侵襲制御?生体危機管理医学(集中治療医学)
新世紀医療開発センター?横断的医療領域開発部門?侵襲制御?生体危機管理医学(集中治療医学)の診療、教育、研究についてご説明いたします。
担当科目 | 医学部 第3学年 系統別総合教育 呼吸器系I 低酸素血症 第4学年 救急侵襲治療系 集中治療医学とRapid Response System 第5学年 臨床実習 集中治療医学 第6学年 総合講義 機械的人工呼吸 医療衛生学部 第3学年 集中治療室と患者管理 研修医レクチャー 呼吸管理の基礎 |
専門分野 | 集中治療医学全般、呼吸管理学、急変時迅速対応システム(Rapid Response System)、 臨床麻酔全般(合併症患者の麻酔管理、モニタリング) 医療安全とチーム医療(TeamSTEPPS?) |
資格?専門医など | - 麻酔標榜医
- 集中治療専門医
- 麻酔科専門医、麻酔科指導医
- Certificate of Attendance Advanced Trauma Life Support (ATLS)?
- Team STEPPS? Master Trainer Course受講終了
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集中治療医学、呼吸ケア、急変時迅速対応システムの説明
新世紀医療開発センター?横断的医療領域開発部門?集中治療医学では、院内のGeneral Intensive Care Unit (GICU)を主な診療、教育ならびに研究の場とするとともに、院内のRST?RRT(Respiratory Support Team, Rapid Response Team)室の運営を担当し、安全な人工呼吸器の使用の実施と教育、呼吸ケアの実践をしております。さらに院内急変時迅速対応システムの維持に寄与しています。
1) 集中治療医学 Intensive Care Medicine
博狗体育在线_狗博体育直播【官方授权网站】@病院GICUでは主に術後患者と院内急変?重症患者の収容を行っています。年間約500例の入室患者があり、幅広い診療科の管理に寄与しています。APACHE IIスコア平均は約20ポイントでした。GICU全体の管理は麻酔科医が行っています。
毎朝各科担当医とのカンファランスを開催し、その後麻酔科医を含む多職種回診でさらに患者評価を加え、一日の治療方針を決定します。回診は情報共有、臨床教育さらに医療安全の場として極めて重要なものと位置付けています。2014年5月から2015年12月までの20か月の実績としては、以下の表の通りであり、GICU内での死亡率は4.1%でした。
2)呼吸ケアRespiratory CareとRST
RSTとは一般病棟における人工呼吸患者の早期離脱を目的としたものですが、同時に院内における安全な人工呼吸器の使用という責務も負っています。当院のRSTは気管挿管、人工呼吸患者だけではなく、その他気道、呼吸に危機があると考えられる患者、GICUなどからの転棟患者、呼吸ケアを必要としている患者全般も対象として介入しており、毎日病棟回診を行っています。GICU退室後の患者ケアについて病棟スタッフと連携をしている点においては、当RSTはCritical Care Outreach Team(CCOT)という側面も持っていると言えます。2014年度のRRSの回診件数は611人でした。同時に拡大RST会議では看護師が中心となって、各病棟の代表看護師対象に教育、指導を行っています。
3) 急変時迅速対応システムRRS
RRSとは、入院患者の状態悪化前に見られるという早期の警告的兆候をとらえ、主に集中治療や蘇生を専門としたチームによる早期介入を行い、院内心停止や死亡を未然に防ぐシステムです。入院患者の医療安全を向上させることを目的としていえます。2014年5月からGICU常駐医(麻酔科医)ならびに専従看護師、理学療法士により、24時間365日のRRS体制を確立でき、要請件数も図のように増加してきております。当院のRRSは、MET、RRTと CCOTの中間的特徴を有していると言えます。GICUの麻酔科医を含むRRTが病棟へ行き、患者をGICUにつれてきて、引き続き管理をするという、RRT-GICU連携症例も増加してきています。おおむねRRS起動症例の平均MEWS (modified early warning score)は4~5点の間で、RRS起動症例の15%前後がICUに入室しています。RRSについては、医学部第4学年の救急侵襲治療系の中の「集中治療医学」の中で触れています。日本の医学部の中で、RRSを正規の講義の中で教えている施設はほとんどなく、先進的な取り組みと考えています。
研究は臨床の集中治療ならびに呼吸管理、急変時迅速対応事例をフィールドとしています。併せて月1回のResearch Conferenceを開催しています。現在のテーマ、今後の検討課題を以下に挙げました。
- 新しい集中治療室退室時評価の開発と予後との関連
- D-dimerと乳酸値を用いた、新しい集中治療室予後予測法の開発
- 臨床診断に病態と病理を加味した、新しいARDSの定義
- PAVが中枢神経高次機能に与える影響の検討
- 超音波評価を用いた敗血症患者における筋量計測とリハビリテーション
- 近赤外光を用いた、敗血症患者における微小循環評価、PMX, CHDFの効果
- Rapid Response Systemが患者予後と予期せぬ死亡に与える効果
- 新しい敗血症の定義策定に関わる調査
- 集中治療診療?ケア現場へのTeam STEPPS?の導入と患者管理安全
GICU医師看護師合同勉強会などを開催しています。今までに「せん妄」と「敗血症」を取り上げました。麻酔科専門医レベルとしてJournal Clubを開催しており、今後は研修医ならびに若手医師を対象とした“集中治療塾(仮称)”も開催予定です。
1)手術麻酔、GICU、RST/RRTの連携
