私の研究チームでは、心臓リハビリテーション、Oncocardiology（腫瘍循環器学）、集中治療分野の3つの班に分かれて研究を行っています。
私は集中治療分野の中でも、集中治療管理下で生じる興奮状態に着目しました。薬物管理や機械的生命維持管理、看護管理など、多岐にわたる集中治療管理を必要とする患者が、意図せず生じる危険な行動が、ICU退出後の生命予後や心身機能（身体機能?認知機能?精神機能）に影響を与える可能性があると考え、研究を進めました。
臨床記録から得たデータを解析した結果、興奮状態を呈した心血管疾患患者では、ICU退出後の死亡リスクが有意に高く、心身機能が低下する可能性が示唆されました。
この研究結果は、2024年9月にイギリス?ロンドンで開催されたESC Congress（European Society of Cardiology）にて、Nursing and Allied Professions Investigator Awardに選出され、現地で発表を行いました。
臨床現場で生じた疑問を自分で解決していく過程は、研究の大きな魅力です。
仮説を立て、試行錯誤を繰り返す中で、新たな発見や学びを得られる瞬間は非常に刺激的です。失敗を重ねながらも、少しずつ答えに近づくプロセスには達成感があります。また、その研究成果が最終的に臨床に還元され、実際に患者さんの役に立つとき、研究の意義を強く感じます。この挑戦と発見の連続が、研究の面白さだと考えます。
私の研究は、集中治療管理下での興奮状態が、生命予後や心身機能にどのような影響を与えるかを調査しています。これまでの結果から、興奮状態にあった患者でもICU退出後に生存リスクが必ずしも高いわけではないことが明らかになりました。
しかし、退院後の慢性期においては、心身の機能回復に何らかのフォローアップが必要である可能性が示唆されています。実際、海外ではICUで治療を受けた患者を専門にフォローアップする「ICUクリニック」が設立され始めており、こうした新しいケア体制が社会全体の健康支援に重要な役割を果たすと考えられます。私の研究は、こうしたフォローアップ体制の確立に貢献し、退院後の患者のQOL向上に寄与することを目指しています。
私が大学院進学を志望した理由の一つは、博狗体育在线_狗博体育直播【官方授权网站】@病院で勤務されている理学療法士と研究について議論できる環境があることです。私たちの研究室では、博狗体育在线_狗博体育直播【官方授权网站】@病院で非常勤として患者さんと関わる機会があり、臨床現場の理学療法士と臨床業務や研究活動について話し合う場をいただくこともあります。
学部から進学した当初、私は臨床経験も浅く、研究活動についてもほとんど分からない状態でした。しかし、そのような環境で、教授とのミーティングに加え、理学療法士の方々が臨床疑問の探し方や研究結果を臨床業務にどう還元するかを学び、大学院での活動が充実したものになりました。
その結果、実践的な視点を持ちながら研究を進める重要性を理解し、より深い学びを得ることができました。
