノックアウトマウスの作成を行ったが、胎生致死であった。そこで、精巣のPHGPxを特異的にノックアウトしたマウスの作成をするため、cre-loxp系を用いた。精巣特異的にPHGPxを欠損したマウスの精子ではミトコンドリアの形態異常、精子数、受精能の著しい低下が観察されたことから、PHGPxの発現低下した精子の分化、機能に強く係わっていることが示された。精子のミトコンドリアのPHGPxの発現低下はミトコンドリアでの過酸化リン脂質レベルの増加を引き起こし、また、精巣で種々な要因で発生する酸化ストレスによる過酸化リン脂質の生成は男性不妊と深く関わることが考えられる。
過酸化脂質と疾病
博狗体育在线_狗博体育直播【官方授权网站】@ 薬学部 中川靖一
はじめに
近年、日本での食生活の欧米化に伴い脂質の過剰な摂取による健康障害が問題となっている。1960~1970年の10年間で動物性脂質の摂取量は4倍に増加しており、世界でも例を見ない短期間での急激な増加である。脂質の過剰摂取は心筋梗塞、肥満などを引き起こすことから、動物、植物性脂質の過剰な摂取に注意をすることが厚生労働省による「日本人の摂取基準」に記載されている。
一方、脂質の過剰の摂取を控えるだけでなく、脂肪酸種をバランスの良く摂取することが提言されている。脂肪酸は飽和、一価不飽和脂肪酸、n-3系とn-6系の高度不飽和脂肪酸に分類される。動物性脂質に多く含まれる飽和脂肪酸は血中コレステロールを上昇させる。また、n-6系高度不飽和脂肪酸、飽和脂肪酸を多く含む肉などを主食とするデンマーク人に比較して、n-3系高度不飽和脂肪酸を多く含む魚油を主に摂取するエスキモー人には心筋梗塞の発生が極めて低いことから、魚油に含まれるエイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキエン酸(DHA)などのn-3系脂肪酸に心筋梗塞の発症を予防する効果が明らかとなった。このことから、日本においても魚の積極的な摂取が求められるようになった。
一方、魚油に含まれるn-3系脂肪酸にがん細胞の増殖を抑制することが知られている。n-3系脂肪酸によるがん増殖の抑制機構は不明であったが、最近、n-3系脂肪酸ががん細胞のアポトーシスを促進し、がん細胞の増殖を抑制することが魚油で飼育したヌードマウスを用いた実験から明らかとなった。
アポトーシスの機構についてはさまざまな研究分野で精力的に進められており、多くの誘導、抑制因子が見出されてはいるが、アポトーシスの誘導機構、特にミトコンドリアからのアポトーシス実行因子の放出機構についてはいまだ不明である。ミトコンドリアは活性酸素の細胞内最大の産生小器官であり、活性酸素とアポトーシス誘導への関与を示唆する報告もある。これらのことはEPA、活性酸素、アポトーシス誘導、ミトコンドリア、がん細胞増殖抑制の関連を明らかにすることは興味ある研究対象であることを示している。
EPAによるアポトーシス誘導機構
ラット好塩基球がん細胞(RBL2H3細胞)をEPAで処理をすると、濃度、時間依存的にアポトーシスが誘導された。n-3系脂肪酸であるDHAでもアポトーシスは誘導されたが、n-6系脂肪酸であるリノール酸、飽和脂肪酸、一価不飽和脂肪酸では誘導されない。アポトーシスを実行を決定する因子であるシトクロームcやアポトーシス誘導因子(AIF)などはミトコンドリアから放出された。
それぞれの実行因子の阻害剤を用いた検討から、EPAによるアポト‐シス誘導ではAIFが関与していることが明らかとなった。EPAは細胞内のカルシウム濃度を著しく上昇させた。ミトコンドリアへのカルシウムの流入の阻害剤であるルテニウムレッドはアポトーシスの誘導を阻止することから、カルシウムのミトコンドリアへの流入はアポトーシス誘導に不可欠であることが示された。カルシウムがミトコンドリアに流入することにより、活性酸素であるハイドロパーオキサイドの生成が顕著に増大した。
ミトコンドリアの活性酸素であるスーパーオキサイドを消去するMn-TBAPを添加すると、アポトーシスは阻止された。さらに、細胞内のリン脂質ヒドロペルオキシドを消去する唯一の抗酸化酵素であるリン脂質ハイドロパーオキサイドグルタチオンパーオキシダーゼ(phospholipid hydroperoxiside glutathione peroxidase PHGPx)をミトコンドリアに高発現させたRBL2H3細胞では、ミトコンドリアへのカルシウムレベルの上昇は見られたが、アポトーシスは誘導されない。
このことはミトコンドリアからのAIFの放出にはミトコンドリアのカルシウムレベルの上昇よるハイドロパーオキサイドの生成、さらにPHGPxの基質である過酸化リン脂質(リン脂質ハイドロパーオキサイド)が関与していることを示している。ミトコンドリア型PHGPx高発現細胞はEPAのみならず、紫外線照射、スタウロスポリン、デオキシグルコースなどによるアポトーシス誘導をも強く抑制した。
