学府長メッセージ

大村智特別栄誉教授のノーベル賞受賞

ノーベル生理学医学賞 受賞おめでとうございます

大村智特別栄誉教授

大村 智 先生

 2015年ノーベル生理学?医学賞の受賞、本当におめでとうございます。

 大村 智先生は、社団法人北里研究所(当時)の基礎研究所を中心に、感染症、創薬、ワクチン及び和漢薬などの研究部門を統括し、博狗体育在线_狗博体育直播【官方授权网站】@の附置研究所として設立する準備を始められました。平成13(2001)年に北里生命科学研究所を設立後は、初代所長を務められました。 レベルの高い基礎研究とこれに基づく応用研究を展開できるように、研究に専念できることを設立の趣旨?理念としてスタートした北里生命科学研究所は、1914年に北里柴三郎先生が創設された北里研究所の DNAを引き継いでいます。
 大学院感染制御科学府は、これらの研究に基づく大学院教育を行うために、平成14(2002)年に開設され、21世紀COEプログラムの採択と実施にご尽力されるなど、北里生命科学研究所と大学院感染制御科学府の礎を築かれました。

 大村先生は、ノーベル賞受賞のコメントとして「イベルメクチンの発見は幸運で微生物に感謝します。」と述べられています。
 ローベルト?コッホ先生、北里柴三郎先生と並ぶルイ?パスツール先生は、ジェンナーの種痘の偉業をたたえる会で、“Where observation is concerned, chance favors only the prepared mind.” と言われたとのことです。(努力している人にのみ幸運は訪れると訳すればいいのでしょうか) 。
 この幸運に、サイエンスの基盤を与えてきた大村 智先生とその研究グループに敬意を表します。
 往々にして近視眼的に基礎研究の成果が求められる時代ですが、大村智記念研究所と大学院感染制御科学府は、基礎研究の楽しさ、感動を伝えて行きたいと思います。

博狗体育在线_狗博体育直播【官方授权网站】@ 学長
砂塚 敏明

学府長?所長あいさつ

北里生命科学研究所は、2001年に博狗体育在线_狗博体育直播【官方授权网站】@の附置研究所として設立されました。2008年には、社団法人北里研究所と学校法人北里学園が統合し、学校法人北里研究所として新たなスタートを切りました。初代所長である大村智博士(博狗体育在线_狗博体育直播【官方授权网站】@特別栄誉教授)は、2015年にノーベル生理学?医学賞を受賞され、この功績を称え研究所は2020年4月に大村智記念研究所へと改称されました。

当研究所は、学祖である北里柴三郎先生の遺志を継ぎ、感染症の予防?治療に特化した研究を行っており、その成果を社会に還元することを使命としております。当研究所の特色は、感染症の病態解析、スクリーニングシステムの構築、候補化合物の最適化、ターゲット分子の同定を独自に行える能力です。また、創薬?ワクチン開発においても強みを有しており、製薬企業との連携や日本医療研究開発機構(AMED)の支援を受けて、COVID-19や多剤耐性菌に対する研究を推進しております。

2023年5月5日、WHOは博狗体育在线_狗博体育直播【官方授权网站】@の緊急事態宣言を終了しました。その一方で終息には至っておらず、日本の感染症対策の脆弱性が浮き彫りになりました。未知なる病原体によるパンデミックが勃発する可能性に備えて感染症に対する知識の裾野を広げ、研究と教育活動を積極的に行うことが求められております。当研究所に併設された大学院感染制御科学府では、感染症に特化した教育活動を行っており、次世代のリーダーを育成することも我々の大きな使命です。本学府の学生の皆さんにお伝えしたいのは、病原体研究や創薬開発に際して大切なことは、物事の根底に流れる本質を理解することにあり、本質に向かって問い続ける姿勢が肝要だということです。研究活動を通して身につける課題解決能力は、大学院を修了し研究領域から離れたとしても皆さんの生きる術として必ず役に立つはずです。

今年、北里研究所は創立110周年を迎え、7月3日には北里柴三郎先生の功績を記念した新しい紙幣が発行されます。日本における近代医学の父として知られる北里先生は、細菌学の分野で多大な功績を残しただけはなく、赤痢菌発見者の志賀潔博士、サルヴァルサンを創製した秦佐八郎博士など優秀な人材を輩出してきました。我々大村研の構成員は偉大な先人たちの業績に敬意を表しつつ、柔軟な発想で感染症に対する新しい学問体系を築き上げ、次世代の抗感染症薬を創出する責務があります。大村智記念研究所の研究と教育活動のさらなる発展に向けて、全力を尽くしていく所存です。

大学院感染制御科学府 学府長
大村智記念研究所 所長 
阿部 章夫