博狗体育在线_狗博体育直播【官方授权网站】@病院では、術前~術中~術後GICU~病棟帰棟後まで、連続して麻酔科が関与しうる体制になっています。さらにRRTとして病棟急変に対応し、GICUで管理を行い、ICU退室後はRSTとして、病棟回診しています。術中管理のみならず、長い時間軸に沿って、麻酔科医の侵襲制御医physician of stress and invasiveness controlと危機管理医physician of crisis managementとしての機能を発揮できる診療の場となっています。
回診は情報共有、臨床教育さらに医療安全の場として極めて重要なものと位置付けています。多職種参加の回診であり、麻酔科医、研修医(麻酔科、呼吸器内科、腎臓内科など)看護師、薬剤師、栄養士、理学療法士などが参加しています。
GICUの回診風景
日々の回診は麻酔科医、集中ケア認定看護師、理学療法士で行っている。GICU退室後の患者ケアについて病棟スタッフと連携をしている点においては、当RSTはCritical Care Outreachという側面もあります。
RSTの病棟回診と呼吸ケア
2)学問の広がり
新世紀医療開発センター?横断的医療領域開発部門?集中治療医学では次の図のような学問の広がりを念頭に置いています。
既存の診療科、臓器別、診療手法別、職種別のアプローチの既成概念を排し、集中治療医学を核として、その接点の広さを生かし、オーバーラップを良しとして、いろいろな領域に挑戦してゆきたいと思っています。
1.一般演題発表(国内、海外)- 新井正康ほか.当院で起動されたRapid Response System(RRS)218件の検討
2013年11月1日~3日 第33回 臨床麻酔学会(金沢) - 新井正康ほか.Rapid Response Systemにおける本邦の麻酔科医?集中治療医の役割.日本麻酔科学会第61回学術集会(横浜)2014年05月15日~17日
- Arai M et al. The Relation between Intestinal Intramucosal pH and Stress Hormones in Pig Hemorrhagic Shock Model. 2014 ESICM Barcelona (Spain)
- Arai M et al. The impact of the Critical Care Outreach Team based Rapid Response System to the Unpredicted Hospital Death. 2015 WFSCCM Seoul (Korea).
- Arai M et al. Implementation of Critical Care Staff based Rapid Response Team-Effect to the Unpredicted Death-. 2015 ESICM Berlin (Germany)
2.教育講演- 新井正康.教育プログラム会長特別企画2.若手医師に役立つ実戦講座「呼吸管理のスタンダードから」人工呼吸法:達人が薦める人工呼吸モード、第54回日本呼吸器学会学術講演会 2014年4月27日(大阪). 第54回日本呼吸器学会学術講演会プログラム、日本呼吸器学会誌第3巻増刊号; 66,
3.シンポジウム、パネルディスカッション- 新井正康、小池朋孝、森安恵実. 当院における Rapid Response System (RRS) の患者予後に与える影響の検討と問題点. 第16回 臨床救急医学会総会(東京)、2013年07月13日
- 新井正康ほか.当院におけるRapid Response System (RRS)の現状と今後の課題.2013年8月24日 第22回 日本集中治療医学会関東甲信越地方会 シンポジウム2
- Arai M et al. Efficacy of respiratory support team based rapid response team in triggering the rapid response system. The 7th Asian Conference on Emergency Medicine (Tokyo), 10/24/2013
- 新井正康ほか.パネルディスカッション 人工呼吸器離脱をチームで実践する、鎮静、せん妄、運動療法を一体としたチームアプローチと人工呼吸器離脱.日本呼吸療法医学会総会 (京都)2015年7月
- 新井正康ほか.当院におけるICUとRRT連携 ~RRTの集中治療医がICUに患者を連れてくる~日本集中治療医学会総会 2015年2月9日~11日(東京)
4.その他、委員会への招聘など- 新井正康.Rapid Response Team (RRT)からみたOncological Emergenciesの問題点。2013年3月10日 「がん救急」に関する専門家検討会。(平成24年度がん研究開発費24-B-4「Oncological Emergencyに対する治療体系の確立」研究班)、国立がんセンター。
5.著書、講座など論文?講座- 新井正康.講座Rapid Response System. 臨床麻酔 2014; 38: 1711-1720
- 新井正康.敗血症と急性呼吸窮迫症候群(ARDS).日本胸部臨床. 73: 618-627, 2014
- 新井正康.ARDSにおける呼吸管理~ガイドラインの解説とエビデンス~.敗血症(セプシス)(竹末芳生 編)、医薬ジャーナル、東京、2014年、227-233頁
- 新井正康ほか.ヘスとカズマレックの人工呼吸ブック改訂第3版.Medsi.
当GICUならびにRST?RRTに興味のあるかたのご連絡をお待ちしていります。職種、内科系、外科系も含め診療科を問いません。見学のみならず、意見交換を行い、相互に高め合うことができればと思います。GICUを起点に、博狗体育在线_狗博体育直播【官方授权网站】@病院内のいろいろなICUを見学したいという方も、可能な限りコーディネートしてみたいと思います。
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