AIFやシトクロームcなどのアポトーシス実行因子のミトコンドリアからの放出に関わる過酸化リン脂質の同定を試みた。アポトーシス実行因子のミトコンドリアからの放出を考える上で、ミトコンドリアに特異的に存在するカルジオリピンは注目すべきリン脂質と考えられた。アポトーシス実行因子がミトコンドリアから放出されるためにはミトコンドリア膜のメガチャネルであるpermeability transition pore (PTpore)が開放されなければならない。
このチャネルの開閉を調節しているタンパク質はATPとADPの交換タンパク質であるアデニンヌクレオチドトランスロケーター(ANT)である。ANTの活性にはカルジオリピンが不可欠である。カルジオリピンは他のリン脂質に比較して、高度不飽和脂肪酸が多く存在しており、容易に酸化されやすい。EPAで処理した細胞のミトコンドリアにカルジオリピンハイドロパーオキサイドが検出された。
そこで、カルジオリンピンハイドロパーオキサイドのANT活性への影響について、ANT再構成リポソームを用いて検討した。カルジオリピンを含むリポソームではANT活性は見られたが、カルジオリンピンハイドロパーオキサイドを再構成リポソームに添加すると、ANT活性は強く抑制された。
ミトコンドリアでのカルジオリンピンハイドロパーオキサイドの生成はANTを不活性化し、PT poreを開放することが示された。また、シトクロームcはミトコンドリア内膜のカルジオリピンに親和性を持っており、内膜にゆるく結合しているので、シトクロームcの放出には内膜から膜間腔への遊離を必要とする。シトクロームcとカルジオリンピンとの親和性を調べたところ、他のリン脂質に比較してカルジオリンピンはシトクロームcと強い親和性を示したが、その酸化体であるカルジオリンピンハイドロパーオキサイドとの親和性は極めて弱いものであった。
また、カルジオリンピンハイドロパーオキサイドはミトコンドリア膜の安定性に大きく影響を与えた。細胞よりミトコンドリアを単離し、カルジオリンピンハイドロパーオキサイドを融合させたミトコンドリア膜は極めて不安定であり、容易に膨潤し、アポトーシス誘導因子を放出した。
これらのことから、EPAによるミトコンドリアの活性酸素レベルの上昇は不飽和脂肪酸に富むカルジオリンピンを酸化し、ANTを不活性化、ミトコンドリア膜の不安定化し、ミトコンドリアからアポトーシス実行因子を放出し、アポトーシスを誘導することを示している。
脂質過酸化と男性不妊症
リン脂質ハイドロパーオキサイドを消去する細胞内酵素であるPHGPxは精子に強く発現している。その局在性を調べたところ、ほとんどのミトコンドリアが存在している精子のミッドピースに局在していた。リンパ球形成と同様に精子形成過程ではその質を保つため、活発なアポトーシスが行われている。
前述したように、アポト‐シス抑制因子であるミトコンドリアのPHGPxが精子形成に関与していることを検証するために、精子形成不全の男性不妊患者の精子のPHGPxの発現を調べた。不妊患者73名のなかで7名に精子のPHGPxの発現が著しく低下していた。これらの患者の精子のミトコンドリアは膨潤しており、明らかな形態異常が観察された。WHOによる男性不妊患者の分類に従って、PHGPx発現低下の男性不妊患者の分類を行ったところ、7名の患者はいずれも精子数の少ない乏精子症、かつ運動能が低下した精子数が多い精子無力症の重篤な男性不妊患者群に分類された。この男性不妊患者群では約30%がPHGPx発現の低下した患者であり、PHGPxの発現低下は精子機能の重篤な障害を引き起こすことが明らかとなった。
精子形成、機能へのPHGPxの関与を直接に明らかにするために、PHGPxのノックアウトマウスの作成を行ったが、胎生致死であった。そこで、精巣のPHGPxを特異的にノックアウトしたマウスの作成をするため、cre-loxp系を用いた。精巣特異的にPHGPxを欠損したマウスの精子ではミトコンドリアの形態異常、精子数、受精能の著しい低下が観察されたことから、PHGPxの発現低下した精子の分化、機能に強く係わっていることが示された。精子のミトコンドリアのPHGPxの発現低下はミトコンドリアでの過酸化リン脂質レベルの増加を引き起こし、また、精巣で種々な要因で発生する酸化ストレスによる過酸化リン脂質の生成は男性不妊と深く関わることが考えられる。
第6回博狗体育在线_狗博体育直播【官方授权网站】@農医連携シンポジウムの内容:-食の安全と予防医学-(6)サルモネラおよびカンピロバクター食中毒-農の領域から-
平成20年10月24日に開催された第6回博狗体育在线_狗博体育直播【官方授权网站】@農医連携シンポジウムのうち、演題「サルモネラおよびカンピロバクター食中毒‐農の領域から‐」を紹介する。残りの演題と総合討論については、次号以降に順次紹介する。なお、「開催にあたって」、「食品安全委員会の5年間の取組と今後の課題」、「食生活の現状と課題‐健康維持?おいしさ?安全性の連携‐」、「水産物の機能と安全性」については、情報44号および45号に掲載した。
サルモネラおよびカンピロバクター食中毒‐農の領域から‐
はじめに
