生化学(堺単位)神経科学グループ
分子から脳の高次機能や行動を理解する
担当科目 | タンパク質化学、代謝学、医化学?栄養学、分子医化学実習、神経系Ⅰ、内分泌?代謝系Ⅰ |
専門分野 | 生化学、神経生物学 |
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准教授:板倉 誠
講師: 岡田 大助、山森 早織
技術員:永田 悦子、菅谷 津貴子
1.リン酸化による脳機能制御機構の解明
シナプス機能は様々なタンパク質キナーゼによって制御されているが、それがどのような脳機能の発現に関わっているかはいまだ明らかではない。我々は神経伝達物質放出に不可欠なタンパク質であるSNAP-25がプロテインキナーゼCでリン酸化され、生後の脳の正常発達や脳のストレス反応に関与していることを見出し、リン酸化部位に変異を加えたノックインマウスなどを用いながら解析を進めている。
2.リン酸化によるグリア細胞の機能制御機構の解明
近年グリア細胞は神経細胞の単なる支援的な役割だけではなく、神経回路の機能調節にも積極的に関与している可能性が高まっているが、その詳細は明らかではない。我々はグリア細胞の開口放出機能がプロテインキナーゼCで抑制的に制御されていることを見出、その詳細な分子機構や脳での役割について解析を進めている。
3.AMPA型グルタミン酸受容体結合タンパク質TARPsの機能解析
TARPsは中枢神経系における主要な神経伝達物質であるグルタミン酸の受容体であるAMPA型受容体に結合する膜4回貫通型のタンパク質ファミリーである。ファミリー分子の脳内での発現パターンは非常に異なっており、それぞれのファミリー分子は分子ごとに特異的な機能を持つことが示唆される。そこで海馬に多く発現するg-8を中心に研究を行っている。
4.永く覚える記憶内容を決める神経細胞レベルの仕組み
経験はその時に活動した神経細胞間のシナプス伝達が強化されると記憶されますが、時間が経つと強い印象を持った要素しか思い出せません。後で思い出せる記憶の内容は、長期的に強化されるシナプスを決める仕組みで決められます。私たちはこれまでに、この仕組みはシナプスタグというシナプス構成蛋白質の配送機構であることを明らかにしました。分子細胞生物学、分子イメージング、電気生理学等の手法を用いてシナプスタグの分子機構を明らかにします。
抗リン酸化SNAP-25抗体を用いたPC12細胞の蛍光抗体染色像。PKCを活性化すると細胞膜でSNAP-25のSer187のリン酸化(黄色)が引き起こされる。
S187Aノックインマウスで見られる情動異常行動。明暗選択テストで野生型マウス(図左)は、明室でも盛んに探索行動を行うが、リン酸化部位を欠失したS187A変異マウスは殆ど明室に出てこない。
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- Kataoka M, Kuwahara R, Matsuo R, Sekiguchi M, Inokuchi K, Takahashi M (2006) Development- and activity-dependent regulation of SNAP-25 phosphorylation in rat brain. Neurosci Lett, 407: 258-262.
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