医療系研究科在学生が第17回植込みデバイス関連冬季大会で優秀演題賞を受賞しました。

本学博士課程1年の虎岩めぐみさん(指導教員:阿古潤哉教授)が、第17回植込みデバイス関連冬季大会(2025年2月21日?2月22日:福岡国際会議場)にて研究発表を行い、優秀演題賞を受賞しました。

虎岩さんは、『脊髄損傷を契機に洞不全症候群を発症した一例』について発表を行いました。

概要

今回、心静止、意識消失で救急搬送された患者の症例報告を致しました。

当患者は、階段転落に伴う受傷エピソードがあり、入院前後において複数回意識消失を来しておりました。入院中、モニターで意識消失と一致した洞停止が検知されました。洞不全症候群と診断し、ペースメーカ植込み術を予定しました。

しかし、意識消失時の体位に着目し、また詳細な神経診察を行うことにより、頸随損傷に伴う洞不全症候群との診断に至りました。そのため、可逆的な二次性洞不全症候群と判断し、ペースメーカ植込み術を回避することが出来ました。

脊髄損傷患者は、今回のような徐脈性不整脈や心停止を含め、様々な心血管疾患のリスクが上昇すると報告されており、循環器内科医としては心得ておく必要があると考えます。そして頸随損傷後の患者に対しては、受傷後のモニター管理を行うことが重要です。また、洞不全症候群を認めた際には、可逆的要因の有無について改めてあらゆる可能性を見極めることで、不要な侵襲の回避に繋がります。デバイス治療に際しても、丁寧な問診や全身の身体所見に立ち返ることが大切であると改めて学んだ症例でした。