わが国では、国内初のBSE(牛海綿状脳症)の発生以来、食の安全に対する関心が高まってきており、最近では食品の擬装問題が牛肉、豚肉、鶏肉をはじめチョコレートや饅頭など多くの分野で発覚している。しかし、これらの問題は、人が病気で入院するなどの実害がなかった(「輸入餃子」は犯罪の可能性もあり、食中毒とは別の問題と考えている)。一方、人の食品健康影響評価の観点からみると、食中毒では死者が出る場合もあり、その重要度は比較できないほど重い。私はこのように考え、食の安全に取り組んできた。
現在、平成15年5月に成立した食品安全基本法の下、食品安全委員会(以下委員会)は科学に基づく食品安全行政を推進するため、規制や指導等のリスク管理を担当する厚生労働省や農林水産省等の行政機関(リスク管理機関)から独立して、科学的見地に基づき客観的かつ中立公正に食品健康影響評価を実施しつつある。
今回は、現在、食品安全委員会の微生物?ウイルス合同調査会で進行しているリスク評価の対象となっている(1)鶏卵のサルモネラ汚染、(2)鶏肉のカンピロバクター汚染について、農場での発生状況、その対策等について述べる。
1.鶏卵のサルモネラ汚染
わが国では、産卵鶏の母鶏にあたる種鶏を、毎年100万羽程度輸入し、採卵鶏を育成し、卵を産ませ食用に利用している。この輸入種鶏がSalmonella Enteritidis(SE)に汚染されたため、このSEの介卵感染性によって次世代の採卵鶏が汚染され、その採卵鶏が産んだ卵が汚染され、1989年以降SE食中毒が大発生し、社会的な問題になった。1990年代における食中毒の事件数として、サルモネラは腸炎ビブリオと首位を争っていたが、農水省や厚労省が、それぞれ、輸入検疫の強化、卵の賞味期限の表示などの対策を実施し、また、農場レベルでも種々の対策を実施したため、2000年以降は減少し、ここ数年は首位を争っているカンピロバクター、ノロウイルスに比べて著しく減少している。
1)農場における発生状況
1990年代は、農場の15%程度がSEに汚染されていたが、2001年には3.5%程度に、現在では1~2%に留まっていると考えられている。
2)農場での対策
(1)ワクチン
SEの不活化油性ワクチンが汚染卵産出抑制に有効とされ、現在、6社7製剤が承認されており、すべて当研究室が関与した。なお、汚染卵産出頻度が3000個に1個程度なので、その効果を証明することが困難であり、実際の効能?効果は「腸管における定着の軽減」となっている。
(2)CE法(競合排除法)
ふ化直後のひなの消化管は無菌状態であり、数個のサルモネラの経口接種で死亡する。このような感受性の高い時期に、健康な成鶏の盲腸内容の嫌気的培養物を投与し、早期に正常細菌叢を形成させ、後から消化管に侵入するサルモネラを競合的に排除する。生菌剤もしくはプロバイオテイクスの一種であり、世界的に使用されている。
(3)飼料添加物
多くの飼料添加物が知られているが、当研究室で検査すると、必ずしも有効とはならない成績を得ている。その中でも生薬であるガジュツの飼料添加はSEの「腸管における定着の軽減」に対して有効であった。
3)外国での主な対策(民間主導の対策)
(1)英国
種鶏や産卵鶏がSE感染していれば殺処分。20℃の保存、産卵日プラス27日以内、パック後21日以内の賞味期限を設定。
(2)米国
7.2℃の冷蔵保存と冷蔵輸送。
2.鶏肉のカンピロバクター汚染
1986~1997年:垂直感染の否定
2000年代:垂直感染の肯定
1)Campylobacter jejuniの介卵感染性
2)ブロイラーにおける汚染実態と食鳥処理場への輸送
カンピロバクターは3~5週齢位で鶏舎に侵入し、その後飲用水が汚染され、爆発的に鶏舎全体に感染が拡大していくと考えるのが一般的である。現在では、70~80%の農場が汚染されていると考えられている。さらに、食鳥処理場への輸送時に、輸送篭の汚染もあり、かなり汚染が進むと考えられている。
3)農場への進入経路
カンピロバクターの鶏舎への進入経路については、明確な結論で出ておらず難しい。侵入経路を探ると言うよりは、鶏舎内の伝播経路については数多く報告されている。飲用水の源水と飼料は細菌学的には陰性の場合が多い。従業員、ハエ、昆虫による鶏舎内伝播の可能性はある。その他に垂直感染、敷料、小型哺乳動物、環境が考えられ、空気は持続的な感染源(伝播源)として除外でき、農場における主要な感染源(伝播源)は糞便に汚染された引用水の可能性が高い。
4)対策資材
(1)粘膜競合排除法
6週齢ブロイラーの盲腸粘膜掻爬物の嫌気培養物を用いて、粘膜競合排除法として実験したところ効果があった。
(2)プロバイオテックス(生菌剤)
鶏特有のLactobacillus acidophilusとStreptococcus faeciumを含む生菌剤が腸管内カンピロバクターの定着(27%減少)と排菌(70%減少)を抑制する。なおプロバイオテックスでもサルモネラとカンピロバクターで有効性が異なることは報告されている。Saccharomyces boulardii(真菌の一種)の効果はサルモネラでは認められるが、カンピロバクターでは認められない。カンピロバクターがサルモネラとは異なり、マンノース特異的結合反応を示さないことが原因と考えられる。
(3)プレバイオテックス
4%シュークロスや0.7%カプリル酸(中性脂肪酸)添加はカンピロバクターに有効と報告されている。
(4)バクテリオシン
Lactobacillus salivariousから分離されたバクテリオシンOR-7は、in vitroとin vivoでカンピロバクターに対する抗菌活性を有することは報告されている。一見卓越した効果と見られるが、試験に用いた1日齢ひなはまだ腸管内の諸条件がカンピロバクターの爆発的増殖に適していないのではないか。その時期に108CFUを接種しても、未発達の腸陰窩に定着できず単に管空内で増殖しているだけで、この時期にバクテリオシンを投与すれば死滅はするであろうが、これで真の抗菌活性と言えるだろうか。出荷近くなっても効果が認められることが重要なので、5週~出荷直前の成績を見て判断したい。
(5)バクテリオファージ
バクテリオファージのカンピロバクター定着減少効果については、カンピロバクターを定着させた25日齢ひなにファージを経口接種し、5日間観察した。0.5logから5logまでの減少が観察され、カンピロバクターの菌株とファージとの組み合わせにより効果が異なっていた。
(6)ワクチン
現在までに、生ワクチン、不活化ワクチン、リコンビナントワクチン、DNAワクチン、組換ワクチンなど多数のワクチンの成績が発表されている。効果は無いものから、少しあるもの、あるいはカンピロバクター関連遺伝子を弱毒サルモネラに組み込んで作製した組換ワクチンのように卓越した効果を示すものまで報告されている。
この弱毒サルモネラ組換ワクチンについて、ふ化当日ひなを4時間絶飲食させた後、経口接種(108CFU)し、2週間後に追加免疫し、その2週間後にカンピロバクター野外株で経口接種した。その後のカンピロバクターの消長では、対照群と比べてワクチン群は6log以上の生菌が減少した。血清(IgG)と腸管(IgA)のカンピロバクター抗体の産生を誘導した結果と述べている。
5)食鳥処理場での交差汚染とlogistic slaughter
農場でカンピロバクターに汚染され、輸送中にさらに汚染が増悪されて、食鳥処理場での行程で、交差汚染をうけ、カンピロバクターフリーのブロイラーも汚染されてしまう。一般にと体汚染菌数は湯漬けで減少、脱羽と内臓摘出で増加、洗浄?冷却で減少するが、特に冷却で交差汚染を生じ、と体ひいては部分肉の汚染が増加する。
このような交差汚染を避けるために、Codex(WHOとFAOの合同食品規格委員会)が特別な勧告として、汚染鶏群を週末あるいは少なくともその日の最後にと殺すべきであると発表した。これを受けて、スウェーデン、デンマーク、アイルランドなど規模の小さい食鳥処理場を有している国で実施されており、効果を挙げている。
しかし、わが国で実施可能か。以下が問題点としてあげられている。(1)業者によるひな導入日、育成期間、捕鳥者の招集、出荷日、空舎時の消毒などは半年以上前から決定されており、同じ日の後半のと殺なら問題はないと考えられるが、週末まで数日ずらすことは不可能。(2)大手肉用鶏会社は2~3カ所の食鳥処理場を所有しているので、清浄鶏群と保菌鶏群を分けて処理することも可能と考えられるが、場所があまり離れていると混乱を招く。なお、検査結果が明らかになり、処理場で対応するためには出荷2週間前の採材が必要である。したがって、出荷4~5日前に処理日が決定される(PCRなら短縮可能)。(3)現在のように、汚染鶏群が多い場合は、その効果が小さい、もう少し汚染鶏群が減少(汚染率20~30%程度)してから実施すれば効果は大きい。
まとめ
「鶏卵のサルモネラ汚染」については、社会問題となり、生産者は社会的制裁を受け、さらに農水省、厚労省による規制が設けられたこともあり、生産者の意識も向上し、SE食中毒は減少しつつある。一方、「鶏肉のカンピロバクター汚染」については何も規制がないし、マスコミも騒いでいないので、生産者の意識は低い。現在、食品安全委員会でリスク評価を行っており、筆者も委員の一人として参加しており、その成り行きに注目し、また、意見を述べている。
カンピロバクター食中毒の場合、重要なポイントは、(1)農場での汚染、(2)食鳥処理場での交差汚染、(3)調理不十分の鶏肉およびレバーなどの生肉の喫食である。今回は消費段階については言及しなかったが、食中毒対策の基本は、農場→処理場→加工?流通→消費であるが、カンピロバクターの場合は、加工?流通段階では微好気性のため増殖できず、評価が実施しやすくなっている。しかし、その代わり、農場では感染源?伝播源の特定が困難で、農場への侵入を防ぐのは容易ではない。さらに、一部地域では諸外国ではみられないレバーなどの生食文化が依然として盛んである。これらの問題解決にはさらに時間がかかると予想される。農場→処理場→加工?流通→消費に関係するすべての人達の連携が必要である。
サルモネラおよびカンピロバクター食中毒‐農の領域から‐
博狗体育在线_狗博体育直播【官方授权网站】@獣医学部教授 中村 政幸
はじめに
わが国では、国内初のBSE(牛海綿状脳症)の発生以来、食の安全に対する関心が高まってきており、最近では食品の擬装問題が牛肉、豚肉、鶏肉をはじめチョコレートや饅頭など多くの分野で発覚している。しかし、これらの問題は、人が病気で入院するなどの実害がなかった(「輸入餃子」は犯罪の可能性もあり、食中毒とは別の問題と考えている)。一方、人の食品健康影響評価の観点からみると、食中毒では死者が出る場合もあり、その重要度は比較できないほど重い。私はこのように考え、食の安全に取り組んできた。
現在、平成15年5月に成立した食品安全基本法の下、食品安全委員会(以下委員会)は科学に基づく食品安全行政を推進するため、規制や指導等のリスク管理を担当する厚生労働省や農林水産省等の行政機関(リスク管理機関)から独立して、科学的見地に基づき客観的かつ中立公正に食品健康影響評価を実施しつつある。
今回は、現在、食品安全委員会の微生物?ウイルス合同調査会で進行しているリスク評価の対象となっている(1)鶏卵のサルモネラ汚染、(2)鶏肉のカンピロバクター汚染について、農場での発生状況、その対策等について述べる。
1.鶏卵のサルモネラ汚染
わが国では、産卵鶏の母鶏にあたる種鶏を、毎年100万羽程度輸入し、採卵鶏を育成し、卵を産ませ食用に利用している。この輸入種鶏がSalmonella Enteritidis(SE)に汚染されたため、このSEの介卵感染性によって次世代の採卵鶏が汚染され、その採卵鶏が産んだ卵が汚染され、1989年以降SE食中毒が大発生し、社会的な問題になった。1990年代における食中毒の事件数として、サルモネラは腸炎ビブリオと首位を争っていたが、農水省や厚労省が、それぞれ、輸入検疫の強化、卵の賞味期限の表示などの対策を実施し、また、農場レベルでも種々の対策を実施したため、2000年以降は減少し、ここ数年は首位を争っているカンピロバクター、ノロウイルスに比べて著しく減少している。
1)農場における発生状況
1990年代は、農場の15%程度がSEに汚染されていたが、2001年には3.5%程度に、現在では1~2%に留まっていると考えられている。
2)農場での対策
(1)ワクチン
SEの不活化油性ワクチンが汚染卵産出抑制に有効とされ、現在、6社7製剤が承認されており、すべて当研究室が関与した。なお、汚染卵産出頻度が3000個に1個程度なので、その効果を証明することが困難であり、実際の効能?効果は「腸管における定着の軽減」となっている。
(2)CE法(競合排除法)
ふ化直後のひなの消化管は無菌状態であり、数個のサルモネラの経口接種で死亡する。このような感受性の高い時期に、健康な成鶏の盲腸内容の嫌気的培養物を投与し、早期に正常細菌叢を形成させ、後から消化管に侵入するサルモネラを競合的に排除する。生菌剤もしくはプロバイオテイクスの一種であり、世界的に使用されている。
(3)飼料添加物
多くの飼料添加物が知られているが、当研究室で検査すると、必ずしも有効とはならない成績を得ている。その中でも生薬であるガジュツの飼料添加はSEの「腸管における定着の軽減」に対して有効であった。
3)外国での主な対策(民間主導の対策)
(1)英国
種鶏や産卵鶏がSE感染していれば殺処分。20℃の保存、産卵日プラス27日以内、パック後21日以内の賞味期限を設定。
(2)米国
7.2℃の冷蔵保存と冷蔵輸送。
2.鶏肉のカンピロバクター汚染
1986~1997年:垂直感染の否定
- 実験的に卵殻侵入試験は成功しなかった
- 卵白内接種でも孵化後陽性ひなは少なかった(12/162)
- 種鶏とそのひなからの分離菌の血清型が異なる
- 種鶏とそのひなからの分離菌のRFLPが異なる
2000年代:垂直感染の肯定
- 種鶏とそのひな分離株の遺伝子が同じクローン
- 種鶏や産卵鶏の輸卵管から分離
- 孵卵器の残渣から分離
- 発育中の鶏胚の腸管からDNAを検出
1)Campylobacter jejuniの介卵感染性
2)ブロイラーにおける汚染実態と食鳥処理場への輸送
カンピロバクターは3~5週齢位で鶏舎に侵入し、その後飲用水が汚染され、爆発的に鶏舎全体に感染が拡大していくと考えるのが一般的である。現在では、70~80%の農場が汚染されていると考えられている。さらに、食鳥処理場への輸送時に、輸送篭の汚染もあり、かなり汚染が進むと考えられている。
3)農場への進入経路
カンピロバクターの鶏舎への進入経路については、明確な結論で出ておらず難しい。侵入経路を探ると言うよりは、鶏舎内の伝播経路については数多く報告されている。飲用水の源水と飼料は細菌学的には陰性の場合が多い。従業員、ハエ、昆虫による鶏舎内伝播の可能性はある。その他に垂直感染、敷料、小型哺乳動物、環境が考えられ、空気は持続的な感染源(伝播源)として除外でき、農場における主要な感染源(伝播源)は糞便に汚染された引用水の可能性が高い。
4)対策資材
(1)粘膜競合排除法
6週齢ブロイラーの盲腸粘膜掻爬物の嫌気培養物を用いて、粘膜競合排除法として実験したところ効果があった。
(2)プロバイオテックス(生菌剤)
鶏特有のLactobacillus acidophilusとStreptococcus faeciumを含む生菌剤が腸管内カンピロバクターの定着(27%減少)と排菌(70%減少)を抑制する。なおプロバイオテックスでもサルモネラとカンピロバクターで有効性が異なることは報告されている。Saccharomyces boulardii(真菌の一種)の効果はサルモネラでは認められるが、カンピロバクターでは認められない。カンピロバクターがサルモネラとは異なり、マンノース特異的結合反応を示さないことが原因と考えられる。
(3)プレバイオテックス
4%シュークロスや0.7%カプリル酸(中性脂肪酸)添加はカンピロバクターに有効と報告されている。
(4)バクテリオシン
Lactobacillus salivariousから分離されたバクテリオシンOR-7は、in vitroとin vivoでカンピロバクターに対する抗菌活性を有することは報告されている。一見卓越した効果と見られるが、試験に用いた1日齢ひなはまだ腸管内の諸条件がカンピロバクターの爆発的増殖に適していないのではないか。その時期に108CFUを接種しても、未発達の腸陰窩に定着できず単に管空内で増殖しているだけで、この時期にバクテリオシンを投与すれば死滅はするであろうが、これで真の抗菌活性と言えるだろうか。出荷近くなっても効果が認められることが重要なので、5週~出荷直前の成績を見て判断したい。
(5)バクテリオファージ
バクテリオファージのカンピロバクター定着減少効果については、カンピロバクターを定着させた25日齢ひなにファージを経口接種し、5日間観察した。0.5logから5logまでの減少が観察され、カンピロバクターの菌株とファージとの組み合わせにより効果が異なっていた。
(6)ワクチン
現在までに、生ワクチン、不活化ワクチン、リコンビナントワクチン、DNAワクチン、組換ワクチンなど多数のワクチンの成績が発表されている。効果は無いものから、少しあるもの、あるいはカンピロバクター関連遺伝子を弱毒サルモネラに組み込んで作製した組換ワクチンのように卓越した効果を示すものまで報告されている。
この弱毒サルモネラ組換ワクチンについて、ふ化当日ひなを4時間絶飲食させた後、経口接種(108CFU)し、2週間後に追加免疫し、その2週間後にカンピロバクター野外株で経口接種した。その後のカンピロバクターの消長では、対照群と比べてワクチン群は6log以上の生菌が減少した。血清(IgG)と腸管(IgA)のカンピロバクター抗体の産生を誘導した結果と述べている。
5)食鳥処理場での交差汚染とlogistic slaughter
農場でカンピロバクターに汚染され、輸送中にさらに汚染が増悪されて、食鳥処理場での行程で、交差汚染をうけ、カンピロバクターフリーのブロイラーも汚染されてしまう。一般にと体汚染菌数は湯漬けで減少、脱羽と内臓摘出で増加、洗浄?冷却で減少するが、特に冷却で交差汚染を生じ、と体ひいては部分肉の汚染が増加する。
このような交差汚染を避けるために、Codex(WHOとFAOの合同食品規格委員会)が特別な勧告として、汚染鶏群を週末あるいは少なくともその日の最後にと殺すべきであると発表した。これを受けて、スウェーデン、デンマーク、アイルランドなど規模の小さい食鳥処理場を有している国で実施されており、効果を挙げている。
しかし、わが国で実施可能か。以下が問題点としてあげられている。(1)業者によるひな導入日、育成期間、捕鳥者の招集、出荷日、空舎時の消毒などは半年以上前から決定されており、同じ日の後半のと殺なら問題はないと考えられるが、週末まで数日ずらすことは不可能。(2)大手肉用鶏会社は2~3カ所の食鳥処理場を所有しているので、清浄鶏群と保菌鶏群を分けて処理することも可能と考えられるが、場所があまり離れていると混乱を招く。なお、検査結果が明らかになり、処理場で対応するためには出荷2週間前の採材が必要である。したがって、出荷4~5日前に処理日が決定される(PCRなら短縮可能)。(3)現在のように、汚染鶏群が多い場合は、その効果が小さい、もう少し汚染鶏群が減少(汚染率20~30%程度)してから実施すれば効果は大きい。
まとめ
「鶏卵のサルモネラ汚染」については、社会問題となり、生産者は社会的制裁を受け、さらに農水省、厚労省による規制が設けられたこともあり、生産者の意識も向上し、SE食中毒は減少しつつある。一方、「鶏肉のカンピロバクター汚染」については何も規制がないし、マスコミも騒いでいないので、生産者の意識は低い。現在、食品安全委員会でリスク評価を行っており、筆者も委員の一人として参加しており、その成り行きに注目し、また、意見を述べている。
カンピロバクター食中毒の場合、重要なポイントは、(1)農場での汚染、(2)食鳥処理場での交差汚染、(3)調理不十分の鶏肉およびレバーなどの生肉の喫食である。今回は消費段階については言及しなかったが、食中毒対策の基本は、農場→処理場→加工?流通→消費であるが、カンピロバクターの場合は、加工?流通段階では微好気性のため増殖できず、評価が実施しやすくなっている。しかし、その代わり、農場では感染源?伝播源の特定が困難で、農場への侵入を防ぐのは容易ではない。さらに、一部地域では諸外国ではみられないレバーなどの生食文化が依然として盛んである。これらの問題解決にはさらに時間がかかると予想される。農場→処理場→加工?流通→消費に関係するすべての人達の連携が必要である。
「農医連携論」の概略:8.高病原性鳥インフルエンザとワクチン対策-
本年度から開始した「農医連携論」の講師と講義内容(情報:40号の1~3p参照)のうち、「1.農医連携入門、2.医学からみた農医連携、3.農学からみた農医連携」の概略は、情報:40号の3~11pに、「4.東洋医学および代替医療からみた農医連携」の概略は、情報:42号の5~11pに、「5.代替農業論」の概略は、情報:43号の8~14pに、「6.環境保全型畜産」の概略は、情報:44号の10~14pに、「7.鳥インフルエンザ‐感染と対策‐」の概略は、45号の6~16pに紹介した。今回は「高病原性鳥インフルエンザとワクチン対策」について、講師のパワーポイントからその概略を紹介する。
○ インフルエンザウイルス:高病原性鳥インフルエンザとワクチン対策
○ インフルエンザウイルスの構造
○ インフルエンザウイルスの感染
○ インフルエンザウイルスの分類
○ インフルエンザウイルス:高病原性鳥インフルエンザとワクチン対策
- インフルエンザウイルスとワクチン
- 現行インフルエンザワクチンの効果と限界
- 高病原性鳥インフルエンザとワクチン開発の現状
○ インフルエンザウイルスの構造
○ インフルエンザウイルスの感染
○ インフルエンザウイルスの分類
型 | A | B | C |
症状 | 典型的 | 典型的 | 軽度 |
亜型 | H1~H16、N1~N9 | なし | なし |
流行規模 | Pandemic | Pandemic(-) | 流行は稀 |
宿主 | ヒト、鳥、ウマ、ブタ、その他 | ヒトだけ | ヒトだけ |
○ 抗原の連続変異と不連続変異
流行の程度 | メカニズム | 亜型 | |
連続変異 Drift | 数年ごとの流行 | 変異の蓄積 | 軽度 |
不連続変異 Shift | パンデミック | 遺伝子再集合 | A |
○ インフルエンザサーベイランス
○ 呼吸器ウイルス インフルエンザはかぜではない
○ 呼吸器ウイルス インフルエンザはかぜではない
臨床所見 | 原因ウイルス | 時々みられるもの | |
インフルエンザ | インフルエンザA、B アデノウイルス 3、7、14 マイコプラズマ | インフルエンザC アデノ | |
成人 | 上気道炎 鼻炎?咽頭炎 気管支炎 肺炎 | ラノイ コロナ クラミジア | パラインフルエンザ RS アデノ インフルエンザ |
小児 | 上気道炎 鼻炎?咽頭炎 気管支炎 クループ 細気管支炎 肺炎 | ライノ,コロナ アデノ パラインフルエンザ パラインフルエンザ RS RS アデノ | エコー コクサッキー インフルエンザ、麻疹 麻疹、クラミジア |
○ ウイルス感染症の伝播経路
○ 感染力の強さ(1人の患者から何人に感染するか)
○ インフルエンザ流行株の推移
- * 経気道感染
- 飛沫感染:15umより大きな粒子(インフルエンザ、RS)半径1.5 m以上遠くに飛ばない。
- 飛沫核感染:空気中に漂う15um以下の粒子(麻疹、水痘)
- * 経口感染(A型肝炎、ポリオ、エンテロウイルス)
- * 母児感染:胎児感染(風疹、サイトメガロ)、周産期感染(ヘルペス、B型肝炎、HIV)、母乳感染(サイトメガロウイルス、HTLV)
- * 性感染(HSV、HIV、B型肝炎、C型肝炎)
- * 血液を介する感染:B型肝炎、C型肝炎、HIV、HTLV
- * 節足動物に媒介されて感染:Arbovirus (日本脳炎、デング熱、黄熱病)
- * 哺乳動物のArbovirus:(日本脳炎、デング熱、黄熱病)咬傷による感染
○ 感染力の強さ(1人の患者から何人に感染するか)
- SARS; super-spreader 10人以上
- 通常の患者 2 - 3人
- 麻疹 12 - 18人
- インフルエンザ 10人以上
- ムンプス 4 - 7人
- 風疹 4 - 7人
- 百日咳 1 - 10人
○ インフルエンザ流行株の推移
○ 鳥インフルエンザの歴史
○ 高病原性鳥インフルエンザウイルス H5N1
○ 高病原性鳥インフルエンザ H7N7
○ カモ?鶏?ヒト
○ パンデミックウイルス登場のメカニズム
○ 現行インフルエンザワクチンの限界
○ 弱毒経鼻生ワクチンと注射用不活性ワクチン
○ インフルエンザワクチン開発の歴史
○ ワクチン製造工程
○ 人口動態とインフルエンザワクチン製造量
○ 欠席者数とワクチン接種率
○ インフルエンザワクチンの接種対象(USA)
○ わが国のインフルエンザ定期接種
○ 各年齢群におけるインフルエンザに関連する入院の頻度
○ インフルエンザの potential risk とワクチンの効果
○ インフルエンザ HI 抗体の感染防御能
○ インフルエンザワクチンの相対危険率
○ 論文:Kamada M. et al. Vaccine 24: 3618-23, 2006.
○ インフルエンザ脳炎?脳症の中のワクチン接種者の割合
○ 過去のインフルエンザパンデミック
○ 高原性鳥インフルエンザ(H5N1)流行に対して
○ インフルエンザの potential risk とワクチンの効果
○ インフルエンザ HI 抗体の感染防御能
○ インフルエンザワクチンの相対危険率
○ 論文:Kamada M. et al. Vaccine 24: 3618-23, 2006.
○ インフルエンザ脳炎?脳症の中のワクチン接種者の割合
○ 過去のインフルエンザパンデミック
○ 高原性鳥インフルエンザ(H5N1)流行に対して
○ フェーズIIIの行動計画
○ パンデミックワクチンに対する考え方
○ 高病原性鳥インフルエンザに対するワクチン対策
○ 1918-19 スペインかぜ 何がおこった?
○ 高病原性鳥インフルエンザ(H5N1)の流行 2003年 10月~ 最新の情報では全世界で、感染者数:387例死亡者数:245例 に達している
○ 高病原性鳥インフルエンザに対するワクチン対策
○ 1918-19 スペインかぜ 何がおこった?
○ 高病原性鳥インフルエンザ(H5N1)の流行 2003年 10月~ 最新の情報では全世界で、感染者数:387例死亡者数:245例 に達している
○ 高病原性鳥インフルエンザ感染者の年齢分布
○ 新型インフルエンザウイルスが出現したら
○ 高病原性鳥インフルエンザの病原性に関与する遺伝子
○ 試作ワクチン株
○ 現行の不活化ワクチンの製造量
○ 不活化ワクチン有効性の評価基準
○ インフルエンザワクチンの種類と特徴
○ パンデミック用ワクチンの製造方法
○ 論文:Treanor JJ et al.;New Enbl J Med 354; 1343-1351, 2006.
○ 論文:Bresson JL, et al. Lancet 367; 1657-1664, 2006.
○ 2003-2004シーズンのインフルエンザワクチン製造株、 2004-2005年度のインフルエンザワクチン製造株、2005-2006年度のインフルエンザワクチン製造株、2006-2007年度のインフルエンザワクチン製造株
○ ワクチン後のHI抗体価の相関
○ 日本脳炎、インフルエンザ、DPT不活化ワクチン接種後のアレルギー性副反応:1994-2006
○ インフルエンザワクチン接種後のアレルギー反応
○ ワクチン接種後の副反応(1994-2006)
○ 高病原性鳥インフルエンザの病原性に関与する遺伝子
○ 試作ワクチン株
○ 現行の不活化ワクチンの製造量
○ 不活化ワクチン有効性の評価基準
○ インフルエンザワクチンの種類と特徴
○ パンデミック用ワクチンの製造方法
○ 論文:Treanor JJ et al.;New Enbl J Med 354; 1343-1351, 2006.
○ 論文:Bresson JL, et al. Lancet 367; 1657-1664, 2006.
○ 2003-2004シーズンのインフルエンザワクチン製造株、 2004-2005年度のインフルエンザワクチン製造株、2005-2006年度のインフルエンザワクチン製造株、2006-2007年度のインフルエンザワクチン製造株
○ ワクチン後のHI抗体価の相関
○ 日本脳炎、インフルエンザ、DPT不活化ワクチン接種後のアレルギー性副反応:1994-2006
○ インフルエンザワクチン接種後のアレルギー反応
○ ワクチン接種後の副反応(1994-2006)
○ ワクチン接種後の重篤な副反応(1994-2006)
*本情報誌の無断転用はお断りします。
- 博狗体育在线_狗博体育直播【官方授权网站】@学長通信
情報:農と環境と医療46号 -
編集?発行 博狗体育在线_狗博体育直播【官方授权网站】@学長室
発行日 2009年1月1日